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アンパンマンコ ドモミュージアム仙台
- 1 :名無しさん@お宝いっぱい。:2017/03/14(火) 07:32:26.26 ID:PiPoQofQ0.net
- 語ろう!
- 953 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 09:43:09.84 ID:xibAyjiD0.net
- 今時分はもう此処から三十哩も先きへ行つてゐる筈だつたのよ。」
- 954 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 09:45:00.58 ID:xibAyjiD0.net
- わしはもう、何時ものわしではない。
- 955 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 09:46:51.40 ID:xibAyjiD0.net
- わしの衣裳の精霊は、わしの皮膚の中に滲み入つて、十分たつかたたぬ中にわしはどうやら一廉の豪華の児になつてしまつた。
- 956 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 09:48:41.92 ID:xibAyjiD0.net
- 戸と云ふ戸は、彼女が手をふれると忽ちに開くのである。
- 957 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 09:50:32.72 ID:xibAyjiD0.net
- 何故と云へば彼等は風のやうに疾いからである。
- 958 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 09:52:23.25 ID:xibAyjiD0.net
- 其間にわしは凡ての事を忘れてゐた。
- 959 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 09:54:13.99 ID:xibAyjiD0.net
- 貴公子の道楽者は僧侶を馬鹿にするし、僧侶は、貴公子の放埒を罵るのである。
- 960 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 09:56:04.60 ID:xibAyjiD0.net
- これがわしの不思議に思ふ一つの変則なのである。
- 961 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 09:57:54.98 ID:xibAyjiD0.net
- わしはと云ふと又王子のやうな宮臣の一列を従へて、常に大国の四福音宣伝師か十二使徒の一人と一家ででもあるやうな、畏敬を以て迎へられてゐた。
- 962 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 09:59:45.52 ID:xibAyjiD0.net
- わしは実に狂気のやうに彼女を愛してゐたのである。
- 963 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 10:01:36.03 ID:xibAyjiD0.net
- 彼女自身によつて目醒まされた、清浄な青春の愛である。
- 964 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 10:03:26.63 ID:xibAyjiD0.net
- 顔の色も日にまし青ざめる。
- 965 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 10:05:17.48 ID:xibAyjiD0.net
- それはわしが一分でも彼女の側を離れたくないと思つたからである。
- 966 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 10:07:07.88 ID:xibAyjiD0.net
- と、次第に彼女の瞼は垂れ、緑色の眼の瞳は円いと云ふよりも、寧ろ楕円になつた。
- 967 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 10:08:58.55 ID:xibAyjiD0.net
- 「私はまだ長い間貴方を愛してあげる事が出来てよ。
- 968 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 10:10:49.42 ID:xibAyjiD0.net
- 丁度其の夜、睡がわしを牧師館に移した時に、わしは僧院長セラピオンが平素よりは一層真面目な、一層気づかはしさうな顔をしてゐるのを見た。
- 969 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 10:12:40.13 ID:xibAyjiD0.net
- わしは杯をとり上げて、口へ持つてゆく真似をして、それから、後で飲むつもりのやうに手近にあつた家具の上へのせて置いた。
- 970 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 10:14:30.90 ID:xibAyjiD0.net
- 貴方はまだ私を愛してゐるのですから、私はまだ死なれません……
- 971 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 10:16:21.29 ID:xibAyjiD0.net
- 其時わしは、彼女がわしの腕を執りながら、其上に落す涙を感じたのであつた。
- 972 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 10:18:12.18 ID:xibAyjiD0.net
- そして喜んで其人工の生命を与へるに足る丈の血潮を、自ら進んで与へようと思つた。
- 973 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 10:20:02.66 ID:xibAyjiD0.net
- そしてわしは、わしの肉を苦しめ制する為に、何か新しい贖罪を発明するのさへ、想像するに苦しむやうになつた。
- 974 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 10:21:53.33 ID:xibAyjiD0.net
- 尤も非常に出た策だと云ふ嫌はあるが役には立つに相違ない。
- 975 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 10:23:44.05 ID:xibAyjiD0.net
- それは此様な怖しい存在は続けられる事も、堪へられる事も出来なかつたからである。
- 976 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 10:25:35.02 ID:xibAyjiD0.net
- とセラピオンが呟いた。
- 977 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 10:27:25.56 ID:xibAyjiD0.net
- 外から誰でもわし達を見る人があつたなら、其人はわし達を神の僧侶と思ふよりは寧ろ涜神の痴者が経帷子を盗む者と思つたに相違ない。
- 978 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 10:29:16.21 ID:xibAyjiD0.net
- わしは、頭上に油然と流れてゐる黒雲の内臓から、火の三戟刑具が迸り出でて、彼を焦土とするやうに祈祷しようかとさへ思つてゐた。
- 979 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 10:31:06.88 ID:xibAyjiD0.net
- それから彼は柩の蓋を捩ぢはなした。
- 980 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 10:32:57.55 ID:xibAyjiD0.net
- 憐む可きクラリモンドは、聖水がかゝると共に、美しい肉体も忽ち塵土となつて、唯、形もない、恐しい灰燼の一塊と、半ば爛壊した腐骨の一堆とが残つた。
- 981 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 10:34:48.10 ID:xibAyjiD0.net
- が、唯一度、其次の夜にわしはクラリモンドに逢つた。
- 982 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 10:36:38.53 ID:xibAyjiD0.net
- 彼女は煙のやうに空中に消えた。
- 983 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 10:38:29.10 ID:xibAyjiD0.net
- 兄弟よ、之がわしの若い時の話なのだ。
- 984 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 10:40:19.54 ID:xibAyjiD0.net
- すると其少尉の一人が横須賀でSとSの細君と二人で散歩してゐるのに遇つたら、よくよく中てられたと見えて、其晩から腹が下つたと云ふ話をした。
- 985 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 10:42:10.02 ID:xibAyjiD0.net
- 素人眼には、小蒸汽の艫に推進機が起してゐる、白い泡を見ても、どれほどその爲にこの二萬九千噸の巡洋艦が動いてゐるかわからない。
- 986 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 10:44:00.54 ID:xibAyjiD0.net
- 僕はそれを聞くと同時に長谷にある古道具屋を思ひ出した。
- 987 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 10:45:51.19 ID:xibAyjiD0.net
- 食卓につくと、すぐにボイが食事を持つて來てくれる。
- 988 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 10:47:41.68 ID:xibAyjiD0.net
- そこで僕はこの際、いろんな人の顏を覺えた。
- 989 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 10:49:32.47 ID:xibAyjiD0.net
- 投げこんでゐると云ふだけでは、甚だ振はないが、實はまるで昔の武藝者が鎖鎌でも使ふやうな調子で、その分銅のついた長い綱をびゆうびゆう頭の上でふりしながら、艦の進むのに從つて出來る丈け遠くへ勢ひよく抛りこむのである。
- 990 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 10:51:23.38 ID:xibAyjiD0.net
- 僕たちは皆な背をかがめてそのハムモツクの下を這ふやうにして歩いた。
- 991 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 10:53:14.08 ID:xibAyjiD0.net
- こんな事を考へながらふと頭をあげると、一人の水兵の讀んでゐる本の表紙が、突然僕の鼻の先へ出た。
- 992 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 10:55:04.59 ID:xibAyjiD0.net
- それが白い陶器の湯槽の中で、明礬のやうに青く見えた。
- 993 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 10:56:55.42 ID:xibAyjiD0.net
- その晩はそれが索麪だつた。
- 994 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 10:58:45.79 ID:xibAyjiD0.net
- 何でも國防計畫か何かを論じてゐるらしい。
- 995 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 11:00:36.17 ID:xibAyjiD0.net
- それがどうにか、かうにか、會話らしい體裁を備へて進行したのは、全く僕がイエスともノオともつかない返事をして、巧に先方の耳目を瞞著したおかげである。
- 996 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 11:02:26.89 ID:xibAyjiD0.net
- 僕はハンドレエルにつかまつて、遙か下の海面を覗込んだ。
- 997 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 11:04:17.79 ID:xibAyjiD0.net
- 二人は低い聲で笑つた。
- 998 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 11:06:08.47 ID:xibAyjiD0.net
- その狹い所に、煤煙でまつ黒になつた機關兵が色硝子をはめた眼鏡を頸へかけながら忙しさうに動いてゐる。
- 999 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 11:07:59.18 ID:xibAyjiD0.net
- その中に機關兵の一人が、僕にその色硝子の眼鏡を借してくれた。
- 1000 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 11:09:49.88 ID:xibAyjiD0.net
- よく見ると、側面の鐵の板に、人一人がやつと這ひこめる位な穴が明いてゐる。
- 1001 :名無しさん@お宝いっぱい。:2018/05/04(金) 11:11:40.38 ID:xibAyjiD0.net
- あれのやうな具合である。
- 1002 :2ch.net投稿限界:Over 1000 Thread
- 2ch.netからのレス数が1000に到達しました。
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