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大宮アルディージャ692

594 ::2018/08/07(火) 19:31:02.50 ID:ZqHrZ7q10.net
本拠地、NACK5スタジアムで迎えた松本戦
守護神笠原が大量失点、攻撃陣も勢いを見せず惨敗だった
スタジアムに響くファンのため息、どこからか聞こえる「今年はJ3降格だな」の声
無言で帰り始める選手達の中、大宮ユース生え抜きの渡部は独りベンチで泣いていた
2015年のJ2で手にした栄冠、2016年のJ1における快進撃、感動、そして何より信頼できるチームメイト・・・
それを今の大宮で得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」渡部は悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、渡部ははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、帰ってトレーニングをしなくちゃな」渡部は苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、渡部はふと気付いた

「あれ・・・?お客さんがいる・・・?」
ベンチから飛び出した渡部が目にしたのは、アウェイ側まで埋めつくさんばかりの観客だった
千切れそうなほどに旗が振られ、地鳴りのように大宮の応援歌が響いていた
どういうことか分からずに呆然とする渡部の背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「大輔、守備練習だ、早く行くぞ」声の方に振り返った渡部は目を疑った
「アキ・・・家長さん?」  「なんだ大輔、居眠りでもしてたのか?」
「き・・・菊池さんリハビリは…?」  「なんだ渡部、かってにを菊池を怪我人にしやがって」
「泉澤・・・」  渡部は半分パニックになりながらスコアボードを見上げた
GK:加藤
DF:渡部、河本、菊池、和田
MF:泉澤、金澤、カルリーニョス、横谷、家長
FW:ムルジャ

暫時、唖然としていた渡部だったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「勝てる・・・勝てるんだ!」
河本からボールを受け取り、グラウンドへ全力疾走する渡部、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・

翌日、ベンチで冷たくなっている渡部が発見され、村田と吉村は病院内で静かに息を引き取った

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