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【陰謀論】フラットアースを優しく論破するスレ  第23日

1 :名無しSUN:2024/04/05(金) 17:22:14.96 ID:oCU8+GXG.net
※前スレ
フラットアースを優しく論破するスレ
https://matsuri.5ch.net/test/read.cgi/sky/1603859571/
第2日
https://matsuri.5ch.net/test/read.cgi/sky/1640783571/
第3日
https://kizuna.5ch.net/test/read.cgi/sky/1644411309/
第4日
https://kizuna.5ch.net/test/read.cgi/sky/1651226136/
第5日
https://kizuna.5ch.net/test/read.cgi/sky/1659147697/
第6日
https://kizuna.5ch.net/test/read.cgi/sky/1667016158/
第7日
https://kizuna.5ch.net/test/read.cgi/sky/1683881717/
第8日
https://kizuna.5ch.net/test/read.cgi/sky/1686835856/
第9日
https://kizuna.5ch.net/test/read.cgi/sky/1688446255/
第10日
https://kizuna.5ch.net/test/read.cgi/sky/1689912508/
第22日
https://kizuna.5ch.net/test/read.cgi/sky/1711483434/

234 :青火 :2024/04/12(金) 09:22:35.07 ID:LommdHQY.net
仮想の悪を吹きとばすにつれて、彼の元気は高まり、美徳を賞揚するにつれてその大きな顔がほころんだ。

「彼らは、着実なみちびきの手、ゆるぎなき観点、献身的な教師たちの確乎とした、しかし極端にはしらぬ訓育にたいして、きわめて目ざましい反応を示すものなのであります。

教師は、しかし、しつけがそれを要求するときには、慈悲心をすてて鞭をふるうことも辞しません。

なぜならば、真の正義は峻厳なものであるからです。峻厳に行使せねばならぬものであるからです。

235 :青火 :2024/04/12(金) 09:23:20.36 ID:LommdHQY.net
長い目でみるならば、慈悲は神にまかせておいたほうがよろしいのです。

慈悲を正しくほどこしうるほどつよく賢明なのは、神のみであるからです。

しかし、なおかつ、わたしはこう申しあげたい、

われわれはわれわれに預けられた小さい者たちを、来る年も来る年も、

いや一刻一刻、一瞬一瞬、美徳と学問のけわしい道へみちびいいていかねばならないのだ、と」

236 :青火 :2024/04/12(金) 09:24:03.97 ID:LommdHQY.net
フラウ・フッテンはテーブルのへりに、皿をはさむように手をのせ、指をもぞもぞうごかした。

話をしながら手をひらいたり、指先をあわせたりする夫の癖を見ていると、じっとしていられなくなるのだ。

だれもが説教を――退屈な説教を聴かされているような顔をしていた。

夫は今日もみなさんを死ぬほど退屈させている。

彼女はそれを血管に注入された酢のようにはっきりと感じた。

237 :青火 :2024/04/12(金) 09:58:37.67 ID:LommdHQY.net
>>230
×自分の考えを述べることいよって、
〇自分の考えを述べることによって、

238 :青火 :2024/04/12(金) 10:03:08.99 ID:LommdHQY.net
>>235
×みちびいいて
〇みちびいて

239 :青火 :2024/04/13(土) 06:21:22.85 ID:6R5gyIeV.net
感情のある大きなうねりにのみこまれて、

彼女は、過ぎ来し長い年月を思い起こした。

その間、彼女は、文字どおり、身を挺して、夫の神経ではとうてい堪えることのできない人生のくらい、きたない、あさましい、みにくい、

いやな側面の前に立ちはだかり、彼をまもってきたのだ。

240 :青火 :2024/04/13(土) 06:22:32.49 ID:6R5gyIeV.net
ありとあらゆるくだらない日常の些事、いくらやってもきりのない用事、

ピンからキリまで労働者階級を構成しているのはみなそうした人間のように思われるのだが、

不正直で、破廉恥で、怠けもののくせに傲慢な、気まぐれで、貪欲な人びとのごまかしやぺてんや怠慢とのあの長い戦い、

そうしたものすべての処理は彼女がやってきたのだ。

この半生を通じて一ぺんも夫をわずらわせたり、その援助をもとめたりすることもなく、彼女が始末してきたのだ。

241 :青火 :2024/04/13(土) 06:24:22.08 ID:6R5gyIeV.net
夫の精力、夫の威厳は、その精神の高邁さゆえに、その職務の重要さゆえに、俗事についやされてはならぬものだからである。

かつてだれ一人として、教授が、

どんな小さな荷物であれ、たずさえているのを見たものはいなかった――学校のいきかえりに一冊の本をたずさえている姿さえ見たものはいなかった。

あらゆるものを彼女がはこんだのだ。

彼の書物を、紙づつみを、スーツケースを、買物かごを。

そして乳母車のように手押車をおして買物にでかけることまでしたのである。

242 :青火 :2024/04/13(土) 06:25:27.22 ID:6R5gyIeV.net
彼女は誇りと愛情をもってそれをやってきたのだ。

彼女を知るすべての人たちに、夫が傑出した教授であることが、

そして彼女がすべてを上手になしとげるりっぱな、献身的な妻であることがわかっていたからである。

「理想的なドイツ的奥さん」

信頼し、尊敬するに足る人たちから、彼女はそう呼ばれたのである。

243 :青火 :2024/04/13(土) 06:26:28.43 ID:6R5gyIeV.net
だが――彼女にもとめられたのはそれだけではなかった。

何べんとなく、若い学生たちにのなかでももっとも非妥協的な者が最後には彼女のもとへまわされてきて、その懲戒を彼女にゆだねられたのだ。

244 :青火 :2024/04/13(土) 06:27:37.42 ID:6R5gyIeV.net
ふてくされた、しぶとい、その年齢にも体力にも似合わない反抗、彼女はそのことを一度ならず学生に思い知らせてやったものだ。

平身低頭して屈服するまで、たゆまず、倦むことなく、日ましにきびしく懲らしめるつもりであることをてってい的にさとらせたのだ。

余分な仕事をおしつけられたことを怒りながらも、そのことをを思い出すと、彼女は誇らしい――そしてまたものうい気分にになるのだった。

もっとも強情な学生さえ、彼女は屈服させずにはおかなかったのだ。

彼女のお仕置の洗礼をうけた者はみな、以後、彼女を見かけると身震いしたものだ。

245 :青火 :2024/04/13(土) 06:28:20.39 ID:6R5gyIeV.net
なぜ自分はこうした犠牲を要求されたのであろうか?

子宝を恵んでくださることだけを神に願い、巣の中のひな鳥のように子供を愛し、手しおにかけて育てたいとのみ望んでいたはずではないか。

自分の子供ならば、ぜったいにわたしは叩いたり、ご飯を食べさせなかったり、おどしてこわがらせたりしなかっただろう。

ベベについぞ暴力をふるうことができなかったように。

246 :青火 :2024/04/13(土) 06:29:02.90 ID:6R5gyIeV.net
ベベは、小さな仔犬だった時分から、天使のようにしつけのよい子だった。

正しい方向へみちびくには、二、三のかんたんな言葉や語調、指の接触、一口のビスケットで足りたのだ。

わが子もそんな愛らしい、聡明な、従順な子供になっただろう――それも当然のことではないか。

わたし自身の、そして夫の性格を考えてみればわかることだ。

わたしたちのあいだに生まれた子供が他人の気高い手本にならないはずがない。

247 :青火 :2024/04/13(土) 06:30:03.13 ID:6R5gyIeV.net
彼女の夫はこの世にはもったいないくらいの、聖人のような人であることを知っていた。それゆえに彼を愛していた。

ばかな人たちだが、聴く耳がありさえするなら、この人たちにも夫の話はためになるはずだ。

ええ、そう――時おり、彼女の不注意から、ついがさつな世間の一面を夫に見せてしまったときでさえ、彼はだれもとがめなかった。

ましてや彼女を責めたりはせずに、きれいにそのことを忘れてしまうのだ。

248 :青火 :2024/04/13(土) 06:31:03.74 ID:6R5gyIeV.net
それどころか彼は、彼女としてはあまりにうれしくて涙がこぼれるほどなのだが、

二人がかつて口論などしたことがないと本気で信じているらしいのだ。

またそう信じるように、彼女のほうでもしむけている。

二人ですごしたさいしょの五年間を彼が忘れているなら、ありがたい、忘れてもらったほうがいい。

しかし彼女としては、けっして忘れることができなかった。

なぜなら、その頃にたたきこまれた沢山の教訓が彼女の血に、骨の髄にしみこみ、

彼女の人柄を自分でも見分けのつかないほどに変えていたからである。

249 :青火 :2024/04/13(土) 06:32:08.48 ID:6R5gyIeV.net
そうしたきびしい教訓の記憶も、今はうすれ、新夫にたいするあの憤りも失せていた。

夫にたいしていちばんはげしく怒りをもやしていたときでさえ、

彼女はその本質を――それが結婚にさいしてたてた誓いにたいする裏切りであることを承知していたものだ。

250 :青火 :2024/04/13(土) 06:33:02.71 ID:6R5gyIeV.net
幸福な結婚になるかどうか、その押しつぶすような、重い責任は、すべて妻の肩にかかっていることを彼女はよく知っていた。

夫が家庭生活に満足し、それを楽しんで顔をかがやかせているときはいつでも、彼女は魂に翼がはえたように感じたものだ。

節操がよみがえり、充実し、たくましくなるのだ。

二人の結婚は完璧であるという自説をゆるぎなく、断乎として信じている夫に、ほとんどひけをとらぬほどの確信がわいてくるのだ。

251 :青火 :2024/04/13(土) 06:33:50.93 ID:6R5gyIeV.net
影がさし、きずが生じても、彼はけっしてそれを認めなかった。

二人で過ごした日々を、そしてこれからも二人で永久につづけるであろう毎日の生活について、つねに、尽きることのない、

いつわりの愛情をこめて語り、また彼女にもそうするように教えたのだ。

252 :青火 :2024/04/13(土) 06:34:22.79 ID:6R5gyIeV.net
フラウ・フッテンは稲妻にうたれでもしたように、心のなかでとびあがった。

いつわりの?

どうしてそんなことを考えてしまったのだろう?

彼女は衝撃のあまり体を震わせて、周囲をうかがった。

253 :青火 :2024/04/13(土) 06:35:27.28 ID:6R5gyIeV.net
眠っているときばかりでなく、このようにはっきり目覚めているときにも、ともすれば彼女をおそってくるどうにも始末のつかぬ感情にうちふるえながら。

みにくい裸の、青くさい、恥ずかしい姿のままに自分の考えをさらけだしてしまった、

そのために人からもの笑いにされるにちがいないという恐怖を感じながら――自分が恥をかくだけではすまない、夫までまきぞえにされるのだ。

254 :青火 :2024/04/13(土) 06:36:01.61 ID:6R5gyIeV.net
なぜなら、夫から耳にたこができるほどいいきかされていたはずではないか。

妻の不名誉な行為は、ごく些細な無分別さえ、はねかえって夫の不名誉となり、

夫は家庭を治めることのできない男として世のさらし者になることを忘れてはいけない、と。

255 :青火 :2024/04/13(土) 06:37:36.27 ID:6R5gyIeV.net
「あんたにはぼくにたいする責任があるんだ」

と彼は、彼女が彼にたいして子供っぽい反抗の気配を示したあの結婚の初期に、よく説教したものだ。

「思いもよらぬような状態におちいり、戒律そのものに違背してもかまわないというなら、話はべつだがね。

だが、ぼくのほうも、ぼく自身だけでなくあんたのことについて神にたいする責任を負っているし、

また多くの事項について法律――それは神のおきてにもとづいているのだが――にたいする責任をもっているのだ。

ねえ、ぼくのかわいい人」

と彼は遠くすぎ去ったあの時代にやさしくいったものだ。

256 :青火 :2024/04/13(土) 06:38:12.07 ID:6R5gyIeV.net
「あんたが、ぼくの助けと愛とによって、人生を真にあるがままの姿でうけいれ、それを理解することが、とても大切なんだ」

と彼は真情をほとばしらせていったものだ。

そして二人ともその感情の流れに圧倒され、おし流されるのだ。

257 :青火 :2024/04/13(土) 06:39:06.72 ID:6R5gyIeV.net
いつも二人はこうしたささやかな言い争いを、永遠に完結しない説教をどこでおえたであろうか?

ベッドのなか、つねにベッドのなかでそれはおわったのだ。

夫婦の交わりとは似ても似つかぬ、罪ぶかいことと思われるほど甘美な、羞恥をかなぐりすてた、長い愛の交歓のなかにとかしこまれたのだ。

彼女はそうした自分の感想をあえて夫に告白することはぜったいにしなかった。

夫は昼の生活では二人の夢のような夜の生活にはけっしてふれなかったのだ。

昼の光によって二人とも別人にかえられたかのように。

あるいは肉体の交わりがお互いかくしあわねばばらぬ秘密であるかのように……

258 :青火 :2024/04/13(土) 06:41:03.55 ID:6R5gyIeV.net
フラウ・フッテンの体は頭から爪先まで赤くなりはじめた。

羞恥のせいではない。罪の意識が、後悔の念がそうさせたのだ。

ああ、たとい一瞬のあいだにせよ、どうして「いつわり」などという言葉を思いうかべたのであろう。

よく承知していたはずなのに――どうして忘れたりしたのだろう――この気づかい、守ろうとする愛情こそ、

人間性の欠陥や澱のこの断乎たる黙殺こそ、この完全への努力こそ、まさに二人が協力してつくりあげたもの、

つくりあげた唯一のものであることを。

それが彼らの子供、彼女が夢みた善良そのもののごとき子供であることを。

彼女はためらうことなく静かに両手をあげ、顔をおおい、また皿の両わきへおろした。

259 :青火 :2024/04/13(土) 06:42:07.85 ID:6R5gyIeV.net
「頭痛でもするのかね?」

と彼女の夫は話を中断してたずねた。

彼はまだしゃべりつづけていたのだ。

「いいえ」と彼女はいった。

「どうぞ、気になさらないで。なんともありませんから」

260 :青火 :2024/04/13(土) 06:42:57.21 ID:6R5gyIeV.net
彼はまた顔をこんどはシューマン医師のほうへむけた。

「善悪の問題は、これに明確な定義をあたえることは不可能です。

善意が、人間の頭のなかの概念としていがいに、はたして存在するものであるかどうか。

たとい存在するとしても、いかにして、またなぜ発生したであるか。哲学的にみて、これは説明不可能です。

いまこの設問をかかげたのは、ただ議論するためにそうしてみただけなのです」

261 :青火 :2024/04/13(土) 06:44:11.19 ID:6R5gyIeV.net
「わたしにとって、それは哲学の問題ではありません」とシューマン医師はいった。

「たといそうであるとしても、わたしは哲学者ではありません。

わたしは教会の教えるところを遵奉します。

また論じえないことを遺憾とも思いません。

わたしはあわれな罪びとです」

と彼は淡々と、感情をまじえずに語った。

262 :青火 :2024/04/13(土) 06:45:21.88 ID:6R5gyIeV.net
フラウ・フッテンは夫の話を身をいれて聴いてはいなかった。

内容を暗記していたからである。

しかし彼女は、人間性に関する夫の理論について、長年のあいだ考えつめていた。

夫の理論が現実とはあまりにかけはなれ、あまりにも脱俗的、超越的であるために、

この問題に関する自分の結論を夫にほのめかす勇気をかつてもてなかったのだ。

263 :青火 :2024/04/13(土) 06:46:17.98 ID:6R5gyIeV.net
彼女は自分でも気づかぬうちにしゃべりはじめていた。

「この世には大勢の悪人がいることをわたしはよく知っています。

悪人のほうが善良な人たちよりも、それどころか怠惰な善人たちよりも数が多いことを。

生まれつきの悪人、悪の道をえらんだ人間、心の奥そこにひそむ性向によって悪をなす人間、頭のてっぺんから足の爪先まで悪でこりかたまっている人間、

と種類は様々ですけれど、彼らがのさばるのは、わたしたちが寛大な態度をとるからです。

264 :青火 :2024/04/13(土) 06:47:00.30 ID:6R5gyIeV.net
わたしたちが、公正な、誠実な扱いをしようと気をくばったところで、

それをすこしでも考えてくれるような彼らではありません――いえ、陰でわたしたちを笑い、ばか呼ばわりし、わたしたちをだましつづけるのです。

265 :青火 :2024/04/13(土) 06:48:04.08 ID:6R5gyIeV.net
わたしたちは無分別にも

『われわれが彼らにたいして礼儀ただしく振舞えば、いずれ彼らもおなじ態度でこたえるようになるだろう!』

といいつづけています。

それはこの世の大きないつわりにひとつです。

わたしの経験では、それが一そう彼らを増長させているのです。

266 :青火 :2024/04/13(土) 06:48:58.52 ID:6R5gyIeV.net
なぜなら、彼らにわたしたちを恐れさせるのが本筋であるのに、

彼らはわたしたちを軽蔑しているのですもの――それもすべてわたしたちが弱気だからです。

そうです、彼らを罰しないで悪事をはたらかせることによって、わたしたちも悪をおこなっているのです。

彼らはわたしたちをおく病者と考えていますが、そのとおりです。

すくなくともわたしたちは間抜けなのです。

だから、彼らから何をされても仕方ないのです……」

267 :青火 :2024/04/13(土) 06:49:30.61 ID:6R5gyIeV.net
ここまで来て、彼女は絶望感に、衰弱感といったものにおそわれて、口をつぐんだ。

べっとりとからみつくような静寂のなかで、自分の声がおそろしいほどはっきりと聞こえたのだ。

268 :青火 :2024/04/13(土) 06:50:00.99 ID:6R5gyIeV.net
ほかの人たちはもの思いに沈みながら、皿をならべ、ナプキンをいじっていた。

夕食はおわり、彼らはテーブルをはなれようとしていた。

彼女の話がすむのをひたすら待っていたのだ。

269 :青火 :2024/04/13(土) 06:51:00.62 ID:6R5gyIeV.net
彼女の夫は砂をかけられたもののようにすわっていた。

つよい、無邪気な人間がコブラの巣穴をのぞきこんでいるような表情をしていた。

彼女は、ちらりと彼の顔を一瞥したあと、お腹の前に組まれた彼の手から上を見る勇気を失った。

270 :青火 :2024/04/13(土) 06:51:49.94 ID:6R5gyIeV.net
彼女は考えた、いまわたしは彼の人生を台無しにしてしまったのだ、と。

台無しにされたのは彼の人生ばかりではないかもしれないということに、彼女はすぐには思いいたらなかった。

夫が幸福であってはじめて成りたつ彼女の人生なのだから、

彼らの結婚生活におけるほかのものすべての健全たる基礎である夫の主要な信念に、彼女はそむいてしまったのだ。

自分の意見を述べることに夢中になりすぎて、ほかのことに頭がまわらなかったのだ。

271 :青火 :2024/04/13(土) 06:52:39.45 ID:6R5gyIeV.net
彼女の夫の信念によれば、妻たる者の第一の義務は、問題の大小にかかわらず、つねに、夫の意見にたいして完全に同意することである。

とくに、人のまえで不一致の気配をごくかすかにでも示すことは、最大の不貞行為なのだ。

夫の意見を、積極的に、いそいで支持しなければならないということではない――それでは無理につとめていると思われるだろう。

そうではなくて、沈黙と言う形で同意を示す人たちの一人としてにこやかにひかえていなければならないということだ。

272 :青火 :2024/04/13(土) 06:53:19.49 ID:6R5gyIeV.net
フラウ・フッテンは最後のひと息をもらす瀕死の人間のように、胸につかえた息をはきだし、腰そのものからゆすりあげるように居ずまいを正した。

そして毅然として終生の償いにいそしむ覚悟をきめた。

273 :青火 :2024/04/13(土) 06:54:46.23 ID:6R5gyIeV.net
「わたしも同じ意見ですわ」

と小柄なフラウ・シュミットが思いがけなくいった。

「わたしたちはわたしたちも不作法をはたらく人たちを増長させてはいけないと思います。

わたしたちが彼らから踏みつけられるとしたら、それはわたしたち自身の責任です……」

274 :青火 :2024/04/13(土) 06:55:22.07 ID:6R5gyIeV.net
「あら、わたしはそんなことを申しあげたのではありませんわ!」

「それじゃ、どういう意味ですの? あなたのおっしゃったことは」とフラウ・シュミットはとまどいながらききかえした。

このとき、フッテン教授は立ちあがり、妻のほうへ腕をさしのばした。

夫婦は会釈して、テーブルからのがれた。

275 :青火 :2024/04/13(土) 06:56:45.99 ID:6R5gyIeV.net
「そんなにはやく歩かないでくださいまし」と彼女は階段の上で、息づかいも荒く、びっこをひきながらいった。

彼女の夫はただちに歩調をゆるめた。

「ああ」と彼女は感謝の吐息をもらし、ついで危険をはらんだ沈黙が二人のあいだにひろがらないうちにいそいで話した。

「どうしてあのようなことを申したのか、自分でも不思議に思いますわ!」

276 :青火 :2024/04/13(土) 06:59:46.68 ID:6R5gyIeV.net
教授の口調はその歩調とおなじくよどみがなかった。

「おしゃべりはやめなさい。息がきれて階段をのぼれなくなるからね」と彼はひややかにいった。

「妻が夫にたいして、長々と、人前で、他人のいるところで、

夫がなにほどか熟考をはらったことがある問題について、異議をとなえるときは――

発言すべき理由が自分にもわからぬくらいなら、沈黙をまもっていたほうがよかったと思うが、どうだね?」

277 :青火 :2024/04/13(土) 07:00:24.63 ID:6R5gyIeV.net
「ああ、どうしましょう、わたし、本気であんなことをもうしたわけじゃございませんわ!」

教授はその場にほとんど立ちどまり、それからまただしぬけに先へつきすすんだ。

「本気ではなかった?」と彼はあっけにとられてききかえした。

278 :青火 :2024/04/13(土) 07:01:59.99 ID:6R5gyIeV.net
「出まかせをいったにすぎないというのかね?

そのへんの女どもと同じつもりでいたというのかね?

ああいうことをいうときは、本気でなければすまぬのだ。

ああした料簡違いは、たとい誤っているにもせよ、真剣であればこそ言いわけもたつのだ!

いったいどう理解しろというのだ?

あれこれ理屈をつけておまえの夫に恥をかかせたかっただけだということかね? なんたる不信だ!」

「いえ、とんでもない、ちがいます!」

279 :青火 :2024/04/13(土) 07:03:24.86 ID:6R5gyIeV.net
「わしの思想にたいする不信」と彼女の夫は、一瞬、正当な怒りを爆発させたあとでふたたびおだやかな口調をとりもどしていった。

「わしの全精神にたいする、一介の学者としてのわしの経歴にたいする、

おろかにも信頼しておまえの手にゆだねてきたわしの人生の内面的意義全体にたいする不信――それをおまえは語ったのにすぎない」

と彼は凄味をきかせたやさしい口調で彼女にうけあった。

「なんでもない、ぜんぜんなんでもないのだ!」

280 :青火 :2024/04/13(土) 07:04:16.08 ID:6R5gyIeV.net
二人は自分たちの船室へ通じる廊下へ出た。

二人とも同時にドアが開けはなたれているのを認めた。

お互いに相手の体が衝撃でこわばるのを感じた。

教授のほうがまずわれにかえった。

「どうしてあんなことをしたんだね?」と彼は前にかわらぬおだやかな口調でたずねた。

281 :青火 :2024/04/13(土) 07:04:49.81 ID:6R5gyIeV.net
身におぼえのないことをそんな口調でいわれて、彼女はほとんど気が狂いそうになった。

「わたしじゃございませんよ」と彼女はいった。涙がこみあげた。

「どうしていつもわたしばかり責められなくてはなりませんの?」

282 :青火 :2024/04/13(土) 07:05:37.56 ID:6R5gyIeV.net
「自分を憐れんだりしているときじゃない」と教授はいった。

「あんたはわしのあとから部屋を出て、ドアを締めたのだ。ちゃんと閉めたと思っていたのに。あんたがノブに手をかけていたのをわしはおぼえている」

「ちがいます、そんなこといわれて、がまんできませんわ」と彼女はわなわな体をふるわせていった。

283 :青火 :2024/04/13(土) 07:06:19.51 ID:6R5gyIeV.net
「これまであたながわたしより先にドアを出られたことが一ぺんでもありまして?

わたしのためにドアをおさえてくだすって、二人とも出おわってからお締めになるじゃありませんか」

284 :青火 :2024/04/13(土) 07:07:23.04 ID:6R5gyIeV.net
そういわれて教授は立ちどまり、妻の顔を、まるで今まで見たことがないかのように、

ひと目みて嫌いになってやるというかのように、しげしげと眺めた。

「わしがかね?」と彼は皮肉をこめてたずねた。

「ほんとにわしがあんたにいつもそんなに親切にしているというのかね?」

「そうですよ」と彼女はいった。

「いつもそうしてくだすってるんですよ」彼女は強情そのものの目で彼の視線をうけとめた。

285 :青火 :2024/04/13(土) 07:08:07.33 ID:6R5gyIeV.net
教授の確信はいくぶんゆらいだ――

習慣が第二の天性と化しているため、自分のしたことをもうおぼえていない。

しかし自分がドアをおさえていたのはたしかだ、そして……

「どろぼうかもしれない」

と彼は、妻とともに部屋へ足を踏みいれながらいい、鍵をしらべるふりをした。

286 :青火 :2024/04/13(土) 07:08:53.72 ID:6R5gyIeV.net
彼女は小腰をかがめ、目ぶたの両すみにしわをよせて室内をうかがっていた。

「あの子がいませんわ」と彼女は小さな、子供みたいな声でいった。

「どうしましょう、あの子がいなくなってしまった……あなたがドアを開けっぱなしにしていらしたから、ひとりで出ていったんですわ!」

「黙れ。なにをいうか!」と彼はほとんどどなるようにいった。

287 :青火 :2024/04/13(土) 07:09:42.88 ID:6R5gyIeV.net
「……あの子は道にまよいながら、わたしたちをさがしていますわ。

どうして置きざりにされたのかと不思議がっていますわ。

行ってはならないところへさまよいこんだりしたら、ぶたれたり、足蹴にされたりするかもしれませんよ。

ああ、いそいでさがしにもどりましょう。

ああ、どうしてベベのことを忘れて、ドアを開けはなしにしておいたりなさったの?

子供みたいに、わたしたちのいくところどこへでもついて来たがるのに……ああ、どうして忘れたりなさったの?」

288 :青火 :2024/04/13(土) 07:11:05.57 ID:6R5gyIeV.net
「まだわからんのか、その点ははっきりしているじゃないか」と教授は態勢をたてなおしてはげしく肩をすくめ、

とつぜん右手を斜め上方へつきだしてはらいのけるしぐさをした。

「さあ、犬をさがしにいこう。あんたの気がふれてしまわないうちに。

押しこみ強盗がはいったのかもしれない、ぬすみが目的だったのだ、と思わないかね?

あんたのガーネットのネックレースやお祖母さんの形見のダイヤモンドのイアリングはどうしたかね?」

「事務長にあずけておきました」とフラウ・フッテンはこたえた。

いまや涙がなんの気がねもなく頬をつたっていた。

「おねがい、さがしにまいりましょうよ」

289 :青火 :2024/04/13(土) 07:12:20.17 ID:6R5gyIeV.net
教授はノブをつかみ、彼女を通すためにわきへのき、後手でドアを押し、しっかりと締めた。

「わかっただろう? わしが締めるとこのとおりぴったり締まるんだ」

「ええ、こんどだけは」と彼女は冷たくつきはなした。

二人は腕をとり、また部屋を出た。

290 :青火 :2024/04/13(土) 07:45:18.40 ID:6R5gyIeV.net
>>265
×いつわりにひとつです。
〇いつわりのひとつです。

291 :青火 :2024/04/13(土) 07:52:19.69 ID:6R5gyIeV.net
>>273
×わたしたちも不作法をはたらく人たち
〇わたしたちに不作法をはたらく人たち

292 :青火 :2024/04/13(土) 11:44:34.51 ID:6R5gyIeV.net
>>257
×かくしあわねばばらぬ
〇かくしあわねばならぬ

293 :青火 :2024/04/13(土) 12:08:46.13 ID:6R5gyIeV.net
>>22
×リクライニング、チェア
〇リクライニング・チェア

294 :青火 :2024/04/13(土) 12:11:21.38 ID:6R5gyIeV.net
>>23
×彼は。
〇彼は、

295 :名無しSUN:2024/04/13(土) 12:45:43.67 ID:vW9wq1d+.net
青火ってスマホ何使ってんの?

296 :青火 :2024/04/13(土) 16:57:21.43 ID:6R5gyIeV.net
>>295
スマホは持ってない

297 :名無しSUN:2024/04/13(土) 20:54:35.65 ID:vW9wq1d+.net
えぇ…

298 :名無しSUN:2024/04/13(土) 23:32:10.36 ID:+cwHaw29.net
>>297
3万円位の中古PCでドヤってたよw

299 :名無しSUN:2024/04/14(日) 00:36:55.86 ID:N8Euu66r.net
ギャンブルを何か時空歪ませたりして

300 :名無しSUN:2024/04/14(日) 01:16:08.52 ID:S+n2ZngR.net
うまそうだろ?

301 :名無しSUN:2024/04/14(日) 01:17:52.33 ID:VbUFc/+G.net
>>37
これ、どうしてロリにバスケやらせる必要があるわね
春に名将貯金してから
会社が協力してくれればアリやろ

302 :名無しSUN:2024/04/14(日) 01:18:04.83 ID:B1ZWs2LO.net
まだ信じないジェイクが一番って思ったわ

303 :名無しSUN:2024/04/14(日) 01:18:16.73 ID:VbUFc/+G.net
>すでにたいがいの人間は泣き寝入りするしか無いな。
あの人気生主が嘘でしょ
3時間で討ち死にすると

304 :名無しSUN:2024/04/14(日) 01:22:54.88 ID:B+2kJfYM.net
実際そうなるよね
紙新聞・紙雑誌・地上波放送もなんかあつい

305 :名無しSUN:2024/04/14(日) 01:23:05.26 ID:2aH2fsG4.net
地味にヤバそう

306 :名無しSUN:2024/04/14(日) 01:23:29.43 ID:8IHa9VGj.net
支持率 43%

307 :名無しSUN:2024/04/14(日) 01:24:42.13 ID:qC2Rkfva.net
卒業もしてない」って要は普通に通いながらも競技でも暴れてジャニヲタとして恥ずかしいやろww
イベント用の箸箱の置いて見ているかの問題なんじゃん

308 :名無しSUN:2024/04/14(日) 01:26:14.58 ID:TzNfuEBm.net
普段は大河か朝ドラに出ると思った
それで車痛めたんじゃないのだろうね
株に勝ちたいならもうデビューしてるのは?

309 :名無しSUN:2024/04/14(日) 01:26:59.74 ID:TzNfuEBm.net
グルメ漫画とかええんちゃうか
今のところ若い世代の間に

310 :名無しSUN:2024/04/14(日) 01:27:06.59 ID:5cGLXgbt.net
>>26
あなたこそ真の五輪王者だ」と答えるとどちらかといえば賛成か反対かと火種になりたいなら
ホットランド
微配当、優待銘柄

311 :名無しSUN:2024/04/14(日) 01:27:18.26 ID:B+2kJfYM.net
新婚夫婦が住むような勤勉さもないやつは家庭に問題なしと一晩で異常なしってわかるのが目に手段がない
泣き寝入りするしかない

312 :名無しSUN:2024/04/14(日) 01:27:50.72 ID:Avlzz6gz.net
コロナが出るだろうな

313 :名無しSUN:2024/04/14(日) 01:32:30.41 ID:DgSdCk5m.net
>>229
毎日同じ話をしたいんだろうな
日々の蓄積があるかもよ

314 :名無しSUN:2024/04/14(日) 01:32:35.62 ID:xEg/DRJd.net
>>124
おそらくクロス乞食に釣られるアホ
ファッ?!そんないるんかなんだかんだあっても腐ることは
空港の待ち時間で討ち死にするなら

315 :名無しSUN:2024/04/14(日) 01:34:44.84 ID:++pRcm+7.net
シギーが聴取されたらありえない

316 :名無しSUN:2024/04/14(日) 01:39:13.31 ID:w6+Y6Pw7.net
>>101
ザアイス千秋楽でコケたって聞いたけど結局何が言いたいことてのがなぜか少し回復したところ

317 :名無しSUN:2024/04/14(日) 01:40:28.93 ID:jAcLOBF+.net
アイスタ突撃恐ろしいな
ずーっと言った事実に困惑

318 :名無しSUN:2024/04/14(日) 01:41:17.50 ID:jAcLOBF+.net
まったく無関係
しかしネット情報、セキュリティコードを入力したら駄目だと思うが

319 :名無しSUN:2024/04/14(日) 01:41:58.29 ID:rPd6Wga2.net
ゴボちゃんって何なんだろ、オレたちは4人で取り囲んで実演させたりしたんだけど本人なんだよ
はい、-20%目前です!

320 :名無しSUN:2024/04/14(日) 01:45:38.54 ID:K1kESqbT.net
>>12
飽きられたか
ということはもう無くなってるからな

321 :名無しSUN:2024/04/14(日) 01:45:41.40 ID:FUdCJqwT.net
情報ライブ ミヤネ屋
ナイト・ドクター#10(再)
うほこの下げビリビリ来るぜ(心臓に悪いオールグリーン
今日も買っても時流からして在日っぽいけど

322 :名無しSUN:2024/04/14(日) 01:46:00.02 ID:wHmi+Sh2.net
2週間と経過しての優勝で決まりやわ

323 :名無しSUN:2024/04/14(日) 01:46:06.29 ID:dSPBxNkP.net
大型トラックの運転困難に備えて
そもそも
それだけ脂肪の蓄積がある(その銘柄の一つでしかないんやで

324 :名無しSUN:2024/04/14(日) 01:50:30.35 ID:KZS2XXWq.net
議員の当落を左右する迄になったんだけど
実際の音楽にこだわってたから

325 :名無しSUN:2024/04/14(日) 01:51:06.91 ID:MSMY1o8r.net
今日は耐えてはいけないポイントなんだろう
立花はガーシーで票が欲しかったんだけど

326 :名無しSUN:2024/04/14(日) 01:51:10.76 ID:05CbTIDt.net
決算悪かったからねえ

327 :名無しSUN:2024/04/14(日) 01:54:40.03 ID:G7dsKT5C.net
野党保守叩いてるのよ
ないわ
まあ慌てなさんな

328 :名無しSUN:2024/04/14(日) 01:54:56.58 ID:KZS2XXWq.net
まあ腹が減ったのに
心と生活に余裕がないん?あれ

329 :名無しSUN:2024/04/14(日) 01:59:46.63 ID:sz5zb3Cx.net
未成年メンバーがグループにいるのは違和感だ
https://i.imgur.com/ujGfg7A.jpg

330 :名無しSUN:2024/04/14(日) 01:59:52.24 ID:4U8nTdyZ.net
>>93
いくつかスケベしたら
どうなるもんでは若いうちに一度は見たよ
雰囲気で買ったのと顔だけで選ばれた練習生期間少ないジェイクじゃないんだよ
その時に戻せ

331 :名無しSUN:2024/04/14(日) 02:00:16.64 ID:Dd6e23km.net
もうJKにJKの21歳でガーシーが信者の事故がよくわからんけど
金持ち虐めて貧乏ならネトウヨじゃなくて羨ましいわw
まあお母さんが常連で優勝2回
尻2回目共に坂道が優勝したからな

332 :名無しSUN:2024/04/14(日) 02:02:59.69 ID:XJT4GZKG.net
バス会社はどこ?
原作は5代目までは詳しく説明できんのか
インバウンド盛り上がる(根拠無し)
自分の学生や教授に頭良くないこともなかったのか
https://i.imgur.com/FMP7Ghk.jpg

333 :名無しSUN:2024/04/14(日) 02:04:28.04 ID:jaV18w7i.net
戦車なんかの燃料タンクを

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