【雷鳥は】松本山雅FC【J頁を目指す】 第738峰

805 ：U-名無しさん ：2021/09/04(土) 21:09:40.69 ID:9vgpGhJLr.net

本拠地、アルウィンで迎えた磐田戦
先発圍が大量失点、攻撃も勢いを見せず惨敗だった
スタジアムに響くファンのため息、どこからか聞こえる「今年は降格だな」の声
無言で帰り始める選手達の中、名将名波は独りベンチで泣いていた。
ジュビロ磐田で手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できるチームメイト・・・
それを今の松本で得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」名波は悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、名波ははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、帰ってFIFAをしなくちゃな」名波は苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、名波はふと気付いた
「あれ・・・？お客さんがいる・・・？」
ベンチから飛び出した名波が目にしたのは、ゴール裏まで埋めつくさんばかりの観客だった
千切れそうなほどに旗が振られ、地鳴りのようにジュビロ磐田の応援歌が響いていた
どういうことか分からずに呆然とする名波の背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「ナナ、アップだ、早く行くぞ」声の方に振り返った名波は目を疑った
「ゴ・・・ゴンさん？」 「なんだナナ、居眠りでもしてたのか？」
「お・・・大岩監督？」 「なんだ名波、かってに大岩さんを引退させやがって」
「鈴木さん・・・」 　名波は半分パニックになりながらスコアボードを見上げた
ヴァン　大岩　田中　鈴木　福西　内川　名波　奥　藤田　中山　高原
暫時、唖然としていた名波だったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「勝てる・・・勝てるんだ！」
ジヴコヴィッチからレガースを受け取り、ピッチへ全力疾走する名波、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・

翌日、ベンチで冷たくなっている内川が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った