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アンパンマンコどもミュージアム
- 1 :名無しさん@お宝いっぱい。:2015/05/16(土) 23:34:14.85 ID:1cMKCViX0.net
- 宮城県
- 953 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/06/30(土) 14:58:31.49 ID:YGoRHm+2F
- 現に目の前の香炉の火や、印度人の婆さんの姿でさえ、気味の悪い夢が薄れるように、見る見る消え失せてしまうのです。
- 954 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/06/30(土) 15:06:17.72 ID:6daS7Aum7
- 「アグニの神、アグニの神、どうか私の申すことを御聞き入れ下さいまし」
- 955 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/06/30(土) 15:14:03.64 ID:YGoRHm+2F
- やがてあの魔法使いが、床の上にひれ伏したまま、嗄れた声を挙げた時には、妙子は椅子に坐りながら、殆ど生死も知らないように、いつかもうぐっすり寝入っていました。
- 956 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/06/30(土) 15:21:49.54 ID:6daS7Aum7
- 妙子は勿論婆さんも、この魔法を使う所は、誰の眼にも触れないと、思っていたのに違いありません。
- 957 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/06/30(土) 15:29:35.28 ID:YGoRHm+2F
- しかし実際は部屋の外に、もう一人戸の鍵穴から、覗いている男があったのです。
- 958 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/06/30(土) 15:37:21.10 ID:6daS7Aum7
- それは一体誰でしょうか?――
- 959 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/06/30(土) 15:45:07.25 ID:YGoRHm+2F
- 言うまでもなく、書生の遠藤です。
- 960 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/06/30(土) 15:52:52.91 ID:6daS7Aum7
- 遠藤は妙子の手紙を見てから、一時は往来に立ったなり、夜明けを待とうかとも思いました。
- 961 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/06/30(土) 16:00:38.61 ID:YGoRHm+2F
- が、お嬢さんの身の上を思うと、どうしてもじっとしてはいられません。
- 962 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/06/30(土) 16:08:24.82 ID:6daS7Aum7
- そこでとうとう盗人のように、そっと家の中へ忍びこむと、早速この二階の戸口へ来て、さっきから透き見をしていたのです。
- 963 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/06/30(土) 16:16:10.54 ID:YGoRHm+2F
- しかし透き見をすると言っても、何しろ鍵穴を覗くのですから、蒼白い香炉の火の光を浴びた、死人のような妙子の顔が、やっと正面に見えるだけです。
- 964 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/01(日) 00:17:19.68 ID:Sl8s8f01q
- その外は机も、魔法の書物も、床にひれ伏した婆さんの姿も、まるで遠藤の眼にははいりません。
- 965 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/01(日) 00:25:05.81 ID:HTJvSEbu3
- しかし嗄れた婆さんの声は、手にとるようにはっきり聞えました。
- 966 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 00:25:56.19 ID:QFkIBZF4V
- 「アグニの神、アグニの神、どうか私の申すことを御聞き入れ下さいまし」
- 967 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 00:33:43.04 ID:TIy6JSdag
- 婆さんがこう言ったと思うと、息もしないように坐っていた妙子は、やはり眼をつぶったまま、突然口を利き始めました。
- 968 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 00:41:29.05 ID:QFkIBZF4V
- しかもその声がどうしても、妙子のような少女とは思われない、荒々しい男の声なのです。
- 969 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 00:49:14.69 ID:TIy6JSdag
- 「いや、おれはお前の願いなぞは聞かない。
- 970 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 00:57:00.33 ID:QFkIBZF4V
- お前はおれの言いつけに背いて、いつも悪事ばかり働いて来た。
- 971 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 01:04:45.94 ID:TIy6JSdag
- おれはもう今夜限り、お前を見捨てようと思っている。
- 972 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 01:12:31.71 ID:QFkIBZF4V
- いや、その上に悪事の罰を下してやろうと思っている」
- 973 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 01:20:17.52 ID:TIy6JSdag
- 婆さんは呆気にとられたのでしょう。
- 974 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 01:28:03.43 ID:QFkIBZF4V
- 暫くは何とも答えずに、喘ぐような声ばかり立てていました。
- 975 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 01:35:49.16 ID:TIy6JSdag
- が、妙子は婆さんに頓着せず、おごそかに話し続けるのです。
- 976 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 01:43:34.86 ID:QFkIBZF4V
- 「お前は憐れな父親の手から、この女の子を盗んで来た。
- 977 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 01:51:20.56 ID:TIy6JSdag
- もし命が惜しかったら、明日とも言わず今夜の内に、早速この女の子を返すが好い」
- 978 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 01:59:06.23 ID:QFkIBZF4V
- 遠藤は鍵穴に眼を当てたまま、婆さんの答を待っていました。
- 979 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 02:06:52.00 ID:TIy6JSdag
- すると婆さんは驚きでもするかと思いの外、憎々しい笑い声を洩らしながら、急に妙子の前へ突っ立ちました。
- 980 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 02:14:37.87 ID:QFkIBZF4V
- 「人を莫迦にするのも、好い加減におし。
- 981 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 02:22:23.54 ID:TIy6JSdag
- お前は私を何だと思っているのだえ。
- 982 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 02:30:10.21 ID:QFkIBZF4V
- 私はまだお前に欺される程、耄碌はしていない心算だよ。
- 983 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 02:37:56.01 ID:TIy6JSdag
- 早速お前を父親へ返せ――
- 984 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 02:45:41.64 ID:QFkIBZF4V
- 警察の御役人じゃあるまいし、アグニの神がそんなことを御言いつけになってたまるものか」
- 985 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 02:53:27.64 ID:TIy6JSdag
- 婆さんはどこからとり出したか、眼をつぶった妙子の顔の先へ、一挺のナイフを突きつけました。
- 986 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 03:02:29.73 ID:QFkIBZF4V
- 「さあ、正直に白状おし。
- 987 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 03:10:15.59 ID:TIy6JSdag
- お前は勿体なくもアグニの神の、声色を使っているのだろう」
- 988 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 03:18:01.39 ID:QFkIBZF4V
- さっきから容子を窺っていても、妙子が実際睡っていることは、勿論遠藤にはわかりません。
- 989 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 03:25:47.15 ID:TIy6JSdag
- ですから遠藤はこれを見ると、さては計略が露顕したかと思わず胸を躍らせました。
- 990 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 03:33:33.34 ID:QFkIBZF4V
- が、妙子は相変らず目蓋一つ動かさず、嘲笑うように答えるのです。
- 991 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 03:41:19.57 ID:TIy6JSdag
- 「お前も死に時が近づいたな。
- 992 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 03:49:05.50 ID:QFkIBZF4V
- おれの声がお前には人間の声に聞えるのか。
- 993 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 03:56:51.27 ID:TIy6JSdag
- おれの声は低くとも、天上に燃える炎の声だ。
- 994 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 04:04:37.10 ID:QFkIBZF4V
- それがお前にはわからないのか。
- 995 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 04:12:22.88 ID:TIy6JSdag
- わからなければ、勝手にするが好い。
- 996 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 04:20:08.57 ID:QFkIBZF4V
- おれは唯お前に尋ねるのだ。
- 997 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 04:27:54.30 ID:TIy6JSdag
- すぐにこの女の子を送り返すか、それともおれの言いつけに背くか――」
- 998 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 04:35:40.31 ID:QFkIBZF4V
- 婆さんはちょいとためらったようです。
- 999 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 04:43:26.25 ID:TIy6JSdag
- が、忽ち勇気をとり直すと、片手にナイフを握りながら、片手に妙子の襟髪を掴んで、ずるずる手もとへ引き寄せました。
- 1000 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 04:51:12.11 ID:QFkIBZF4V
- まだ剛情を張る気だな。
- 1001 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/07/02(月) 04:58:57.91 ID:TIy6JSdag
- よし、よし、それなら約束通り、一思いに命をとってやるぞ」
- 1002 :1001★:Over 1000 Comments
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もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。
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