歌が好きだった彼女の話
- 1 :ひよこ名無しさん:2015/04/02(木) 23:43:49.80 ID:O3Oey2OtL
- 俺がこれから話すのは彼女の話。
まぁ、元はと言えば幼馴染みに近いんだけど。
どうしてもあったこと全部を話したいから長くなるかもしれないけれど聞いて欲しい。
正直最初の方は彼女の人柄を説明するための過去のものでつまらない部分もあると思う。
そしてうまくかける自信もない
あまり必要ない部分は省略するように心がける。
- 2 :ひよこ名無しさん:2015/04/02(木) 23:47:05.32 ID:O3Oey2OtL
- まず彼女のスペック
おとなしそうな顔だが、近くで見ると結構美人。色が白くて昔からスタイルも良かった。
俺は少し身長が高かったくらいで普通だったと思う。
- 3 :ひよこ名無しさん:2015/04/02(木) 23:49:00.73 ID:O3Oey2OtL
- 彼女と出会ったのは小学校に入学したとき。うちの小学校はすごく田舎で俺たち一年生は12人。男子は4人女子は8人だった。ひとクラスしかなかった。
彼女は明るくてとても目立った。
彼女は家の事情で近くの幼稚園に一年かよい、その後に保育園に変わり、二年通ったという。
そのため俺ともう一人の女の子以外は友達だった。
明るく友達思いな性格からか、みんなに慕われていた。彼女はすこし運動が苦手なくらいでほかは器用にこなした。特に勉強は飛び抜けてできたし、図工の時間は彼女の発想を真似する女の子ばっかりだった。
芸術面もたけていたと思う。
真似をされても彼女は何も言わず笑っていた。むしろ上手く出来ないという友達に丁寧に教えていた。
- 4 :ひよこ名無しさん:2015/04/02(木) 23:52:58.53 ID:O3Oey2OtL
- 2年になったときに女の子が一人転校して俺らのクラスは11人。
二年になってから頻繁に彼女と遊ぶようになった。
と言っても実は俺と仲が良かった男子、こいつは本名の一部をとって渚ということに。
渚は彼女と幼稚園が一緒だった。
当時ゲームキューブでスマブラやちびロボなんかが流行った頃だった。
他の女の子があまり持ってなかったゲームを彼女は男子と変わらないくらいに持ってた。
俺の家は厳しくて買ってもらえなかったけど。
そんなこんなで渚をきっかけによく話したりするようになった。
だんだん彼女のやんちゃな性格も見えてきた。
渚やほかの男子が彼女を冗談でからかうと彼女は上履き片手に追いかけ回したりして。
ちょっとそんな部分もあったが彼女は人気だった。どこか、ほかの女の子とは違うとこがあった。
- 5 :ひよこ名無しさん:2015/04/02(木) 23:55:10.63 ID:O3Oey2OtL
- 3年になり、俺は彼女が好きなんだと気づいた。今思うとませてたんだなと思う。
3年生の最後の方で何故か恋バナがはやった。多感な年頃だったのだろうか。
俺は渚に彼女が好きだと打ち明けられた。
俺は何か言うことなんてできなくて、俺の好きな人を聞かれたときは好きな人はいないけど気になる人はいると誤魔化した。
でもその当時四人しかいなかった男子がみんな彼女を好きだったから彼女には特別な魅力があったんだと思う。
結局公園で遊んだ帰り道、俺と彼女と渚の三人で歩いてた。彼女が渚の好きな人をしつこく聞いていて、渚が「俺が言ったらお前も言えよ」っていう条件で告白した。
その告白を聞くなり、彼女は驚き真っ赤になって「わ、…わたしも」と言った。
そして運動が苦手な彼女がありえないくらいの早さで走って逃げてったことを覚えている。
その後、両想いだからといって何かあったわけでもなかった。小学生だったしな。
- 6 :ひよこ名無しさん:2015/04/03(金) 00:00:23.39 ID:tolcOroKx
- 四年生の後半、彼女が一人でいることが増えた。
休み時間に外に出て、みんなで鬼ごっこやらしていても途中で抜けることが多かった。
女の子にも人気だった彼女、俺は何かあると思った。
そんなある日、俺は一人の女子と彼女の会話をたまたま聞いてしまう。
「ごめんね、桜ちゃんは私を助けてくれたけど、私には何もできないから…」
「気にしないで、私が勝手にしたことだよ」
彼女が女の子に優しく言葉をかけたら女の子は走っていった。
彼女が女の子に何を助けてあげたのかとかよくわからなかった。ただ、走っていく女の子の背を見つめる彼女は悲しそうだった。
俺と彼女はたまたまクラスの代表にされ、学校行事の話し合いとかでほかの子たちより遅く学校を出ることも多々あった。
話し合いが終わり帰ろうとしたら、彼女は呆然と靴箱の前にたっていた。
「どうしたんだよ」
「靴がない。」
彼女の靴箱には靴がなかった。彼女がいじめられているとその時初めて知った。
彼女は小さくため息をついて靴下のまま帰ろうとした。
流石にそれはまずいと思って引き止め、靴を探した。案外すぐ見つかった。
「ありがとう…」
彼女は少し困った顔でそういった。
何をいおうか迷っていたら彼女が
「もう、私に関わらない方がいいよ、凌くんが嫌な思いするだけだから。」
「他にも何かされたのか」
「そんなひどいことされてないよ。仲間はずれにされたり…鬼ごっこのとき私ばっかり狙ってくるとか…あとはこんな感じでもの隠されたり…あと教科書に落書きされたこととか…」
俺は彼女に心当たりはあるかと聞いた。
彼女はまた困った顔をした。少しして重い口を開いた。別の子がいじめられていたのをみて放っておけなかった彼女がその子の味方をしたら次のターゲットにされたらしい。
彼女は名前を言わなかったけど俺はそれが誰かなんてすぐにわかった。
誰にも言わないで欲しいと口止めされたので渚にすら俺は言わなかった。
つぎの日彼女が教科書を読むようにと当てられたとき彼女は字が読めないほど暴言を書かれた教科書を見るふりをしながら読み上げた。彼女の親は厳しく、毎日宿題の音読を20回はさせられていたので覚えていると言う話を前に聞いた。
完璧に読み上げる彼女は堂々としてとてもかっこよく見えた。
- 7 :ひよこ名無しさん:2015/04/03(金) 00:03:52.32 ID:tolcOroKx
- 結局そのいじめは5年生になったときに主犯の子の仲いい子が転校してなくなった。クラスは10人になった。みんなが今までのことがなかったように彼女に話しかけるのが無性にイラついたことを覚えている。
6年生になり、多分俺はまだ彼女が好きだった。彼女が俺のことを好きだという話を耳にしたが嘘だと決めつけて気にしなかった。
夏休みの一週間ほど前の土曜日、電話が母にかかってきた。彼女が家出して居なくなったという電話だった時刻は午後七時半。
地域の大騒ぎになった。11時近くになって彼女はひょっこり現れた。
彼女の母親が大泣きしながら名前を読んで抱きしめた。
彼女はどこか遠いところを見ていて何も言わなかった。その日を境に彼女が少し変わったのを覚えている。言葉で言い表すことはできないけれど。
- 8 :ひよこ名無しさん:2015/04/03(金) 00:06:23.05 ID:tolcOroKx
- 中学生になった。
小学校のとなりに中学があり、10人全員がそこに通った。ほかの小学校からくる奴らもいたから人数は増えて36人だった。やっぱりひとクラスしかなかった。
彼女は美術部にはいり、俺は野球部に入った。中学になって話すことも少なくなったが彼女が女子のほとんどによく思われてないことを人伝いに聞いた。渚はテニス部にはいり、渚ともあまりはなさなくなった。
中学二年生。
彼女は何人かの男子に恐れられていたことを覚えている。
掃除をサボる男子を一蹴したらしい。
華奢な身体に似合わず彼女はケンカが強かった。本気で睨まれたら迫力もあってすごく怖い。
- 9 :ひよこ名無しさん:2015/04/03(金) 00:12:05.03 ID:tolcOroKx
- そんなこともありつつ、俺は一年ぶりくらいに彼女と話すことになる。
彼女と同じ美術部に入った同じ小学校の男子、高樹がカラオケに行こうと言い出した。メンバーは彼女と同じ美術部で仲のいい女の子、成美と高樹と俺。
まあいいや、と思って行った。
ほか二人に乗せられ、彼女と二人で歌わされたりした。
歌ってる途中で彼女が二人に向かって靴を投げたことが印象的だった靴は二人をそれて壁にバンッと音を立ててぶつかった。
そりゃ、わざとそらしたんだろうけど。
後できいた話だと二人が俺らの事をお似合いだのなんだのはやしたてていたらしい。
俺はあんまり気にしないやつだったからどうでも良かったのだけれど。
彼女は自分が噂にされるのをひどく嫌った。
それもその筈、彼女のいろんなありもしない噂が校内を飛び交い、先輩にまで目をつけられていたのを俺は聞いていた。
彼女がまたいじめられていることも俺はまた知ることになる。
今度は仲いいこもいるし、一人ではなかったが、だんだんエスカレートして行った。
- 10 :ひよこ名無しさん:2015/04/03(金) 00:17:03.05 ID:tolcOroKx
- カラオケの日を堺に俺はまた彼女と話すようになった。
彼女の靴がなくなっては何人かで探したり。
片方の靴しか見つからない日があった。
彼女はもういいよ、っていっていたけどどうしても見つけてあげたかった。
「何やってんだよ」
そう声をかけられた。
渚だった。
渚はみんなを見渡すと靴を彼女の前に突き出した。
「ほら、これだろ?探してたの。」
彼女は少し戸惑ってありがとうと言った。
彼女も渚と話すのは久しぶりだったはずだ。
それをきっかけに渚ともまた話すようになった。しばらくして渚が俺に急に聞いてきた。
「なぁ…お前さ、桜のこと好きだろ。俺が告白した時も…」
俺は何も言わなかった。
「告白しろよ、そんで……」
渚はなにかいいかけていうのをやめた。
俺もなぜだか追求はしなかった。
告白する気はなかった。全くなかった。
なんとなく、この気持ちを伝えたらすべてが終わってしまう気がして。
- 11 :ひよこ名無しさん:2015/04/03(金) 00:21:32.25 ID:tolcOroKx
- 夏休みになった。
俺はその日はなかなか寝られなくて夜中にこっそりと外に出た。
なんとなく外を歩きたくなったのだ。
しばらく歩くと海まで来ていた。
海を沿って浜辺を歩いた。
彼女の家が近くにあったことを思い出した。
彼女の家の前は海だから、このまままっすぐ行けば家が見える。
足を止めた。なんかそんなことを思い出してこのまま進むのは不純な気がして。
でもだからといって引き返すのもおかしいと思い、そのまま進んだ。
ふと視界に白い人影が入った。
月明かりでだいぶ明るいが少し目が悪い為、良く見えない。白いワンピースをきた人。
最初は幽霊かと思った。だが違った。
俺はその人影を少し見つけて気がついた、彼女だと。
顔もろくに見えなかったのに俺は何故か知らないが彼女だと確信した。彼女はこちらには気づいておらず、海の方を向いていた。
恐る恐る近づいた。
彼女はたぶん、日本語じゃない歌を切なそうに呟くように口ずさみながら海に向かってまっすぐ歩いた。
裸足で砂浜を一歩、一歩と海に近づいた。彼女の足が波にたどりつき、水音をあげた。彼女はそれをお構いなしにそのまま水の中へ入っていこうとした。
俺は何もわからないまま呆然と見ていたが、腰のしたあたりまで水に入った彼女をみて我にかえり、流石にやばいと思って走って彼女に駆け寄った。濡れるのなんか全く気にせずに水に入って彼女の腕を引っ張った。
彼女は驚き抵抗したが、勝てないとわかるとあきらめて俺に引っ張られるようにして浜辺に上がった。俺は本当に焦っていた。迷いもなく海を進む彼女を見て心臓が止まりそうだった。
- 12 :ひよこ名無しさん:2015/04/03(金) 00:24:27.37 ID:tolcOroKx
- 浜辺にあがってしばらく沈黙がつづいた。
俺は戸惑いながらも彼女に問いかけた
「なに…しようとしたんだよ…」
彼女は暗い顔をした。
「…死のうと思ったの。」
そう小さな声で呟いた。
「なんで…」
掴んだままだった彼女の腕。手首のあたりが目に入った。手の甲の下の方に小さく並んだ傷が見えた。その傷は死のうとしたというよりも単に自分を傷つけたもののようだった。
「理解できないでしょ…。こういうことするの。もう癖になって治らない。馬鹿みたいだよね。……もう全部やめたかったの。」
何が彼女をそこまでそうさせるのか分からなかった。いじめはひどいものもあったが、彼女はそんなことでは屈していなかったし、周りに支えてくれる人も何人もいた。
きっと理由はほかにあると俺は感じとった。
- 13 :ひよこ名無しさん:2015/04/03(金) 00:31:46.71 ID:tolcOroKx
- 「もう、嫌なんだ…家…は辛い。」
彼女は泣き出した。
彼女が泣いたところなんて初めてみた。
いつも強気だった彼女、いつもみんなの前では明るかった彼女…。
急に胸が痛くなった気がした。
俺は思わず彼女を抱きしめた。
彼女は俺の服をぎゅっと掴んでしばらく泣き続けた。
あれからどれくらいたったのかわからないけどやっと泣きやんだ彼女を浜辺の階段に座らせ、俺も隣に座った。
「ごめ…んね。凌くんには迷惑かけてばっかりだね。」
「迷惑とか思ってない、俺が勝手にしてるだけだから。」
自分が勝手にしたこと。
彼女が昔言ってた言葉だった。
彼女は悲しそうに微笑んだ。
「私…家が嫌いなんだ。お母さんも…お父さんも…姉も…妹も嫌い…。それにお母さんもお父さんも私のこと嫌いだから…居場所なんてないんだ……」
そういったあとに彼女は小さく「どうせ代わりだし」と呟いたが、その意味はわからなかった。
「…家にいるのは…辛いから……」
あまり詳しくは話さなかったけどきっと何か辛いものをたくさん抱えているんだろうと俺は思った。
彼女はまたごめんねと言って、無理やり笑ってみせた。
また、胸がいたくなる。
「やめろよ…無理に笑うなよ。作らなくていいから…本当の自分で居ろよ…作られると、辛い。」
たどたどしく言葉を繋いだ。
「凌くん…?」
彼女にとっては思いも寄らないことだったのだろう。戸惑いながら俺に問う。
俺はずって言わないはずだった言葉を思わず言ってしまった。
「…お前が好きなんだ…だから……」
彼女は驚いていて、俺も言わないと思っていたことを口走って動揺し、それ以上の言葉を繋げなかった。
「…う、嘘だー…そんなこと…」
そう言う彼女に俺はやけになった。
「嘘じゃない!…本当。ずっと好きだった。」
そう言うと彼女はまた泣き出した。
そんな彼女を支えてやりたいと思った。
- 14 :ひよこ名無しさん:2015/04/03(金) 00:35:25.95 ID:tolcOroKx
- 迷惑かけるかもとか色々言う彼女にそれでもいいから、と言い付き合うことになった。
付き合えると思ってなかったからそれなりに嬉しかったけど不安でいっぱいだった。
彼女はたまに、俺には辛いときには少しずつ話をしてくれるようになった。
彼女を上手く支えてあげれるかはわからないけどどうにかしてあげたいと思い、精一杯に尽くした。
一年付き合ってやっと彼女は自分の事を詳しく話してくれた。
あの家が本当の家族ではないこと。
それを小学6年の家でした日にたまたまであった親戚に聞いたこと。
もともと家出した理由は母親と喧嘩して、出ていけと言われていたこと。
実は自分は母親の双子の姉の子供であること。
その姉は彼女を産んで間もなく死んだこと、父親はそれより前に死んでいたこと。
今の家の母親が流産してしまいその子供の代わりとして引き取られたこと。
だから頻繁に酷い扱いをされること…。
死にたいと思うほど辛かったわけがわかった。
無償の愛を受けられない気持ちはどんなものだろうか。
- 15 :ひよこ名無しさん:2015/04/03(金) 00:38:02.67 ID:tolcOroKx
- どんなに辛いものなのかはわからない、けれど確実に彼女を苦しめていることはわかっていた。彼女はストレスで心も体もボロボロだった。ストレス性の病気などになり、苦しんだ。
母親は家事をほとんど彼女に押し付けた。そして自分が気に入らなければ、モノを投げつけたり本で叩いたり殴ったりすることもあるらしい。
「今はもうだいぶなれたけど」と苦笑気味に話す彼女。
俺は彼女を黙って引き寄せた。
この先何があるかわからなかったけど絶対俺が幸せにしてあげようと思った。そう強く思った。その時はいつかそれが叶うって信じてた。
- 16 :ひよこ名無しさん:2015/04/03(金) 00:41:53.17 ID:tolcOroKx
- 俺と彼女は同じ高校に進学を決めた。
無事に二人とも合格した。
一緒に通ったりもした。
休みの日は一緒に出かけりもした。
彼女は歌が好きだった。高い声も低い声も出せる彼女は本当に歌がうまかった。とても才能があったと思う。
絵も上手くて好きな漫画のキャラクターをよくかいたりもしてた。
あとは小説を書くのが好きだった。何度か読んだことあるが引き込まれるものばかりだった。
毎日それなりに楽しく過ごしてた。一緒に勉強したり、帰り道に寄り道したり…
彼女が辛い時は会いに行って話を聞いたり。
彼女は家を出るために県外に進学すると言い出した。もちろん、俺もそうするつもりだった。
遠距離でもやっていけないことはないと思うが、いろいろ不安だったからだ。
問題が解決したわけではないけど、とりあえずは大丈夫だと思っていた。このまま普通に過ごして行けるものだと思ってた。
- 17 :ひよこ名無しさん:2015/04/03(金) 00:45:26.18 ID:tolcOroKx
- いつもみたいにカラオケに行ったとき、彼女は咳払いばかりしていた。
風邪でも引いたのかと聞いたら違うという。
普通にしているだけなのに声が枯れてしまうのだと言っていた。
5時間歌っても潰れない喉が何もしてもないのにこんなふうになるとは思えなかったが、彼女が大丈夫と言ったのでそう思っていた。
それから彼女は異変をうったえることが喉に異物感があるとか言い出した。
飲み物を飲む時などむせることも多くなった。
病院に行った方がいいと言ったのだが、両親は相変わらずで連れていってくれないのだという。
熱が39度あっても部屋に隔離して放置するような親だ、連れていってくれるわけがない。
病院に行こう、そう言った。彼女は嫌がった。酷くなる症状に俺は無理矢理にでも彼女を病院に連れていこうと思った。
そう思っていたのだが…
- 18 :ひよこ名無しさん:2015/04/03(金) 00:49:44.80 ID:tolcOroKx
- ある日家に帰ったら家が静まり返っていた。
うちはもともと母と父、そして兄二人と俺という5人暮らしだったが、兄二人は県外の大学に進学したためいない。
だから静かでも別におかしくはないんだが、でも異常な空気が漂っていた。
時刻は午後8時前だった。
リビングは明かりがついていた。
リビングな行くと父と母が黙って座っていた。
俺に気づくなり、二人が座るように促した。しばらく沈黙が続いた後、父親が重たい口を開いた。
「…旬が……事故にあって死んだそうだ。」
一瞬頭が真っ白になった。旬は一番上の兄貴だった。
「これから行かなきゃならない。急いで準備しなさい。」
そう言われてとりあえずは立ち上がった。階段を上がり、自分の部屋に行くがまだ頭が追いついていない。
とりあえず駅まで行き、新幹線に三人で乗り込んだ。外はもう暗くて新幹線の中に乗っている人も少なかった。頭が回らなくて外をずっと見ていた。二時間かけて病院についた。もう一人の兄はもう病院に先についていた。
霊安室に案内され、中に入るとそこには白い布を被されせられた死体。顔の布を父親が恐る恐るめくった。変わり果てた兄貴の姿があった。
すごくショックを受けた。別に兄貴のことが特別好きだったわけでもない。普通に家族だった。人が死ぬ怖さを俺はここで知った。
- 19 :ひよこ名無しさん:2015/04/03(金) 00:53:31.91 ID:tolcOroKx
- 通夜やら葬式やらを見知らぬ土地で行った。とりあえず忙しかった。ずっと出なかった涙。でも、兄貴の死体が火葬されるとき、俺はそこで初めて泣いた。
そこから何日か家にこもっていた。学校に行くのも億劫だった。
その数日は何も考えられなくて彼女のこともすっかり忘れていた。
一週間近く学校を休んだ。流石に行かないとまずくなってきてそろそろ行かなきゃ、と思っていた。その日の夜、父親が俺を呼んだ。
「転勤することになった。」
そう俺に告げた。
転勤先はもう一人の兄がいる県だった。ここから新幹線で1時間半程の場所。
何かあったらすぐに行くことができない。今回でそれを思い知ったらしく、転勤してまた、兄と一緒に暮らすといい始めた。兄も母もそれでいいと言ったそうだ。
久しぶりに彼女のことが頭をよぎった。
俺はまだ高校生で権限なんてなかった。俺にはただの報告だけ。そんなのわかってた。有無をいわせない、そんな雰囲気だった。
でも俺はここを離れたくなかった。
離れたくないと、これは全部夢だと思いこもうとした。
どんなに逃げても、結局は頷かざるを得なかつた。
- 20 :ひよこ名無しさん:2015/04/03(金) 00:56:59.29 ID:tolcOroKx
- 久しぶりに携帯の電源を入れた。
彼女からは心配のメールが来ていた。
いろいろ話したけれど引っ越すことは言えなかった。
少しして彼女と直接あった。
彼女の家の前の浜辺を歩いた。少し見てないあいだに彼女は少し痩せていたようだった。関係ない話をたくさんしたあと別れ際に引っ越しの話をした。
彼女は「そっか…」とだけ言った。
少しして俺の顔を見て微笑んだ。
「そんな悲しそうな顔しないでよ。別に会えなくなるわけじゃないんだから。」
俺は一体どんな顔をしていたんだろうか。
自分ではそんなつもりなかったのに。
彼女は俺の手を引き、家の前まで連れていくと俺を待たせた。
戻ってきた彼女の手には白いレジ袋。
それを俺に手渡した。
中には鉢植えが入ってた。
「これは…?」
「アザレアっていう花だよ。これ、持って行って。」
彼女が花を渡してくれた意味はよくわからなかった。けど、彼女がくれたものだからと持っていくことにした。
別に花は嫌いじゃない。
- 21 :ひよこ名無しさん:2015/04/03(金) 01:01:41.15 ID:tolcOroKx
- 引越し当日、彼女は微笑んで送り出してくれた。また会いにいくとか、メールもするし、電話もするからって何度も言った。最後は彼女もちょっと呆れたように笑いながら「あー、はいはい」とか言ってた。
本当の事いうと俺の方がちょっと泣きそうだった。
引っ越して、最初の方こそ何度も会いに行った。けれど、だんだん会えなくなっていった。
「ごめんね、テスト近いから」
「ごめん、今の家が結構やばくて」
とか理由を重ねられた。
本当にそういうこともあるとは思うけど何故か疑ってしまっていた。
それでも電話には出てくれていたのに電話にすら出てくれなくなった。
メールも返す頻度が遅くなっていった。
いろんな考えが頭をよぎる。
- 22 :ひよこ名無しさん:2015/04/03(金) 01:07:01.23 ID:tolcOroKx
- そんな時、渚から連絡が来た。
内容は久しぶりに会わないか、というものだった。
俺はすごく久しぶりに地元に行った。
渚は「久しぶり」と俺に言った。
二人で会うのはもっと久しぶりだった。
渚が珍しく話がしたいとか言うから。うちの方へは行かず、駅の周りでお茶をした。
出されたコーヒーの湯気を見つめたまま渚はゆっくりと口を開いた。
「桜とは…連絡とってるか?」
「たまに…返って来ないことが最近は多い。まぁ、忙しいんだろうけど。」
そういうと「やっぱりそうか…」とつぶやいた。
「凌に…言おうかどうかすげー迷ったよ。でも…やっぱり良くないと思って。」
渚は良く分からないことを言い出した。俺は何が??と聞いた。渚は思ってもいないことを口に出した。
- 23 :ひよこ名無しさん:2015/04/03(金) 01:11:09.10 ID:tolcOroKx
- 「桜、入院してる。」
その時、言葉をうまく理解できなかった。
何も言えない俺を見て渚はさらに続けた。
「ずっと何ヶ月も…入院してる。……俺が直接聞いたわけでもないし、会いに行ったわけでもないから…わからないけど…もう長くないって高樹の母さんとうちの母さんが話してるの聞いた…」
次々言われても追いつけない。最初の言葉を飲み込めないまま、次々と事実を突きつけられる。
渚は一枚の折りたたまれた紙をだした。
「ここ、この病院のこの部屋だってさ。高樹が聞いてくれた。…お前は絶対会っておくべきだと思って。」
俺はその紙を呆然と見つめた。
意味がわからない。
わからない。
渚は一体何を言ってるんだ?
「凌?」
渚が俺に呼びかける。
「凌…しっかりしろよ。どんなに受け止め難くても、本当の事だ。」
そう言われると色々後悔が押し寄せてきた。もしあの時病院に無理矢理にでも連れていってたら助かったんだろうか。元気で笑ってくれたんだろうか。
なんでこんなに彼女ばっかり。
なんでこんなに不幸にならなきゃならない。
「まだ……」
「…え」
「まだ…これからなのに……あいつの未来は…これからなのに……おかしいだろ…これから幸せになるんじゃねえのかよ…」
まだ二十歳にすらなってないのに。
辛いことばっかりだったからこれを乗り越えたら彼女には明るい未来が待ってると思ってたのに。
俺が幸せにしてやるって思ってたのに。
- 24 :ひよこ名無しさん:2015/04/03(金) 01:17:32.39 ID:tolcOroKx
- その日は親戚の家に泊まった。
あのあと渚にいろいろ言われた気がするが覚えていない。
布団に入ってもずっと「なんで」とか「ありえない」とか「理不尽」とかそんな言葉が頭を回るばかりだった。
ろくに寝れないまま、朝が来た。
正直、行きたくなかった。けど行かないわけにはいかない。
俺は渚の渡してくれた紙を片手に電車に乗った。
病院に着くと急に足がすくんだ。一度深呼吸をして中へと入る。彼女の病室を探した。
紙に書いてある番号の部屋の前にたどり着く。そこには確かに彼女の名前があった。個室だった。
扉を開けようとした手が震えた。
気がついたら浅い呼吸を繰り返してた。
深く大きな深呼吸をした。
意を決して扉を開けた。
こうして面と向かうのはいつぶりだろうか。
彼女はものすごく驚いた顔をした。
だけどその後すぐ悲しそうな顔で微笑んだ。
彼女はそこにあったノートに「ごめん」と書いた。それが何に対してなのかはわからないかったが、その行動で彼女は声が出ないという現実を突きつけられた。
「…何が」
その時の俺の態度はひどいものだったと思う。
彼女は悲しげな顔で「何も言わなくてごめん。」と書いた。
「…謝るくらいならちゃんと言えよ。なんで言ってくれねーんだよ…!俺がどんな気持ちかなんてわかんねーんだろうな!!」
そう言って俺は病室を飛び出した。完全に八つ当たりだった。
自分が言ったことも意味わからないし、何がしたかったのかわからない。何も出来ない自分に腹が立っていて、彼女に当たってしまった。
最低だ。
俺は本当に最低だ。
わかってた。逆に彼女の気持ちを俺は微塵も知らない。誰にも言わずに一人で病と闘ってきた彼女はどんな気持ちだったのだろう。
ものすごく心細かったに違いない。心配かけまいと言わなった彼女に俺は本当に酷いことをした。
- 25 :ひよこ名無しさん:2015/04/03(金) 01:23:19.00 ID:tolcOroKx
- 合わせる顔がなかった。
戻ることができなかった。
病室の前まではなんとか戻ってきたものの情けなくて。自分が嫌で。
ひたすら扉とにらめっこをしていた。
「入んねーの?」
そう声をかけてきたのは彼女のいとこの颯だった。弟の葵も一緒だった。
二人は彼女の本当の父親の兄の息子
颯さん→23歳 葵さん→20歳
二人は家庭事情もわかっていて彼女の様子をよく見に来ていたので何度かあったことかある。
「いや…ちょっと…」
察しがいい葵さんが颯さんに言った。
「兄さんは先に入ってて。俺は凌くんと話してから行くから。」
「お?そーか?じゃあ後でな」
あっさりと颯さんは中に入っていった。
葵さんは俺に笑いかけて
「ちょっとお茶でもしようか?」
そう言った。
この病院は大きな病院のため、施設が充実している。
- 26 :ひよこ名無しさん:2015/05/09(土) 18:59:25.44 ID:DcePoYWpc
- 続きキボンぬ
- 27 :ひよこ名無しさん:2015/05/25(月) 00:58:07.10 ID:sdIlFI2jM
- >>26
ありがとうw
忙しくなって放置してたけど書きますw
- 28 :ひよこ名無しさん:2015/05/25(月) 01:05:47.68 ID:sdIlFI2jM
- カフェスペースでコーヒーを二人で飲んだ。
「桜、ね。喉の癌なんだ。前から様子おかしかったの凌くんも知ってるよね」
葵さんが話し始めた。
「凌君が引っ越して少し経った頃の話だよ。癌のせいで今じゃろくに食べ物も食べられない。何より・・・声が出ない」
- 29 :ひよこ名無しさん:2015/05/25(月) 01:16:15.53 ID:sdIlFI2jM
- 「…もう手遅れで、治らないらしい。
そう知った時俺は…泣きそうだったのに桜、笑ってたんだ。
『治んないんなら、仕方ないね』って。
きっとどこかで気づいてたんだと思う、わかってて病院にも行こうとしなかった。」
目線を落として葵さんはゆっくりと話しを続けた。
「凌には心配かけたくないからって言わなかったんだ。
きっと悲しんでしまうだろうから、つらいだろうからって。
…きっとこのことで喧嘩したんだよね?
・・・もう、ほんとに時間がないんだ。
心の整理を急にはつけられないと思う。だけど・・・・受け入れてあげてほしい、仲直りしてほしいんだ。」
- 30 :ひよこ名無しさん:2015/05/25(月) 01:24:20.58 ID:sdIlFI2jM
- 目に涙を浮かべてそう言う葵さん。
その時俺は何も考えることができなかった。
結局そのまま地元を離れた。
家に帰ってもしばらく何もろくにできなかった。
たまに渚から桜の様子のメールが来た。
それが送られてくるたびに俺は気が気じゃなかった。
だけど、怖くて会いにすら行けなかった。
- 31 :ひよこ名無しさん:2015/05/25(月) 01:31:25.97 ID:sdIlFI2jM
- 夏。
彼女の誕生日の日
俺は勇気を出して会いに行った。
おそるおそる病室のドアを開けた。
彼女は俺を見て微笑んだ。
俺は震える唇でやっとの思いで言葉を発した。
「誕生日おめでとう・・・・・それと、ごめん・・・本当に、ごめん」
そういうと彼女はノートに
「なにが?」
と書いた、笑っていた。
- 32 :ひよこ名無しさん:2015/05/25(月) 01:34:38.33 ID:sdIlFI2jM
- 彼女につられて自分もぎこちなく笑った。
「来てくれてありがとう。ごめんね、自分勝手なことしておいて私、ずっと凌くんに会いたいと思ってた。」
- 33 :ひよこ名無しさん:2015/05/25(月) 01:40:42.67 ID:sdIlFI2jM
- ノートに書かれた字を何度も読み返した。
俺だってずっと会いたかった。
「ねえ、いつまでこっちにいるの?」
「決まってないよ、できるだけいるつもり。夏休みだしな」
「そっか…毎日・・・会いに来てくれる?」
ノートに恐る恐るそう書いた彼女。
「もちろん、居る間は毎日来るよ」
そういうと微笑んだ。
気にしないようにしていたが、彼女は前会った時より確実にやつれていて、やせていた。
胸が締め付けられている気がした。
彼女を見てそれくらいつらかった。
- 34 :ひよこ名無しさん:2015/05/25(月) 01:47:22.91 ID:sdIlFI2jM
- それから毎日彼女に会いに行った。
たわいもない話をしたり、渚を読んで思い出話で笑ったり。
彼女はとても元気そうで、とても治らない病にかかっているようには見えなかった。
治らないとわかっているのに心のどこかで大丈夫だと、きっと元気になると思ってしまっていた。期待をしていた。
でもその期待はすぐに裏切られた。
やはり、見えないところで病は進行していて、状態が危なくなり、会えない日も続いた。
- 35 :ひよこ名無しさん:2015/05/25(月) 01:58:06.03 ID:sdIlFI2jM
- やっと会えた時、彼女は起きられない状態で、医者は覚悟しておいてくださいと俺たちに伝えた。
桜はやっとの思いで手を動かし、字を書いた。
「ねぇ、りょうくん。おねがいきいてくれる?」
「ん?・・・なに?」
俺がそう聞くと桜は葵さんに目くばせした。
葵さんは俺に鉢植えを渡した。
「…今度は何て花?」
「わすれなぐさ、だよ。わたしからのさいごのおねがい。ごめんね、わがままいってごめんね」
泣きそうな彼女がかいている言葉の意味がよくわからなかった。
彼女は花が好きだったから、これは彼女にとって大事な花で、
代わりに育ててほしいという意味だと勝手に解釈した。
- 36 :ひよこ名無しさん:2015/05/25(月) 02:05:18.45 ID:sdIlFI2jM
- 数日たって彼女は亡くなった。
まだ16歳だった。
俺はショックで涙なんて出なくて、ただただ息苦しいじかんを過ごした。
夏休みも終わりに差し掛かり、俺はようやく家に帰った。
母も父もわかっていて何も聞かなかった。
毎日ぼーっと過ごした。
味のしない飯を食べて、ろくに寝れない夜を過ごす。
桜にもらった鉢植えは見るたびに苦しくなって庭の隅に追いやった。
代わりに母が毎日世話をした。
- 37 :ひよこ名無しさん:2015/05/25(月) 02:14:28.02 ID:sdIlFI2jM
- 母も彼女と同じで花が好きだった。
しばらくたったある日、母は花言葉の本を見ながら言った。
「凌!みて!!」
「・・・なに?」
アザレアのページ、引っ越すと告げた日に桜がくれた花。
「花言葉は『あなたに愛される幸せ』ですって・・・・・ふふ、ロマンチックね」
母はそういって俺に微笑みかけた。
俺は我に返ったように本に飛びついた。
「母さん・・・わり、この本ちょっと貸して!!!」
そういって自分の部屋に持って入った。
アザレアのページを数回見返した後、俺は必死にページをめくり、勿忘草を探した。
- 38 :ひよこ名無しさん:2015/05/25(月) 02:21:11.89 ID:sdIlFI2jM
- そして少し経ちやっとページを見つけた。
『勿忘草』
花言葉:私を忘れないで
『わたしからのさいごのおねがい。ごめんね、わがままいってごめんね』
そのページを見て桜のあの時の言葉を思い出した。
そして俺はわけがわからないくらい泣いた。
何度もごめんって言った。
何に謝っているのかわからないけれど。
それから数日後、俺は彼女のお墓参りに行った。
- 39 :ひよこ名無しさん:2015/05/25(月) 02:26:48.12 ID:sdIlFI2jM
- シオンとスターチスの花を持って。
「…これが俺の返事。」
そういって花を供えた。
帰り際に葵さんに出会った。
葵さんはうちによってほしいと俺に言った。
- 40 :ひよこ名無しさん:2015/05/25(月) 23:17:23.88 ID:sdIlFI2jM
- 「桜があげた花、今も…ある?」
「もちろん…これからも」
「意味、気付いたんだ?」
「知ってたんですか?」
「桜に頼まれたのは俺だしね……今日は君にこれを渡したくて。」
白い封筒を俺に差し出した。
「これ、桜が書いた手紙…凌くんへ」
震える手でそれを受け取った。
「桜、悪化する前にみんなに書いてたみたい。
俺にもあった。出てきたのはつい最近で…凌くんには渡せてなかったから…」
- 41 :ひよこ名無しさん:2015/05/25(月) 23:18:10.31 ID:sdIlFI2jM
- 少しそのあと話をして葵さんの家をあとにした。
俺は浜辺を歩いた。
桜と付き合うきっかけになったこの場所。
潮風の匂いが懐かしい。
俺はさっき渡された手紙を読んだ。
彼女が書いてくれた文章をそのまま書きます
- 42 :ひよこ名無しさん:2015/05/25(月) 23:29:49.72 ID:sdIlFI2jM
- 《凌くんへ
病気のこと、隠していてごめんなさい。
できれば凌くんには知られたくなかった。
知られないまま、私を忘れて欲しかった。
私を想ってくれた凌くんを傷つけたくなかった。
でも、来てくれてホントは嬉しかった。ありがとう。
今まで色んなことがあったね。
イジメられていた私を助けてくれたり、
私が死のうとしたとき、必死で止めてくれたこともありましたね、
あの時、『私、生きてていいんだ。』そう思った。
必要とされてたんだって、愛してくれる人がいるんだって。
あの日からずっと私は凌くんの言葉で生きてた。
凌くんの言葉があったから生きられた。
だんだん、体の調子が悪くなって、直感で
『私、死んじゃうんだ』って感じてた。
やっと家からも開放される。
もうお母さんに殴られなくていいんだって思った。
本当はあの時死んでいたはずだからそれが少し遅くなっただけ、
……だけ…それだけ、なのに……。
死ぬのがとっても怖くなった。
死にたくないと叶いもしない駄々をこねて泣きわめきたくなった。
どうしてだろうね?
あんなに死にたかったのに。
すごく怖くなったの。
そこでようやく気づいたんだ、私、幸せだったんだなって。
凌くんにはとっても感謝してる。
ありがとう、私に幸せを教えてくれて。
今まで、言葉にしたことなかったね。
凌くん、好き。大好きだよ。
あいしてる。
- 43 :ひよこ名無しさん:2015/05/25(月) 23:30:17.46 ID:sdIlFI2jM
- こんなことを書いたら余計に苦しめちゃうかな・・・・
でもごめんね、どうしてもちゃんと伝えたかったの。
本当は自分の声で伝えたかった。
本当は・・・・貴方の隣で人生を歩みたかった。
何にもしてあげられないまま置いていく私を許してね。
凌くんは遠回りしてから私のところへ来てください。
私はずっと待っています。
それで、私のところに来たらたくさん話をしてください。
友人の話、家族の話・・・好きな人の話。
とっても楽しみにしています。
楽しみができたから、もう怖くないよ。
凌くん、私を愛してくれてありがとう。
桜》
- 44 :ひよこ名無しさん:2015/05/25(月) 23:36:34.81 ID:sdIlFI2jM
- 彼女がなくなったのは今から12年ほど前。
引っ越しの片づけをしていたら彼女の手紙が出てきて、なんとなく誰かに聞いてほしくてここに書きました。
今でも彼女の誕生日にはあの時と同じ花を供えにお墓に参ります。
長い駄文でごめんなさい。
よんでくれた人がいるかわからないけど、どこかに残しておきたかった。
もし、最後までよんでくれた人がいるならありがとう。
- 45 :ひよこ名無しさん:2015/06/17(水) 15:39:04.26 ID:IvS59djS5
- >>26だが
最後まで読んだぞー
- 46 :ひよこ名無しさん:2020/07/24(金) 10:33:38.31
- くだらないこと言うな
- 47 :ひよこ名無しさん:2023/10/03(火) 00:14:08.74 ID:szoIcej2/
- 世界最惡の脱炭素拒否テ口国家に送られる化石賞連続受賞して世界中から非難されなか゛ら憲法13条25条29条と公然と無視して力による−方的な
現状変更によってクソ航空機倍増,閑静な住宅地から都心まて゛数珠つなぎて゛鉄道の30倍以上もの莫大な温室効果ガスまき散らして騒音まみれ
住民の生活破壊して静音か゛生命線の知的産業壞滅させなか゛ら何ひとつ補償もしないってのに漁業関係者の税金1000億超強奪には唖然とするな
釣り竿て゛魚釣りしたり浜辺で貝を採って自分て゛食へ゛ることすら許さないおそ゛ましい利権害蟲のヤクサ゛ふ゜り炸裂してやがる
今までクソシナが買ってくれてたことを特別に思うどころか税金で補填しろた゛のもはや国内的にも不買運動しないとな
今年5月にフクシマ沖の魚から1萬8000ヘ゛クレルものセシウム検出が公表されたわけた゛が要するに0.342ミリシ━ベ儿├
―般の人の被曝限度は年間1ミリシ‐ベル├だからこの魚を3匹食へ゛たら被曝限度を超過するのか゛現実の中さらに核汚染水排出
これから生物濃縮が加速度的に進むわけだが癌になったり奇形児産み落としてて゛もヤクサ゛の資金源になりたい竒特な奴は死ぬ気で頑張れ
(羽田)ttps://www.call4.jp/info.php?type=items&id=I0000062 , ttps://haneda-project.jimdofree.com/
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