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【40代】40歳を過ぎたひきこもり【part366】idなし
- 149 :(-_-)さん:2021/07/08(木) 13:29:16.66 .net
- 仕事帰り、信号待ちでふと目をやると若者ふたりが騒いでいる。
どうやら後ろに見える白木屋から出てきた友人同士のようだ。
ふたりとも、顔を赤くして悩みのなさそうな笑顔を浮かべている。
そんな光景が俺を10年前の白木屋に連れ戻す。
向かいに座った友人は30代にしてフリーターを続け、先の見えない人生を送っていた。
思えば、彼は俺が貧乏学生の頃にメシをよくおごってくれた。
それは彼にとって自己顕示欲を満たすためのものだったかも知れないが、それでも
貧しかった当時の俺には本当にありがたかった。
だが俺はその頃仕事が軌道に乗り、ちょっとした「勝ち組」気分に浮かれ目の前で
現実に打ちのめされたような友人を見下し、侮辱し、突き放してしまった。
彼はヨレヨレの千円札3枚をテーブルに置くと「はは、そういえば仕事があった…」
と呟くように言い、恥じるような、堪えるような表情で席を立った。
それから彼には会っていない。もっていた携帯も解約されたようだ。
若者コンビがこちらを指さしながら変わらぬ笑顔で騒いでいる。
これからの人生はきっと平坦ではないだろうけど、それでも今を楽しむことに罪はない。
俺はきっと10年前のあの日を後悔している…
信号が青になり、我に返った俺はアクセルを踏み込む。
ガヤルドのエンジンから強いトラクションを感じつつ鋭く加速する。
白木屋の看板と若者コンビはあっと言う間に遠ざかる。
目の端に映るミラーの中で点になったのはあの頃の俺達だった。
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