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***とぶくすり***

1 :ナナシ:02/04/18 21:10 ID:ZSrJaEp1.net
まだこの頃小学生だったけどたま〜に見てて
子供ながら笑ったのを覚えてます!
Z-men'sとかたつひろ、藤四郎(矢部のじいちゃん)
が好きだったな〜★

610 :名無しだョ!全員集合:[ここ壊れてます] .net
研究者になるための知識もない。
文学者を目指そうとしても、文学論文や研究書なんかいまだに書いたことない。
そもそも内容が何であれ、自分に書く才能がないのは、100回以上小説の新人賞に落ち、そればかりか現在進行形で1次選考すら一度も通っていないことからも容易にわかる。
また、自分はいい歳になっているが、小学校で習うような割合や分数の計算ができない。かろうじで「パーセント」がなんなのか、ぼんやりと分かる程度だ。
例えば100円の消費税8パーセントが108円になることは、丸記憶しているから分かる。
だがどうして108円になるのかは、全くわからない。おそらく説明されても理解できない。これも単純に頭が悪いせいである。
だがそんな頭が悪い自分でも、消費税の計算ができない人間が数学者になれるわけがないということはわかる。 
だからこそもう1つの「憧れる職業」である「小説家」になろうとした。
自分の頭が悪すぎて、早い段階で研究者になることを挫折した。
だからもう1つの夢であった小説家になるべく、中学3年から物語を書き始めることになる。
研究者を諦めた反動もあり、ジャンルを選ばずあらゆる新人賞に応募し始めた。
作品を書き上げて応募するたびに、満足感があったのを覚えている。

611 :名無しだョ!全員集合:[ここ壊れてます] .net
前に書いた通り、1次選考すら通ったことは一度もない。
それでも若い頃は漠然と「自分はいつか小説家になれる」「本を出版できる」と思っていた。
たとえ駄作でも書き上げるたびに満足感があって、自分に自信があった。
だからこそへこたれることなく次から次に作品を書き上げて応募することができた。
その頃の自分は若かったからだろう。出張授業に来た数学者の先生の言葉を借りるなら、当時は「未来があった」のだ。
今の自分の年齢では、未来なんかない。
「銀色のスナイパー」がネット小説大賞を受賞し、商業デビューしたことが、この歳になって夢を叶える最後のチャンスだったと痛感する。
100歩譲って未来があるとしても、どんなものかもう知れている。
100回落選したら101回目にどうなるか、頭の悪い自分でも想像がつく。
1度打ち切りになった作家が再デビューできるのは、極めて難しいと何かの本で読んだこともあった。
最近では作品を書き上げても、自信なんか全く感じない。満足感なんか忘れてしまった。
代わりに、ただただ喪失感と劣等感が、今の自分にずっと付きまとっている

612 :名無しだョ!全員集合:2022/10/01(土) 14:24:18.29 ID:???.net
先のことを考えると背筋が凍る

自分は第4回ネット小説大賞を受賞したあと、専業作家になるために仕事をやめた。
それからしばらくして著作は打ち切りになってしまい、以降現在までずっと仕事は見つかっていない。
ネット小説大賞を受賞する前は、大学の図書館に勤務していた。
前述の同人があった大学である。
もっともなんの資格も持っていないので、司書や事務はできない。
だから他の職員の指導のもと、返却本や貸し出し機材の整理をしていた。学生が学業の傍らに、アルバイトでするような仕事の延長だった。
(最初の方はカウンターで貸し出し手続きの補佐をしていたこともあった。だが学生側から対応が悪いとクレームが出て、裏方に回された。)
自分の力で就職活動をし、ほかの就職希望者と競ってからこの仕事に就いたのではない。
前述の木島先生(中学時代の恩師)のおかげだった。
先生の旧知の友人がその大学の関係者で、公募の際、
本来なら学内の志望者を優先する枠の1つを、木島先生とのコネクションで特別に自分に回してもらったのだ。
正社員なのかアルバイトなのか微妙な立ち位置だった。
だから収入は世の平均には遠く及ばない。
もらえる給与のほとんどは、1人暮らしをしている賃貸の家賃をはじめとした生活費の支払いに消える。
しかし薄給に不満はなかった。友達は皆無なので、交際費はかからない。
趣味は読書と小説を書くことしかなかったから、娯楽に金をかけなくて済む。
忙しくないときは図書館の本を好きに読んでいてよかったため、読書に関しても困らなかった。
それどころか読みたい本はだいたい無料で読むことができた。

613 :名無しだョ!全員集合:2022/10/01(土) 14:25:56.02 ID:???.net
ネット小説大賞を受賞する少し前は、貸し出しているノートパソコンの管理や、教員が注文した本や論文の整理なんかも主な仕事だった。
仕事がない時は好きにしていていいと言われたので、やはり本を読んだり、小説を書いたりしていた。
ときどき学生向けの本の紹介もした。
大学の図書館はあるテーマを決めて、そのテーマに沿った本を特集することがある。
このとき自分はよく上司や同僚から知恵を借りられた。
一度は立原正秋の「冬の旅」を自作の推薦文とともに紹介したことがある。
学生間からたいそう好評だったと、上司から言われたのを覚えている。
大学図書館に勤務しているときは、キャンパス内を散歩することが好きだった。
前述の通り自分は「研究者」に対して憧れている。だから研究機関である大学も憧れの場所だ。
キャンパスを歩いていると、まるでその大学の教授にでもなったような気がする。
大学がセンター試験の会場に選ばれたときは、準備や片付けで忙しい。
だが会場の下見に来た高校生や、試験終了後の受験生の父兄に挨拶されると、とても気分がよかった。
おそらく先方は自分のことを大学の先生かなにかと勘違いしているのだ。
たとえ勘違いでも「大学の研究者として接してくれる」ということが、自分にはどんなことよりも嬉しかった。
なにより、大学の図書館に勤めていることで、他人に「大学に勤めている」と言うことができた。
「大学に、(その中の図書館に、中学時代の恩師のコネで)勤めている」
と()の中をのぞいて曖昧に言えば、言われた方は自分のことを
「大学に、(研究者として)勤めている」
と誤認することが多い。
するとそれまで自分と話していた相手の視線や接し方が変わる。
相手の自分を見る目が、凡人に対するそれから、目上の知識人に向けた尊敬の眼差しに変わるのである。
この瞬間が例えようもないほど気持ちがいい。

614 :名無しだョ!全員集合:2022/10/01(土) 14:27:44.37 ID:???.net
相手は自分のことを、なんの取り柄もない人間ではなく、研究者と思っている。
頭が良く、才能に溢れ、深い知識と洞察力を持ち、学会に論文を投稿する研究者だと、自分のことを思ってくれる。
自分はその人の前では、ずっと学問を突き詰め、博士号を持った人物だということだ。
実際の自分は凡人どころか、欠点ばかりが目立つ最底辺の人間だ。
しかしうわべだけでも、その人にとって、自分は文学の研究者になる。その人の中だけでは、自分は憧れの研究者でいることができる。
もう少し大学の内情や研究者について知っている人は、「専門はなんなのですか」と聞いてくる。その時自分は、

「文学です」と言うことにしている。ずっと小説を書いてきて、本も読んできた。だから文学が専門というのは嘘ではない。
 とても気分がいい。
なにより事実を曖昧にしただけなので、嘘ではないのだ。
そしてこのときは自分のあらゆる短所───醜悪な容姿や、不愛想な態度、早口で聞き取りにくい話し方などが、全て長所に変わるような気になる。
自分の中での研究者は、あまり話すことが得意ではなく、研究ばかり一心になる人物である。
話すことは苦手で、人との付き合いも悪い。しかし専門に対しては誰にも負けないほど深い知識と理解がある。
だから人間性に難があっても、学問の世界では重鎮とされ、皆から愛されて居場所がある。
相手が自分をそんな風に見ていると思うと、自分の早口でぼそぼそとした喋り方が、許されるような気がしてくる。
人当たりの悪さは、普段はなおすべき短所だ。
だが自分が人に「研究者と思われている」ときだけ、まるで良い個性の1つであるかのように思えてくる。

615 :名無しだョ!全員集合:[ここ壊れてます] .net
やめてしまった今、あの職場は奇跡のように良い環境だったと痛感している。
現在自分は(精神が安定しているときに限るが)少しずつ就職活動をしている。
前のように図書館勤務に戻りたいと思う。だが自分のスペックでは、大学の図書館なんかに勤めることはできない。
何度か応募したが、大学ではなく市内の図書館ですら全く採用されなかった。
そもそも前職に関しても自分の実力ではないのだ。
あの大学図書館に正攻法で履歴書を送って面接を受けたら、自分は絶対に落とされていただろう。
木島先生の紹介のおかげで、例外的に勤められていただけなのである。
その木島先生は永眠された。だからもう自分にコネクションはない。
通勤できる範囲の他の大学で図書館の求人をしているところはほとんどない。
少数あっても学内限定のアルバイトの公募だったり、資格が必要だったりする。
幸運にも無資格者への公募があっても、結局自分より若く、資格やスキルを持った優秀な人物が採用されてしまう。

616 :名無しだョ!全員集合:[ここ壊れてます] .net
辞めた大学に再就職しようと思って一度行ったことがあった。
同人の件(前述した)で正直行きたくもなかったが、無職となってしまっては背に腹は代えられない。
だが公募はもうなかった。自分が書籍化作業をしているうちに終わってしまっていたらしい。
前まで自分がいたポジションには、おそらく別の誰かが就任しているのだろう。
他の求人を見たが、図書館の公募は学内の学生限定でしかない。それすら倍率が良いため競争が激しい。
図書館以外では、なんとか文学に関わる仕事がしたいと思い、出版社にも履歴書を送っている。
だがこれも全く返事はない。大手の出版社では言わずもがなだ。小さな出版社でも手応えはない。断りの返事があればいい方だった。
前職は本当に恵まれていた。
給料は少ないが、その分人と関わらなくて済み、自由な時間が多かった。
空いた時間は本を読んでいても、書いていても良かった。小説を書くことと読むことが唯一の趣味だった自分に、こんなにぴったりな職場はない。
他の職場では、勤務中に読書なんかしていたら怒られてしまうだろう。
職場のパソコンで小説なんか書いているのが見つかったら、下手したら懲戒免職になってしまうかもしれない。
やめなければよかったと心の底から後悔している。おそらく兼業でも締め切りに間に合ったし、執筆の妨げにはならなかっただろう。

617 :名無しだョ!全員集合:2022/10/15(土) 08:23:59.71 ID:???.net
だが当時は今とは全く逆の心境だった。
貸し出すノートパソコンの管理や、本の整理なんか俺がやるべき仕事じゃないと思っていた。
裏方の誰でもできる仕事が嫌で嫌でたまらなかった。なんのやりがいもない、くだらない仕事だと軽蔑していた。
自分だけにしかできない、プロフェッショナルな仕事がしたいと思っていた。
自分以外に代替の利かない、オンリーワンな仕事こそ、自分に向いてると信じていた。
そして知的でオンリーワンで、自分にしかできない仕事が「小説家」だった。
自分だけにしか書けない物語を紡ぐ。人の心を感動で揺さぶる。
記憶に残る名文を産み出して金を稼ぐ。これこそやりがいのある天職だと思った。
ネット小説大賞を受賞したとき、もう誰でもできる仕事はしなくて済む。
ようやく俺の才能が発揮できると増長していた。そしてくだらない仕事が自分の高尚な創作の邪魔になってはならないと、
なんの迷いもなく仕事を辞めた。
辞めたとき、ものすごい開放感だったのを覚えている。
「自分は専業作家になった」という事実に気分が高揚し、自己陶酔していた。まだ発売前の本がベストセラーになったような気になった。
そしてもう機材の整理や古びた本の整理をしなくて済むと、せいせいした。

618 :名無しだョ!全員集合:2022/10/15(土) 08:25:22.33 ID:???.net
今は違う。
人と関わらず、暇な時間がたくさんあり、勤務中に本を書いていても読んでいてもいい。
そして時折若者に向けて本を紹介し、外部の人は自分を研究者と思ってくれる。これ以上ないほどいい環境だったと思う。
今、自分はそれまで貯めたなけなしの貯金を食いつぶす生活をしている。
貯金が底を尽きたらと思うとぞっとする。故あって、自分は幼少の頃から親ととても仲が悪く、泣きつく事は絶対にできない。
つまり今の蓄えがなくなったら、自分はのたれ死んでしまう。
だから先のことを考えると、背筋が凍る。
だが恐ろしいと思っていても、何も行動ができない。ここでもこれまで再三述べたプライドの高さが邪魔をして、職を選んでしまう。
自分はネット小説大賞という文学賞を受賞したエリートだ。
たとえ短期間でも「プロの小説家」として、専業で金を稼いでいた。だから底辺がやるような仕事はできない。そう考えて、世の中を見下してしまう。
自分の中で、底辺な仕事は接客と営業だった。
へらへら愛想笑いしながら、好きでもない人に頭を下げて、なけなしの金をもらう。
そんな恥さらしなことは絶対にできないし、したくないと思っていた。
こういう仕事に就くのはなんの努力もしてこなかった、才能のない連中ばかりだ。
人の機嫌を伺うことしかできない、おおよそ知性と対極にあるような阿呆しかいない。そう思って接客業と営業職を見下していた。

619 :名無しだョ!全員集合:2022/10/22(土) 13:55:00.35 ID:???.net
だが今求人を見ても、接客も営業も、自分の年齢と社会経験のなさでは全く歓迎されない。
もう自分は、あれほど見下していた仕事が、したくてもできないような状態になってしまったのだ。
求人を見るたびに、自分は馬鹿にしていた底辺よりもさらに下の存在であることをいやでも思い知らされる。
職を探すたびに、前職の大学の図書館勤務の良さをひしひしと感じる。
そしてそこに自分を送り込んでくれた木島先生を思い出す。
もう一度、先生に会いたい。
今になってそう切に思う。木島先生に、話を聞いてもらいたい。
仕事を辞める前に先生に相談していれば、的確なアドバイスをもらえただろう。
専業になろうなんて甘いこと考えるなと、自分を叱責してくださったかもしれない。
そしたら自分もきっと考えを変えたはずだ。
学生時代はあんなに恐ろしかった先生だが、今はもう一度机を蹴られてでも怒られたいと思ってしまう。

620 :名無しだョ!全員集合:2022/10/22(土) 13:56:03.88 ID:???.net
病身の先生が拙作せっさくを買ってくださった前後で、自分は書籍化した忙しさにかまけて、
先生への連絡をないがしろにしてしまった。
やがて先生は入院した。見舞いは一度行ったきりだ。
先生からいくつかメールや電話が来たこともあったが、返信もしていなかった。
専業のプロ作家となった以上、自分の作品を書くことが最優先で、他のことは後回しにしても許されると驕っていた。
そして自分が連絡をなおざりにしたまま、木島先生は亡くなった。
もっと先生にお会いして、薫陶くんとうを受けておけばよかったと、本当に後悔している。
後悔ばかりが、毎日襲ってくる。
今になって、失ったものの本当の価値が、身にしみて分かる。
そして分かったところで、もう遅い。

どうしてもっと早く気づかなかったのだろうか。

621 :名無しだョ!全員集合:2022/10/30(日) 07:02:08.33 ID:???.net
頭が悪すぎて嫌になる 2

前記した「自分は頭が悪い」というのは、「要領が悪い」「記憶力が悪い」と分解できる。
自分は子供の頃から要領が悪かった。
人が簡単にできてしまうことが、いつまで経ってもできない。
そのせいでいつも周囲に迷惑をかけてきた。
物事をうまく処理するのが苦手で、こつを掴むまでにとても時間がかかる。
なにかを短時間で処理したり、複数のことを同時にこなすのも極端に苦手だった。
人より何倍も時間をかけて、たった一つのことしかできないのだ。
例えば期末試験だ。
中学の期末試験では毎回、複数の教科を勉強しなければならない。
どの教科のどの分野から、どう手をつけていいかのかまったく分からなくなる。
要領のいい人間は、最初に各教科ごとの試験範囲を確認し、苦手な教科に重点をおいて勉強の計画を立てるのだろう。
あとはその計画に沿って試験勉強をすれば、少なくとも平均点ぐらいは取れるはずだ。
しかし自分はそういう複雑な計画の立て方が全くわからなかった。
どの教科をどれくらい勉強すれば充分なのか、見当もつかなかった。
記憶力に関しても同じである。何度見直しても、どんなに書いても全く覚えられない。
記憶力が悪いということに関しては、小説を書いていてもよく痛感する。
ある程度書き進めると、前の章で登場させていたキャラクターを忘れてしまうことが多々ある。
やっと小説が完成したと思っても、始まりと終わりでキャラクターの口調や性格が全然別物になってしまうこともある。
もう何度経験したか分からない。

622 :名無しだョ!全員集合:2022/10/30(日) 07:04:52.08 ID:???.net
だから自分は登場人物や展開を、仔細しさいに書き留めなければ執筆できない。
軽いメモ程度ではだめなのだ。
性格やキャラクターの特徴などを履歴書のように細かく記載しておかなければ、書いていて話が破綻してしまう。
自分が作った小説ですら登場人物を記憶できない。
だから他人が書いた小説を読むときは、登場人物のメモに加えて、数十ページごとに話の流れをまとめなければ読めない。
それをしないと、全体の半分も読んだらもう何が何なのか分からなくなる。
そうしてメモを取りながら読んでも、複雑な構成の長い小説や、
難解なトリックを使った推理小説などは、一回読了しただけでは分からないことの方が多い。
つまり自分は、ずっと続けてきた大好きな読書ですら、人より読むのが遅いし理解も浅い。
だから学生時代の成績は悲惨なものだった。
中学のときに国語の授業で、毎週漢字の試験があった。
漢字帳のページを範囲指定して、その中の十から十五個程度の熟語をランダムに選んで筆記の試験をする。
自分はこの漢字試験は毎回、下から数えた方が早かった。
前述した木島先生が漢字の試験の監督だった。
あまりにも自分の点数が悪いため、自分を職員室に呼び出したことがある。
「お前、全然勉強していないんだろう。もうちょっと真面目に取り組め。手を動かして、書いて漢字を覚えんか」
と、当時の木島先生は怖い顔で言った。自分は恐ろしいながらも、
「書きました」
と言った。
事実、書いて覚えようとしていた。
だが木島先生は全く信じてくれなかった。

623 :名無しだョ!全員集合:2022/11/06(日) 10:17:26.50 ID:???.net
木島先生は漢字の試験のたびに自分を呼び出して叱った。
常用漢字くらい筆記できねば将来困る。
特にお前は本が好きなら、漢字も知っていた方がもっと楽しく読めるようになるぞ。そんなことを言われた。
そして最後には毎回、
「漢字なんてものは手を動かして書けば誰でも覚えられるのだから、無精するな」と締めくくった。
自分は毎回殊勝に聞いていた。そして、「書いてます」と言った。
だが先生は全く信じてくれない。点数を見れば信じないのも無理はないだろう。
あるとき木島先生は、もう何度言っても自分が点数が悪かったので、舐めていると思ったのだろう。
とうとう職員室で自分を怒鳴った。
「何度言ったら分かるんだ。漢字くらい覚えれば書けるだろう」
と、それから先生は自分が座っている椅子を蹴った。自分は椅子から転げ落ちそうになりながらも、
「書いてます」
といつものように答えた。
その自分の態度が頑なだったからだろうか。
それまでずっと信用してくれなかった先生は、やはり語気を強めて「それなら、来週勉強した証拠を持ってこい」と言った。
自分は次の週の漢字の試験までに、勉強したことを全て取っておいた。
そしてそれをまとめて木島先生に見せた。すると木島先生は驚いた顔をした。
まさか自分が本当に、この程度の点数で真面目に勉強していると思っていなかったのだろう。
きちんと書いて、手を動かして真面目に勉強し、それでいて結果は出ていない。その事実に更に驚いたようだった。

624 :名無しだョ!全員集合:2022/11/06(日) 10:18:49.12 ID:???.net
それから自分は、もう木島先生には呼び出されることはなくなった。
ただときどき勉強した内容を見せにこいと言われた。
たとえ点数が悪くとも、その勉強した内容で少しだけ加算してやると言われたのだ。
おかげで全ての教科は最低の点数だったが、木島先生が担当だった国語だけは人並みより少し悪いくらいに落ち着くことができた。
木島先生からいろいろな本を教えてもらったのもこのときだった。
それから自分は、成果を先生に評価してもらえるのが嬉しく、国語の勉強ばかりしていた。
それこそ複数の教科を勉強しなければならない期末試験の勉強期間でも、ずっと国語だけ勉強していた。
どうせ他の教科は勉強しても分からないと諦めていた。
だから学期末試験の全教科の合計点はひどいものだった。例によって下から数えた方が早い。
しかしそれよりショックだったのは、あんなに好きでたくさん勉強していた国語の試験ですら、全く点数に反映されなかったことである。
木島先生のおかげで最終的な国語の内申点は下の中くらいだった。
だがそれは前述の通り自分の勉強の過程を木島先生が評価してくださっていたからだ。
過程ではなく結果のみが数値に実力として反映される国語の期末試験の点数は、全く上がらなかった。

625 :名無しだョ!全員集合:2022/11/12(土) 16:15:32.07 ID:???.net
中学のとき、柔道部で、柔道にばかりうつつを抜かして全く勉強ができないクラスメイトがいた。
私語をしたり仮病でさぼったり、授業態度も悪かった。
居眠りばかりしていて、朝寝坊で遅刻することも多かった。
自分は彼を見下していた。
国語の授業で「琴線きんせん」という言葉を「ことせん」と誤読したり
芥川龍之介を知らないと言ったりしていたからだ。
彼はその無知を恥じる様子もなく、よく休み時間に大声で阿呆話ばかりしていた。
自分の中で彼は、文学作品の一つも読んだことない、本当に無知なクズだった。
自分はクラスでも全く目立たない。そればかりかクラスカーストでも下の方である。
しかしその柔道部の彼を見下すことで自分の気持ちを保っていた。
「あいつの方が自分より下だ。あいつより自分のほうがましだ」と自分を慰めていた。
しかし期末試験の国語の点数は、自分より彼のほうがよかった。

626 :名無しだョ!全員集合:2022/11/12(土) 16:16:50.42 ID:???.net
彼が本を読んでいるところなど一度も見たことがない。
対して自分は休み時間にいつも本を読んでいた。
それも、当時流行だった推理小説やSFなんかの娯楽小説は読まずに、三島由紀夫や永井龍夫などの、難解な純文学を読むようにしていた。
無論そのクズと違い、自分はきちんと授業に出席していた。
さぼったことなど一度もない。
そればかりか試験範囲となった教科書はなんども読み込んだ。
他の教科はどうせできない。
しかし国語の一教科だけなら、自分でも平均点くらい取れるだろう。
こんなに読書もしているのだ。せめて国語くらいは人並みに点数を取りたい。そう考えて必死に勉強した。
にも関わらず、そのクズより自分の方が点数が悪かったのである。
しかもそれが中学三年間続いた。
彼が柔道の大会で試験を欠席した時以外、一度も点数で勝つことはできなかった。

627 :名無しだョ!全員集合:2022/11/12(土) 16:18:14.10 ID:???.net
一度は試験の数日前に彼にノートを見せてやったこともあった。
居眠りやさぼりでほとんどノートを取っていなかった彼は、柔道で肥大化した大きな体を丸めて机にかじりつき、
綺麗に書いた自分のノートを汚い字で必死に写していた。
その姿を見て自分は「ああ、こいつは将来肉体労働くらいしかないな」と、内心馬鹿にしていた。
しかしその試験ですら、自分より彼のほうが点数がよかった。
どうして芥川龍之介も知らないクズに、あんなに勉強した国語の試験で全く勝てなかったのか理解不能だった。
自分は中学三年の頃から小説を書き始めた。
つまり多くの人と異なり、読む練習だけでなく、書く練習もしていたのである。
にも関わらず、一度もそのクズに点数で勝つことはできなかったという事実が信じられなかった。

結局彼は、自分より偏差値のいい高校に行った。
進学校ではない。だがそこそこ世間に認められた高校だった。
対して自分は彼が進学したところより下の、誰でも受かるような高校にしか行けなかった。
どちらかというと勉強よりもスポーツ活動の方が盛んな高校だった。

とても悔しかった。

628 :名無しだョ!全員集合:2022/11/12(土) 16:19:26.29 ID:???.net
その悔しさから、高校で再起を誓った。
国語の試験が悪いということは大したことではない。
だから高校入学後にまた勉強すれば、いつか点数は上がってくるだろう。
そうすればいい大学にも入れるはずだ。
幸い自分が行く高校の進学実績は、ほんの僅かだが上位層は四年生大学に受かっている。
それに、そもそも試験の良し悪しと、小説を書く能力にはなんの関係もない。
国語の試験では正否がある。だが文学はなにを書いてもいい。
執筆に正否はないからだ。だから国語の試験が悪くとも、物書きにもなれる。
つまり高校一年からまた勉強すれば、じゅうぶんに挽回可能だろう。
一年からみっちり勉強すれば、馬鹿な高校だしきっとすぐに成績上位を取れる。
そう考えて自分を慰め、気持ちをリセットすることにした。

だが実際は、高校ではいじめられ、大学進学どころかほとんど通わなくなってしまう。

629 :名無しだョ!全員集合:2022/11/20(日) 11:42:05.17 ID:???.net
人に誇れることがなにもない

プライドの高さと同じく、自分でもうんざりしてしまうのが嫉妬心の強さである。
プライドは第4回ネット小説大賞受賞後から生まれた。だが嫉妬の感情は受賞前からあった。
自分は嫉妬しやすい。
ほとんど無差別に、誰でも妬んでいる。
そしてその妬ましさから攻撃的になる。
自分の中で勝手に相手を敵と認定し、距離を作ってしまう。
だからこそ今まで他者と仲良くなることはできなかった。
人によく不愛想やぶっきらぼうと言われてしまうのも、人見知りであること以外に、この嫉妬が原因だろう。
妬ましさをエネルギーに変換できればまだましだろうと思う。
例えば漫画の神様と言われている手塚治虫は、嫉妬の神様でもあったそうだ。
他者が優れた作品を発表すると非常に悔しがったらしい。
そして彼はその悔しさをばねに自分も執筆し、負けないくらいの名作を後世に送り出した。
だが自分の嫉妬心は、手塚のような真っ直ぐな感情ではない。ただの醜い劣等感の裏返しである。
卑屈になり、自己弁護と相手を貶める思考を頭の中で延々繰り返す。
自分の嫉妬はそういうものだ。行動力の源とすることができない。
この感情は特に小説関係で顕著である。
人生をかけて打ち込んでいるが、第4回ネット小説大賞受賞以外なんの成果も出せていないからだろうか。

630 :名無しだョ!全員集合:2022/11/20(日) 11:43:47.46 ID:???.net
事実、自分は何もかも犠牲にして、無数の新人賞に応募して小説を書き続けた。
小説家になろうにも精力的に投稿した。
しかし1次選考すら1度も通らなかった。小説家になろうにおいては最近ではブックマーク100もいかない。
対して、くだらない設定の、陳腐な展開の作品が新人賞を受賞し、コミカライズまでしようとしている。
基本的な日本語もおかしいような作品がなろうのランキングの上位に位置している。
ブックマークも何千と付き、書籍化しようとしている。
そういう事実を目にすると、自分は嫉妬してしまう。そしてその作品と作者を妬み、恨む。
なぜ自分の作品は全く誰からも読まれず、こんなクズみたいな作品が多くの人に読まれ、賞賛されているのか。
そういう思考体系が頭の中に出来上がり、ぐるぐる回っている。
自分の中でこの醜い嫉妬心が消えたことが1度だけある。
第4回ネット小説大賞を受賞したときである。
ネット小説大賞を受賞し、プロ作家となった。
つまり自分は無数にいる作家志望者の頂点に立った。
出版社が金を出して自分の原稿を製本し、それが全国の本屋で売られ、印税を手にできる身分となった。
そのときずっと感じていた嫉妬心が嘘のように消えてしまったのを覚えている。

631 :名無しだョ!全員集合:2022/11/20(日) 11:45:59.04 ID:???.net
比喩ではなく本当に身体が軽くなった気がした。
嫉妬の代わりに創作意欲が溢れ出した。
のみならず読む意欲も出てきた。
それまでほかのなろう小説やライトノベルは、嫉妬から読む気もしなかった。
だがネット小説対象を受賞してから初めて「読んで勉強してみようかな」と、謙虚になることができた。
事実賞金と印税の一部をライトノベルや同業のなろう作家の書籍化作品の購入に当てた。
そして同時にそのとき、自分が誰かれ構わず無差別に、醜い嫉妬心を覚えていた理由もわかった。
第4回ネット小説大賞を受賞するまで、自分は何もない人間だったからだ。
人に胸を張って言えることや、自慢できる点が1つもなかったからである。
なにもない。
だからこそ何かを持っている人間に対して、強い嫉妬心を抱いてしまうのだろう。
この「何かを持っている」というのは、大層なものでなくてもいい。
例えば友達が1人でもいる。
正規雇用されている。
大学に通っている。
そういう些細なことで自分はもう嫉妬してしまう。

全て自分には無いからである。

自分は1人も友達がいない。
1度も正社員になったことがない。
大学には通っていない。
そしてその代わりに人に誇れるものもない。

632 :名無しだョ!全員集合:2022/11/26(土) 15:25:54.70 ID:???.net
第4回ネット小説大賞を受賞し、プロの作家になってから、
自分は「プロの小説家である」「自分の本が本屋に置かれている」という人に誇れる点ができた。
だから嫉妬心が消えたのだろう。
1人も友達がいない、だが文学賞を受賞した。1度も正社員になったことがない、だが紙の本が本屋で売られている。
大学には行っていない、だが印税を得ることができている。
そのとき、代わりにプライドができた。
このエッセイでももう再三言及している「自分はネット小説大賞を受賞し、プロ作家になった。
だから有象無象の連中とは違う」というプライドである。
だが結局銀色のスナイパーは打ち切りになった。
つまり再び自分はなにもない人間になり、再び人に嫉妬するようになってしまった。
しかも1度は成功して落ちぶれた反動から、ネット小説大賞を受賞する前よりもっと強い嫉妬心を抱くようになってしまった。
しかもその嫉妬心に、前述のプライドが加算されたことで、今では受賞前よりも強烈な醜く歪んだ感情になっている。
この感情のせいで日常生活にも支障が出ている。

633 :名無しだョ!全員集合:2022/11/26(土) 15:27:34.06 ID:???.net
例えば、本が読めなくなった。
紙の本を手に取ると、その作者と作品に嫉妬してしまう。
1度は自分も本を出したのに、打ち切りになった。
対してこいつは、こんなくだらない本を出している。そう考えてしまい、まともに読むことができなくなる。
仮に無理やり読もうとしても、難癖を付けて揚げ足をとるような陰湿な読み方しかできない。
昔のように楽しんで読めないのだ。
中学の頃からあれほど好きで楽しかった読書が、今では最も嫌いな行為になってしまっている。
勉強のためと購入したライトノベルは、見るのも嫌になったので押入れの奥深くにしまい込んだ。
結局大量に買い込んでも1、2冊くらいしか読了しなかった。
同じ理由で、前は出かけるたびに通っていた本屋にも全く通っていない。
最近では本屋を見ると嫌な気持ちになる。
新人作家の売り出しなんかを目にすると、その後寝るまで暗い沈んだ気持ちになる。
だから通っていた古本屋や大型書店を迂回して歩くことにしている。
日常生活だけではない。ネット上でも同じだ。
例えばなろうのサイト上部には、書籍化作品や公式ウェブ雑誌の宣伝が掲載されている。
この広告を見ると不愉快になる。
自分も小説家になろうからデビューしたが打ち切りになった。
対して自分より後に受賞した、自分より執筆歴もなろう歴も浅いであろう物書きが書籍化している。
そればかりか連載まで持っている。その事実が、宣伝を通して自分に突きつけられる。それが嫌で嫌でたまらない。

634 :名無しだョ!全員集合:2022/12/04(日) 07:58:34.23 ID:???.net
だから最近は、パソコンの画面の上部にガムテープを貼っている。
ガムテープを貼って小説家になろうを表示したときに、広告が目につかないようにしているのだ。
一時期は宣伝部分を見ないように、手や物で隠してログインするようにしていた。
しかし最近なろうのサイト全体がリニューアルし、宣伝が帯状に大きく表示されるようになってしまった。
その宣伝の帯のすぐ近くにユーザーログインのボタンがあるので、どうしたって目についてしまう。
そして1部分でも宣伝が目に入ると、自分の中で攻撃的な感情が生まれる。
プライドは自分ありきの感情だが、嫉妬は他者ありきの感情である。
だから憎悪に変わってしまうことがある。
嫉妬の対象を攻撃し、貶めることで自分を守ろうとしてしまうのだ。
そのとき自分で自分がとても怖くなる。意図しない形で相手を傷つけてしまうかもしれない。
ネットではなく現実世界の昔の話だが、嫉妬心が憎悪に代わり、トラブルになりそうになった経験が一度だけある。
なんとか気持ちを切り替えて、行動しなければならないと思う。
周りを変えることはできないのだ。他者ではなく自分が変わらなければならない。

635 :名無しだョ!全員集合:2022/12/04(日) 07:59:34.74 ID:???.net
だが、行動できない。
嫉妬心のせいで人を妬むが、プライドのせいで行動できない。
この負の悪循環から抜け出せない。
これが異世界転生小説なら、自分は事故死してファンタジーの世界に行くことができるのだろう。
全く違う環境で最初からやり直すことができる。
そこでは自分が行動しなくとも、可愛いヒロインが現れ、何もせずとも周囲が自分を賞賛する。
なにもかも自分に都合よく話が進む。そういう作品を書いていたのだから、よくわかる。
だが現実では違う。
自分が行動しなければなにも起きない。最初からやり直すことなどできない。
現実ではチートスキルもない。可愛いヒロインもいないのだ。異世界なんて存在しない。
今になって、嫌というほど分からされる。
分かっているが、行動できない。

毎日、本当に苦しい。

636 :名無しだョ!全員集合:2022/12/11(日) 13:17:18.87 ID:???.net
身体が汚く、心も汚い 1

自分は身体が汚い。
幼い頃から気管支喘息を患っていて、アトピー性皮膚炎を併発したからだ。
今も皮膚が爛れたように赤い。乾燥すると剥がれた皮膚の一部が粉のように浮く。とても痒くなる。
四六時中どこかを掻いている。そのせいで人に気持ち悪がられたり、不潔と思われたりしたことは何度もある。
中学の頃は喘息もアトピーも収まっていた。
だが高校になってぶり返した。そして以来ずっと悪いままである。
いじめによるストレスのせいである。
夏になればいじめられたことを思い出す。そして忘れられない。
仕事の手順や勉強はどんなに覚えようとしても覚えられない。
だがいじめに関する記憶はどんなに年数が経っても覚えている。
忘れたいのに忘れられない。
いじめで内向的になったと思う。
いじめのせいで必要以上に卑屈になった。
そしていつも人の顔色を伺うような性格になったのだ。
周囲が自分のことを笑っているような気がしてならない。
そして人と話す時、その人が自分を叱ったり怒鳴ったりしないか心配でたまらなくなる。
堂々としたふるまいができず、おどおどとしてしまう。
だから人と話すのが億劫になり、結果、孤独になる。
そうして人と話す経験が少なくなるため、いい歳をして会話の仕方が分からない。
だから不愛想と言われ、人をイラつかせる。
もともと中学では愛想のいい方だった。頭が悪いのは変わりない。
しかし卒業文集の自分の「いいところ」の欄には、いつも笑顔で明るいと言われていた。

637 :名無しだョ!全員集合:2022/12/11(日) 13:19:28.19 ID:???.net
いわば明るいバカだった。
それが高校でいじめられて、性格が歪んでしまった。
いつもおどおどとし、自分に自信が持てない。
明るいバカから暗いバカになったのだ。
些細な出来事からいじめられはじめた。
高校2年のある時、クラスの集合写真を撮ることがあった。
思い出づくりに卒業アルバムに載せるためだったのだろうか。
その集合写真を撮るときに、年配のカメラマンが自分を見て、
「真ん中より少し端の君、笑ってください」と指摘した。
そのとき存外自分が暗い顔をしていたからだろう。
しかし自分は笑わなかった。
いや、笑えなかった。
なにも言われなければシャッターを切る瞬間に笑えた。
カメラマンに皆の前で名指しで笑うよう言われ、自分は緊張してしまった。
事実そのときに、前にいた何人かが振り返って自分の方を見たのだ。
そのせいで自分は多くのクラスメイトから注目されていると錯覚してしまった。
だから笑うという自然な行為ができなくなってしまったのだ。
自分は硬い感じの無表情で、しかし内心戸惑ってぼうっと立っていた。
それをカメラマンは生意気な高校生が反抗していると思ったのだろう。強い口調で、
「あなたが笑うのをみんな待っているんですから、早く笑ってください」と言って自分を睨みつけた。
自分はそのカメラマンが怖くて、急いで無理に笑顔を作った。
その笑顔を写真で見ると不恰好で滑稽だった。
そしてクラスのお調子者に、それを面白おかしく指摘された。
そこからいじめが始まった。

638 :名無しだョ!全員集合:2022/12/18(日) 19:02:34.84 ID:???.net
いや、まだいじめではなかったのかもしれない。
いじめのような深刻なものではなく、軽いいじりだったかもしれない。
とにかく自分はその集合写真の件で、目を付けられてしまった。
次にあだ名を付けられた。
社会科かなにかの教科書に難民の写真が載っていた。
難民の痩せた身体付き、正気のない瞳が自分に似ていた。
自分も喘息とアトピーのせいで痩せている。肌も黒ずんでいて汚い。
それを見たクラスのお調子者から、自分は「ベトナムの難民」と言われるようになった。
完全にクラスで「いじられキャラ」として定着したのだ。
自分もやり返したり、言い返したりして対抗すればよかった。
だが生来自分は気が弱くそういうことができなかった。
「ベトナムの難民」と囃し立てられると、一緒になってへらへら笑うことしかできなかった。
その場を事なかれ主義的にやり過ごそうとしてしまうのだ。
するといじめっ子には、「こいつはなにをしても怒らない」「やり返してこないぞ」と思わせることになる。
だから一度目をつけられてしまうと、いじりはどんどんエスカレートした。
つまり自分は舐められてしまったのだ。
それでもまだ通学していた。
前述の通り博士になりたいという夢があったからだ。
高校に通っていないと大学進学のための学力は付かない。
(これも前述したが)高校では成績を上げようと誓っていたのだ。

639 :名無しだョ!全員集合:2022/12/18(日) 19:05:10.77 ID:???.net
だが全く成績は上がらなかった。
いじりはエスカレートしていじめに変わった。
そのいじめが辛く、とてもではないが満足に勉強する気にならなかったからだ。
せっかく登校しても先生の話は耳に入らない。休み時間は苦痛でたまらない。
一度は嫌で嫌でたまらなかったので、担任の先生に相談したことがある。
だが先生は力を貸してくれなかった。
というより、自分とは考え方が違う先生だった。
自己解決しろと言われたのだ。
社会に出たらいじめはたくさんある。
人間は3人集まれば2人で誰か1人をいじめようとする生き物だ。
だから学生時代のいじめくらい自分で解決できなければ、社会では生きていけない。
だから自分で解決しなさい。
担任の先生にはそう説教された。
しかし自分で解決はできなかった。
ここでも頭の悪さが災いする。
どう対策していいのか全くわからなかったのだ。
強いて言うなら耐えることだろうか。
いじめに対して何もせず、じっと我慢するのが当時の自分の対策だったのかもしれない。
そういう高校生活だった。
クラスメイトに笑いの種にされ、いじめられ続ける高校生活である。
いじめられるために高校に通っていた。そんな青春時代だった。
だが前述の通り、高校には通わなくなってしまう。
もう耐えられないくらいいじめがひどくなったからだ。
だがどういじめられたかは具体的に書かない。
自分がこのエッセイにいじめの体験を詳解したとして、
その文章を読んだいじめっ子が、学校でそのいじめの方法を真似してほしくないからだ。 

640 :名無しだョ!全員集合:2022/12/25(日) 16:58:03.19 ID:???.net
もちろんそんなことは杞憂だろうと思う。
自分はこのエッセイが一体どの程度読まれているか把握していない。
アクセス解析は、0が並んでいると更新する気がなくなるので見ないようにしている。
また、エゴサーチもしていない。
エゴサーチすると他の書籍化作品や、自分の作品よりも読まれている作品が目に入るので、前述のとおり嫉妬してしまうからだ。
だから正確なことは分からないが、おそらくほとんど読まれていないだろう。(あるいは時々感想が来るので、少しくらいは読まれているのだろうか。)
なによりこのエッセイに書いていることは決して楽しい内容ではない。
それになろう受けするような要素は1つもない。
だからおそらくほとんどの人は、新着情報にこのエッセイが載っていても無視しているに違いない。
だがそれでも、何かの拍子でいじめっ子がエッセイを読むかもしれない。
たまたま小説家になろうを開いたいじめっ子が、新着情報でこのエッセイを見つけてしまうかもしれない。
そうしてそのいじめっ子がクラスでエッセイに記載したいじめをしたらと思うと、どうしても書く気にはならない。
いじめで性格が歪む人は、もう自分以外にいてほしくない。
自分をいじめていた連中は現在どうなったのか分からない。
大部分は追跡不可能になっている。
ただ1人だけ知っている。
というのも最近1度だけ彼を見かけたことがあったからだ。

641 :名無しだョ!全員集合:2022/12/25(日) 16:59:24.11 ID:???.net
彼はNと言った。
ずっと中学の頃から剣道をしているらしい。背は低いが声が大きい。高校でも剣道部だった。
そのNはクラスでも目立たない方だった。
彼も自分と同じようにクラスの上位グループからいじられることがあった。
彼もいじられキャラだったのだ。
しかし彼は自分と違った。
彼はただのいじられキャラではなかった。いじりを躱かわす術を持っていたのだ。
Nがクラスの不良グループや上位グループからいじられはじめる。
するとNは同じいじられキャラである自分のことを引き合いに出すのだ。
そうして一緒になって自分をいじることで、N自身はいじられなくなる。
例えば、Nはときどき顔にできたにきびをいじられることがあった。
そのときNは、自分のアトピー体質を引き合いに出す。
「いやでも、こいつよりましだろ。こんな気持ち悪い、ゾンビみたいな肌より」
Nにそう言われたことを覚えている。
Nが自分のことを話題にすると、Nをいじっていた連中は皆Nではなく自分のことを標的にした。
Nの誘導の仕方がうまかったのだろう。
そのときNもその連中に混ざって自分のことをいじる。
自分を「ベトナムの難民」と誹謗中傷し、アトピーで荒れた肌や、赤点ばかりに成績の悪さを囃し立てる。

そして自分の反応を面白がった。

642 :名無しだョ!全員集合:2022/12/25(日) 17:00:23.33 ID:???.net
Nは自分をいじめ、格下と扱うことで、クラスの中で居場所を確保していたのだろう。
彼にとっては自分のアトピーを笑い、「ベトナムの難民」と馬鹿にすることが、他者とのコミュニケーションの手段の1つだったのだ。
そして同時に、N自身がいじめられないための防衛策でもあったのだろう。
いじりがいじめに変わってもNのそのふるまいは変わらなかった。
それどころか自分が高校に通わなくなるまで続いた。
Nは率先していじめることはしない。
しかし、周囲が自分をいじめるように、その場をうまく誘導する。
新しいいじめの方法をNが考えたことも何度もあった。
そのNが、言うまでもなく嫌で嫌でたまらなかった。
高校の頃は殺したいほど憎んでいた。
どちからというとNは高校の頃、自分と同じような人間だったのだ。
いじられやすく、そして成績も決してよくなかった。
クラスでも日陰者だったくせに、調子に乗って上位グループと一緒に自分をいじめる。
その勘違いさが余計に腹が立った。

そのNに、1度だけ会った。

643 :名無しだョ!全員集合:2023/01/08(日) 20:52:21.41 ID:???.net
体が汚く、心も汚い 2

Nにあったのは、4年前の10月某日の夕刻だった。
なろうに投稿したばかりの銀色のスナイパーが初めて日間ランキングに載っていたときだった。
だからよく覚えている。
そのときブックマークを30と、ポイントを20すこし稼いでいた。
つまり1日で80ポイントくらい稼いでいて、それでランキングの下の方に載っていた
(当時は今と違い、60ポイントと少しで日間ランキングに載ることができた)
自分が住むアパートの近くには中規模なスーパーがある。
Nはそこに買い物に来ていた。
家族連れだった。
Nはもう結婚していたのだ。
自分と同じく老けていた。しかし顔つきは変わっていない。確かにNだった。
少し太っていたが優しそうな垂れ目の奥さんと、10歳くらいのポニーテールの、健康的に日焼けした娘と一緒だった。
N一家は鮮魚コーナーで魚を選んでいた。家族3人で晩の食材でも選んでいるのだろうか。
娘がお菓子コーナーにいこうとしているので、Nはおとなしくしているように注意していた。
だが娘はスーパーの籠を持ってNとNの奥さんの周りをふらふらしていた。
自分は鮮魚コーナーの奥の飲料コーナーにいきたかった。
つまりN一家とすれ違わなければならない。
そのときにNが自分に気づいたらどうしようかと思った。
前述のとおり、自分はNにいじめられていた。Nは自分を下に見ているのだ。
だからまた学生時代のようになにか言われてしまうかもしれない。
「ベトナムの難民」とはやし立てられるかもしれない。

644 :名無しだョ!全員集合:2023/01/08(日) 20:55:36.35 ID:???.net
だからその場ですれ違わず、大きく迂回して反対側に回ろうとした。
ところがである。そのときNの娘が持っていた籠の端が、なんと自分の体に当たってしまった。
そのときNが自分の方を見た。
完全にNと目が合ってしまった。
一気に自分の全身に緊張が走った。
またNになにか言われてしまうかもしれない。
このスーパーの近くに自分が住んでいるところがばれてしまう。
Nが過去に自分をいじめていた連中と連絡をとり、自分の住んでいるところを特定して、
昔のように攻撃してきたらどうしようと心配した。
しかしそれは杞憂きゆうだった。
Nは娘をしかってその手を引いてから、
「すいません」と、自分にあやまった。
そして愛想笑いしてからすれ違った。
見ず知らずの人間に対して自分の子供が粗相そそうしてしまった、という申し訳なさをこめた「すいません」だった。
ああ、気づかれることはなかった。よかったなと自分は思った。
だが、安堵した一方で、引っかかることがあった。
くりかえすが「すいません」と言ったとき、目が合った。
つまりNは確実に自分を見た。
見た上で、初対面の人間として自分に反応した。
Nは自分のことなど完全に忘れているということである。
彼は自分のことを忘れていた。
それはつまり、自分をいじめていた事実も忘れているということだ。
自分はいまだにNにいじめられたことは覚えている。
いつ、どんないじめにあったか細かく思い出すことができる。
自分と同じようにNはクラスでも日陰者のいじられキャラだった。
そのくせなにを勘違いしたのか、ドヤ顔で自分をいじめてくる。
そうして、クラスの上位グループに迎合する。あの陰湿なやりくちを忘れたことはない。

645 :名無しだョ!全員集合:2023/01/21(土) 16:15:56.30 ID:???.net
1日たりとも、Nからされたことを忘れたことはない。
Nを憎まなかったことも、1日もない。Nへの恨みは学生の頃からずっと煮詰めていた。
そして今現在も、日々その憎しみは深まりながら自分の胸中に渦巻いている。
高校を不登校になってからも、それから就職してからも、無職になってからも、今の今まで1日たりとも忘れたことはない。
Nへの憎悪は高校生を見るとよく膨らんだ。
自分もああいう楽しい青春時代を送りたかった。
Nさえいなければ送ることができたかもしれない、Nのせいで俺は……、あいつさえいなければ、と。
彼がいじめを誘導しなければ、不登校にならなかったかもしれない。
そしたら自分も大学に行けただろう。高校に通っていたら彼女と制服デートくらいできたかもしれない。
考えても仕方がない後悔とNへの憎しみの思考が、毎日毎日繰り返される。
学生時代から今まで、1日も欠かさず、である。
自分はそれだけ長い期間ずっとNを恨んでいた。憎しんでいた。
しかし憎悪の対象のNは、そんな自分を忘れていた。
自分のことなど忘れて、幸せな家庭を持っていた。
かわいい娘と優しそうな奥さんと一緒に、晩の献立を選んでいた。

646 :名無しだョ!全員集合:2023/01/21(土) 16:16:58.46 ID:???.net
「独身」といえば自由人的で聞こえがいい。だが「結婚しない」のではない。「結婚できない」のだ。
童貞で一度も女性と付き合ったことがない。
誇張ではなく本当に女性と事務的なこと以外会話した記憶がない。
今はまったく外に出ていないので、その事務的な会話すらない。
仮に会話できたとしても、なにを話せばいいか分からない。
目を見て話すことすらできない。どうしたって小さな声で早口になってしまう。
なにより、アルバイトすらせず家に引きこもっている。
貯金を食いつぶしながら過去を後悔している。
嫌なことを延々思い出す毎日を送っている。
対して自分をいじめていたNは、家庭を持っている。
彼がなんの仕事をしているか分からない。
なんにせよ身なりは悪くなかった。
つまり奥さんと娘を養えるだけの仕事についているということだ。
その家庭もなんの問題もなく幸せそうに見える。平凡な、慎ましい家庭だった。
彼はあのおだやかそうな奥さんとどこで知り合ったのだろう。
今の時代なら恋愛結婚だろう。高校ですでに付き合っていたのだろうか。
それとも大学のキャンパスライフの中で知り合ったのだろうか。
いや、社会人になってともに仕事をがんばっているうちに知り合ったのかもしれない。

647 :名無しだョ!全員集合:2023/01/29(日) 16:15:58.05 ID:???.net
いずれにせよ、まともに人の目も見て話せない童貞の自分とは違う。
だが、自分とNは高校のころは同じだったのだ。
自分とNは、同じクラスカーストの下位だった。Nは下位のくせに自分をいじめていた。
だがそれから長い年月がたち、今では自分とNの人生は天と地の差がある。
自分は高校に通わなくなり、Nへの憎悪をつのらせていた。
ストレスでアトピーと喘息がひどくなった。
気管支の発作に苦しみながら、かさぶたと炎症だらけの身体を掻きむしっていた。
身体中を掻きながら、毎日毎日Nへの憎悪で目をぎらつかせていた。
同じときにNは、今の奥さんと恋愛をしていたかもしれない。
学生時代に知り合ったのなら、相談して同じ講義を履修し、隣同士で出席したかも知れない。
一緒に講義をサボってデートに行ったかもしれない。
夏祭りに浴衣を着て彼女とデートをしたり、クリスマスにお互いプレゼントを交換したかもしれない。

648 :名無しだョ!全員集合:2023/01/29(日) 16:18:14.50 ID:???.net
恋愛経験だけではない。
Nは今まで生きてきて、多くの楽しい思い出を作ったのだろう。
自分が高校を不登校になり引きこもっているとき、彼は大学に進学した。
そこで作った友達と飲み会で夜遅くまで騒いだり、卒業旅行に行ったりしたのだろう。
一生の友達を作り、くだらないことで馬鹿騒ぎしたり、ときには喧嘩もしたのだろう。
彼がそうしているあいだ、自分はNを憎み、誰にも読まれない小説を書き散らすだけでなにもしなかった。
結果、なにもない人間になった。
対してNは同じ時間、着実に社会人の階段を上っていった。
結果、立派に独り立ちして幸せになっている。
その人生経験の中で、彼はいじめられたことなどあるのだろうか。
いや、きっとないのだろう。
明日が来るのが嫌で、何日も徹夜したこともないだろう。
彼は老いても黒々とした豊かな髪を持っていた。
ストレスから髪をむしり、いたるところに10円ハゲができている自分とは大違いである。
髪だけでない。
Nの肌は綺麗だった。
だからいじめが嫌で嫌で身体中を搔きむしり、
精神錯乱してかさぶたや皮膚片を大量に食べてしまい、嘔吐したこともないのだろう。
思いっきり腰を蹴られたせいで腰椎が歪み
気圧の低い曇りの日に歩き方がおかしくなるということもないのだろう。
ペットボトルに何日も放置された排泄物を無理やり飲まされ
そのせいで今でもペットボトルの緑茶が飲めないということもないのだろう。

649 :名無しだョ!全員集合:2023/01/29(日) 16:19:20.29 ID:???.net
なにより、特定の誰かを毎日毎日1日も欠かさず憎んだこともないのだろう。
何十年も恨みを凝り固まらせ、どす黒い怨嗟えんさを胸中に宿し続けていることもないのだろう。
自分が悶々とNを呪っているときも、彼は着実に人生経験を積んでいた。
その結果、伴侶を見つけ、可愛らしい子供まで生まれている。
これからも経験を積み、社会人として成長していくのだろう。
彼はもう高校のころなど、過去の懐かしい思い出でしかないのだ。
自分とNの人生の差はこれからもどんどん開いてゆく。
彼にとって自分をいじめたことなど、その懐かしい思い出の一部でしかないらしい。
忘れられるほど些細なことだったのだ。
だからだろうか。Nに「すいません」と言われたとき、自分の中のNへの憎悪の気持ちは最高潮に達した。
あれほど目の前の人間を憎んだことは一度もない。
冗談でも比喩でもなく、視界が真っ赤になったのを覚えている。
奥さんと子供に恵まれ、幸せな家庭を持っている。
その家庭を養えるだけの職に付いているというのが許せなかった。
自分をいじめたことなどまったく忘れて、社会的に成功している。その成功を認めたくなかった。

650 :名無しだョ!全員集合:2023/02/05(日) 16:45:47.61 ID:???.net
そして自分はそのとき、すれ違ってから振り返って、背中を向けているN一家を睨みつけてしまった。
目の前にいるNに復讐したいと思ってしまったのだ。
自分はいじめられて、卑屈な性格になり、人と目を見て話すこともできなくなってしまった。
そればかりかストレスでハゲ散らかし、アトピーも悪化して全身の肌も汚い。
外見が醜い人間になってしまった。
その復讐をしたいと思ったのだ。
Nさえいなければ、いじめを誘導されることもなかった。
そうしたら中学のまま明るいバカでいられたかもしれない。
もっと違った未来になっていた可能性もあるだろう。
Nのせいで卑屈になった。Nのせいで喘息もアトピーも悪化した。身体も汚くなった。
だがその元凶のNは、もう自分のことなど遥か昔に忘れている。そして幸せな家庭を築いている。
だから復讐したいと思った。
Nにも同じ苦しみを味わわせたい。
そう考えてしまったのだ。だからこそN一家を睨みつけてしまった。
そして今思い出しても自己嫌悪に陥り、恥ずかしいのが、
このときの復讐の対象を「Nだけ」ではなく、「Nの家庭」としてしまったことである。
「自分をいじめたNだけに復讐したい」と思ったのではない。
「自分をいじめたNの幸せを壊してやりたい」と思ってしまった。

651 :名無しだョ!全員集合:2023/02/05(日) 16:46:59.62 ID:???.net
慎ましいNの家庭や、Nが今抱いているであろう幸せな気持ちを、めちゃくちゃにしてやりたいという考えが浮かんだ。
彼が大切にしているものを壊すことが「Nへの復讐」と思ってしまったのだ。
本当に最低な考えだと思う。
いうまでもなく自分をいじめたのはNだけだ。
Nの奥さんと、それからその子どもにはなんの罪もない。
自分が抱いているこの憎悪の、ほんのわずかすら受ける義理もないだろう。
なにより、自分のこの現状は自分のせいなのだ。
ツイッターで本エッセイに関して、「自業自得」という感想があるらしい。
前述のとおり自分はエゴサーチはしていないので知らなかった。読者の方から教えていただいた。
そのとおりだろう。
確かにいじめに関してはNに非がある。
しかしその後の人生の選択は、全て自分が行動したことだ。
不登校後、膨大な時間を無駄にしたのも、仕事をやめたのも、
なんの社会経験も積まなかったのも、全て自分が選んだことである。
ツイッターで「自業自得」と言った人は、そのあたりを見抜いて指摘したのだろう。
まったくそのとおりだと思う。
だからいじめという行為に関してNを恨みこそすれ、Nの現状を憎むのは許されることではない。
だが自分は、憎悪してしまった。
Nの奥さんと子供までも、その歪んだ憎悪の対象としてしまった。
家庭を含めてNの人生をめちゃくちゃにしてやりたいと思った。

652 :名無しだョ!全員集合:2023/02/12(日) 17:03:54.63 ID:???.net
本当にどうしようもない。
当然、当たり前のことだが「思った」だけだ。なにも危害は加えていない。
実行にうつしてはいけない。じゅうぶん分かっている。
日本は法治国家だ。いくら高校で虐められたとはいえ、大人になってその復讐をしてしまえばこちらが罰せられるに決まっている。
睨んだが、結局Nとその家族に気づかれることはなかった。彼らは背中を向けていたからだ。
次の瞬間にはNに復讐してやりたいと思った自分自身が怖くなった。
だから買うものも買わずにすぐそのスーパーを出た。
おそらくNを睨んでいた自分は、ものすごい形相をしていたと思う。
怖い顔ではない。
怒りの表情でもない。
人間の汚い部分が現れた表情だ。
Nの背中を睨んだあの一瞬の自分の顔には、Nの現状への嫉妬と、これまで積み重ねた憎悪のすべてが現れていたはずである。
何十年も、来る日も来る日も積もらせた怨みの念を、一気に両目に宿して睨んだのだ。
きっとこの上なく醜悪しゅうあくな表情だったに違いない。
今述懐しても、なにごともなく離れることができてよかったと思う。
というのも、これは小説のおかげだった。
もっというと自分が小説家になろうで連載していた銀色のスナイパーのおかげである。
冒頭で書いたように、Nと鉢合わせしたとき、なろうに投稿した「銀色のスナイパー」はランキングに載っていた。
Nに憎悪を抱いたとき、まだ連載を開始したばかりの銀色のスナイパーを思い出したのだ。
普段から何事も小説のネタに結びつける癖があるからだろうか。

653 :名無しだョ!全員集合:2023/02/12(日) 17:05:04.61 ID:???.net
ここで自分がNになにか危害を加えたら、もう銀色のスナイパーを連載できなくなってしまうかもしれない。
ちょうどランキングに載っていたので、一番力を入れるべきだった。
なにより多くの人に読まれていたので執筆のモチベーションも高かった。
そんなときにもし問題を起こして、日常生活が面倒なことになってしまうと、
作品の質が下がったり、ひどいときは連載できなくなってしまうかもしれない。
だからこそ思いとどまることができた。
「Nに危害を加えたら、多くの人に期待されている銀スナを書けなくなる」 
その思考で自分はなにごともなくその場を離れることができたのである。
それからかなり年数がたってから、自分は第4回ネット小説大賞を受賞した。
そして商業デビューした。子供の頃から夢だったプロ作家になったのだ。
あれほど憧れた小説家になることができた。
小説家になって初めて、自分はNに復讐しない自信ができた。
なぜなら失うものができたからだ。
もしNに復讐して自分が捕まってしまえば、もう小説を連載できなくなる。
出版社にも迷惑がかかるし、打ち切りになってしまうだろう。
だから恨みこそすれ、復讐なんかもってのほかだ。
あんな奴のことは忘れて、プロ小説家としてこれからがんばっていこう。そう考えていた。
しかしそんな自分の意思とは関係なく銀色のスナイパーは打ち切りになった。
自分は再びなにもない人間になった。
再現なく人を恨み、いじめられたことを述懐して毎日悶々としている。
嫉妬と憎悪と、プライドにまみれた人間に逆戻りしてしまった。

654 :名無しだョ!全員集合:2023/02/19(日) 21:24:31.88 ID:???.net
その事実に自分自身が怖くなる。
学生時代からずっと、特定の人間を1日も欠かさず憎んでいる。
自分でも常軌を逸脱していると思う。
その憎しみは、4年前にNの現状を見てしまったことで、より深くなった。
彼は自分のことなど忘れていた。のみならず、勝ち組になっていた。
その事実が、より憎悪を深くしている。
そして、爆発しそうな怨嗟えんさを抱いた自分には、前述のとおりなにもない。
失いたくない友達も1人もいない。
話を聞いてくれる彼女もいない。
唯一親しかった恩師は死んでしまった。
尊敬できる先輩や、慕ってくれる後輩もいない。
親も事実上いないと言っていいだろう。
小説に関しても、前述のとおり銀スナは打ち切りになった。
再起をかけてなろうに投稿した新作は、ブックマーク50すらいかなかった。今では誰も読んでいない。
次作としては最近の流行である追放ものの小説を書いている。
だがおそらくこれも投稿したところで、日の目を見ず終わる気がしてならない。
本当に、なにもない。
当たり前だ。ずっと人を憎むだけで、他にはなにもしなかったのだから。
そしてなにもない人間の厄介なところは、失うものもなにもないということである。

655 :名無しだョ!全員集合:2023/02/19(日) 21:26:58.43 ID:???.net
自分が本当に怖い。
もちろん、Nへの復讐など絶対に実行してはならない。
どんなにNを憎んでいても、それだけは分かる。
彼が自分をいじめたからといって、今更その復讐をしようなどと考えてはならない。
分かっている。
倫理的にも分かっているし、法的にも自分が間違いなく罰せられることも分かっている。
身体でも理解しているし、心でも、頭の中でも理解している。
これは断言できる。目の前にNがいたとしても、絶対になにも手を出さない。
「理屈では」はっきりと断言できる。
だが、自分の中で膨れ上がった憎悪の気持ちは分かってくれない。
だからこそ、今後またNに出会ってしまったらどうしようかと思う。心配で心配でたまらない。
もはや自分は学生の頃と比べて、身体だけでなく、心も汚くなってしまったらしい。
かさぶたと湿疹と掻きむしった炎症まみれの身体と同じくらい、心も汚い。
そのことを自覚するたびに、本当に自分自身が嫌になる。とても恐ろしい。
幸いなことに、Nに会ったのは、4年前のその1回きりだった。

656 :名無しだョ!全員集合:2023/02/19(日) 21:27:09.93 ID:???.net
以降、彼が今どうしているのか定かではない。
この4年間彼はどう過ごしたのだろうか。
今では出世して管理職にでもなっているかもしれない。
子どもはもう中学生くらいだろうか。
対して自分はなにも変わっていない。
いや、4年前より身体も心も醜く変貌している。
頭は禿げ上がり、身体中の皮膚が荒れている。
努力不足を棚に上げて人に嫉妬し、プライドは歪み、憎悪は汚く肥大化した。
もうこうなってしまったら、Nには幸せになってほしいと思う。
自分が復讐したいと思う気すら起こらないほど、幸せになってほしい。
人生の勝者になってほしい。
そうしてあまりにも開ききった差を見せつけられれば、自分も憎む気もおこらなくなるだろうから。
だから自分は、今ではNのことを応援している。
奇妙な話だ。Nを憎悪しながら、Nの破滅を願いながら、その成功を祈っている。そんな矛盾した感情を抱いている。
どうか、Nには自分が復讐する気が起きないほどの幸福を得てほしい。
人生の勝者になり、社会の頂点に立ってほしい。
もっとも、今このときもNは自分のことなど忘れているし、もはや今後思い出すこともないのだろう。
それでも自分は───かつて彼にいじめられ、身体も心も汚くなった「ベトナムの難民」は、人知れず彼のさらなる飛躍を願っている。

657 :名無しだョ!全員集合:2023/03/05(日) 17:51:52.53 ID:???.net
少しずつ人間ではなくなっていく気がする

まずいことをしてしまった。
精神が安定せず部屋で暴れてしまった。
3日前の話だ。
奇声をあげながら、家中の物をほとんどすべてを壊してしまった。
賃貸にも関わらず床にはおびただしい傷が付き、壁は剥がれ穴が3つも4つも空いてしまっている。
ガラス製のコップや皿も全て投げつけて壊してしまったので、床中にガラスが散乱した。
部屋が大地震の直後のようになってしまったが、片付ける気力もおきない。今もずっと放置している。
ひょっとしたらこのエッセイも更新できなくなってしまうかもしれない。
というのも、部屋で暴れたときにノートパソコンも叩きつけて壊してしまったからだ。
冷静になった今とても後悔している。

書き溜めていた小説はバックアップをとっていたからよかった。しかしエッセイの方は全くバックアップをとっていなかった。
本来今回5000字くらい更新する予定だった。もちろん内容もこんな話ではない。自分の女性遍歴について話す内容だった。
だがパソコンとともにそのデータは壊れてしまった。この更新分は内容を大幅に変更して、スマホから打ち込んでいる。
なんとかしてパソコンを手に入れなければならない。
しかしパソコンを手に入れたとしても、また暴れて壊してしまうかもしれない。
そうなると小説どころかエッセイの更新すらままならなくなってしまう。
だからこの次に、少々予定を変更して「このエッセイを記そうと思ったきっかけ」書こうと思う。
というのも、この話は自分の中では重要であり、どうしても書き記しておきたいからだ。
本来はこれはもう少し後に載せるつもりだった。
しかしこのままでは書けずに終わってしまうかもしれない。
だから少々構成を変更してでも、書けるうちに書いておくことにする。

というのも、今自分はずっと死ぬことを考えている。
以前このサイトでよく感想をくださる読者の方から自殺の心配をされたことがあった。
そのときは絶対にないと返信した。
しかし今ではその自信がない。

658 :名無しだョ!全員集合:2023/03/05(日) 17:53:52.30 ID:???.net
無論、死ぬつもりはない。
自殺はいけないことだ。だから絶対にしないだろう。
そう断言できる。絶対に自殺なんてしない。
だが最近こうも思う。
死んだ方が楽ではないか。生きていても楽しいことがなにもない。
だからいっそのこと死んでしまいたい。
安楽死があったらどんなにいいだろう。
そんなことをいつも考えてしまう。
ふっと魔が差して身投げでもしてしまったらどうしようかと思う。
また、感想をくださっている読者の方は大変申し訳ないが、今自分は感想やメッセージを一切見ないようにしている。
応援してくれている感想ならとてもありがたいし、勇気付けられる。
しかしそうでない感想、例えば罵倒や誹謗中傷のコメントが来ていた場合など、
さらに精神が悪化してしまうかもしれないからだ。
少し前ならスルーできていた。今ではその余裕がない。
誹謗中傷の感想を見たら気が狂いそうになる。だから感想は見ないようにしている。
精神に余裕ができたらなんとか返信したいと思う。
そういう狂った精神状態になっている。
自分はこれまでの人生で癇癪をおこして物を壊したことなどいちどもなかった。
心も身体も醜いとはいえ、一応穏やかな人間であったのだ。物に当たったことなんかない。
そんな自分が狂ったように大声を出して、めちゃくちゃに壁に穴を開けて私物をすべて破壊した。

本当に自分なのだろうかと思ってしまう。
自分が自分でなくなるような気がしてならない。
なにより、最近目つきが鋭くなってきたようにも思える。
アトピーのせいで自分は痩せている。
最近はストレスで喘息やアトピーも悪化しているので、顔色も悪く生気がない。
しかし目だけが異様に鋭く、ぎらぎら光っているような気がする。そう思って見るからだろうか。

自分が怖い。
今の自分は本当に人間なのだろうか。
外側だけ人間に見えるだけで、内面は人間ではない凶暴な生き物が、少しずつ侵食しているのではないか。
やがて自分はまったく人間ではない、人の形をした人ではない生き物になってしまうような気がする。

自分自身がほんとうに恐ろしい。

659 :名無しだョ!全員集合:2023/09/22(金) 23:32:16.39 ID:???.net
ホンマにそないなんかいいかんじやったらしいで

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