大宮アルディージャ741

868 ：U-名無しさん ：2020/09/11(金) 14:36:48.55 ID:rZSouWo5F.net

本拠地、NACK5スタジアムで迎えた北九州戦
大量失点、攻撃も勢いを見せず惨敗だった
スタジアムに響くファンのため息、どこからか聞こえる「今年は残留だな」の声
無言で帰り始める選手達の中、渡部は独りベンチで泣いていた。
2015年J2で手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できるチームメイト・・・
それを今の大宮で得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」渡部は悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、渡部ははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、帰ってトレーニングをしなくちゃな」渡部は苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、渡部はふと気付いた

「あれ・・・？お客さんがいる・・・？」
ベンチから飛び出した渡部が目にしたのは、スタンド席まで埋めつくさんばかりの観客だった
千切れそうなほどに旗が振られ、地鳴りのようにアルディージャの応援歌が響いていた
どういうことか分からずに呆然とする渡部の背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「大輔、シュート練習だ、早く行くぞ」声の方に振り返った渡部は目を疑った
「あ・・・アキさん？」 「なんだ、居眠りでもしてたのか？」
「か・・・金澤コーチ？」 「なんだ大輔、かってに慎さんを引退させやがって」
「渋谷さん・・・」 　渡部は半分パニックになりながらビジョンを見上げた

GK21塩田 仁史
DF19奥井 諒
DF2菊地 光将
DF3河本 裕之
DF20大屋 翼
MF15大山 啓輔
MF17横谷 繁
MF39泉澤 仁
MF7江坂 任
FW8ドラガン ムルジャ
FW41家長 昭博
監督　渋谷　洋樹

暫時、唖然としていた渡部だったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「勝てる・・・勝てるんだ！」
スタッフからユニフォームを受け取り、グラウンドへ全力疾走する渡部、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・

翌日、ベンチで冷たくなっている内川が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った