【金スマ殉愛】たかじん嫁さくら【百田尚樹】★453

242 ：可愛い奥様：2018/03/10(土) 13:47:47.89 ID:u50dlcbo0.net

>>241続き
　やしきたかじん亡きあとは、自分が責任を持って事務所を閉鎖したいーー小丸の申
し出に、たかじんは、
「わかってる。それはお前しかできひんし、お前がやってくれ」
と約束した。
　この日、小丸はたかじんと三時間ほど語り合った。
　たかじんとは長い間、プライベートな話をすることはなかった。師匠は住所や家族
構成さえ知ろうとしなかった。運転席と後部座席に仕切りがある車に乗り換えてから、
ますます会話をしなくなっていた。
　余命二ヶ月と告げられた師匠とじっくり対面するのは、その前が思い出せないくら
い久しぶりだった。しかも、酒が入った説教ではない。
「お前は家族とちゃんとやれてんのか？」
「野田はどないしてんねん？」
「もう一回、ハワイに行きたかったなあ」
　仰ぎ見る存在だった師匠が、自分の目線まで降りてきてくれたようで、少し面映ゆ
かった。
　三時間の会談後、年末に東京で事務所の弁護士と遺言状を作成する予定が決まった。
　その翌日、たかじんの容態が急変し、聖路加国際病院に入院した。主治医が聖路加
に転勤していたためである。
　たかじんは年末の三十日に、吉村洋文弁護士（現・大阪市長）立会いのもと、病室
でビデオによる遺言状を作成した。