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万葉県

1 :名無しちゃん…電波届いた?:2019/10/28(月) 13:39:40.96 .net
千葉を超えた

922 :真琴:2021/04/07(水) 02:06:43.20
筑波学園都市の超尖端量子工学研究会議が制作した「母殺し実験装置」は、
ボタンを押すと巨大粒子加速器が稼働を始め、やがてT粒子を生成する。
そのT粒子は時間を遡行し、干渉板に衝突して、ガンマ線を生成する。
そのガンマ線を観測した装置は、T粒子を生成する前の巨大粒子加速器に、停止信号を送る。
この「母殺し実験装置」が完成し、研究者たちはボタンを押す。

923 :真琴:2021/04/07(水) 02:08:26.87
最初に観察されたのは、研究者たちが
「母殺し実験」について思考することができない、という現象である。
それ、について考えようとすると、何か気が削がれ、気がつくと、
何をしているのか自分でもわからない動作にずれているのだ。
当初は心理的な障害が疑われ、研究者たちはカウンセリングを受ける。

924 :真琴:2021/04/07(水) 02:09:16.53
脳の記憶を選択的に破壊する放射線の可能性すら検討される。
最終的に研究者たちが思い至ったのは、これが物理法則である、ということだ。
「母殺し実験」は、言語的に仮想された矛盾では無く、
世界のなかに実現された「実=矛盾」なので、
それについての情報を脳が構成することができないのだ。

925 :真琴:2021/04/07(水) 02:10:13.10
次に起こり始めたのは、日常生活でのさまざまな小さな齟齬である。
極めて些細なことばかりとは言え、出来事が首尾一貫しなくなり始めたのだ。
ひとびとは「学園都市健忘」と呼び、やはりまずは心理的な問題と考えたが、
やがて、もしこれが物理法則だとしたら世界の危機である、ということに思い至る。
「母殺し実験」が喰い込ませた齟齬が、世界をじょじょに崩壊させているのだ。

926 :真琴:2021/04/07(水) 02:13:16.18
とある日、筑波学園都市で原子爆弾が起爆される。
超国家的テロ組織「じんるいの友」が犯行声明を出す。齟齬が
世界の結晶崩壊を招く前に、一切を混沌で塗りつぶし、
「こまけぇこたぁどうでも良い」という状態を世界にもたらす必要があった、
と犯行声明は述べる。「じんるいの友」はNOVA警察の一つの支脈である。

927 :真琴:2021/04/07(水) 02:20:26.68
「ワイヨが〈空飛ぶ少女〉を信じたがらないのも当然なんだ。われわれには
有人飛行機械が開発できない。技術のあゆみはもう充分なんだよ? だが、われわれが
有人飛行機械を実験飛行させると…」少佐は話を切ってロレンスの瞳を睨むように凝視する。
「偽りの月から怪光線が飛んでくる。4年前、バツク村を消滅させた爆発炎上事件を覚えていないか?
あれが、それだ。」ロレンスは初めて知る秘話に呆然とする。

928 :真琴:2021/04/11(日) 00:59:11.38
「じんるいの友」は恐れすぎたのだ。学園都市ごと原子爆弾で混沌に返さなくても、
「母殺し実験」が世界に喰い込ませた齟齬を擾乱することは可能である。
このことについては『アーカーシャにおける時間発展と射影構造』第5章「過去」
第17節の「概時間軸の局所安定性と特異点」で詳しく論じられている。
この研究こそが、いわゆる「矛盾爆弾」の概念に有効性を保証する。

929 :真琴:2021/04/11(日) 03:04:24.34
分枝世界どうしの戦争で、敵世界を完全に結晶崩壊させてしまうような攻撃手段は、
むしろ戦争目的に適さない。「概時間軸の局所安定性」があるからこそ、
「矛盾爆弾」に兵器としての有効性が出てくるのだ。
だがそれでも、「矛盾爆弾」の使用に踏み切る組織はなかなか現われない。
人間主義者たちが、帝国主義者たちに対して、「矛盾爆弾」を使用する。

930 :真琴:2021/04/13(火) 02:41:55.11
『女帝アグノーシア宮殿』が建つ更地に造成された新興住宅街を歩いているわたしは、
気がつくとNOVA警察の飛行船に乗っており、前面展望いっぱいに蓮華構造体の
地下迷宮が広がる、その真ん中に突っ込むよう高位操船技術者に命じながら、
同時に、スーパーの正面にある始点=終点駅から謎の列車が発車し、
気がつくと、渦の井から発する小川が手児奈霊堂へ流れている。

931 :真琴:2021/04/13(火) 02:48:21.66
わたしはとんっと濁流のようなガイアを蹴ると上空に跳ぶ。
無数の蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲が群がるような、機械仕掛けのような、
蠢く存在の彼方に、もう一つのやや小さめなガイアが「見える」、
大小のガイアの衝突はまだ既に起ころうと起こっている。
「大鴉にとっては、すべては、現在形なの」

932 :真琴:2021/04/18(日) 01:43:42.00
福浦島の中央部には歩きづらい庭園があって、鰍はそこを歩いている時、
一群のアオスジアゲハに取り巻かれ、脳改造を施され、チャートを開く技術を
身につけ、アーカーシャを飛べるようになり、福浦島の坂の脇に青い小屋があり、
小屋の内面にはバラバラ死体が並べられていて、更地の北東角のあたりにも
青い廃屋があり、更地の北辺の向こう側には丘があり、更地には『宮殿』が

933 :真琴:2021/04/18(日) 01:52:32.23
黒猫が、黒猫と黒猫が、黒猫が、小川に沿って古ぼけたアパートがあり、
何かの樹木がしたたれていて、黒猫が歩いており、やがて小川がゆるく右に曲がる辺りで、
青い小屋があり、小屋の窓は壊れかけていて、黒猫と黒猫が塀の上を歩きながら、
右に曲がった小川が真間山の下に消えてゆく辺りに、気がつくと黒衣の花嫁が
佇んでいて、黒猫が何喰わぬ顔で歩いてゆくのを凝視めているから、空の雲を

934 :真琴:2021/04/21(水) 01:09:48.32
「真間山の胎内の卵のなかに封印されているものが何か、
わたしにはわかった気がします」と、わたしはわたしに言う。
わたしはわたしの瞳を凝視めながら、たぶんわかったんだろうな、と考えている。
「再起動される前のガイアの全体が、丸められて丸ごと封印されているんでしょう…?」
「だとして、その前ガイアから見て、卵殻はどう見えていると思う…?」

935 :真琴:2021/04/22(木) 01:08:34.64
アーカーシャのなか、ガイアから外へ外へ真空のなかを飛ぶと、やがて
「宇宙の果て」と言うべき卵殻に到り、――というような状景を脳内で弄んだ直後、
いや、こうではないな、と思い、不意に真相が浮かぶ。
「前ガイアから見ても同じなんですね? <外>は真間山の胎内に封印されている…」
「さぁ、だとしたら、卵殻の彼岸と此岸、一体、どちらが前でどちらが後だと思う…?」

936 :真琴:2021/04/28(水) 01:02:57.46
アーカーシャの<同時面>で見ても、小ガイアと議長の大樹を繋ぐ臍帯は見えない。
それは<過去>を経由して両者を繋いでいる。蓮華の起動とともに大樹は小ガイアを
たぐり寄せる。――不意に衝突が起こり、あたり一面に鰍粒子が撒き散らされる。
大樹に絡まった小ガイアは渦の井から手児奈へ、小川に沿ってガタタタタと引き摺られる。
大門通りが糸巻きのようになり、臍帯をたぐり寄せている。やがて、

937 :真琴:2021/04/28(水) 01:08:21.78
夜。わたしは大門通りと真間山の接続点、石段の麓に立ち、森羅万象を見ている。
石段の上の方を伺うと、樹木に覆われた闇の奥から大きな顔が見下ろしている。
左手、丘の中腹を這って真間山の上に登る坂は、街灯でほのかに明るい。
さらに左に旋回すると大門通りを真っ直ぐ眺めることになる。巨大なフダラク市が
大門通りを滑走路のようにして着陸しようとしている。さらに左に旋回すると、

938 :真琴:2021/04/28(水) 01:14:52.40
卵殻は「此の世の果て」であり、その向こう側にアーカーシャは無い。
真空ですら無く、根源的にアクセス不能である。だがそれでも強引に
接続してしまった場合、わたしの演算能力のすべて、ユグドラシルを介して
「彼岸」が這いより、アーカーシャのすべてが「向こう側」に盗まれる。
不意に向こう側とこちら側が入れ替わる。

939 :真琴:2021/04/28(水) 01:17:56.24
直線が真っ直ぐ進み、その先は夜の闇のなかの黒い島に消えてゆく。
橋を途中まで渡ってみる。橋の上から内海を眺めると――夜の底はほんのり明るい。
樹木に覆われた大小さまざまの島が夜の内海に黒い影のように点々と浮かぶ様子は
無意識の底を撮影した写真のよう。見上げると満月。
鏡のように光る月をじっと覗き込んでいるとだんだん爪先立ちになってきて、

940 :真琴:2021/05/14(金) 00:46:50.79
手児奈さんの参道と家一軒分隔てて並行する道を、わたしは歩いている。
道のアスファルト舗装には貝殻が散らされていて、桜の花びらのよう。
このへんの樹には桜餅が棲みついていることが多い。
右手の大きなマンションの奥に、樹に覆われた真間山の横腹が見えている。
やがて道は大門通りと交わる。わたしは一瞬、右手の石段を見る。

941 :真琴:2021/05/16(日) 03:51:13.52
大門通りの行き止まり、そこから石段が登ってゆくが、石段とは別に、
大門通りの行き止まりから左の方へ、真間山の横腹を辿りながら登って行く坂がある。
坂のてっぺんあたりに、右へ折れる小さな石段があり、
この石段を登ったまま真っ直ぐ進むと、あの、大学の塀と墓地の生け垣に挟まれた道に
直角に交わる。このポイントを、大学、墓地、幼稚園、団地が取り囲んでいる。

942 :真琴:2021/05/20(木) 01:42:16.81
手児奈さんの参道と家一軒分隔てて並行する道を、わたしは歩く。
やがて道は大門通りと交わり、わたしは一瞬、右手の石段を眺めながら、
大門通りを渡る。そのまま進むと、狭い道が広い道に出るあたりで、
右に折れる小路が現われる。草の生えた小路をもし進めば、行き止まりから
丸太の階段を登る。階段は、真間山の横腹を辿りながら登る坂に横から刺さる。

943 :真琴:2021/05/22(土) 02:19:54.05
不意に図書館のイメージが浮かぶがわたしは右に折れて丸太の階段に向かわず、
広い道に進む。わたしは丸太の階段を一段一段登りながら道の脇の草や土を眺める。
広い道を進むわたしはとある住宅の横のおそらく私道である狭い路地、
というかスキマに、猫のように入り込み、真間山の横腹に近づく。
路地の奥にある住宅の裏は崖になっていてこれが樹木に覆われた真間山の横腹である。

944 :真琴:2021/05/22(土) 02:26:46.93
舗装されていない土の道、雑草が生えていて、青いトタンの壁、
ガスのボンベ、木の枠、そして<やま>に登る道が開いている、
ここからこの<やま>に登ることが出来る。家のなかで暮らしていても、
壁の向こう、家の裏手に<やま>が迫っているのはどういう気分なのだろう……?
ここは鎌倉なのか、それとも「更地」の北辺の道の裏手なのか……?

945 :真琴:2021/05/22(土) 02:44:13.04
『宮殿』の一角、ふだんひとが入らない裏側の構造を特定の仕方で歩き、
展望台のような小部屋に出て、そこから庭園を隔てて空間の彼方にある、
高速道路のような、3階建てのビルの群れのような、城塞都市の壁のような、
謎の構造物を眺めるのが密かな日課だけど、世界がパノラマの玩具のように
忙しげに無音で動いている。誰もこの窓を見上げない、たぶん、きっと。

946 :真琴:2021/05/25(火) 00:14:11.58
路地の奥には、塀も無く剥き出しで戸建てが建っている。
建物の横のガスボンベの奥にまわると、平らな地面からいきなり、
樹木に覆われた斜面が始まっている。対する戸建ては白い壁に黒いベランダ。
少し考えた後わたしは、ざくざくと斜面の土に足を踏み込んでゆく。ある程度登ったところで
ふと見ると、黒いベランダの2階から、顔がこちらを見ている。

947 :真琴:2021/05/27(木) 23:17:13.20
なぜそれは顔なのか。そのパターンを「顔」とにんしきするのはにんげん特有の
情報処理に過ぎない。「別の」ガイア、「別の」モナド、は、
まったく異なるからだをもち、まったく異なるせかいをもつ。
物体が先なのか、言葉が先なのか。
同じ尺度を持たないガイアどうしの座標変換など、原理的に矛盾だという気もする。

948 :真琴:2021/05/27(木) 23:25:12.23
気がつくと真間山の斜面にわたしがわたしがわたしがわたしがわたしが
一億ものわたしが折り重なって佇んでいる。アーカーシャのなかで、
この瞬間は何度も何度も何度も繰り返され、やり直されてきたのだろう。
その都度、再結晶が促され、この時空点は特異点として、渦を巻き、不変量となり、
それがこのガイアへと射影されている。わたしは解(ほど)きながら結び、佇む。

949 :真琴:2021/06/09(水) 01:11:14.28
こどもが、おしゃべりをしながら渓谷の底のような地形の、
石ころだらけの道を歩いている。湖の岸は雪で覆われていて、
黒い廊下を端まで歩くと階段がある。本館の3階は
別館では5階に繋がっていて、屋根裏のような細い廊下から
不意に溶鉱炉のような巨大な設備に出る。バルーンが空に漂う。

950 :真琴:2021/06/11(金) 00:12:53.04
夜、この道を歩くといつも、道端のこの家の二階の窓に明かりが灯っている。
下から見上げる照明は、部屋の天井で球形の姿を見せている。その明かりの
下にどのような部屋があるのかは、もちろん、知らない。住人を見たことも
無い。ある時、窓が開いていたり、ある時、明かりが灯ってなかったりする
と、不思議な気分がする。道端の野原には大樹がいて、夜空へと開いている。

951 :真琴:2021/06/11(金) 02:06:38.16
此の世の果てである卵殻において発生する事態はMWM変換ではなく
端的なMM変換であるが、両者のあいだに齟齬しか無い変換である。
駅を出てすぐの太い道を果てまで歩くと交差点の向こう側にあるビルの
2階に喫茶店があり、窓側の席に座るとその交差点を見下ろす。
T型の交差点の一つの角に書店がある。

952 :真琴:2021/06/11(金) 02:12:07.88
片方だけの眼が、気持ち悪い笑みを含みながらこちらを見ている。
物体が先なのか、言葉が先なのか。
真昼の陽射しのなか、新興住宅街の中央部にしつらえられた公園を歩く。
飲み水を出す泉のようなものの横を歩きながらふと視線を感じて
非在の方角へ振り返ると交差点をバスが左折している。谷間の底の池。

953 :真琴:2021/06/15(火) 03:34:39.96
道の片側が土の斜面になっていて、樹が生えている。
斜面のうえには家の塀が走っている。道は不定形で、
ともするとただの剥き出しの地面になる。
とある家の二階の照明をわたしは見上げる。あの照明の下のにんげんは
きっといま、わたしの著作を読んでいる。

954 :真琴:2021/06/21(月) 01:14:33.52
小さな庭に面した縁側のある和室で、座卓に向かって勉強している。
硝子戸の向こうの庭は壺のように小さく、すぐ向こうに塀が見える。
塀の下は開いていて、すぐ外には「痕跡的な小川」が流れている。
小さな庭と言っても、左手には梅の樹が生えていて、小さな池もあり、
無数の微小生物が棲みつく小宇宙だとも言える。右手の岩には猫も寝ている。

955 :真琴:2021/07/05(月) 02:29:19.15
気がつくと雨の住宅街を歩いている。
住宅街の真ん中に唐突に、背の高い黒い和風建築が立っている。
黒い建築は流れる河を見下ろしている。
この河に沿って色々な場所が結ばれている。
「水分子」というのは、いったい何の比喩になっているのだろう。

956 :真琴:2021/07/08(木) 23:47:14.37
さっきからハイパーチャートのなかで超擬時間軸に沿って状景を前進させたり
後退させたりして遊んでいる。議長に牽引されてミニガイアが近寄ってきてついに激突する、
「一瞬」全ガイアが震え、ほとんど解体する、直後、鰍粒子が撒き散らされ、
ガイアが再起動される、この「瞬間」が凄まじい特異面を描き、ハイパーガイアのなかで
美事な断層面を成している。ミニガイアは縮退し、真間山の胎内に転げ落ちてゆく。

957 :真琴:2021/07/09(金) 00:01:14.62
「東京大学の院生」から始まったわたしはいま、
「女帝アグノーシア」から「女神      」へと到る途上の
いずれかのポイントにいるのかも知れない、大鴉の意識がだいぶ近く感じる、
でも力を抜いて無数の分枝の一つへと化肉(incarnation)することは楽しい、
たとえば、ほら、杣台の地下駐車場に舞い降りて

958 :真琴:2021/07/13(火) 23:45:16.98
広大な薄暗い空間、冷え切った空気が全身を襲う。
前方に5台の装甲車が五芒星の形に止められている。と、次の瞬間、
気がつくとわたしは『宮殿』の玉座の間で玉座に座っている。
わたしの前には、なんと珍しい(懐かしい?)、「議長」がひざまづいている。
「議長」のモナドが存続する分枝があり得たなんて。

959 :真琴:2021/07/13(火) 23:51:19.25
「議長」は何かを話したそうに口をパクパクさせているが
わたしにその声は届かない。気がつくと「議長」の存在は渦を巻き掻き消える。
誰もいない玉座の間でわたしはほほえむ。次の瞬間、『宮殿』の構造体が
至る所で外れ、解体してゆく。気がつくとわたしは新興住宅街の
真ん中に造られた公園のベンチに座り樹木を見上げている。空へ張る毛細血管。

960 :真琴:2021/07/19(月) 02:45:22.37
わたしは真間山の石段の上に立ち、大門通りを見下ろしている。
公園のベンチに座っていたわたしは立ち上がり、いまでは新興住宅街になった
更地=『宮殿』の区画の北東角のほうを眺める。電車が江戸川を渡る時、
わたしはふと江戸川の上流のほうを眺める。飛行船が漂っている。
きょう、大学では、定例の形而上物理学研究会が行われる。

961 :真琴:2021/07/20(火) 03:10:39.29
庭に面した和室で机に向かってわたしはmetaphysical physicsのプレプリントを読んでいる。
黄色い電車に乗って江戸川を渡る。渋谷からは井の頭線に乗り駒場東大前で降りる。
気がつくとわたしは「やま」が住宅街と接する境界に立っている。
何の変哲も無い戸建てがあり、そのすぐ横に「ふち」があり、
「ふち」の向こうから「やま」が始まっている。土の斜面が、植物相が。

962 :真琴:2021/07/23(金) 03:15:02.09
わたしは真間山の石段を一段一段降り、大門通りを真っ直ぐ歩く。
真っ直ぐ歩くのは難しいなぜなら2点間を最短距離で歩こうとすると
アーカーシャのなかでのガイアの歪みに即してフラクタル状の迷路に囚われ
気がつくと京成八幡駅の踏切の横を歩いていたりするからで、むしろ、
距離を最小化することに囚われない方が真っ直ぐ歩ける。真間川を渡る。

963 :真琴:2021/07/31(土) 02:57:54.76
気がつくと虚空(アーカーシャ)を漂っている結晶崩壊?棲んでいる街ではない
街の駅前にいてこれから夜になるのに電車に乗らず駅から発する放射状の道を
駅から離れる方へ歩き出す繁華街がやがて住宅街になりわたしはとある路地に入る
路地は壁と壁に囲まれたでこぼこな道で道の真ん中に大きな樹木が居座っていたりする
とある塀の向こうの古屋の磨りガラスの向こうに明かりが灯っている

964 :真琴:2021/07/31(土) 03:07:19.19
崩れてゆく街を階段のように踏みながらわたしは中空へ昇ってゆく不意に
隣の部屋から凄まじい音響がほとばしるわたしは椅子に座り躰をかたくする
気がつくと椅子の背に顔が現われていてわたしは立ち上がり椅子を倒す
窓辺に立ち三階からアーケイド商店街をわたしは見下ろす無数の蟲のように
ひとびとが蠢いていてわたしはわたしはわたしはわたしはわたしは

965 :真琴:2021/08/03(火) 00:34:14.98
夜の住宅街。家家のあいだにコンクリートで蓋をしたような場所があり、
それはその下を走る電車のトンネルである。トンネルと言っても真面目に
山の横腹に穴を通したものでは無く住宅街に掘った溝に蓋をしたもの
だったのだ。夜の道の赤く火の点いた煙草。無人の団地。一箇所だけ
煌々と灯りの灯っているコンビニエンスストア。壊れかけた看板。

966 :真琴:2021/08/10(火) 23:53:11.94
スーパーマーケットの入り口にテント生地の天幕が丸く広がっていてその下に
プラスチックの椅子と白い丸テーブルが散らばっている。入り口に向かって右手には
柵が在り、柵の向こうは電車の始点=終点駅になっている。スーパーの側面に
まわると、無表情で巨大なスーパーの建物の横腹を単線が真っ直ぐ走っている。
単線は遙か彼方まで真っ直ぐ走っている。吸血鬼の小説を読んだ。

967 :真琴:2021/08/11(水) 03:02:27.60
雪の降り積もった日に家を抜け出して電車に乗り、大きな駅のデパートの
エスカレータを昇って書店に来た。『    』という小説が
新刊平積みになっていて気を惹かれる。じんるいの滅亡の後、遺跡と化した都市に
キノコのように生えている三階建てのビルの、下から上がって三階に
行き止まりのフロアがあり、天井に青く丸く星空の天幕が張られている。

968 :真琴:2021/08/11(水) 03:13:43.68
大きな岩がごつごつと並ぶ磯に打ち寄せる波のような鰍粒子の濁流のなかを
ぴょんぴょん踊るように跳びながら不意に擬時間軸が結晶してくるのを感じ
わたしは「上」を見上げる、「上空」遙かな高みをわたしが、
大鴉が悠悠と舞っている、7次元時空が不意に変調し焦点する、
わたしは高円寺の南口のアーケイド商店街を真っ直ぐ降っている。

969 :真琴:2021/08/11(水) 03:22:05.34
あまり引っ張り出すと視神経が千切れてしまう。ほどほどに引き出した眼球を
手のひらに載せ、ゼリー状の水晶体をずぶずぶと潰し掻き出す。
網膜を、傷つけないよう注意しながら剥き出しにする。
(これくらいで良いかな…)
わたしはべろを突き出すと、網膜の網を舌のまわりにキャップのようにかぶせる。

970 :真琴:2021/08/11(水) 03:31:46.33
地下に降りてゆく。底へ。底へ。
底には根の国があり、亡者たちが蠢いている。
根の国とは躰がない言葉たちの場所だ。
偏光顕微鏡で地球を観察すると、毛細血管の浮き出た羊膜が
地球をうすらと取り巻いているのが見える。

971 :真琴:2021/08/20(金) 00:05:05.66
薔薇の蕾。
中央分離帯を平均台みたいによろめいてると
躰のどこかでざわめいている未来をそっと感じる。
機械が坂を登ったら法律ができて女っぽくなった。
ここが出口かも知れない。

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