世界一の昆虫 リチャード・ジョーンズ
- 1 ::||‐ 〜 さん:2013/01/19(土) 20:44:17.98 ID:EYBvTtrY.net
- いちばん古い昆虫
リニオグナータ・ヒルスティ ( Rhyniognatha hirsti )
発見場所 英国スコットランド・アバディーン州
- 2 ::||‐ 〜 さん:2013/01/19(土) 20:45:08.33 ID:EYBvTtrY.net
- 昆虫の化石が見つかった場合、その化石は徹底的に調べ尽くされなければならない。
昆虫は個体数も多く、地球上で最も栄えている生物といえる。
しかし化石としてはとても残りにくい。
昆虫は相対的に小さく、さまざまな生物に食べられることが多いうえ、たやすく消化されてしまうからだ。
また食べられなかった場合でも、遺骸が残ることはまずない。
かたい外骨格(外側のかたい殻)ですら、さまざまな微生物が容易に分解できる化合物でできているからだ。
1919年、スコットランドのアバディーン州ライニーのライニー・チャートと呼ばれる岩石から発見された化石は、
4億700万年〜3億9600万年前に生きた、トビムシの遠い祖先とされた。発見者はW・クラン牧師だった。
- 3 ::||‐ 〜 さん:2013/01/19(土) 20:46:01.87 ID:EYBvTtrY.net
- そして、1926年、S・ハースト、S・モーリック、D・J・スコーフィールドの3人の古生物学者により、
この化石はアケボノトビムシ ( Rhyniella praecursor ) と名づけられた。
2年後、この化石はオーストラリアの昆虫学者であるロビン・ティルドヤードによって再調査された。
その結果、アケボノトビムシの頭部の一部だと思われていた断片が、実は異なる生物の一部であることが判明した。
つまり、アケボノトビムシの化石には、断片ではあるが、もう一匹いたのだ。
ティルドヤードはこの生物をリニオグナータ・ヒルスティと名づけた。
リニオグナータという属名は「ライニーの顎」という意味だ。
この段階では、アケボノトビムシとリニオグナータ・ヒルスティは、どちらも世界最古の昆虫化石だった。
ところが20世紀が終わろうとする頃、トビムシの分類学的な位置が再検討され、
トビムシは昆虫から外された。
- 4 ::||‐ 〜 さん:2013/01/19(土) 20:47:48.29 ID:EYBvTtrY.net
- 最古の昆虫化石は「昆虫」ではなくなるのか。
2004年、進化昆虫学者のマイケル・エンゲルとデイビッド・グリマルディが、
リニオグナータ・ヒルスティの化石を再調査した。
ヒルスティの化石化した顎は、新しい顕微鏡を用いてより詳細に調べられ、驚くべき発見に結びついた。
ヒルスティの顎の形態は、幅の広い三角形で、そこには歯状突起があり、口器のほかの部分よりも明瞭な2つのふくらみがあったのだ。
この事実は、ヒルスティがトビムシではなく、おそらく翅をもつ真正の昆虫であることを示していた。
この化石が発見されたライニー・チャートは、活動が盛んな温泉や間欠泉が点在する地域で形成された岩石だ。
翅や軟組織などの顎以外の部分は、火山性の熱湯によってダメージを受けたためか残されていない。
リニオグナータ・ヒルスティがどのような姿をしていたのか全体像に迫ることはできないが、
少なくとも最古の「昆虫化石」であることだけは間違いない。
- 5 ::||‐ 〜 さん:2013/01/20(日) 01:10:56.86 ID:N/BnMD6b.net
- 昆虫界の巨漢
タイタンオオウスバカミキリ ( Titanus giganteus )
生息地 ベネズエラ、コロンビア、エクアドル、ペルー、ギアナ、ブラジル
特徴 現世で世界最大の昆虫
- 6 ::||‐ 〜 さん:2013/01/20(日) 01:11:53.69 ID:N/BnMD6b.net
- 体長が17cmもあるこの甲虫は、学名を Titanus giganteus という。
巨人タイタンにちなんだ学名は1771年、スウェーデンの博物学者カール・フォン・リンネが、
自分の考案した新しい命名法 ( 属名と種名を並べた二名法 ) にのっとって命名した。
その大きさにじつにふさわしい学名だが、リンネは百科事典の挿絵を見ただけで、この名前をつけたのだ。
リンネが実物を見ることができなかったのにはわけがある。
- 7 ::||‐ 〜 さん:2013/01/20(日) 01:14:29.79 ID:N/BnMD6b.net
- 当時この昆虫は、大変珍しかった。18世紀にはブラジル北部の都市、マナウス近くのネグロ川岸に、たまに死骸が打ち上げられることはあった。
実際に生きた姿が目撃されたのは1958年、新しく設置された街灯に誘われて出てきたのが初めてだった。
いまだに成虫以前の生態については詳しくわかっていないが、類似種の幼虫は脚のないテッポウムシ型で、
朽ち木のなかで育つことはわかっている。
- 8 ::||‐ 〜 さん:2013/01/20(日) 01:16:15.69 ID:N/BnMD6b.net
- タイタンオオウスバカミキリが本当に世界最大の昆虫かどうかについては、議論の余地がある。
生きたまま採集された標本からの信頼できるデータが少なく、大きな重要な指標となる体重についてもほとんどデータがない。
そのため世界最大の栄冠のライバルとして、ほかの4種類があげられる。
南アメリカにいるゾウカブト属のアクテオンゾウカブト Megasoma actaeon (13.5cm) と
エレファスゾウカブト Megasoma elephas (13.7cm)、アフリカのオオツノハナムグリ属のレギウスオオツノハナムグリ Goliathus regius (11cm) と
ゴライアスオオハナツムグリ Goliathus goliathus (11cm)。
いずれも体長は現チャンピオンよりも短いが、見劣りしないいい体格をしている。
- 9 ::||‐ 〜 さん:2013/01/20(日) 17:49:55.85 ID:N/BnMD6b.net
- 世界一の長い体
チャンオオナナフシ ( Phobaeticus chani )
生息地 ボルネオ
特徴 体と脚を合わせた体長が最も長い
- 10 ::||‐ 〜 さん:2013/01/20(日) 17:51:08.85 ID:N/BnMD6b.net
- 昆虫が捕食されないための最良の策はなんだろう。答えは姿を隠すことだ。
カムフラージュによって周りの状況に溶け込むことは、うまい隠れ方といえる。
鉛筆のように細い体と針のように細い脚をもったナナフシの姿は、彼らが登る木の枝にそっくりだ。
身を隠すのが得意なうえ、天敵もいない場所においては、数種類のナナフシが当然の進化をとげた。巨大化したのだ。
- 11 ::||‐ 〜 さん:2013/01/20(日) 17:52:17.20 ID:N/BnMD6b.net
- およそ100年間にわたって、世界最長のナナフシはボルネオのセラティペスオオナナフシ Phobaeticus serratipes と信じられてきた。
これは体だけで328mm、脚を伸ばすと499mmにも達する。ところが1995年にマレーシアで巨大なナナフシが発見されると、
皮肉なことにこの種が本当のセラティペスで、ボルネオのセラティペスは、
じつは近縁のカービーオオナナフシ Phobaeticus kirbyi であることが明らかになった。
- 12 ::||‐ 〜 さん:2013/01/20(日) 17:53:04.80 ID:N/BnMD6b.net
- セラティペスの体と脚を合わせた総体長は555mmもあったが、体の部分はカービーよりもわずかに短かった。
昆虫を計測するのは非常に難しく、必ず議論の的となる。
ほとんどの場合は脚、触覚、尾、口先は除いて計測する。
同じ種でも個体差があり、オスとメスとでも大きく違ってくるからだ。
また同じ固体でもナナフシの脚の場合、どちらに向けて計るかによっても長さが変わる。
- 13 ::||‐ 〜 さん:2013/01/20(日) 17:54:56.75 ID:N/BnMD6b.net
- しかし2008年10月、マレーシアのサバ州 ( ボルネオ島北西部 ) で新種のナナフシが発見され、この件は落着した。
チャンオオナナフシは、マレーシアの昆虫学者ダトゥック・チャン・チュウ・ルンの名前から命名された。
彼は地元の昆虫採集者が発見した3匹のうち、最大のものをロンドンの自然史博物館に寄付した。
長さは体だけで357mm、脚を含めると566mmもある。測り方を問わずとも、文句なしの最高記録だったのだ。
- 14 ::||‐ 〜 さん:2013/01/20(日) 18:06:59.22 ID:Sl/eEchZ.net
- 基地外 こ わ い
- 15 ::||‐ 〜 さん:2013/01/20(日) 18:32:11.82 ID:SD5OESbL.net
- 俺は楽しく読んでるぞ
続けろ>>1
- 16 ::||‐ 〜 さん:2013/01/21(月) 14:55:14.59 ID:Mp7sG2L6.net
- 驚くほど真っ白
シロコガネのなかま ( Cyphochilus sp. )
生息地 東南アジア
特徴 あらゆる昆虫の中で最も体色が白い
- 17 ::||‐ 〜 さん:2013/01/21(月) 14:56:47.84 ID:Mp7sG2L6.net
- シロコガネは自然界で最も白い、「純白の虫」だ。
体の色が白いだけでも昆虫としては珍しいが、その色は動物の歯や牛乳よりも白いという。
シロコガネのなかまは東南アジアに広く分布し、成虫はサトウキビの害虫だと考えられている。
幼虫はキノコ類を食べて成長する。
- 18 ::||‐ 〜 さん:2013/01/21(月) 14:57:43.98 ID:Mp7sG2L6.net
- それにしても茶色や緑色があふれる自然界において、白はあまりにも捕食者の目につきやすい色だ。
最もよく知られている白い昆虫はモンシロチョウなかま Pieris sp. だが、これは他のチョウと同じように、
交尾のときにその紋様でお互いを認識するためだ。
ではシロコガネはなぜ白いのだろうか。幼虫が食べているキノコの白さに溶け込んで、姿を隠すためではないかという説もある。
シロコガネの体を詳しく調べたところ、外骨格 ( 外側のかたい殻 ) は、濃い茶色または黒い色をしており、
白く見えるのは真っ白な鱗片が体表をおおっているせいであることがわかった。
鱗片は非常に細かく、一片は0.25×0.1mm、厚さは0.005mmにすぎない。
この微細な鱗片が体だけでなく頭や脚までくまなくおおっているため、シロコガネは白く見えるのだ。
- 19 ::||‐ 〜 さん:2013/01/21(月) 15:02:51.26 ID:Mp7sG2L6.net
- とはいえ全身がうす茶色の台湾産のキフォチルス・ウニデンタートゥス Cyphochilus unidentatus が示すように、
シロコガネ属すべての種が純白の鱗片におおわれているわけではない。
この鱗片についてはイギリスのエクセター大学の光物理学者ピート・ビュクシッチが研究している。
それによると、鱗片のなかに存在する約0.00025mmの細かい繊維 ( フィラメント ) が不揃いな網状になっているため、白く見えるのだという。
フィラメントが不揃いであることによって、自然光に含まれているさまざまな色が均一にむらなく散乱し、どれか一色が突出することがない。
その結果、白く見えるというわけだ。
- 20 ::||‐ 〜 さん:2013/01/21(月) 15:39:06.46 ID:Mp7sG2L6.net
- ぴかぴかに輝く体
プラチナコガネのなかま ( Plusiotis sp. )
生息地 中央アメリカ、南アメリカ
特徴 磨き上げた金属のような光沢を帯びている
- 21 ::||‐ 〜 さん:2013/01/21(月) 15:42:01.57 ID:Mp7sG2L6.net
- 昆虫の体色には、さまざまな目的がある。
例えば緑色や茶色をしていれば葉や幹、枝などにカムフラージュできる。
あるいは鮮やかな黄、オレンジ、赤色は、そこに黒い模様が混じる場合もあり、毒や針をもっているかもしれないという威嚇になる。
しかしこのプラチナコガネのなかまのように美しく輝く色は、どちらの役目も果たさない。
甲虫やハチ、ハエ、チョウなどにはブロンズ色、青、緑、赤、紫色がメタリックに輝くものが多くいる。
例えばテントウムシの翅が赤く見えるのは、太陽光線のうち黄、緑、青色の波長は翅に吸収され、赤色の光の波長だけが反射するためだ。
- 22 ::||‐ 〜 さん:2013/01/21(月) 15:43:36.04 ID:Mp7sG2L6.net
- 一方、動物の体色としては珍しいメタリックゴールドの光沢は、白色の太陽光が屈折することによって生まれる。
プラチナコガネの輝きは、まるでダイヤモンドを通した太陽光が虹色に輝くようなものだ。
電子顕微鏡を通して見ると、プラチナコガネの表皮には細かい溝が平行して走っていることがわかる。
この溝に決まった角度で光が入射すると、磨いた金属のように光るのだ。
プラチナコガネのきらきらと輝く色は、チョウのように異性に対するアピールのためだけにあるのではない。
最も重要な目的の一つは、むしろ注目されないことだ。濡れた木々の葉や水たまりは、まばゆい陽光を受けてきらきらと光る。
そのなかでプラチナコガネの輝きは、形を頼りに獲物を探す捕食者の目をくらますことができるのだ。
- 23 ::||‐ 〜 さん:2013/01/21(月) 21:25:28.14 ID:Mp7sG2L6.net
- ねばねばしたわな
ツノキノコバエの幼虫 ( Keroplatidae )
生息地 世界各地
特徴 食物を集めるために粘液で巣をつくる
- 24 ::||‐ 〜 さん:2013/01/21(月) 21:27:11.04 ID:Mp7sG2L6.net
- ツノキノコバエは幼虫期のあいだ、唾液腺から粘液を出す。
粘液とは、ねばねばした分泌物のことで、特に軟体動物や脊椎動物にとっては有用なものだ。
例えばカタツムリやナメクジは、彼らが進む道をなめらかにするためや、防御のために粘液を出す。
ぬるぬるした体を捕食者がいやがるからだ。粘液を利用する昆虫はあまり思いつかない。
しかし、これだけ便利なのだから、粘液を利用する昆虫がいても不思議ではない。
粘液はムチン分子でできている。ムチン分子とは、糖鎖におおわれた長いタンパク質だ。
糖鎖には保水性や吸着性があり、ムチン分子がお互いに触れ合うと、弱い接着剤のような働きをする。
粘液は乾いたり、かたまったりせず、終始濡れた状態と粘着性を保つ。
- 25 ::||‐ 〜 さん:2013/01/21(月) 21:28:19.24 ID:Mp7sG2L6.net
- ツノキノコバエの幼虫は、朽ちた木の下や菌類の子実体の下、もしくは洞穴のなかに生息し、
ねばねばした粘液で目の粗いシート状の網をつくる。
網は小さな雫でおおわれており、ときには隠れ家にするための柔らかい管を設けたりもする。
ツノキノコバエの多くの種は、非常に栄養価の高いキノコの胞子を食べる。
空中を浮遊する胞子は捕まえにくいが、粘液の網ならば捕まえやすい。
またツノキノコバエのなかまには、シュウ酸を含んだ巣をつくる種もいる。
シュウ酸とは酢に似た単純な化学物質だが、酢よりもずっと刺激が強く、人間を含む多くの動物にとって有毒だ。
網に掛かった獲物はシュウ酸によって命を落とす。
ほかの昆虫などを食べるツノキノコバエは、そのような特殊な網を使って、捕らえた獲物を食べる。
- 26 ::||‐ 〜 さん:2013/01/21(月) 21:49:08.00 ID:DhWaDVmY.net
- なんの本書き写してんの?
- 27 ::||‐ 〜 さん:2013/01/22(火) 12:35:40.96 ID:BEJFW7fn.net
- >>27
スレタイググレば見つかる
- 28 ::||‐ 〜 さん:2013/01/22(火) 12:55:39.54 ID:BEJFW7fn.net
- 頭で巣穴をブロック
トランカトゥスヒラズオオアリ ( Colobopsis truncatus )
生息地 世界各地
特徴 生きている巣穴の扉として自分の頭を使う
- 29 ::||‐ 〜 さん:2013/01/22(火) 12:57:59.08 ID:BEJFW7fn.net
- アリの営みは、複雑な社会的分業システムによって守られている。
働きアリは食物を探し、巣をつくる。そして兵アリは敵と戦い、巣を防御する。
自分たちで作り上げた守るべき砦である巣は、アリにとって最も重要な資産だ。
まだ巣のなかの幼虫やさなぎ、冬のために貯蔵してある食料を、捕食者や寄生者、他種のアリなど多くの敵から守らなくてはならない。
- 30 ::||‐ 〜 さん:2013/01/22(火) 13:05:10.63 ID:BEJFW7fn.net
- ヒラズオオアリの巣の守り方はユニークだ。
兵アリは木槌のような形をした頭をもっており、それで巣穴の入り口を塞いで守る。
小さな穴は1匹で塞ぐことができるが、大きな穴の場合は、何匹かが集まりバリケードを築く。
兵アリは巣を離れることはほとんどなく、巣に出入りする働きアリが兵アリ用に運んでくる食物を食べる。
働きアリが巣を出入りするときには、入り口を塞いでいる兵アリがいったん後ろによけて通す。
兵アリはその巣に独特のにおい ( 科学的刺激 ) と、働きアリと触覚を触れ合わせ、相手の触覚に生えている微毛からうける刺激 ( 物理的刺激 ) の両方によって、
同じ巣のなかまかどうかを識別しているのだ。もしも巣が攻撃されれば、危険を察知したアリは警戒フェロモンであるウンデカンという化学物質を腹部の分泌線からだす。
するとこの化学物質を感知したなかまのアリは興奮し、兵アリは急いで入り口を塞ぐのだ。
- 31 ::||‐ 〜 さん:2013/01/22(火) 14:50:55.36 ID:BEJFW7fn.net
- 似ても似つかぬオスとメス
キイロホタルモドキ ( Drilus flavescens )
生息地 ヨーロッパ本土、イギリス
特徴 オスとメスの形が全く違う
- 32 ::||‐ 〜 さん:2013/01/22(火) 14:54:59.67 ID:BEJFW7fn.net
- 全く違う生物に見えるほど、オスとメスの見た目がかけ離れた昆虫がいる。
ホタルやベニホタルに近いなかまであるキイロホタルモドキだ。
そのオスは体長4〜7mmと小さく、体色は茶色で黒い胸部と頭部、羽毛状の触覚をもつ。
一方のメスは対照的で、オスの50倍もの大きさがあって柔らかく、たるんだイモムシのような姿だ。
またオスは暑い晴れた日には空を飛ぶのに対し、メスにはかたい前翅も、飛ぶために使う膜のような後翅もない。
さらにオスは石灰岩の土の上にいることが多いが、メスはあまり見かけることはない。
2003年に交尾するペアが写真撮影されるまで、メスの姿はほとんど確認されなかったほどだ。
- 33 ::||‐ 〜 さん:2013/01/22(火) 14:56:34.84 ID:BEJFW7fn.net
- 一般的に昆虫のオスはたくさんの精子をつくり、できるだけ多くのメスにばらまこうとする。
メスは気をひくことに成功したオスと交尾をするが、複数回の交尾は避けようとする。
それは時間の無駄であると同時に、身体的なダメージを受けることもあるからだ。
このようなオスとメスの生物学的な動機は、全く違う行動を生み出し、体の形を変えてしまう。
ほとんどの昆虫のオス、メスは性差は小さなものだが、このキイロホタルモドキの性差は破格に大きい。
キイロホタルモドキの幼虫は、小さなカタツムリを食べる。広い地域に生息する昆虫にしてはメスやその幼虫がとても少なく、
あるいは隠れているため、その生態は1903年までほとんどわかっていなかった。
なぜオスとメスがこれほどまでに違うのかはいまだに謎だ。
日本産のイリオモテボタルやキベリクシヒゲボタル ( いずれもホタル科 ) なども幼虫がカタツムリを食べ、やはり性差が大きい。
これらの種の研究から、キイロホタルモドキの謎も、解き明かされていくだろう。
- 34 ::||‐ 〜 さん:2013/01/22(火) 15:15:15.08 ID:BEJFW7fn.net
- オスとメスが半分ずつ
マーシュヒョウモンモドキ ( Euphydryas aurinia )
生息地 世界各地で見られるが、この場合は飼育による
特徴 ギナンドロモルフ ( 雌雄モザイク )
- 35 ::||‐ 〜 さん:2013/01/22(火) 15:18:31.46 ID:ni0Es3q+.net
- てs
- 36 ::||‐ 〜 さん:2013/01/22(火) 18:42:17.66 ID:740hW3oR.net
- ウザイからやめい
- 37 ::||‐ 〜 さん:2013/01/23(水) 09:24:47.22 ID:LWmxe1Td.net
- 昆虫は通常、完全にオスかメスかのどちらかだが、
ごく稀にオスとメスの特徴を半分ずつもつ個体が現れることがある。
正中線を境界として左右で性が異なる雌雄両型を 「 ギナンドロモルフ 」 という。
さまざまな種に見られる現象だが、特にチョウによく見られ、その特徴が最もはっきりと現れる。
チョウもほかの動物と同じように、性別は性染色体によって決まる。
メスは2つのX染色体をもち ( XX ) 、オスは1つしかもっていない ( XO ) 。
従って、チョウの精子はX染色体を1つもつか、もっていないかのどちらかだ。
- 38 ::||‐ 〜 さん:2013/01/23(水) 09:27:00.70 ID:LWmxe1Td.net
- このマーシュヒョウモンモドキは、卵子に受精した精子にX染色体があったため、子はXX、すなわちメスになると決まっていた。
しかし最初の細胞分裂のあとで一方の細胞がX染色体を1つ失ったためにXO、つまり半分はオスの細胞になってしまったのだ。
この後、何百万回かの細胞分裂のうちに幼虫になり、さなぎになり、この個体は右半分はメス、左半分はオスとなった。
成虫になったときも右半分はメス、左半分はオスのままだった。
ギナンドロモルフは非常に珍しく、その個体も長生きすることはほとんどない。
繁殖器官はオスとしてもメスとしても機能しないので子孫を残せない。また、
チョウのなかでオスとメスの翅の模様が違う種では、1つの個体に両方の模様が現れる。
マーシュヒョウモンモドキの場合、オスはメスよりかなり小さいため、
野性では、螺旋飛行をしながら死んでしまうだろう。
- 39 ::||‐ 〜 さん:2013/01/23(水) 09:31:01.18 ID:LWmxe1Td.net
- 腹をぱんぱんにふくらます
ミツツボアリのなかま ( Myrmecocystus ihflatus )
生息地 オーストラリア、ニューギニア、南アフリカ、アメリカ西部からメキシコにかえての一帯
特徴 体のふくらませて蜜や水分を貯める
- 40 ::||‐ 〜 さん:2013/01/23(水) 09:34:07.87 ID:LWmxe1Td.net
- 多くの地域では、何千年ものあいだ糖分といえばミツバチの蜜だった。
しかしオーストラリア、アメリカ西部、メキシコ、南アフリカ、ニューギニアなどでは、ほかからも糖分を取ることができた。
大きくふくらんだミツツボアリだ。
ミツツボアリは、はち切れんばかりに大きくふくらんだ胸部をもつ。
彼らの仕事は巣穴の天井からぶら下がって動かず、なかまの働きアリがもち帰る、アブラムシなどの甘露 ( 甘みの強い排泄物 ) を腹に貯めておくことだ。
- 41 ::||‐ 〜 さん:2013/01/23(水) 09:37:34.57 ID:LWmxe1Td.net
- この生態は世界中のさまざまな種に見られるが、主に砂漠に住む生物に多い。
食料が見つからない時期に、厳しい環境下でなかまと共に生き残る手だてとなっている。
このような貯蔵アリは、自分の体を働きアリの何百倍にもふくらますことができる。
彼らの透きとおった体は、無色透明から黄色がかった茶色、そして濃い琥珀色まで、そのとき貯めているものによって色を変える。
濃い色のときはブドウ糖や果糖、色が薄くて重たいときは薄い糖液が入っている。
腹部に蜜などを貯蔵するように進化したのは、いつ咲くか予想のつかない砂漠の花から食料を得なければならないという、厳しい環境のためだろう。
貯蔵アリは涼しく湿気の多い時期に腹部をふくらませ、暑く乾燥した時期にはなかまたちに中身を提供する。
その境目は、気温が30〜31℃くらいのときだ。ミツツボアリの本当の目的は、
干ばつ時に備えて水分を貯めることにある。
- 42 ::||‐ 〜 さん:2013/01/24(木) 17:44:18.43 ID:Hb7fQ1Wl.net
- 生まれる季節で容姿が異なる
アカマダラ ( Araschnia levana )
生息地 ヨーロッパ、アジア北部、日本 ( 北海道 )
特徴 育った季節により外見が違う
- 43 ::||‐ 〜 さん:2013/01/24(木) 17:47:28.17 ID:Hb7fQ1Wl.net
- ヨーロッパに生息するアカマダラには 「 ヨーロッパ地図 」 という愛称がある。
翅の裏側を彩る美しい模様が由来だ。
その模様はオレンジ色の背景に茶色がまだらにさし、鮮やかな白い線の十文字が方位磁石のように描かれており、確かに古い地図のように見えないこともない。
しかしもっと注目すべきなのは翅の表側のほうだ。
さなぎで冬を越し、春に成虫となったアカマダラの翅の表には、鮮やかなオレンジ色の地に黒い斑点がある。
春のチョウが産んだ卵から生まれた幼虫はイラクサを食べ、数週間後の夏には成虫となる。
ところがこの夏に見られるチョウは、春のチョウとは全く違い、真っ黒な翅にまぶしい光の筋のような白い模様があるのだ。
色や模様があまりに違うので、長いあいだ両者は、別種のチョウだと考えられていた。
これほど差がある2つの型をもつ理由を求めて、多くの昆虫学者がアカマダラを研究した。
その結果、今では色や模様を決定する要因についてかなり解明ている。
どうのような成虫に変態するかは、さなぎの時期の日の長さや気温により決まる。
- 44 ::||‐ 〜 さん:2013/01/24(木) 17:49:58.71 ID:Hb7fQ1Wl.net
- もし日が短くて寒ければ越冬し、春にオレンジ色の春型が生まれる。
一方日が長く暖かければ、白黒の夏型が生まれる。事実、人工的に作った実際の季節の反対の環境でさなぎを生育したところ、
全く反対の色相をもつ成虫が生まれたのだ。
しかしなぜアカマダラが2つの型を示すのかはまだわかっていない。しかも分布図の北の地域では1つの色相しか存在せず、
南の地域には3つめの色相、つまり春型と夏型の中間が存在するのだ。
色や模様が違うように、形にも違いが現れる。夏型の翅は大きく。あまりとがっていない。
より重く筋肉のついた胸部と、それに比べて小さめの腹部をもつ。
これらの特徴から、夏型は別の土地に移動するのに向いているのではないかと思われる。
反対に春型は定住性なのではないか。
しかしこれもまた、なぜ1種のチョウが全く違う外見を持つ必要があるのかの説明にはならない。
- 45 ::||‐ 〜 さん:2013/01/25(金) 21:25:27.99 ID:FJB3GYlh.net
- 児童書のような書き方だな
- 46 ::||‐ 〜 さん:2013/01/25(金) 21:36:36.23 ID:MQicTzcP.net
- 翅の数が世界一
ニジュウシトリバガ ( Alicita sp. )
生息地 世界各地
特徴 どの昆虫よりも翅が多い
- 47 ::||‐ 〜 さん:2013/01/25(金) 21:40:14.06 ID:MQicTzcP.net
- トリバガには、はたして何枚の翅があるように見えるだろうか。
ふつう昆虫の翅といえば4枚だ。
一見翅がないように見える甲虫も、じつは飛ぶための後翅2枚を、かたい前翅2枚が大切におおっている。
もちろん例外もある。例えばハエには2枚の翅しかないし、ノミやシラミになると翅は1枚もない。
ニジュウシトリバエも、基本の翅は4枚だ。しかし、4枚の翅それぞれが手をひらいたように、さらに6本ずつに枝分かれしている。
というわけで、このガの翅の数は「24枚」が答えとなる。
- 48 ::||‐ 〜 さん:2013/01/25(金) 21:42:41.53 ID:MQicTzcP.net
- トリバガのなかまの翅はどれも細長く、毛が生えていて、まるで鳥の羽のようだ。休むときにはその翅を揃えて閉じるが、
その様子は枯れた枝や草のように見える。種によっては写真のトリバガのように、翅が毛の生えた小枝のように分かれているものもある。
この小枝のような翅は1枚1枚が翅脈にあたり、飛ぶときに翅を広げるために使われる。
翅脈というのは、ハチやハエのように透きとおった翅だとはっきりと見える、植物の葉脈のような管だ。
水生だった昆虫の祖先がエラとして使っていた器官が、4億年ほど前に進化し、翅になったと考えられている。
その証拠として、現代でもカワゲラ目やカゲロウ目の幼虫に、原始的なエラを見ることができる。
そして翅脈は、呼吸器官の名残だと考えられている。
いろいろな昆虫の翅の構造を研究した結果、最初に飛んだ昆虫はそれぞれの翅に8本ずつ翅脈をもっていたが、その後6本となったことがわかった。
6本の翅脈はニジュウシトリバガの翅にもはっきりと見てとることができる。
- 49 ::||‐ 〜 さん:2013/01/25(金) 22:10:28.76 ID:MQicTzcP.net
- いちばんぺしゃんこ
バイオリンムシ ( Mormolyce sp. )
生息地 東南アジア
特徴 最も平たい形状をしている
- 50 ::||‐ 〜 さん:2013/01/25(金) 22:11:09.35 ID:MQicTzcP.net
- 歩行虫とも呼ばれるオサムシのなかまは、その名前が示すとおり地面の上を敏速に歩行し、他の昆虫や無脊椎動物を食べている。
最も多様性がある昆虫の一つで、世界中に分布が広がった理由として、後脚の特殊な構造があげられる。
腿節( 胴から3節目 )と基節( 胴から1節目 )とのあいだに、転節( 胴から2節目 )と呼ばれる、小さな筋肉でみたされた環節がある。
この構造のおかげで、後ろ方向だけでなく下へも長い脚で強く蹴ることができるのだ。
オサムシのなかまは、草の根のあいだや石の下など狭いところにもぐり込むのが得意だ。
まずはくさび形の平たい体を隙間のできるだけ先まで押し入れ、さらに体を上げ下げしながら草や土を押し、前進していく。
このユニークな方法で、地中の根や落ち葉のなかを分け進み、獲物を深く追うことができる。
オサムシのなかまであるバイオリンムシは現在5種確認されているが、すべて東南アジアに生息していて、
どれも狭いところにもぐり込む習性をもっている。
土や草ばかりでなく、枯れ木の皮や切り株の細い裂け目のなかにまで平たい体と細い頭、胸部を押し込み、獲物を探すのだ。
パイナップル科の植物であるアナナスの葉のつけ根で見られることもある。
- 51 ::||‐ 〜 さん:2013/01/26(土) 03:09:54.39 ID:THjBHMcw.net
- >>45
直訳調だし、編集の際に文章を整えてないようなところも見受けられる。
- 52 ::||‐ 〜 さん:2013/01/27(日) 23:41:16.57 ID:AclbnVY2.net
- 前後があべこべ
モモハモグリガ ( Lyonetia clerkella )
生息地 ヨーロッパ、マダガスカル、アジア南部、日本 ( 北海道を除く )
特徴 脚、目、触角が翅の先についているように見える
- 53 ::||‐ 〜 さん:2013/01/27(日) 23:43:51.02 ID:AclbnVY2.net
- モモハモグリガの幼虫はリンゴやナシ、サクランボ、モモといったバラ科果樹の葉が大好物だ。
非常に小さな体を歯の内部にもぐり込ませて食べるため、空洞になった食べ跡は、くねくね曲がった色の薄い筋として葉に残される。
モモハモグリガが最も変わって見えるのは、成虫に変態したときの姿だ。4mmほどの翅の先には、灰色と黒の模様がついているが、それ以外は白っぽいのだ。
その模様が見方によっては、濃い色の体に6本の足、2本の触覚と黒い目をもつ小型の昆虫が、もう1匹いるように見える。
このような見せかけだけの眼、頭部、触角の模様は、チョウの翅にもよく見られる。
チョウの場合、眼のような黒い斑点が後翅の端にあり、尾のように伸びた部分はまるで触角のように見える。
一方ハモグリガ ( Lyonetia ) は細長い翅をもつ小型のガで、翅の先に偽の脚と偽の頭部に見える模様をもっている。
ヨコバイにも腹をおおうテントのようにたたんだ翅の先に、ハモグリガと同じような模様をもつものがいる。
この模様は、敵にわざと偽の頭部にかみつかせることで、ほかの重要な器官へのダメージを回避するためにあると考えられてきた。
しかしそれでは、むしろ本当の頭へ誘導してしまうのではないかという興味深い説もある。
敵は後ろからそっと近づいたつもりが、じつは本当の頭に真正面から近づくことになる。
その場合、ハモグリガは本物の眼と本物の触角で、敵を感知できるだろう。
- 54 ::||‐ 〜 さん:2013/01/28(月) 00:07:50.61 ID:VMzPaboA.net
- 世界一長い産卵管
オナガバチ ( Rhyssa )
生息地 ヨーロッパ、北アフリカ、アジア、北アメリカ
特徴 体長より長い、注射器のような産卵管をもつ
- 55 ::||‐ 〜 さん:2013/01/28(月) 00:10:29.54 ID:VMzPaboA.net
- ヒメバチは、幼虫のための巣をつくらない。
そのかわり、もっと悪賢い方法をとる。ガやチョウなど、ほかの昆虫の幼虫の体内に卵を産みつけるのだ。
さなぎに産みつける場合もある。卵からかえった幼虫は、寄生した相手を生きた食料として内部から食べて、いずれ殺してしまう。
このように寄生した相手が死ぬまで食べ尽くすことを「捕食寄生」という。
ヒメバチをはじめとする寄生バチは多種多様であり、じつにいろいろな昆虫に寄生する。
非常に小さなホソハネコバチからかなり大きなオナガバチまで、体の大きさもさまざまだ。
オナガバチは大きな幼虫の食欲に見合うルリキバチ ( Sirex ) の幼虫を寄主として選ぶ。
- 56 ::||‐ 〜 さん:2013/01/28(月) 00:11:10.00 ID:VMzPaboA.net
- ルリキバチはスズメバチの巨大なものほどの大きさがあり、枯れ木や幹に卵を産みつけるために使う頑丈な尾がある。
ルリキバチの幼虫は枯れ木のなかに穴を掘りながら食べ進み、成虫となるまでの1〜3年を過ごす。
しかし穴のなかにいても幼虫がオナガバチから隠れることはできない。
オナガバチのメスは、厚さ4cmほどの幹ごしに、ルリキバチの幼虫が出す化学物質を感知できるのだ。
オナガバチの長さ4cmほどの細い尾は、体より長く、3つの部分に分かれている。
針のように細い1本の産卵管を、2つの細長い鞘が保護している。
メスは長い脚を木の幹に踏ん張り、体を高い位置に引き上げて固定し、
柔軟な腹部を押し下げながら、細長い産卵管を木のなかの幼虫に届くまでゆっくりと刺し入れる。
こうしてオナガバチの幼虫は成虫になるまでの食料を確保し、ルリキバチの命運はここに尽きることになる。
- 57 ::||‐ 〜 さん:2013/01/28(月) 14:47:34.03 ID:VMzPaboA.net
- 頭の横幅がいちばん広い
シュモクバエのなかま ( Diopsidae )
生息地 熱帯地方、特に東南アジアとアフリカ南部
特徴 体長より長く横に広がった枝状の突起に眼がついている
- 58 ::||‐ 〜 さん:2013/01/28(月) 14:48:33.21 ID:VMzPaboA.net
- 動物界では、メスの気ひくために争うのはオスのさがともいえる。
勝者は特権として、メスに囲まれて暮らすハーレムを得たり、たくさんの子孫をもうけることができる。
しかし、争いは体力を消耗して体に受けるダメージが大きいことから、オスの寿命は短くなる。
オス同士が戦う前に敵の大きさを測り、無駄な争いを避けることができれば好都合だろう。
シュモクバエのなかまはそんな、相手の強さを測る尺度をもっている。
それは左右の眼の感覚だ。
- 59 ::||‐ 〜 さん:2013/01/28(月) 14:50:56.70 ID:VMzPaboA.net
- 熱帯地方に生息するハエには、比較的頭の幅が広いものが多いが、なかでもシュモクバエのなかまは極端に広いといえる。
シュモクバエ科に属する150種以上のハエは頭部がとても幅広く、そのため両目がありえないほど離れて飛び出している。
多くは頭部の横幅が12〜14mmと、体長の2倍もある。
頭部の幅 ( 枝状の突起の長さというべきか ) は、体長に比例している。
つまり幼虫時代の栄養摂取量と直接関係しているため、強さの指標ともなるのだ。
シュモクバエのオス同士は頭部を突き合わせて、どちらが広いかを比べることで対決する。
勝者はメスを得て、敗者は無傷のまま立ち去る。
熱帯地方に生息するハエがこのような対決の方法を選んで進化してきたのは、
ハエのなかでは比較的長寿 ( 12ヵ月という記録がある ) であること、そして守るべきものがあることがその理由だと考えられている。
シュモクバエのオスが大事に守っているもの、それは森林を流れる小川の土手からぶら下がる細長い根だ。
ありふれた木の根だが、ここがなかまのすみかでありメスにとってのねぐらとなるの場所だ。
シュモクバエはここに集まり、頭を上に向けて敵がこないかどうか見張りながら休む。
シュモクバエのオス同士の対決は、幅広い頭部を誇示することによって勝利を収めたものがねぐらを統治し、ハーレムの安全を守っているのだろう。
- 60 ::||‐ 〜 さん:2013/01/28(月) 15:09:03.20 ID:VMzPaboA.net
- いちばん明るく光る
ヒカリコメツキ ( Pyrophorus noctilucus )
生息地 中央アメリカ、南アメリカ
特徴 どの昆虫よりも明るい光を発する
- 61 ::||‐ 〜 さん:2013/01/28(月) 15:09:59.01 ID:VMzPaboA.net
- 発光する昆虫はいろいろいる。
例えばトビムシ、カメムシ、キノコバエの幼虫がそうだ。よく知られているのはホタルだろう。
ホタルのなかまは世界中にたくさんの種類が生息しており、発光することによりパートナーをひきつけたり、なかまとコミュニケーションを取ったりしている。
なかまだけにつうじるリズムで光るものもいれば、ただ青白く光り続けるものもいる。
光る昆虫のうち、どの種がいちばん明るいかという問題は、長いあいだ議論の的となってきた。
つい最近まではロウソクの光や星の明るさを見るように、主観的に比較されてきた。
しかし、現在では高度な光測器で正確に計測ができるようになり、ついに勝者がはっきりした。
いちばん明るく光る虫はホタルではなく、西インド諸島の森林に生息するヒカリコメツキだった。
ヒカリコメツキがいちばん明るいことがわかったのは、幸運な偶然からだった。
- 62 ::||‐ 〜 さん:2013/01/28(月) 15:10:54.67 ID:VMzPaboA.net
- 1885年、フランスの生理学者ラファエル・デュボワは、ヒカリコメツキの胸部の発光する部分を解剖し、
ルシフェリン ( 発光物質 ) とルシフェラーゼ ( 発光酵素 ) の化学物質を抽出することに最初に成功した。
すると同じ化学物質がすべての発光する生命体から見つかったのだ。
さらに生物発光に伴う温度の上昇は驚くほどわずかであることもわかった。
例えばロウソクの光とホタルの光は、同じ明るさにしたとする。そのときホタルの発熱量は、ロウソクの8万分の1なのだ。
ルシフェリンとルシフェラーゼが反応すると発光が起こるが、それを支えるエネルギーはアデノシン3リン酸 ( ATP ) から供給される。
デュボワの発見の重要性が理解されたのは、ATPがすべての生命活動のエネルギー源であることが明らかになった60年後のことだった。
ATPとはいわばエネルギーの貯蔵庫のようなもので、
おおもとは光合成のときに葉緑体表面でアデノシン2リン酸 ( ADP ) が太陽光のエネルギーの助けを借りて変身したものだ。
言い換えるとATPが蓄えているエネルギーは、光エネルギーといってもよいだろう。
生物発光では、光を巣って生み出されたATPがADPに分解されるときに、蓄えられていたエネルギーが光となって放出されるのだ。
- 63 ::||‐ 〜 さん:2013/01/29(火) 12:23:01.85 ID:PsVyD8Yw.net
- 色がいろいろ
トモンテントウ ( Adalia decempunctata )
生息地 ヨーロッパ
特徴 80パターン以上の色、模様をもつ
- 64 ::||‐ 〜 さん:2013/01/29(火) 12:24:44.71 ID:PsVyD8Yw.net
- 食物や動物の名前をつけるのは、比較的単純な作業といえる。
スウェーデンの博物学者リンネが属名と種名を併記する、学名のシステム「二名法」を考案してから、
すべての生物はこの手法に従って名前がつけられるようになった。
例えばナナホシテントウの属名は Coccinella といい、その意味は「テントウムシ」だ。
そして種名の septempunctata は「ナナホシ」という意味で、そのとおり翅に7個の星をもっている。
しかし非常に近い種であるトモンテントウは、その名前に反して10個の星をもつことはほとんどない。それどころか星がないことすらある。
赤色に黒い斑点があるもの、黒に黄色の肩章のような模様があるもの、
チェック柄、網の目模様、小さな斑点、縞模様など、じつにバリエーションが豊かだ。
そのためそれぞれが違う種であると考えた博物学者は、トモンテントウに片っ端から種名をつけてきた。
星の数から、ムツボシ型には6を表す sexmaculata と sexpuntata 。
ヤツボシ型には8を表す octopunctata 、ヨツボシ型には4を表す quadripunctata 。
semicruciata は背中に十字の模様をもち、 semifasciata は半分縞模様、
triangularis は3つのマークがあり、abscura は曖昧な模様がある。
centromaculata は真んなかに反転、subpunctata は小さな斑点がある。
- 65 ::||‐ 〜 さん:2013/01/29(火) 12:42:37.84 ID:PsVyD8Yw.net
- トモンテントウには、このように80以上の名前がついていて、
その多くは別の種類であると考えられてきた。
今ではこれらが同種であり、遺伝によってこれだけ違った色相が生まれるということがわかっている。
といっても種や亜種のように、個々の地理的条件によって決まった色相になるわけではない。
同じ条件化で違うパターンになったり、繁殖の実験では、よく似た10個の星をもつ両親から、
たくさんの違うパターンの子供が生まれたりしているのだ。
遺伝学者はこの模様が、遺伝子やDNAのレベルでどのように決定されているのかを、いまだに研究中だ。
色相パターンが多様化した理由として、捕食者の存在が考えられる。
例えば捕食者である鳥などが特にある色相を好む場合、敵は頭のなかのイメージで獲物を探すため、
そのイメージに少しでも合わないものは見逃してしまう。たくさんの違うパターンをもつことによって、
少なくともいくつかのパターンは子孫繁栄のために生き残ることができるのだ。
しかしテントウムシはどれも、食べてもまずいことをアピールする鮮やかな色をしている。
捕食者はあらかじめまずいことを知っているはずではないか。
それならなぜ、わざわざトモンテントウが多様な色相をもつ必要があったのだろう。
議論の余地はまだまだありそうだ。
- 66 ::||‐ 〜 さん:2013/01/29(火) 12:43:17.72 ID:PsVyD8Yw.net
- 血みどろの昆虫
ハナヂムシ ( Timarcha tenebricosa )
生息地 ヨーロッパ、中央アジア
特徴 自分の血を吐き出す
- 67 ::||‐ 〜 さん:2013/01/29(火) 12:49:04.06 ID:PsVyD8Yw.net
- 有毒な物質をもつ植物は多い。
植物の毒は草食動物から身を守るが、昆虫のなかにはこの植物をたべることで、自分の体内に毒を蓄えるものがいる。
そして身を守る武器として、体内の毒を利用する。
だが体内で毒をもつだけでは、万全の防御とはいえない。
昆虫の捕食者である鳥は、毒をまずいと感じれば、次回からはその昆虫を避けるようになる。
しかし少なくとも最初に食べられた虫は、その時点でつつかれ、かみ砕かれているのだ。
すぐに吐き出されても、もう死んでいるだろう。
なかまを守ることはできるかもしれないが、自分は犠牲になってしまう。
できればどんな味かを敵に想像してもらい、食べる前に避けてもらうのがのぞましい。
- 68 ::||‐ 〜 さん:2013/01/29(火) 13:26:34.49 ID:PsVyD8Yw.net
- そこでハナヂムシは、鳥のくちばしでつぶされる前に、口から「血リンパ液」と呼ばれる液体をにじませる。
血液のように毒々しく赤い血リンパ液を、鳥のくちばしに数滴たらすのだ。
このように、敵に襲われたときに口器や関節などに起きる出血を「反射出血」という。
血リンパ液の苦さを味わった鳥は急いで吐き出し、この昆虫を食べようとはしなくなる。
反射出血を利用する甲虫として、テントウムシも有名だ。
テントウムシは黄色い血リンパ液を膝の関節の特別な孔から出す。
しかしハナヂハムシはさらにうわ手といえるだろう。
テントウムシのように、鮮やかな色で相手に警戒させることもないハナヂハムシだが、地味な黒色は草原の緑色のなかでよく目立つ。
しかも大きくて動きは鈍く、飛ぶこともできない。
それにもかかわらず、ハナヂハムシが捕食者を怖れることなく明るい日差しのなかで食事ができるのは、反射出血という大技のおかげといえる。
- 69 ::||‐ 〜 さん:2013/01/29(火) 21:19:06.64 ID:PsVyD8Yw.net
- いちばん美しい昆虫
アカメガネトリバネアゲハ ( Ornithoptera croesusu )
生息地 インドネシア・バチャン島
特徴 あまりの美しさに、経験豊かな博物学者が思わず気絶しそうになった
- 70 ::||‐ 〜 さん:2013/01/29(火) 21:23:12.92 ID:PsVyD8Yw.net
- 美とは見る者だけが感じる主観的なものだ。
例えば昆虫学者が昆虫につけた名前を見ると、いかに思い入れが深いかがわかる。
学名には、きれいな ( formosa )、最もすばらしい ( splendidissima )、美しい ( pulchrina )、
高貴な ( nobilis )、すてきな ( venustus )、エレガントな ( elegans ) などという種名が非常によく使われている。
たくさんの研究者が無数の昆虫を、「最も美しい」と称してきたが、ビクトリア時代の博物学者にして科学者であり、
探検家でもあったアルフレッド・ラッセル・ウォレス以上に、美について語り尽くした者はいないだろう。
ウォレスはパトロンによる資金に頼ったり、珍しい標本を売ったりして費用をまかない、研究調査のための旅行をしていた。
1852年8月6日の朝、南アメリカから帰る途中の大西洋上で、彼の乗っていた船ヘレン号が火事になり沈没した。
ウォレスと乗組員は救命ボートの上で9日間漂流したのち救助されたが、大切な標本は失われてしまった。
失われた中には美しいゴクラクチョウやトリバネアゲハなどの価値のある標本もあった。
- 71 ::||‐ 〜 さん:2013/01/29(火) 21:25:03.70 ID:PsVyD8Yw.net
- 災難にも負けず、彼は『アマゾン川・ネグロ川紀行』という本を出版、すぐにまた東南アジアへの探検へと向かった。
今度は標本をもち帰ることに成功し、1859年、その探検のようすや動物や昆虫の発見を書いた『マレー諸島』という本を出版した。
その旅行中、インドネシアのモルッカ諸島にあるバチャン島の森林を探検したとき、彼はすばらしいチョウを発見し、2ヶ月かけて採集に成功した。
ウォレスはこのチョウを紀元前6世紀のリディア( 現在のトルコ )を治めたクロイソス王にちなみ、Ornithoptera croesus ( 和名アカメガネトリバネアゲハ )と名づけた。
ウォレスが残した次の言葉は今なお読者の心に響くだろう。
「この昆虫の美しさとすばらしさは、言葉で表すことができない。
そして自然を愛する者だけが、私がついに経験することのできたこの深い興奮を理解できるだろう。
私の網にかかったこのチョウを取り出し、うるわしい翅を広げるとき、
私の心臓は激しく打ち、血が頭にのぼり、死んでしまうのではないかと思うほど気が遠くなった。
チョウごときでこれほど興奮することの意味が、理解できない人のほうが多いだろう。
しかし私にとっては、それほどの興奮だったのである」
- 72 ::||‐ 〜 さん:2013/01/29(火) 21:40:28.73 ID:PsVyD8Yw.net
- 頭がいちばん長い昆虫
キリンクビナガオトシブミ ( Trachelophorus giraffa )
生息地 マダガスカル
特徴 昆虫のなかで最も頭が長い
- 73 ::||‐ 〜 さん:2013/01/29(火) 21:41:41.94 ID:PsVyD8Yw.net
- オスの頭が大きいことは、それほど驚くことではない。
巨大な頭に大きな大顎がついているものもあれば ( チリクワガタ )、大きな複眼がついているものもいる ( アタマアブ )。
しかしこのキリンクビナガオトシブミは、想像を超えた外見をしている。
キリンクビナガオトシブミのオスの細長い頭は10〜25mm、首は7mm程の長さがあり、頭部と首だけで、全体の70%を占めている。
ずんぐりした体で頭部を持ち上げている様子は、まるで工場現場のクレーン車だ。
メスの頭と首も比較的長いが、体の半分くらいにとどまる。
オスはその長い頭部を、うなずく動作以外に実用的に使うことはない。しかし首を振ってうなずくことは、
キリンクビナガオトシブミにとっては重要な動作だ。
オス同士は儀式的にうなずき合って対決し、負けたと思った方は退却する。
- 74 ::||‐ 〜 さん:2013/01/29(火) 21:42:58.12 ID:PsVyD8Yw.net
- またメスもうなずく動作がうまいオスを、交尾の相手として選んでいるようだ。
頭が長ければ長いほど、首を振るのに好都合になり、メスに選ばれる確率も高くなる。
こうして、ますます頭部が長く進化したようだ。
皮肉なことだが、より長い頭が本当に必要なのは、メスのほうかもしれない。
オトシブミのなかまであるクビナガオトシブミのメスは、葉の両側を真ん中まで嚙み切る。
葉を丸めやすくするためだ。
メスは長い首と頭を使ってこの葉を押さえながら、切っては巻くことを繰り返し、小さな葉巻のような筒形に整える。
メスはそのなかに卵を産みつけ、やがて生まれる幼虫は、捕食者や寄生虫から守られながら大きくなる。
- 75 ::||‐ 〜 さん:2013/01/30(水) 09:08:43.52 ID:REU92rJF.net
- なめらかな流線型
ヒラタドロムシ科の幼虫 ( Psephenidae )
生息地 世界各地
特徴 激しい水の流れに耐えられる体型をしている
- 76 ::||‐ 〜 さん:2013/01/30(水) 09:09:45.59 ID:REU92rJF.net
- 転がる石と急流をものともせず、川の水面下にも生物は息づいている。
甲虫であるヒラタドロムシもそんな生物のなかまだ。
この虫の幼虫は、川底の石にくっついて生きている。
成虫は完全に陸生だが、幼虫は水生だ。
ヒラタドロムシの幼虫の体はいくつもの体節に分かれており、体の周りを縁取るように、平たい体節が連なっている。
なめらかな背の裏には頭部、脚、エラが隠されている。
脚には鉤爪がついていて、これでしっかりと岩や石にしがみつく。
鉤爪がなければ、ゆっくりした流れにも流されてしまうだろう。
幼虫はほとんどの時期を、石の下か岩の裂け目で過ごしながら、小さな藻を食べている。
しかしさなぎになるためには陸に上がらなくてはならず、そのときばかりは激しい川の流れに立ち向かう。
速い流れに見えても、川底近くは案外静かなものだ。
小さく平たいヒラタドロムシの幼虫は、このゆっくりした流れのなかにずっといたいだろうが、そうもしていられない。
流体力学にかなった体型や、体節や尾の先にある隙間から水を流すことで急流に耐えながら、
脚でしっかりと石にしがみつき、陸に向かって少しずつ上っていくのだ。
- 77 ::||‐ 〜 さん:2013/01/30(水) 21:29:35.78 ID:REU92rJF.net
- いちばんうるさい
プロノータリスエゾゼミ ( Tibicen pronotalis )
生息地 北アメリカ
特徴 昆虫のなかでいちばん大きな声を出す
- 78 ::||‐ 〜 さん:2013/01/30(水) 21:30:31.61 ID:REU92rJF.net
- ほとんどの昆虫は小さく、こそこそと静かに隠れて生きており、目立ちたがらない。
しかしセミは例外だ。
コオロギ、キリギリス、バッタと並び、セミはなかまとのコミュニケーションのため、できるだけ大きな声で鳴く。
通常セミが鳴くのは、メスに向かってアピールしたり、お互いの縄張りを伝えるためだ。
体の大きなセミは体格どおりの大きな声で鳴くため、セミのなかまはどの個体がいちばん大きいか、音で知ることができる。
また鳥などに対して、警戒音が発せられることもある。
声の大きさだけで、相手を驚かせて追い払う効果がかなり高い。
- 79 ::||‐ 〜 さん:2013/01/30(水) 21:31:20.92 ID:REU92rJF.net
- セミの第1腹節の両側には、大きな丸い器官がある。これが振動膜だ。
振動膜のつくりはドラムのようなもので、伸縮性のあるかたくて薄い膜が、丸い枠に張られている。
腹部の大きな筋肉と振動膜の中央は、細い糸で結びつけられている。
腹部の筋肉が収縮すると、細い糸に引っ張られた振動膜はへこみ、パチッという音が出る。
反対に筋肉がゆるむとき、振動膜は元の形に戻る。
こうした筋肉の動きにより、振動膜を1秒間に4000〜7000回も振動させることで、パチッという音が連続する。
また腹部のなかには2つの気嚢 ( 空気をみたした器官 ) があり、振動膜の振動数に共鳴し、
音を増幅させるアンプの役割を果たしている。
その音の大きさは驚くほどで、電気工具や芝刈り機、バイクといい勝負で、1km先の森からも聞こえるほどだ。
騒音の大きさは、音圧レベル測定器で測ることができる。
連続した音で最も大きなものとして記録されているのはブレビスゼミ Brevisana brevis の鳴き声で、106.7デシベルだった。
この大きさの音に1日に2時間以上さらされると、人間の耳はダメージを受けるといわれている。
ブレビスゼミはこの大音量で1日中鳴き続ける。
瞬間的に最も大きな音として記録されているのは、アメリカに生息するプロノータリスエゾゼミの鳴き声であり、108.9デシベルだった。
電車が通過するときのガード下の音量が100デシベルとされているが、それを上回るうるささだ。
- 80 ::||‐ 〜 さん:2013/01/31(木) 14:56:00.05 ID:H7e8lGe9.net
- 空中でぴったり静止
アタマアブのなかま ( Pipunculidae )
生息地 世界各地
特徴 空中ではばたきながら静止できる
- 81 ::||‐ 〜 さん:2013/01/31(木) 14:56:34.30 ID:H7e8lGe9.net
- 1907年9月29日、フランスの飛行家ルイ・シャルル・ブレゲがヘリコプターの先駆けとなる風変わりな試作機に乗って離陸した。
ある飛行技術を昆虫から修得しようというのだ。それは「ホバリング」と呼ばれる、空中で静止姿勢を保つ技術だった。
昆虫にとっては、たとえ一瞬でも空中に静止できることの意味は大きい。
花や葉の上には滑走路などないからだ。では昆虫はどうのようにして空中で静止しているのだろうか。
秘密は翅のねじり方にある。
昆虫はただ翅を上下にはばたくのではなく、ねじりを加えることで、前進したり上昇したりといった進路をコントロールしている。
例えば最高速度で前進するときは、後ろへのはばたきと前へのはばたきのバランスで、進路をまっすぐに保っている。
そしてホバリングは、たくみに翅をねじることで、前進と上昇とが相殺されるようなはばたき方をしている。
その結果、空中にとどまることができる。
- 82 ::||‐ 〜 さん:2013/01/31(木) 14:57:37.39 ID:H7e8lGe9.net
- ホバリングがうまい昆虫には、スズメガやツリアブがいる。
これらは花から蜜を採取しているあいだ、ずっと静止している。
ほかにも体が大きく鮮やかな色をしたハナアブのなかまがいる。
ハナアブは大きな複眼が印象的だ。
特にオスの複眼は大きい。
よく見える大きな複眼は、ハナアブにとってホバリングがいかに重要かを示すものだ。
周りの様子がよく見えるため、空中で位置を確認しながら静止できる。
じつはホバリングをするハナアブはほとんどがオスだ。
ホバリングしながら周囲を立体的にみてテリトリーを守りながら、ほかのオスと戦い、メスの気をひくのだ。
しかしハナアブもホバリング技術では、一見小さくぱっとしないこの昆虫にはかなわない。
大きな頭のアタマアブのなかまだ。
オスはその頭のほとんどが複眼というくらい特大の複眼を持つ。
その複眼で360°ぐるりと見わたし、縄張りを見張っている。
またアタマアブのなかまは、広いスペースで堂々とホバリングするよりも、小さな茂みなどの草のある狭いスペースを好む。
そのおかげで昆虫学者は、虫取り網や小さな試験管のなかといった場所でも、ホバリングの様子を存分に観察することができる。
- 83 ::||‐ 〜 さん:2013/01/31(木) 20:11:27.29 ID:H7e8lGe9.net
- 不恰好すぎる昆虫
シャチホコガの幼虫 ( Stauropus fagi )
生息地 ヨーロッパ、北アジア
特徴 ひどく醜い
- 84 ::||‐ 〜 さん:2013/01/31(木) 20:12:16.28 ID:H7e8lGe9.net
- 奇怪な外見やあまりにも不恰好な姿は、私たちに不快感をもたらすことがある。
この不快感に知識不足が加わると、ときに怖れや誤解を生むことにもつながる。
シャチホコガの幼虫に対する感情が、まさにこれだろう。
まるでヨーロッパ中世の怪物やおぞましい獣のように忌み嫌われてきたシャチホコガの幼虫だが、
彼らは人間を脅かすためにそんな姿に進化したわけではない。
大敵である鳥から隠れ、身を守るためなのだ。
初期の自然哲学者はシャチホコガの幼虫を「クモとサソリが半々だ」と表現している。
シャチホコガは、英明で「ロブスター・モス」というが、その名のとおり甲殻類のような外見で、ふくれあがった尾には、恐ろしい針のような細長い付属器官がついている。
その正体は針ではなく、多くの昆虫が幼虫のころにもつ「尾脚」と呼ばれる吸盤つきの脚にあたる。
2組目と3組目の胸脚は非常に長く、幼虫は脅威を感じると攻撃的にそれを振る。
「自分は危険な生物だから近寄るな」というアピールだ。
- 85 ::||‐ 〜 さん:2013/01/31(木) 20:13:31.75 ID:H7e8lGe9.net
- 危険な生物のふりをするのは、シャチホコガにとっての最終手段だ。
それよりむしろ、敵の目に獲物として映らないことがいちばんというわけで、シャチホコガの幼虫はほとんど動かず、発見されないように息を潜めて暮らしている。
ふつうのイモムシのような形でなく、ごつごつと節くれだった奇妙な形は枯れ葉のようにも見えるため、敵は見過ごしてしまうだろう。
この幼虫は、生まれたときから不恰好なわけではない。
卵からかえったばかりのときは、細長いウエストと丸い球根のような腹部をもち、アリにそっくりなのだ。
似ているだけではなく、蟻酸を出すこともできる。
蟻酸はアリが鳥に襲われるときに出す化学物質で、そのひどい味から、鳥が食べることを避けるようにしむけるものだ。
もちろん蟻酸をもつシャチホコガの幼虫そのものも、ひどい味がするのだろう。
- 86 ::||‐ 〜 さん:2013/02/01(金) 21:08:03.16 ID:H4XcHBQC.net
- いちばん大顎が長い
チリクワガタ ( Chiasognathus granti )
生息地 チリ、アルゼンチン
特徴 大顎が体長と同じくらい長い
- 87 ::||‐ 〜 さん:2013/02/01(金) 21:10:52.25 ID:H4XcHBQC.net
- 大顎は何のためにあるのか、真っ先に思いつく用途は食事だろう。
しかしこれは、昆虫にとって2番目の用途にすぎない。
なぜならほとんどの昆虫は、大顎を使わずに食べることができるからだ。
それよりももっと基本的な機能はかむことだ。
昆虫は獲物を捕まえ、殺すためにかむ。
また土を運んだり葉を切ったり、幹に穴を開けたりするためにかむ。
その昆虫がどのような習性をもつかにより、大顎の形は違ってくる。
驚異的に長い大顎をもつ昆虫は、やはり驚異的な習性をもっていた。
イギリスではダーウィンクワガタと呼ばれることもあるチリクワガタだ。
- 88 ::||‐ 〜 さん:2013/02/01(金) 21:17:15.96 ID:H4XcHBQC.net
- ダーウィンの自著『人間の進化と性淘汰』のなかでこのクワガタについて述べているが、それを著すよりも早い1831年に、
スコットランドの博物学者ロバート・グラントの名前にちなんで、Chiasognathus granti と命名されていた。
チリクワガタはチリとアルゼンチンでしか発見されていない。
オスの大顎は体と同じくらいの長さがあるが、力強くかんだり葉を切ったりする昆虫とは違い、チリクワガタの大顎は細長く、下向きに曲がっている。
角のような大顎はピンセットが剪定ばさみにも似ているが、まさしく使い方もそのとおりなのだ。
角のような大顎はかんだり切ったりするためにあるのではなく、ケンカするためにある。
ケンカの舞台は、メスが産卵する朽ち木や、林のそばにある立ち木の上だ。
メスを奪い合うオス同士が木の枝の上で一騎打ちをする際、長い大顎を使って相手を枝から突き落とせば勝者となる。
決して相手を傷つけたり、かみついたりはしない。
ダーウィンは南アメリカを旅行しながらチリクワガタの標本を集め、「大顎の力はたいしたことはなく、私の指をかんでも痛くない」と記している。
チリクワガタのオスは非常に大きく、体長は20〜40mm、さらに大顎の長さが15〜40mmもある。
しかし大顎の長さは体の大きさにいつも比例するわけではなく、体がほかより小さくても、大顎の長さでは勝るものもいる。
朽ちた木のなかで食事をとっている幼虫のあいだに、体つきが決まってくるのだろう。
体のわりには大顎の長いもの、反対に短いもの、あるいは体格相応の大顎をもつものもいる。
さまざまな体の大きさ、大顎の長さの組み合わせのうち、基本的には最も体が大きく、最も栄養のよいクワガタが、いちばん長い大顎をもつことになる。
- 89 ::||‐ 〜 さん:2013/02/01(金) 21:40:38.48 ID:H4XcHBQC.net
- とびきり大きな翅
ナンベイオオヤガ ( Thysania ogrippina )
生息地 中央アメリカ、南アメリカ
特徴 どの昆虫よりも大きな翅をもつ
- 90 ::||‐ 〜 さん:2013/02/01(金) 21:41:10.06 ID:H4XcHBQC.net
- 哺乳類の場合、大型のものほど寒冷地に生息し、小型のものは赤道近くに分布する傾向があるが、昆虫は反対だ。
もちろん例外はあるものの、大きな昆虫は熱帯地方に分布しているものが多い。
特に薄暗く湿ったジャングルのなかでは、巨大な昆虫が発見されることが多い。
熱帯地方は一年中暖かく、温帯地方のような季節の変化がないうえ、冬眠しなくては超えられない冬もない。
昆虫にとってさぞ快適な住環境なのだろう。
このような環境で育つ幼虫は、一年中食べ続けて存分に成長することができる。
亜熱帯気候である中央アメリカと南アメリカの一部は、
世界一大きな昆虫( タイタンオウウスバカミキリ )の生息地であるだけでなく、いちばん大きな翅をもつ昆虫のすみかでもある。
その翅のもちぬしであるナンベイオオヤガの翅は、開帳(翅を広げたときの、左右の端から端までの幅)が305mmもあるのだ。
- 91 ::||‐ 〜 さん:2013/02/01(金) 21:48:59.13 ID:H4XcHBQC.net
- ナンベイオオヤガの生態は、驚くほど不明な点が多い。
幼虫がなにを食べるかについての記録すらなく、交尾や産卵などの生態もいまだに謎だ。
1つだけわかっているのは、大きな翅にもかかわらず身を隠すのが上手いことだ。
翅と同じようなまだら模様の木の幹に、翅を押しつけるように平らに広げてとまり、見事に一体化する。
しかしナンベイオオヤガの翅が世界一といえるのは開帳に限る。
面積で比べると、開帳300mmのヨナグニサン Attacus atlas のほうが広い。
また先史時代の化石からは、さらに大きな翅の昆虫が発見されている。
メガネウラ・モニイ Meganeura monyi とメガネウロプシス・ペルミアナ Meganeuropsis permiana は、
どちらもトンボに似た巨大な昆虫で、2億5000万年前に生息していた。
その開帳は750mmもあった。
- 92 ::||‐ 〜 さん:2013/02/03(日) 00:40:05.84 ID:wXYePC8i.net
- 枯葉にそっくり
コノハチョウ ( Kallima inachus )
生息地 インド北部から中国、日本にかけて
特徴 完璧に枯葉にカムフラージュする
- 93 ::||‐ 〜 さん:2013/02/03(日) 00:40:56.39 ID:wXYePC8i.net
- 木や石、土、そして木の葉、自然環境には緑色や茶色があふれている。
そこで暮らす昆虫の体に緑色や茶色が多く、さらにカムフラージュのために周りの環境とそっくり同じ色をした昆虫がいるのも当然のことだろう。
どんな昆虫にも、カムフラージュが得意な種がいる。
コケの生えた樹皮や小石、葉の葉脈の上、目を凝らして探しても見逃してしまうほど、環境に溶け込むのが上手な昆虫がいる。
カムフラージュがうまい昆虫といえば、コノハチョウほどその名にふさわしいものはいないだろう。
コノハチョウがどこかにとまるときは、ほかのチョウと同じように翅を閉じて立て、裏側が見えるようにする。
裏側は枯葉の完璧なレプリカになっている。
茶色とベージュのまだら模様、黒い太い線に放射状の細い線、翅のとがり具合まで、すべて本物の葉にそっくりだ。
コノハチョウの模様には、多少の個体差がある。
同じ枯れ葉は1枚もないのだから、個体差はより本物らしさ増すことになる。
- 94 ::||‐ 〜 さん:2013/02/03(日) 00:41:31.91 ID:wXYePC8i.net
- 一方、表側の模様はどのコノハチョウも同じだ。
全体は玉虫色のブルーで前翅の先端は暗く、鮮やかなオレンジ色の稲妻模様がななめに入っている。
このオレンジ色は飛んでいるときは非常に目立ち、とまっているときには隠れる。
オレンジ色を目印にコノハチョウを探す捕食者には、枯れ葉のなかに隠れたチョウを見つけることはできないだろう。
コノハチョウには2つの変異型がある。
やや大きめで色が薄い乾期型と、小さめで色が薄い雨期型だ。
濡れた枯れ葉は色が濃くなるため、雨の季節には雨期型のコノハチョウのほうが枯れ葉らしく見える。
- 95 ::||‐ 〜 さん:2013/02/03(日) 01:13:21.07 ID:VXN0UGpl.net
- 昆虫の擬態は面白いよね。
コノハムシが有名だけどサルオガセギス(Markia hystrix)やムシクイコノハツユムシ(Mimetica tuberata)もなかなか。
特にムシクイコノハツユムシは虫食い部分や部分枯れまで再現したのはすごい。
- 96 ::||‐ 〜 さん:2013/02/03(日) 01:51:32.96 ID:wXYePC8i.net
- 最高の透明度を誇る翅
スカシマダラのなかま ( いろいろな種がある )
生息地 世界各地
特徴 無色透明な翅をもつ
- 97 ::||‐ 〜 さん:2013/02/03(日) 01:53:22.49 ID:wXYePC8i.net
- 飛ぶ昆虫のほとんどは、透きとおった翅をもっている。例えばハエ、ハチ、アブなどの翅は透明な膜だ。
飛ぶ昆虫であっても、色がついていたり斑点模様の翅などもあり、
そのような色味は、大きめで明るい色の体に小さめの羽を持つ昆虫に多い。
トンボも透明の翅をもっているが、体に対して大きめの翅には、
網状に張り巡らされた翅脈がよく見えるせいで、くもりガラスのような乳白色に見えることもある。
また翅脈で区切られたそれぞれの面は、たくさんの鏡のような役割を果たすため、太陽の光に乱反射され、翅を虹色に輝かせることもある。
ではいちばん透明な翅をもつ昆虫はどれだろうか。
答えはスカシマダラのなかまだ。
スカシマダラのなかまは種類が豊富だ。
なかまのほとんどは半透明よりも透けた翅をもち、なかには透明に近いが少し影のある種、やや色がついている種もいる。
そして少数派ながら完全に透明な種もいる。
スカシマダラのなかまに透明な翅をもつものが多いのは、
おそらく透明な翅になるという進化が、個々に、数度にわたって起きたからだと考えられる。
- 98 ::||‐ 〜 さん:2013/02/03(日) 01:55:02.37 ID:wXYePC8i.net
- また透明な翅は、中央アメリカや南アメリカの熱帯地方に生息する種に多い。
薄暗い熱帯雨林では花や葉の上にとまれば、本当に見えなくなるに違いない。
おなじみのチョウの派手な色は、鱗粉によるものだ。
色つきのチョウの翅は、モザイク状に配置された有色の鱗粉に広く濃密におおわれている。
スカシマダラの透明な翅にも鱗粉は見られる。
しかし扇形の翅の上に、顕微鏡でしか見えないような微細な鱗粉が、まばらにあるだけだ。
スカシマダラは英語で「クリアーウィング」と呼ばれることもあるが、この呼び名はもともと昼行性のスカシバガのなかまをさしている。
こちらは同じ透明な翅でもねらいは違う。
透明な翅により周りに同化するのではなく、むしろ体を黒や黄色、赤などの目立つ色にして、
同じように翅が透明なハチなどに見せかけようとしているのだ。
- 99 ::||‐ 〜 さん:2013/02/03(日) 01:59:11.01 ID:wXYePC8i.net
- >>95
擬態ってことを考えると、
昆虫って環境に対して受動的なんだな〜、という昆虫全体の総評に安易に結びついてしまうような気がする。
間違ってるのかもしれないけども。
- 100 ::||‐ 〜 さん:2013/02/06(水) 17:48:20.08 ID:I68JGFba.net
- 毛むくじゃらの脚
ホソオドリバエのメス ( Rhamphomyia longicauda )
生息地 北アメリカ東部
特徴 メスの脚が非常に毛深い
- 101 ::||‐ 〜 さん:2013/02/06(水) 17:49:42.58 ID:I68JGFba.net
- メスに選ばれたいというオスのプレッシャーは、ときに凶暴な武器を生んだり ( チリクワガタ ) 、
奇妙な行動をとらせたり ( コブバネコオロギ ) 、不思議な形に進化させたりする ( キリンクビナガオトシブミ ) 。
しかし昆虫の世界の特殊なところは、そのルールが破られるころがあるという点だ。
メスが子孫を生み出すという仕事を担当する世界では、オスはメスに近づくために戦ったり、自分の魅力をアピールしたりしなくてはならない。
ところがホソオドリバエは逆でメスのほうがオスに選ばれるよう、体型でアピールする。
ホソオドリバエのメスは、非常に毛深い脚をもつことで知られている。
中脚と後脚は平たく、脚の前後の端に長く濃い毛が生えている。
まだメスは腹部の両側に袋をもっており、オスにアピールするときには、そこへ空気をいっぱいに入れてふくらませる。
オスはいちばん太った、かついちばん毛深いメスにひかれるようだ。
このことは、メスの脚を真似てつくった微細な繊維の束を下げたモデルに、オスがひきつけたれたという実験結果からも裏付けられる。
- 102 ::||‐ 〜 さん:2013/02/06(水) 17:51:45.65 ID:I68JGFba.net
- ホソオドリバエのメスは自分で食料を捕らない。
交尾のときに、タンパク質の豊富な虫の死骸をオスからプレゼントしてもらうのだ。
オスの気をひいて食料を得るには、自分がオスの精子を貯蔵するのにふさわしいことをアピールしなくてはならない。
メスの日暮れ前に10〜100匹で蚊柱のような集団をつくる習性がある。
そこへ、プレゼントをもったオスが現れる。いちばん太っていて毛深いメスは誰だろう。
オスは気に入ったメスの下に飛んでいき、選ばれたメスはオスのところまで降りて、2匹は交尾のために飛び去る。
体格がよく毛深いメスがオスをひきつけるのは、生態の論理でも説明できる。
大きなメスは栄養をつめ込んだ卵をたくさん産める。ひいては強く健康で大きな子孫を産む可能性が高い。オスが大きなメスを選ぶ理由はこれだ。
しかし、飛ぶ昆虫にとってウエイトコントロールは非常に重要なことだ。
そこでメスは本当には太らずに、空気を入れた腹の袋と毛深い脚によって自分を大きく見せる。
昆虫学者はこれを「ごまかし」と呼ぶが、あながちそうともいい切れない。
脚の長さや体を飾る器官の大きさは、確かに全身の大きさに比例するからだ。
- 103 ::||‐ 〜 さん:2013/02/06(水) 18:08:25.70 ID:I68JGFba.net
- 目にもとまらぬ速さの一撃
バウルアギトアリ ( Odontomachus bauri )
生息地 中央アメリカ、南アメリカ
特徴 すべての動物のなかで敵への一撃がいちばん速い
- 104 ::||‐ 〜 さん:2013/02/06(水) 18:09:03.84 ID:I68JGFba.net
- 一見小さな大顎でも、恐るべき力を秘めていることがある。
葉のかたい繊維や木の枝をかみ切ったり、自分の体重の何倍もの重さを持ち上げ、巣の貯蔵庫に運んだりする。
特に攻撃や防御のために武器として使われたとき、その大顎の能力は最も発揮される。
大型の兵アリやシロアリの頭部は、力強い大顎を動かすための筋肉が、その頭の大きさが許す最大限の容積を占めているので、
獲物や敵に想像以上のダメージを与えることができる。そしてそれらの戦いにより、武器もどんどん進化してきた。
シロアリ類の兵アリは、人間は指を鳴らすような一瞬のうちに、獲物に向かっていく。
そして大顎の先を獲物に押しつけ、大きな力がかかったところで大顎をずらして力を抜く。
一連の素早い動きで、大顎の刃は2本の三日月刀となる。
- 105 ::||‐ 〜 さん:2013/02/06(水) 18:10:07.09 ID:I68JGFba.net
- しかし大顎を素早く動かすという点では、バウルアギトアリには勝てない。
緊張によって筋肉エネルギーを蓄えたところで、突然その掛け金を外す。
すると大顎はすさまじい速さで閉じ、その反動でバウルアギトアリは勢いよく空中へ飛び出し、旋回する。
大きな敵にかみつくのも速いが、安全なところへ退却するのも、また速い。
高速カメラを用いて調べたところ、バウルアギトアリが大顎を閉じるスピードは秒速35〜64mだった。
つまり、大顎を閉じるまでは0.00013秒、人がまばたきをする速さの2300倍のスピードだ。そして重力の10万倍の力を生み出す。
このアリが獲物に襲い掛かる速度は、動物界随一ということになるだろう。
- 106 ::||‐ 〜 さん:2013/02/07(木) 21:32:59.37 ID:3xerJrMq.net
- いちばん美しい目
アブのなかま ( Tabanidae )
生息地 世界各地
特徴 目の模様が縞、まだら、斑点、線など千変万化する
- 107 ::||‐ 〜 さん:2013/02/07(木) 21:33:39.07 ID:3xerJrMq.net
- 高倍率の顕微鏡で見ると、昆虫の複眼は六角形のレンズが一面に並んでいることがわかる。
その表面はなめらかな球状で、黒や灰色、茶色もしくは暗い赤などの単色だ。
しかしなかには、そんな地味な配列の色ではなく、色鮮やかな模様入りの複眼をもつ虫もいる。
アブのメスは体内で卵を育てる前に、哺乳類の血液からたんぱく質を得るため吸血する。
体色は灰色と茶色のまだらが多く、木の幹になりすますことができる。それに対し複眼は、縞模様や線、点などの鮮やかな模様を描く。
太陽光に反射して赤、青、緑などの色がメタリックな輝きを放つこともある。
複眼の模様は種によって違うため、世界中に3000種以上いるとされているアブのなかまを見分けるには、昆虫学者ですら模様に頼らざるをえない。
- 108 ::||‐ 〜 さん:2013/02/07(木) 21:34:17.71 ID:3xerJrMq.net
- なぜ模様が違うのだろうか。
考えられるのは色を見やすくするためだ。
複眼の中にあるいろいろな色のレンズに光が通ると、コントラストがよりはっきりし、昆虫の頭で立体的なイメージを描きやすくなる。
3D映画を見るときにかける眼鏡の、赤と青のレンズのような役割を果たすのだ。
アブのなかまは、食物を探すために高い視力が必要だ。
一面が緑色の背景のなかで獲物となる生物を探すには、コントラストを高めると、効果的だ。
アブは、車、物置小屋、洗濯機など、暗い色の大きな形状のものを吸血できる対象と誤認し、よりひきつけられるようだ。
- 109 ::||‐ 〜 さん:2013/02/07(木) 22:18:44.46 ID:3xerJrMq.net
- 最高に優雅な産卵
クサカゲロウのなかま ( Chrysopa sp. )
生息地 世界各地
特徴 細い糸の先に1個ずつ卵を産みつける
- 110 ::||‐ 〜 さん:2013/02/07(木) 22:19:52.30 ID:3xerJrMq.net
- 昆虫にとって産卵は細心の注意を要する大仕事だ。
最も重要なのはパートナー選びだが、どこに卵を産むかという点にも気をつかわなくてはならない。
自ら逃げたり戦ったりできない卵のうちは、昆虫の一生でいちばん危険な時期なのだ。
卵の形を何か似せてカムフラージュするのも難しい。
そのため昆虫は産卵する場所選びを工夫したり、賢く隠したり、あちこちに分けて生んだりと、リスクを分散する方法を考えてきた。
クサカゲロウは一風変わった、しかも優雅な産卵方法を編み出した。
メスは卵を産む前に、分泌物を1滴、腹部の先から絞り出す。
液体はクモの糸のように伸びて、空気中の酸素に触れるとかたまり、絹のようなしなやかな糸になる。
そしてメスが長い尾を使って、その糸を上に引っ張ると、糸はかたい毛のように立ち上がる。
最後にメスは尾をめいっぱい伸ばし、その先端に卵を貼りつけるように産む。
ときには1粒だけのこともあるが、たいていは20〜100個の卵を葉や茎の上、木や石の下に産む。
見た目に美しいクサカゲロウの卵は、日本では「優曇華の花」といい、夏の季語とされている。
- 111 ::||‐ 〜 さん:2013/02/07(木) 22:21:15.97 ID:3xerJrMq.net
- 小さくても卵は貴重な食料だが、足場から離れた場所にこんな形で産みつけられては、さすがに敵も狙いにくい。
しかし、それでものがれられない敵もいる。
小さな捕食寄生者であるタマゴクロバチは、クサカゲロウの卵の上に飛んできてとまり、自分の卵をなかに産みつけるのだ。
卵の中で育つクサカゲロウの幼虫は、やがて生まれるハチの幼虫に食べられてしまうだろう。
しかし「卵の柄」のいちばんのねらいは、敵を遠ざけることではない。
じつは先に生まれてお腹をすかせた幼虫が、あとから生まれる兄弟を食べてしまうのを防ぐためだ。
食欲旺盛な幼虫は卵からかえると、すぐに柄を伝い降りて三日月刀のような大顎を使い、アブラムシなどの小さな虫を見つけて食べる。
わざわざ柄を上って兄弟を食べるよりも、そのほうが簡単だ。
- 112 ::||‐ 〜 さん:2013/02/08(金) 19:57:15.72 ID:bIu2j5em.net
- 最大の目玉模様
フクロウチョウのなかま ( Caligo sp. )
生息地 中央アメリカ、南アメリカ
特徴 翅に大きな目玉の模様をもつ
- 113 ::||‐ 〜 さん:2013/02/08(金) 19:57:48.25 ID:bIu2j5em.net
- 大きな目は捕食者の特徴であることが多い。
捕食者は攻撃する前に、まず獲物のサイズを測るからだ。
自然界でいちばん恐ろしい捕食者である哺乳類と鳥は、特徴な丸くて大きな目をもっている。
ということは、彼らのように大きくて恐ろしい目をもてば、身を守るのに役立つだろう。
目玉模様は多くのチョウやガが身につけた、すばらしい護身術といえる。
当然のことだが、大きな目玉模様をもつのは大きなチョウだ。
フクロウチョウは、後翅の裏側の真ん中に、大きく丸い目玉模様をもつ。
翅をきれいに広げた標本が、まるでフクロウの絵のように見えることからこの名前がついた。
その目玉模様は、白っぽい縁取りが大きな黒い光彩と瞳孔を際立たせ、
黒いなかに三日月型に輝く模様は、濡れた球状のレンズであるかのような立体感を与えている。
- 114 ::||‐ 〜 さん:2013/02/08(金) 20:04:42.23 ID:bIu2j5em.net
- 目玉模様の効果について問題があるとすれば、チョウは標本のように翅を広げたポーズを取らないことだろう。
チョウが木の幹や枝で休むときは、翅を閉じて背中の上に立てている。
つまり敵からは片方の目玉しか見えないのだ。それで効果はあるのだろうか?
フクロウチョウは熱帯雨林の奥地に生息しているため。
わからないことも多く、翅の模様は目玉ではなく、トカゲの頭を真似したものかもしれないという説もある。
天敵であるアノールトカゲは、フクロウチョウが茂みや木で翅を閉じて休んでいるところに現れるのだが、
このトカゲは縄張りをもち、自分よりも大きな目をもつトカゲを見ると退却するらしい。
フクロウチョウの模様がトカゲの頭を模したものだとすれば、アノールトカゲを撃退するためのものである可能性が高い。
- 115 ::||‐ 〜 さん:2013/02/08(金) 20:17:57.05 ID:bIu2j5em.net
- 軽やかな忍び足
イトアメンボのなかま ( Hydrometra sp. )
生息地 世界各地の沼や小川
特徴 水の上を足音もたてずに大股で歩く
- 116 ::||‐ 〜 さん:2013/02/08(金) 20:18:42.35 ID:bIu2j5em.net
- 川や湖では水深が浅くても深くても、ほとんどの生命活動は水面の近くで営まれている。
水面は気体(空気)と液体(水)という全く違う環境の境界だ。
この境界面の直下を、また、すぐ上の水表面を生活の場とする生物たちがいる。
「水表動物」と呼ばれるその生物の多くは、すばしっこいハンターであり、
水に落ちてじたばたしている陸生の無脊椎動物を、水面の波紋(振動)から感知する。
水表動物である昆虫のなかで、最ものんびりと隠れているのは、イトアメンボだろう。
- 117 ::||‐ 〜 さん:2013/02/08(金) 20:19:34.49 ID:bIu2j5em.net
- 英名で「沼を歩く者」と呼ばれるイトアメンボは、スピードに欠ける分、音をたてずに忍び寄ることで不利を補っている。
ほかの敏捷なアメンボのなかまのように、イトアメンボの長く細い脚と長い触角で、
水に落ちてもがいている虫や、水面下にいるミジンコの振動を感知する。
よく食べるのは、水面で単細胞藻類を食べている小さなトビムシだ。
イトアメンボの体は細くて軽く、水の上に浮かびやすい。
頭部は不釣り合いなほど長く、両端の少し下に球状の小さな複眼がついている。
そしてこの長い頭は、ある恐ろしい武器を隠している。
頭の下に隠しもった針で、獲物を串刺しにするのだ。
- 118 ::||‐ 〜 さん:2013/02/12(火) 16:41:55.80 ID:9+Oh8jEc.net
- ゴージャスな毛皮
マルハナバチのなかま ( Bombus sp. )
生息地 ヨーロッパ、アジア、北アメリカ、南アメリカ、アンデス山系
特徴 濃密な毛に覆われている
- 119 ::||‐ 〜 さん:2013/02/12(火) 16:43:24.51 ID:9+Oh8jEc.net
- 毛皮とは、防寒に役立つ密集した毛がはえているほ乳類の皮膚をさす。
だから理論上、昆虫には毛皮はない。
しかし体中を毛や針でおおっている昆虫は多く、まるで毛皮をまとっているように見える。
この昆虫の「毛皮」は、主に防御のために使われている。
例えば毛虫の毛は、ぬいぐるみのようにふわふわと柔らかそうに見えるが、じつはかたくてごわごわしている。
その剛毛は敵の口に入るやいなや、棘となって突き刺す。ときには毒も出す。
毛皮と見紛うような毛を生やしたマルハナバチは、東南アジアに生息する種を除き、主に寒冷地や山地に生息している。
中央アメリカから南アメリカといった昆虫の楽園には生息していない。
アフリカ、アラビア半島、インド、オーストラリアにもいない。
寒さに適合した暮らしを営むマルハナバチは、午前中の早い時期に花の蜜を求めて飛びまわる。
1年をとおして見ても、まだ寒い時期にはほかの昆虫よりもより北へ、より山の上の方へと飛んでいく。
- 120 ::||‐ 〜 さん:2013/02/12(火) 16:43:56.14 ID:9+Oh8jEc.net
- ふつう昆虫は朝早くから日に当たり、必要な体温まで上昇するのを待たなくては飛ぶことができない。
しかしマルハナバチは自分で身震いすることによって、体を温めることができる。
翅を軽くひらき、胸部の大きな翅の筋肉を激しく震わせて代謝熱を生み出す。
ほ乳類や鳥の代謝と同じような仕組みだ。毛皮は飛んでいるときには防寒の役割も果たす。
ハチの毛は単純な細い毛ではない。
顕微鏡で見るとまるで羽毛のように一本一本が枝分かれしている。
この枝状の部分は花粉粒を集めるために進化したとも考えられている。
枝分かれした毛は、暖かい空気を閉じ込めておくのにも適している。
ところが皮肉なことにマルハナバチは必要以上に熱を持ちやすいという欠点がある。
そこで下腹部にある「熱の窓」といわれる、かたくて毛が生えていない皮の部分を通して体液を冷やし、適温に調節する。
- 121 ::||‐ 〜 さん:2013/02/12(火) 16:57:17.87 ID:9+Oh8jEc.net
- 最強の毒
アフリカヤドクハムシのなかま ( Diamphidia sp. と Polyclada sp. )
生息地 ボツワナ、ナミビア
特徴 狩人が狩猟のため矢にその毒を塗る
- 122 ::||‐ 〜 さん:2013/02/12(火) 16:58:08.85 ID:9+Oh8jEc.net
- 毒はうっかり食べてしまってから発見されることが多い。
植物のトウゴマに含まれるリシン、ナス科の実にあるベラドンナ、ジキタリスなどはすべて強力な毒だが、
人間や植物が食べて初めて毒だとわかったのだ。
昆虫は人間にとって重要な食料ではないため、毒があるかどうかは確かめにくい。
しかしある種の昆虫の毒は、人間にとっては便利に利用されてきた。
カラハリ砂漠の北に住む狩猟採集民のサン人(ブッシュマン)は、アフリカヤドクハムシのさなぎを土から掘り出し、その血リンパ液を絞り出す。
血リンパ液に含まれる毒はディアンホトキシンと呼ばれ、完全には解明されていないが、多数のアミノ酸が結合したポリペプチドだと考えられている。
- 123 ::||‐ 〜 さん:2013/02/12(火) 16:59:12.71 ID:9+Oh8jEc.net
- 彼らはおよそ10匹分の血リンパ液を採取すると、矢の先ではなく柄に塗る。誤って自分たちを引っ掻いたら大変だからだ。
マウスを使った実験によると、ディアンホトキシンは赤血球を破壊し、循環機能を不全にして死に至らせるという、高い有毒性を示した。
ただし狩猟で倒す動物はマウスよりも大きいので殺すには何時間もかかるだろうし、特にキリンなどは倒れるまで何日も追わなくてはならないだろう。
しかしディアンホトキシンがほ乳類にとって有毒なのは血液に入ったときだけで、食べても毒とならない。
つまりアフリカヤドクムシを食べるネズミやモグラに対し、この毒では身を守れないのだ。
それならなぜ毒をもつ必要があるのだろう。
答えはまだ見つかっていない。
サン人は、このアフリカヤドクハムシのさなぎを乾かしたものをタバコの葉と一緒に吸い、その結果、酔ったり幻覚を起こしたりするという。
- 124 ::||‐ 〜 さん:2013/02/13(水) 17:24:26.64 ID:jc0nOye9.net
- 鉄壁の鎧
セイボウのなかま ( Chrysididae )
生息地 世界各地
特徴 刺す、かむなどの攻撃から身を守る装備をもっている
- 125 ::||‐ 〜 さん:2013/02/13(水) 17:25:31.37 ID:jc0nOye9.net
- 昆虫を含む脊椎動物はかたい外骨格(外側のかたい殻)をもっており、柔らかくて壊れやすい内部の筋肉組織を守っている。
強くてかるい外骨格は防水性もあり、どんな構造にも合うように形を変えることもできる。
最も軽い外骨格には、ハチやハエの透明な翅がある。
そしてかたいものの代表といえば、甲虫をおおい守る表皮だろう。
表皮を強靭にしているのは、キチンという物質だ。
キチン分子はポリマーであり、小さな分子が結合して長い鎖をつくっている。
鎖は並んでシートをつくり、そのシートは幾重もの層となっている。
まるでベニヤ板のような構造で、強度を出しているのだ。
- 126 ::||‐ 〜 さん:2013/02/13(水) 17:29:05.52 ID:jc0nOye9.net
- キチンの厚さは種によって違う。
大きな甲虫は非常に厚い皮をもっている。しかし最も物々しい装備を備える昆虫は、じちは甲虫ではなく小さいハチだ。
セイボウは最大でも体長15mm程度のハチだが、よく見るととても美しい。
特に厚みのある背中の表面は、さまざまな形の印刻でおおわれているようだ。
セイボウは卵をさまざまなハチの巣に産みつける。
卵からかえった幼虫は寄主の幼虫を食べ、貯蔵してある食料も食べる。
しかしこの生き方は非常に危険だ。
何しろ寄主は、強力な大顎や有毒な針を持つハチなのだ。
セイボウの防御策は、そう、厚い皮の鎧だ。
攻撃する武器はないが、自分の頭、胸、腹を丸めて脚と触角のあいだに入れ、がっちりと身を守る。
寄主が業を煮やしてセイボウをもち上げ、巣から放り出すことはよく知られている。
- 127 ::||‐ 〜 さん:2013/02/13(水) 17:32:01.19 ID:jc0nOye9.net
- 最も長い後翅
オオミズアオのなかま ( Actias sp. )
生息地 アジア東部
特徴 長い尾状突起をもつ
- 128 ::||‐ 〜 さん:2013/02/13(水) 17:39:09.21 ID:jc0nOye9.net
- 昆虫の翅は飛ぶためにある。
鳥やコウモリが地球上に登場する以前、昆虫は何百万年ものあいだ、唯一飛ぶことのできる生物だった。
翅をもつことは便利ではあったが代価もある。
幼虫から成虫になる過程で、翅を大きく育てなければならないため、多大な栄養が必要となるのだ。
柔らかい体は敵に攻撃されやすいという危険もある。
そのため敵に見つからないようにカムフラージュしたり、毒をもっているかのような鮮やかな色に変わったりする必要があった。
進化の過程でさまざまな模様や形状の昆虫がうまれたのは、そういうわけだ。
- 129 ::||‐ 〜 さん:2013/02/13(水) 17:42:11.95 ID:jc0nOye9.net
- オオミズアオは世界で最も印象的で魅力的な昆虫の一つと言えるだろう。大きく繊細で美しい色をしている。
何よりも特筆すべきはその形で、なかでも目をひくのは後翅の尾状突起だ。
種によって違うがオスのほうが長く、開帳(左右の翅の端から端までの幅)と同じくらいの100mmという長い尾状突起をもつ種もいる。
変わった形の翅にもかかわらず、オオミズアオのオスは力強くかつ速く飛ぶことができ、フェロモンを出しているメスを探して自在に動く。
尾状突起の必要性についてはよくわかっていないが、おそらく自己防衛に利用しているのではないかといわれている。
飛んでいるオオミズアオの湾曲した長い尾は、敵の目をひきやすいため、攻撃の目標になってしまう。
しかし尾だけつつかれても、オオミズアオは飛び続けることができる。
鳥がありつけるのは、あまりおいしくない鱗粉がついた翅の一部だけだ。
確かに尾がちぎれたオオミズアオをよく見かける。
- 130 ::||‐ 〜 さん:2013/02/14(木) 17:41:29.58 ID:3w7ZQCnY.net
- 穴掘りの名手
ケラのなかま ( Gryllotalpa sp. )
生息地 世界各地
特徴 モグラのように穴を掘る
- 131 ::||‐ 〜 さん:2013/02/14(木) 17:42:18.13 ID:3w7ZQCnY.net
- 穴を掘るのが得意な動物は、ずんぐりとした円筒形をしていて、土を掻き出すために、短くて力強い鍬のような脚をもっている。
昆虫では地下営巣性のハナバチ類やジガバチ、フンコロガシやセミの幼虫、そして土のなかにすむケラも穴掘りの名手だ。
モグラに似ていなくもない外見から、このケラは英名で「モグラコオロギ」と呼ばれる。体は大きく体長50mm、横幅は10mmもあるものもいる。
そして小さな触角と短い翅、力強い脚をもっている。
力強い敵のような前脚は土を掘り返すために平たくなっていて、土が前脚にくっつかないようごつごつした棘がついている。
ケラは草原、庭や公園で見かけることもあるが、生息地は徐々に減りつつある。
- 132 ::||‐ 〜 さん:2013/02/14(木) 17:44:08.55 ID:3w7ZQCnY.net
- もしもケラの存在に気づくとしたら、掘り返した穴からではないだろう。
穴はうまく隠してあるからだ。
それを教えてくれるのは、きっと特徴的な歌声だ。
ほかのコオロギのなかまのようにケラも翅をすり合わせてうたう。
左翅の上にある弦楽器の撥のようなもので右翅の下にある突起を鳴らして音を出す。
翅の膜とラッパ型に掘られた穴によって、なかにいるケラの歌が増幅されて聞こえる。
ケラの翅は穴のなかでうたうためだけでなく、外を飛ぶのにも使われる。
不器用で方向音痴、ずんぐりとして不恰好なこの虫は、暖かい夏の夜に飛んでいる。
- 133 ::||‐ 〜 さん:2013/02/14(木) 17:57:32.59 ID:3w7ZQCnY.net
- 世界最小の昆虫
エクメプテリギスホソハネコバチ ( Dicopomorpha echmepterygis )
生息地 アメリカ
特徴 成虫では世界最小
- 134 ::||‐ 〜 さん:2013/02/14(木) 17:58:48.66 ID:3w7ZQCnY.net
- 昆虫は小さい。たとえ昆虫界で最大であっても、どんなにがっしりしていても、脊椎動物に比べればまだ小さい。
最大の昆虫がいれば最小の昆虫もいる。
ただし大きな昆虫も卵から生まれた時点では小さいので、比較するなら、さなぎから孵ったあとの最終段階、成虫と比べる必要がある。
では世界最小の昆虫はどれだろう。
昆虫は幼少時代に栄養を得て成長する。
幼虫のときにあまり栄養がとれないと、成虫も大きくならない。
そこで最も小さな昆虫を探すなら、ほかの昆虫の卵の中で育つ昆虫はどうだろうか。
ホソコガネバチのなかまは、小さく繊細な外見から、英語では「小さな妖精」とも呼ばれているが、一見したところハチには見えないだろう。
このハチは卵をほかの昆虫の卵の中に産みつける。
やがて生まれた幼虫は、内側から卵をむさぼり食い、寄主を殺してしまう。
そして寄主の栄養分もすべて食べつくすとさなぎになり。成虫となる。
そのあいだこのハチはずっと卵のなかにいるため、成虫になっても小さいままなのだ。
- 135 ::||‐ 〜 さん:2013/02/14(木) 18:00:22.58 ID:3w7ZQCnY.net
- 世界で一番小さい昆虫はエクメプテリギスホソハネコバチのオスで、1997年にアメリカのイリノイ州で発見された。
大きさは0.139mmだった。多くの原生動物は彼より大きい。
エクメプテリギスホソハネコバチはハーゲンビロードチャタテ ( Echmepteryx hageni )の卵のなかで育つ。
この寄主も非常に小さい。
通常1つの寄主の卵には1〜3匹のオスと1匹のメスのエクメプテリギスが入っている。
オスには視力がなく翅もないため、生涯その卵を出ることはない。
そして長い脚を使って自分より大きい、といっても体長0.2mmのメスと交尾する。
メスはいずれ成虫となって飛んでいき、また別のビロードチャタテの卵に自分の卵を産みつける。
- 136 ::||‐ 〜 さん:2013/02/15(金) 12:28:27.17 ID:wz+iuLPt.net
- いちばん重い
オバケハネナシコオロギ ( Deinacrida heteracantha )
生息地 ニュージーランド・リトルバリア島
特徴 現存する昆虫で最も体重が重い
- 137 ::||‐ 〜 さん:2013/02/15(金) 12:36:13.20 ID:wz+iuLPt.net
- 昆虫についての知識やデータのほとんどは、博物館や個人コレクター所有の標本から蓄積されたものだ。
昆虫の標本づくりは、きちんと乾燥させればそう難しいことではなく、何百年でも保存がきく。
ただし標本からは水分が失われているため、重さのデータについては生きたものでないと量れない。
従って正確に昆虫の重さを量った記録はあまりない。
そんな状況のなか、いちばん重い昆虫の最有力候補にあがるのは、英語でジャイアントウェタとも呼ばれるオバケハネナシコオロギだ。
この昆虫は、ニュージーランドの北島の北東に位置するリトルバリア島に生息している。
例えば熱帯地方にすむ巨大な昆虫 (タイタンオオウスバカミキリ) は、見た目は大きくても体重はそれほど重くないため、うまく飛ぶことができる。
- 138 ::||‐ 〜 さん:2013/02/15(金) 12:42:07.71 ID:wz+iuLPt.net
- 一方オバケハネナシコオロギは飛ぶことはなく、地上にへばりついている。
8000万年ものあいだ、ニュージーランドというほ乳類の捕食者がいない環境に隔離されていたために、飛ぶ必要もなく、これだけ大きくなることができたのだろう。
最大のピンチは人間と共にネズミやネコが移入してきたときだった。
しかし絶滅の危機から救おうと保全計画が立てられたおかげで、オバケハネナシコオロギはまるで新生児のように、大切に守られることになった。
その際に行われた調査で、体重も計測された。
記録には「体長80mm、卵でお腹がふくらんだメスは71g」とある。
通常80mm程度の昆虫の体重は5g程度であり、尾をのぞいた体長が同じサイズの鳥ならば12gくらいだ。オバケハネナシコオロギがいかに重いかわかるだろう。
飛べないのも無理はない。
- 139 ::||‐ 〜 さん:2013/02/15(金) 12:43:50.30 ID:wz+iuLPt.net
- 世界で最も速く飛ぶ
スズメガのなかま ( Sphingidae )
生息地 世界各地
特徴 最速で飛び続けることができる
- 140 ::||‐ 〜 さん:2013/02/15(金) 12:59:21.92 ID:wz+iuLPt.net
- 1926年、昆虫学者が笑われても当然の計算ミスを犯した。
バラッドウマバエ (Cephenemyia pratti ) の飛行速度を勘違いしたのだ。
バラッドウマバエはシカの鼻孔に卵を産みつけるハエであり、生まれた幼虫は鼻孔内の皮膚をかむため、シカはいやがって逃げまわる。
それを全速力で追いかけるバラッドウマバエがあまりに速く飛んでいたため、秒速370m、つまり時速1300kmと推測したのだ。ありえない。
それでは昆虫が音速を超えてしまうことになる。
誤った推測はほかにもある。「オオカバマダラは時速40kmの車と同じ速さである」という記録や、「トンボは軽飛行機と共に時速145kmで飛んだ」とされる記録。
しかしこれらは、昆虫だけの力で飛んだとはいえない。
- 141 ::||‐ 〜 さん:2013/02/15(金) 12:59:54.24 ID:wz+iuLPt.net
- 飛行速度を推測するときには、風速を考慮に入れることが鉄則だ。
かといって籠に入れたり、ロープに結んだ昆虫を風洞 ( 人工的に空気の流れを発生させる実験装置 ) で飛ばしても、その結果は信用しがたい。
今のところ最速とされる信頼できる記録はバッタの時速33kmだが、それはたまたま計測できた昆虫のなかの話で、捕まえにくかったり、計測の難しい昆虫の記録がないだけなのだ。
ボストンの昆虫学者のグループは、スズメガに目をつけた。
空気力学的に優れた翅をもつスズメガは、飛行能力の高さで知られており、なかまの数種は非常に遠方へ移住することで知られている。
たまたま実験に選ばれた種が、ずんぐりとした体型のタバコスズメ ( Manducasexta ) だったのは残念だが、昆虫学者の計測によれば、時速36kmを記録した。
しかしスズメガのなかまにはもっとスリムで競技向きの種がいるので、さらに速く飛ぶことができるだろう。
- 142 ::||‐ 〜 さん:2013/02/16(土) 17:32:28.02 ID:18qWO1NY.net
- 驚くほど俊足のスプリンター
ハンミョウのなかま ( Rivacicindela sp. )
生息地 オーストラリア
特徴 昆虫のなかで、陸を走るスピード記録保持者 ( 時速9km )
- 143 ::||‐ 〜 さん:2013/02/16(土) 17:49:38.73 ID:18qWO1NY.net
- 「タイガービートル」という英名が示すとおり、ハンミョウは、すばしっこく獰猛な捕食昆虫だ。
長い脚で走っては、大きくて棘のたくさんある大顎で獲物を捕らえる。
このなかまのほとんどの種は敵から逃げるために翅を使って10〜20mほど滑空し、すぐに茂みのなかに隠れてしまう。
陸生のすばしっこい昆虫はみな、脚を3本ずつ交互に使うが、ハンミョウももちろんこの走法だ。
3本で土を蹴り、あとの3本は次の前進のために、空中で待機している。
ハンミョウは世界中に生息しており、走るのが速いことはよく知られている。
実際に計測されたのはオーストラリアのリヴァキキンデラ Rivacicindela の一種で、結果は驚くべきものだった。
平均は秒速1.8m ( 時速6.5km ) 、最高で秒速2.5m ( 時速9km ) と、
それまで最速とされていたワモンゴキブリ Periplanetaamericana の秒速1.5m ( 時速5.4km ) を大きく上回っていた。
- 144 ::||‐ 〜 さん:2013/02/16(土) 17:52:02.61 ID:18qWO1NY.net
- ほかのハンミョウと違って、このリヴァキキンデラには翅がなく、飛ぶことができない。
捕食者からのがれる策として、飛ぶのではなく速く走る方法を進化させたのかもしれない。
典型的な逃げ方は、ジグザグに走ったあと、弾丸のようにまっすぐ突っ走る。
一般に島にすむ昆虫は、飛べないものが多い。
飛び立つときに敵に狙われる危険があり、また風で海に運ばれてしまうかもしれないからだ。
飛ぶことはむしろマイナスになる。
リヴァキキンデラは南オーストラリアや西オーストラリアの狭い砂丘や、干上がった塩湖に生息するが、
そこで飛ぶことは、湖や砂漠に運ばれてしまう危険があったのだ。
- 145 ::||‐ 〜 さん:2013/02/16(土) 17:54:46.36 ID:18qWO1NY.net
- ものすごく長い舌
キサントパンスズメ ( Xanthopan morganii )
生息地 中央アフリカ、マダガスカル
特徴 35cmもの長い舌をもつ
- 146 ::||‐ 〜 さん:2013/02/16(土) 18:05:30.96 ID:18qWO1NY.net
- ものすごく長い舌
キサントパンスズメ ( Xanthopan morganii )
生息地 中央アフリカ、マダガスカル
特徴 35cmもの長い舌をもつ
- 147 ::||‐ 〜 さん:2013/02/16(土) 18:12:15.14 ID:18qWO1NY.net
- チャールズ・ダーウィンによる功績のうち、地味ながら非常に評価されてよい研究に、1862年に出版された『昆虫によるランの受精についての論考』がある。
このなかでダーウィンは、マダガスカルのスイセイラン、アングレカム・セスキペダレ Angraecus sesquipedale に注目している。
学名の sesquipedale は「1フィート半の長さ」という意味で、ランが35cmもの筒をもっていて、細いムチのような形をした花であることをさしている。
この長い拒 ( 花筒[かとう] ) は、単なる装飾ではない。
花を咲かせるために最も重要な部分であり、拒の奥には蜜がある。
ダーウィンはこの蜜に届くだけの長い舌 ( 口吻[こうふん] ) をもつ昆虫がいるはずだと推測した。
ダーウィンの仮説どおり、1903年、30cmという長い口吻をもつキサントパンスズメの別亜種がマダガスカルで発見された。
ダーウィンの予想に敬意を表し、ラテン語で「予想 ( praedicta ) 」という言葉を入れて学名は Xanthopan morganii praedicta と命名された。
じつは1856年の時点ですでに、口吻の長さについての報告はあったが、約50年ものあいだ、注目されなかったのだ。
現在はこの種がアフリカ本土にいるスズメガの亜種かどうかという議論もされている。
- 148 ::||‐ 〜 さん:2013/02/16(土) 18:13:54.36 ID:18qWO1NY.net
- キサントパンスズメは夜に活動する。
においをたどってスイセイランを見つけると、ホバリングしながら近づき、触角で確認する。
そして少し後退し、かたく巻いてある口吻を伸ばして花筒深くに入れ、底にある蜜を吸う。
アングレカム・セスキペダレとキサントパンスズメの関係は、花と虫の形状の共進化を体現した、じつに見事でおもしろい例だろう。
何のために花を長くして昆虫が花粉を受け取りにくくしたのか、
拒の短い花はたくさんあるのに、果たして昆虫側は下を長くする必要があったのか。
疑問は残る。
しかし共進化によりどちらも勝者となったことは事実だ。
キサントパンスズメはこのランを独占することができる。
こんな口吻が長い昆虫はほかにいないからだ。
一方ランにとってもメリットがある。
このガはほかの花を訪れないため、貴重な花粉がほかの花に無駄にばらまかれることはない。
- 149 ::||‐ 〜 さん:2013/02/17(日) 15:21:00.63 ID:u2jNE0PV.net
- 鼻が曲がるほどくさい
オオボクトウガ ( Cossus cossus )
生息地 ヨーロッパ、アジア
特徴 幼虫はヤギのオスのようなにおいがする
- 150 ::||‐ 〜 さん:2013/02/17(日) 15:30:29.11 ID:u2jNE0PV.net
- 昆虫はにおいからさまざまな情報を得ている。
例えば花のにおいは、蜜や花粉がある方向を教えてくれるし、葉のにおいは、幼虫の食物になり得るかどうかを教え、卵を産む場所を決めるのに役立つ。
風に乗って運ばれてきたフェロモンでパートナーを見つける。
昆虫の嗅覚器官は触角にあり、さまざまな形をした針のような突起や孔から、空気中の化学物質を感知する。
感度が非常によいため、メスがオスをひきつけるにおいの、たった1つの分子でさえ感知することができる。
くさい昆虫としてよく知られているのは、おそらくカメムシやヘリカメムシのなかまだろう。
しかし最もくさいのは、ガのなかまであるオオボクトウガの幼虫だ。
英名は「ヤギのガ」という意味だが、名前の由来は、翅の模様でもなければヤギとのかかわりでもない。
この大きくてずんぐりといた幼虫のにおいが、ヤギのオスのにおいに似ているからだ。
- 151 ::||‐ 〜 さん:2013/02/17(日) 15:31:14.71 ID:u2jNE0PV.net
- 幼虫は3〜4年ものあいだ。
ヤナギ、ポプラ、カシといった木の幹のなかで成長する。
たくさんの幼虫が集まってすむこともあり、そのような木は樹液を吸い尽くされて深い穴だらけになり、多大なダメージをこうむる。
オオボクトウガの発するにおいは強烈で不快きわまりなく、かなり離れた風上でもにおう。
ほかの多くの甲虫やハエはそのにおいに誘われ、ダメージを受けた木に卵を産みにくる。
なぜヤギのオスに似た悪臭なのかはわかっていないが、フェロモンのような役割を果たし、
ほかの種のボクトウガにも卵を産みにくるよう呼びかけ、将来のために、さまざまな遺伝子を集め雑種を確保しようとしているのかもしれない。
- 152 ::||‐ 〜 さん:2013/02/17(日) 15:41:27.27 ID:u2jNE0PV.net
- 地中深くにすむ昆虫
モグラコロギスのなかま ( Cooloola sp. )
生息地 オーストラリア・クイーンズランド州
特徴 生涯を地中で暮らす
- 153 ::||‐ 〜 さん:2013/02/17(日) 15:45:25.16 ID:u2jNE0PV.net
- 無脊椎動物のうち、翅があるのは昆虫だけだ。
その翅を使って飛ぶことで昆虫は食料を探し、パートナーを追いかけ、敵から逃げる。
飛べるがゆえに昆虫は海でも山でも生きることができ、世界中に広がったのだ。
翅をもつことは昆虫にとってきわめて基本的な特徴であり、目新しいことではない。
ノミやシラミなど、進化の過程で翅を失ったものもいる。
彼らは寄生した寄主の髪の毛や羽根のなかにもぐり込んで生息するために、翅が邪魔になったのだ。
生涯を土のなかにもぐって暮らす昆虫にも、やはり翅は必要ないだろう。
- 154 ::||‐ 〜 さん:2013/02/17(日) 15:46:13.87 ID:u2jNE0PV.net
- とりわけ地中深くに生息する昆虫がオーストラリアにいる。
1980年、昆虫学者D・C・F・レンツは不思議な丸い背の生物を発見した。
大きなセミの幼虫に似たその虫は、クイーンズランド州のクールーラ国立公園の地中に巣穴をつくって生息していた。
バッタかコオロギのなかまではないかと推測されたが、すぐには分類できなかった。現在は「クールーラモンスター」という英名を授けられ、
モグラコロギス科に属する Cooloola propator という学名が与えられている。
以来、同じ地方でモグラコロギスは3種が発見されているが、その生態は謎が多く、比較できる似た昆虫もいない。
そのため、わずかな標本から得た限られた情報しかない。
生まれてから死ぬまで地中で暮らすこと、そして土のなかにすむ無脊椎動物を食べること、
この2つはわかっているが、これからもっと研究されていくだろう。
- 155 ::||‐ 〜 さん:2013/02/17(日) 22:13:59.32 ID:vPRKQAGq.net
- Cooloola MonsterはC.dingo、C.pearsoni、C.propator、C.ziljanの4種だよ。
ttp://orthoptera.speciesfile.org/Common/basic/Taxa.aspx?TaxonNameID=1131775
Cooloola Monsterは国際直翅類学会にもほとんど名前が挙がらないね。
学会でトップクラスの権威を誇るDavid Rentz博士が本種を調査していて、
けっこう解明されてきてるけど、一般にはまだ公開されてないね。
- 156 ::||‐ 〜 さん:2013/02/18(月) 00:30:00.12 ID:qQketxan.net
- 「David Rentz博士」でググッたら
「ビール瓶に乗っかるカブトムシ:オスのタマムシはビール瓶をメスと勘違いする」という論文で
イグノーベル生物学賞とっててワロタ
遊び心もある人なのね
- 157 ::||‐ 〜 さん:2013/02/18(月) 16:45:35.30 ID:qQketxan.net
- 目にもとまらぬはばたき
ブユモドキのなかま ( Forcipomyia sp. )
生息地 北アメリカ、ヨーロッパ、アジア
特徴 どんな生物よりも速くはばたくことができる
- 158 ::||‐ 〜 さん:2013/02/18(月) 17:10:14.13 ID:qQketxan.net
- 進化により、筋肉を使ってはばたいて飛ぶことができるようになった生物は、鳥類、ほ乳類のコウモリ、は虫類 ( 絶滅した翼竜 )、
そして昆虫であり、昆虫以外の3つは脊椎動物だ。
脊椎動物の翼は、飛翔筋と直接つながっており、神経細胞の刺激によって飛翔筋が交互に収縮することで、翼を上下に動かしている。
しかし飛翔筋の神経によるコントロールには限界がある。
1秒間あたりのはばたきの回数でいえば、脊椎動物ではタイヨウチョウやハチドリなどの毎秒90回程度が最速だ。
昆虫でも原始的なグループに属するトンボでは、飛翔筋が直接翅の基部につながっていて、鳥などと同じしくみで飛ぶ。
この場合のはばたき回数は毎秒100回程度だ。
しかしハエ、ハチ、チョウ、甲虫などのより進化した昆虫の場合は、飛翔筋が直接翅を動かすのではなく、
胸部の構造そのものが翅を動かすのだ。
- 159 ::||‐ 〜 さん:2013/02/18(月) 17:12:02.88 ID:qQketxan.net
- 高等な昆虫の飛び方を理解するためには、まず昆虫の胸部の構造の理解が必要だ。
昆虫の胸部は頭部から後方に向かって前胸、中胸、後胸の3つのパーツに分かれている。
それぞれのパーツは上下方向にやはり3つのパーツから構成されている。
それぞれの形状を加味したその横断面は、ドームのように盛り上がった背板、
真っすぐ下に伸びる左右の側板、左右の側板を下でつなぐ腹板となる。
そして翅は、中胸と後胸それぞれの背板と側板の接点から下に向かって生えている。
胸部の内側では、背板と腹板は上下に強力な筋肉でつながっていて、この筋肉が収縮すると、背板は下に引っ張られる。
するとこの原理に従って翅が跳ね上がるというわけだ。
筋肉が弛緩すると背板は元のドーム型に戻り、翅は打ち下ろされる。
高等昆虫の飛行は、これが連鎖的に繰り返されることで実現されている。
はばたくときや飛び立つときの、各翅のバランスや角度は、神経によりコントロールされている。
小さくて軽い昆虫は、最も速くはばたける。
いちばん速くはばたいたと記録されているのはハエ目のブユモドキで、はばたき回数が最低でも毎秒1046回という大記録を打ち立てている。
4枚の翅があるほとんどの昆虫とは異なり、ハエ目は翅が2枚しかないのでコントロールも容易なのだろう。
- 160 ::||‐ 〜 さん:2013/02/18(月) 17:30:40.72 ID:qQketxan.net
- いちばん小さな卵
ヤドリバエのなかま ( Tachinidae )
生息地 世界各地にさまざまな種がいる
特徴 記録があるなかでは、昆虫の卵として世界最小
- 161 ::||‐ 〜 さん:2013/02/18(月) 17:31:54.58 ID:qQketxan.net
- 自分の身の危険を乗り越えた生物にとって、次の命題は次世代への生命の継承だろう。
その役割はまず受精から始まるが、次の段階は種によって違う。
例えばほ乳類に多いのは、子が外の世界で生きられるようになるまで、卵を体内で守り育てるという方法だ。
昆虫はそれとは全く違うやり方で、少なくとも卵のいくつかは生き残れるよう、いろいろなところに産みつけるというリスク分散の方法をとった。
大きな卵は数少なく産みつけられ、幼虫はたっぷりと栄養をとって生まれてくるが、敵や寄生動物のターゲットになりやすく、隠れるのも難しい。
一方小さな卵は初めから栄養豊富というわけにもいかないが、たくさん生まれてくる分、生き残る可能性も増す。
大小どちらがよいかは甲乙つけがたい。
- 162 ::||‐ 〜 さん:2013/02/18(月) 17:33:04.81 ID:qQketxan.net
- 紆余曲折を経た進化の歴史のなかで記録されている最も小さな昆虫の卵は、クレメリス・プラータ Clemelis pullata というヤドリバエの卵だ。
この卵は最も体が小さい虫とされているホソハネコバチの卵よりも小さく、わずか0.027mmの卵を、一度に何千個も産む。
クレメリスの卵が小さい理由は、食べてもらうためだ。何千個も産んだ卵をガの幼虫に食べてもらえるよう、葉の上にばらまくようにして産みつける。
計画通りにガの幼虫の消化管に入ると卵はかえり、寄主を生きたまま内側から食べて成長するのだ。
しかし、今のところクレメリスの卵が世界最小だが、昆虫の卵の大きさ比べは昆虫学者にとって人気のある研究ではないため、データが乏しいのが実情だ。
クレメリスの場合、リンゴやナシの果樹園にとって害虫であるコドリンガに寄生する昆虫だったため、たまたま計測されたからわかったのだ。
今後の研究によっては、ほかの寄生昆虫のなかにもこれと同じくらいか、さらに小さな卵が見つかるかもしれない。
- 163 ::||‐ 〜 さん:2013/02/18(月) 20:09:43.83 ID:xGU++KYE.net
- あまり詳しく書けないけど環境によって卵の大きさを変えて産卵する昆虫もいるよ。
日本にも普通に生息している昆虫で、日本の研究所で研究されてる。
ちなみにその卵を注射器で中身を少し吸い出して人工的に卵を小さくしたらどうなるかという実験もやってる。
こういった素晴らしい着眼点は自分も見習いたいね。
- 164 ::||‐ 〜 さん:2013/02/19(火) 12:33:40.47 ID:t5OLLHxL.net
- 遺伝子を解読して育成過程への興味は尽きないものなんだね。
たぶんデジタルな断線的な理解よりも、アナログで地続きな感覚的に納得できるところまで行きたいんだろうな。
研究者というのも求道者みたいなところがあるよね。
- 165 ::||‐ 〜 さん:2013/02/19(火) 12:53:04.57 ID:t5OLLHxL.net
- いちばん大きな卵
クマバチのなかま ( Xylocopa sp. )
生息地 世界各地
特徴 昆虫の中で最も大きな卵を産む
- 166 ::||‐ 〜 さん:2013/02/19(火) 12:54:36.07 ID:t5OLLHxL.net
- 巣の中で卵を産む昆虫は少なく、ほとんどは葉の上や木の幹、石の下などに産みつけ、そのまま放っておく。
しかし本来、卵を産むのにいちばん適しているのは巣のなかだろう。
すべての巣がそうとはいえないが、次世代が育まれる巣は快適に温度調整されており、敵の目から守ってくれる安全な場所なのだ。
ミツバチやアリ、、シロアリは、昆虫のなかでは最も高度な社会生活を営んでいる。
個体数が数千から数百万匹にも及ぶ彼らのコロニー ( 集団 ) が、ほぼ途絶えることなく生き続けている秘密は、階級や役割分担に加えて、
接触や化学物質をつうじてのコミュニケーション、さらには長命で卵を産み続ける女王の存在に在る。
こうした社会がどのような過程を経て進化してきたのか完璧に理解することは難しい。
しかし原始的な社会性を持つ近縁種の巣づくりから推測することはできる。
- 167 ::||‐ 〜 さん:2013/02/19(火) 12:55:50.55 ID:t5OLLHxL.net
- 多くのハチは巣をつくり、小さな個室に1匹ずつ収まった生まれたての幼虫に、せっせと食料を運ぶ。
ほとんどの場合、母親は子が成虫になる前に死んでしまうため、自分の子供を見ることはないが、ごくまれに長生きした母親と娘が一緒にすんでいることもある。
そのときは協力してさらに部屋をつくり、子孫のために巣を大きくする。
クマバチは体が大きくて頑健な昆虫だ。木の幹などに穴を掘って巣をつくることから、「大工バチ」という英名がついている。
クマバチは木の幹に掘り進んだ巣のなかで、親子二代が当然のように同居している。
この「同居」こそ、社会性獲得の第一歩なのだ。
1つのコロニーをつくるクマバチの巣は12〜20匹と少なく、ミツバチのような高度な社会をつくるまでには達していない。
従って子育てのために看護師や警備員、食料運搬係やベビーシッター役などと役割分担はできない。
だからこそ、子孫には最初にたっぷりと栄養を与えるために誰よりも大きな卵を産むのだ。
ザイロコーパ・アウリペンニス Xylocopa auripennis というクマバチの一種は体長40mm程度しかないが、16.5mm×3mmという大きな卵を産む。
- 168 ::||‐ 〜 さん:2013/02/19(火) 12:57:05.86 ID:t5OLLHxL.net
- >>164
>>遺伝子を解読して「も」育成過程への興味は尽きないものなんだね。
訂正
- 169 ::||‐ 〜 さん:2013/02/20(水) 18:27:08.26 ID:QKYG7N92.net
- 全身が棘だらけ
トゲハムシのなかま ( Hispa sp. や Hispella sp. )
生息地 北半球
特徴 全身が棘でおおわれている
- 170 ::||‐ 〜 さん:2013/02/20(水) 18:42:41.29 ID:QKYG7N92.net
- 棘があれば敵を威嚇できる。
ほ乳類ではハリネズミやヤマアラシ、ハリモグラは虫類ではモロクトカゲなどが棘をもつ。
昆虫はどうだろう。
ハエにコオロギ、毛虫に甲虫・・・・・・例をあげたらきりがないほど、棘をもつ昆虫は多い。
しかしどの昆虫がいちばんとげとげした体をもつのか、チャンピオン選びはなかなかの難題だ。
毛虫は全身が長い棘でおおわれている。毛虫の棘は、捕食者の口やくちばし、のどの奥といった柔らかいところを刺す。
空洞になった毛のなかに、毒が入っている種もいる。しかしどこまでが毛であり、どこからが棘になるのかは議論の余地がある。
- 171 ::||‐ 〜 さん:2013/02/20(水) 18:46:13.34 ID:QKYG7N92.net
- 長い棘や角はふつう、オスがメスにその大きさを誇示するために使われる。
甲虫のなかには巨大な角を頭部もしくは胸部、あるいはその両方にもつものがいるが、せいぜい1本か2本で簡素なものだ。
またコオロギなどでは、太い棘が頭部や胸部、ときには脚にも生えていて、捕食者から身を守っている。
ヨコバイや甲虫には全身が角のようになっているものもあり、植物の茎にカムフラージュすることもできる。
しかしこれも1本だ。
いろいろ考慮すると、とげとげした体ナンバーワンの昆虫は、ヒスパ属やヒスペラ属などトゲハムシのなかまで決まりだろう。
たった数mmという小さな虫だが、その背甲全体を長く力強い棘がおおっている。
この棘は単にかたい毛ではなく、表皮から生えている角なのだ。
なかまの種には、脚や触角まで棘におおわれているものもいる。
しかしこの棘の使い道は、いまだに謎のままだ。
- 172 ::||‐ 〜 さん:2013/02/20(水) 19:06:21.29 ID:QKYG7N92.net
- 大きくて平べったい脚
ゲンゴロウのなかま ( Dytiscidae )
生息地 世界各地
特徴 オスは大きく広がった、平らな前脚をもっている
- 173 ::||‐ 〜 さん:2013/02/20(水) 19:07:46.32 ID:QKYG7N92.net
- 昆虫の脚には「歩く」と「つかむ」という2つの機能がある。
昆虫の脚には、ふ節 ( 4〜5節の小環節で構成される、脚の先端部 ) があり、最先端には1対の爪がある。
ふ節の最も単純な例は、ゴキブリや地面を走り回るハンミョウに見られ、ふ節を構成するそれぞれの環節は小さくて細く、
ネックレスのビーズのようにしっかりとつながっている。
植物や岩、木の幹をよじ登らなければならない昆虫の場合には、爪は建築用の引っ掛け道具のように肥大することもある。
幅広いふ節は主に交尾の際、メスのなめらかな背をしっかりとつかむためのものだ。
メスの背が鏡のようにつるつるしたハムシの場合、オスのふ節は特に幅広くなっている。しかし何といっても最もすべりやすいのは、
流線型をした水生の甲虫の背だろうが、心配は無用だ。水生の甲虫のオスのふ節は、やはり大きく平らに広がっているのだ。
- 174 ::||‐ 〜 さん:2013/02/20(水) 19:12:03.31 ID:QKYG7N92.net
- ゲンゴロウのオスの場合、前脚のふ節の根元の3節が、丸い形に極端に広がっている。
この丸い部分の外側は、短くて丈夫な鉤爪でで縁取られ、下面は大小の吸盤になっている。
一方ゲンゴロウのメスのふ節は細くて華奢だ。
メスの背は流線型で、すべりやすそうに見えるが、背面は毛が生えているか、でこぼこになっている。
以前は、メスの背面がこうした形状なのはオスがつかまりやすいためだと考えられていたが、
どうやら違うらしい。オス足にある吸盤をしっかりと押しつけるためには、でこぼこだらけの表面では不都合なのだ。
しかしメスにとってはむしろ都合がよい。
少なくとも交尾の準備が整うまでは、求婚者を振り払えるからだ。
- 175 ::||‐ 〜 さん:2013/02/21(木) 16:18:59.63 ID:UG4nR/zz.net
- いちばん大きな爪
キョジンカマキリ ( Macromantis hyaline )
生息地 中央アメリカ、南アメリカ
特徴 最も大きな爪をもっている
- 176 ::||‐ 〜 さん:2013/02/21(木) 16:20:05.22 ID:UG4nR/zz.net
- 爪はつかむためにある。
土、岩、あらゆる植物、それからお互いの体。
ほとんどの昆虫の脚の先には、1つか2つ曲がった鉤のような爪がついている。
昆虫の爪は、主に何をつかむのかによって、さまざまな形に進化した。
例えばシラミは大きな筋肉質の脚をもっており、そこには動かすことのできる指のような爪がある。
その爪で寄主の髪をつかんだシラミは、安全に動きまわることができるが、シラミの爪は頑丈で曲がっているため、髪の毛をとかしただけでは取り除くことは難しい。
ノミも同じような爪をもっている。
木にすんでいる大きくて重たい虫は、木から落ちないために、ほかの昆虫よりも頑丈な爪をもつ。
また軽くて素早く走る虫は、動きの邪魔にならないよう繊細なかぎ針のような爪をもっている。
それでは昆虫のなかで最も大きな爪は、何のためにあるのだろう。
答えは逃げようともがく相手をつかむためだ。
- 177 ::||‐ 〜 さん:2013/02/21(木) 16:20:47.48 ID:UG4nR/zz.net
- カマキリの爪は、猛禽類やネコ科の動物の爪と同じく、獲物を倒すためにある。
最も大柄なカマキリは、アフリカに生息するイスクノマンティス・ギガス Ischnomantis gigas で、メスは体長が17cmもあるが、
非常に細く、ひょろっとした脚をしているため、爪の大きさに関しては世界一ではない。
最大の爪は、南アメリカの熱帯地方にいるキョジンカマキリの爪で、非常に強く、昆虫でありながら獣のようだ。
カマキリは繊細な三角形の頭と長く細い脚をもち、ほっそりした用紙は弱弱しく見える。
しかし実際は、自分よりもはるかにがっしりとした体格の相手に勝つことができる。
決め手は猛禽類が獲物を捕るときと同じく、鋭く曲がった大きな鉤爪での攻撃だ。
大きく曲がったカマキリの前脚は、棘のついた恐ろしい武器だ。
関節のあるこの爪は、動物でいうと大腿部にあたる第3節(腿節)と、ふくらはぎにあたる第4節(脛節)でできている。
恐るべき形の爪と凶暴なまでのスピードにより、カマキリはおののく獲物を攻撃し、むさぼり食うのだ。
目もくらむような早さでトンボを空中でつかみ、大きな甲虫を押しつぶし、ハチの身動きを封じる。
脊椎動物に対しても容赦はない。
小さなカエルやトカゲ、ときにはネズミまで捕食してしまう。
- 178 ::||‐ 〜 さん:2013/02/21(木) 16:22:37.33 ID:UG4nR/zz.net
- 時間をきっちりまもるセミ
ジュシチネンゼミ ( Magicicada septendecim )
生息地 北アメリカ東部
特徴 17年ごとに成虫となり地中から現れる
- 179 ::||‐ 〜 さん:2013/02/21(木) 16:37:39.26 ID:UG4nR/zz.net
- 正確に17年周期で大量発生するセミが3種類いる。
13年周期で発生するセミも4種類いる。
13や17は素数なので、これらの周期ゼミを「素数ゼミ」と呼んでいる。
素数ゼミは地域単位で発生する。
毎年4月頃になると、北アメリカのどこかで集中的に大量発生していることになる。
素数ゼミのなかで、いちばん数が多く一般的な種はジュウシチネンゼミだ。
16年と11ヶ月のあいだ、ジュウシチネンゼミの幼虫は土のなかで、広葉樹の木の根から樹液を吸って成長する。
そして決まった年の4月になると、地表近くの小さな穴で、成虫になるための最後の変体を待つ。
体の組織が変化し、成虫になる準備が整うのだ。
- 180 ::||‐ 〜 さん:2013/02/21(木) 16:40:26.51 ID:UG4nR/zz.net
- 地上に出るそのときまでの時間を、なぜここまで正確に刻むことができるのかは不思議だが、同じ地域のセミの幼虫は、同じ夜に一斉に地上へ出てくる。
出遅れたとしても、せいぜい次の晩には現れる。
そして木の幹に登ってしばらくすると背中が割れて、なかから成虫が現れる。
初めは体も翅も柔らかくて白っぽいが数時間でかたくなり、色も濃さを増す。
やがてオスは鳴き始める。
1週間もすると交尾が行われ、メスは枝などに産卵管で穴を開けながら、計400〜600個の卵を産みつける。
卵がかえると幼虫は地面に降りて土のなかにもぐり、暗闇のなか、およそ17年の長い時間を過ごすことになる。
セミの一生のうち、最後の2〜3週間が地上で過ごす時間であり、腹をすかせた動物にとっては、ごちそうにありつける時期となる。
しかしいくら食べても食べつくせないほど、ジュウシチネンゼミの数は圧倒的に多い。
北アメリカ東部では、地域ごとに同時発生の時期は違い、TからXVUまでのグループに分けられている。
なかで2004年に向かえた大発生は、数も発生範囲も、過去最大級だったという。
次回は2021年と予想されている。
- 181 ::||‐ 〜 さん:2013/02/22(金) 15:05:04.12 ID:LfnG68qI.net
- 最も目がまわる昆虫
ミズスマシのなかま ( Gyrinus sp. )
生息地 世界各地
特徴 不規則な動きで相手を混乱させ、水面を旋回しながら泳ぐ
- 182 ::||‐ 〜 さん:2013/02/22(金) 15:17:29.05 ID:LfnG68qI.net
- 暑い夏、鏡のような池の表面が突然乱れ、波紋が次々と現れる。
よく見てみると、黒く輝く甲虫がくるくると旋回しながら、行ったり来たりしている。
ミズスマシだ。彼らのこの奇妙な動きは行き当たりばったりのようで、じつは意味がある。
ミズスマシの成虫は水中にもぐることも空中を飛ぶこともできるが、一生のほとんどを水面で過ごす。
水面での生活に適応するために、眼を4個もっている。
正確には2個の複眼がそれぞれ上下2つに分かれ、上の眼は空中を、下の眼は水中を見るようになっている。
これで空中の敵、水中の敵を見つけられる。
彼らは櫂のような形をした中脚と後脚で漕ぎながら、水面を素早く移動する。
脚を前後に動かしながら、まるでボートの漕ぎ手がオールをひねるように、その角度を調節する。
1秒間で50〜60回くらいのストロークで25cmほど進むが、これは時速にするとおよそ1kmに相当する。
- 183 ::||‐ 〜 さん:2013/02/22(金) 15:19:40.70 ID:LfnG68qI.net
- ミズスマシが激しく旋回するのは、捕食者の目をくらますためだ。
決まった軌道を描かないうえ、太陽の光を背面で反射させることによって相手を混乱させ、捕まらないようにしているのだ。
くるくると動きながらでも頭部の両側から突き出ている短い触角で波紋の反響をキャッチして、
水草やほかのなかまや水面に落ちた獲物の位置を、感知することもできる。
この能力は非常に優れたもので、例えば2本の針金で非常に狭い通り道をつくってミズスマシを放すと、
そのどちらにもぶつからずに泳ぐことができるほどだ。
- 184 ::||‐ 〜 さん:2013/02/22(金) 15:23:31.28 ID:LfnG68qI.net
- 巣づくりに役立つ幼虫
ツムギアリのなかま ( Oecophylla sp. )
生息地 アフリカ・サハラ砂漠以降、東南アジア、オーストラリア
特徴 葉で巣をつくるときに、幼虫の分泌する糸を使って貼り合わせる
- 185 ::||‐ 〜 さん:2013/02/22(金) 15:34:30.89 ID:LfnG68qI.net
- 英国の海軍士官ジェームス・クックと共に、博物学者のジョセフ・バンクスがオーストラリアを訪れたのは1768年のこと、
バンクスは緑色のツムギアリが巣を紡ぐ様子にすっかり魅了された。
ツムギアリは周辺の葉を協力しあって引き寄せ、それらを貼り合わせて、こぶし大から人の頭くらいの大きさの巣をつくっていく。
そのときのバンクスは知る由もないが、接着剤にしていたのは絹のような糸だった。
アリの幼虫から、糸をまるでスティック糊のように押し出していたのだ。
- 186 ::||‐ 〜 さん:2013/02/22(金) 15:36:56.51 ID:LfnG68qI.net
- まず働きアリが葉を引き寄せるため、葉の端を大顎でつかむ。
ほかの働き蟻もやってきて、大顎をつかって同じように葉と葉が重なるくらいに近づける。
するとまた別のアリが、近くの巣から大きく育った幼虫を連れてきて、大顎で幼虫をつかみ、一方の葉に幼虫の頭を押しつける。
すると幼虫は、口のそばにある絹糸線の出口から糸のもとを一滴搾り出す。
それはほそい繊維となり、やがてかたまり、糸となる。
幼虫はもう一方の葉でも同じように糸のもとを絞り出す。
アリと幼虫が協力して2枚の葉のあいだを往復しながら、何千本もの糸で葉と葉をしっかりと貼り合わせていく。
個々の葉は、50万匹のツムギアリが形成するコロニー(集団)の一部にすぎない。
巨大なコロニーは数本の木にまたがり広がっている。
しかし幼虫に糸を吐かせて巣をつくるという行動は、地面や朽ち木のなかに巣穴をつくるよりも材料も労力もかさむため、
このような行動をとるアリは、たった2種しかいない。
インドからオーストラリアにかけて生息するツムギアリ Oecophylla smaragnia と、アフリカの熱帯地方に生息するハタオリアリ Oecophylla Longinoda だ。
- 187 ::||‐ 〜 さん:2013/02/23(土) 22:33:59.78 ID:SIpB7Osj.net
- 大家を養う昆虫
トリデルリアリのなかま ( Myrmecodia sp. )
生息地 東南アジア、オーストラリア
特徴 最も上手に植物と共存する
- 188 ::||‐ 〜 さん:2013/02/23(土) 22:48:29.95 ID:SIpB7Osj.net
- 東南アジアとオーストラリアの熱帯雨林では、木の幹や枝にサッカーボール大の奇妙なこぶのある木が見られる。
切ってみると、なかにはハチの巣のような部屋や廊下があり、そこにはトリデルリアリというアリがすんでいる。
しかしアリがトンネルを掘ったわけではない。親切なことに、ある植物が提供してくれたのだ。
その代わりにアリは植物に栄養を与え、自分の住生活環境を守っている。
トリデルリアリに部屋を提供している植物はアリノトリデという。
アリノトリデは主に高い木の上にある日当たりのいい枝に根でしがみつく着生植物だ。
- 189 ::||‐ 〜 さん:2013/02/23(土) 22:49:25.37 ID:SIpB7Osj.net
- この他力本願の植物には問題があった。
根を使い、スポンジ状のコケにたまった水を根から吸収することはできるが、木の上という場所柄、土からは栄養を得ることができないのだ。
そのためアリノトリデは誰かに栄養を運んでもらわなくてはならない。
アリノトリデの茎は大きな筒のようにふくらんでいて(塊茎)、そのなかに植物自身が昆虫のために準備した「ドマティア」と呼ばれる小空間がある。
トリデルリアリはドマティアにひきつけられ、そこを巣にするのだ。
茎の表面に近い空間は頑丈で長持ちするようにつくられており、ここでは幼虫が育てられる。
小部屋に開いた空気孔のおかげで、内部の温度は快適に調整されている。
またアリは、茎の中央につながる、壁面がでこぼこした隙間に獲物の残りを投げ捨てる。
こうしてトリデルリアリが捨てたごみが分解されて、アリノトリデにとっては貴重な栄養となる。
ごみにはリン酸塩や硫酸塩、窒素が含まれており、それはまさしく植物が土から得る栄養と同じだ。
アリが出すごみがなければアリノトリデは育つことができない。
昆虫の助けのおかげでアリノトリデは厳しい環境を生きのび、木の上で育つ、おそらくは最初の着生植物になれたのだ。
- 190 ::||‐ 〜 さん:2013/02/23(土) 22:51:00.39 ID:SIpB7Osj.net
- 大集団で越冬
サカハチテントウ ( Hippodamia convergens )
生息地 北アメリカ
特徴 数千万匹が一丸となって越冬する
- 191 ::||‐ 〜 さん:2013/02/23(土) 23:06:58.49 ID:SIpB7Osj.net
- テントウムシの鮮やかな翅の模様は、童謡や昔話、玩具でもおなじみだ。
しかしその色づかいは単なるかざりではない。
例えばナナホシテントウ Coccinella septempunctata は赤い翅に7つの黒い点をもつ、。
テントウムシの色のパターンはほかにも黄色い翅に黒い点、黒い翅に赤い点、オレンジの翅に白い点などさまざまだ。
派手な色彩は警告色といわれ、鳥や動物などの捕食者に対し「食べてもおいしくない」という警告を発しているのだ。
くちばしや顎に捕らえられたテントウムシは、鮮やかな黄色やオレンジ色の苦い血リンパ液を、脚の関節の特別な孔から出す。
血リンパ液を味わった捕食者は、口に入れた瞬間にそのまずさを思い知らされ、二度と食べようとしない。
冬のあいだ、テントウムシのなかま同士で身を寄せ合っているので、この鮮やかな警告色がいっそう目立つ。
ほとんどのテントウムシは20〜30匹、あるいは100匹ほどのグループになって、木の皮や枯れ葉の下に集まる。
しかしサカハチテントウは冬を越すために、岩や空洞の小さな洞窟のなかに、シャベルですくえるほどたくさん集まる変わりものだ。
冬を共に越す集団1つあたり、3000万〜4000万匹だと推測される。
- 192 ::||‐ 〜 さん:2013/02/23(土) 23:08:13.11 ID:SIpB7Osj.net
- サカハチテントウは成虫も幼虫も緑色のアブラムシを捕食してくれる。
「生物農薬」として重宝がられているため、アメリカではバケツに集められ、園芸家に売られることがある。
しかし購入した園芸家には気の毒だが、テントウムシたちはやがて散り散りに飛んでいってしまうだろう。
たとえ成虫になったばかりだったとしても、食料を探すためには、
越冬地の山よりも標高が低くて暖かい活動エリアに移動する必要があることを、本能的に知っているのだ。
越冬するのによさそうな岩の空洞に先に着いたテントウムシは、ほかのなかまに安全であることを知らせるフェロモンを発散する。
そのフェロモンをたどって、たくさんのテントウムシがやってくる。
フェロモンは1年後も残っているため、次の世代もまた同じ空洞にたどり着く。
その空洞の魅力を伝えるべく、またフェロモンが発散される。
結果的にテントウムシは毎年同じ空洞で越冬するのだ。
- 193 ::||‐ 〜 さん:2013/02/27(水) 09:31:32.14 ID:D71vXadb.net
- いちばん大きなコロニー
ムツバハキリアリ ( Atta sexdens )
生息地 中央アメリカ、南アメリカ
特徴 800万匹の大規模なコロニーをつくる
- 194 ::||‐ 〜 さん:2013/02/27(水) 09:44:42.23 ID:D71vXadb.net
- たくさんの昆虫が集まって大きなコロニー(集団)をつくるとき、そこには複雑な社会行動が見られる。
コロニーを形成する昆虫は多いが、中南米のハキリアリによるものほど大きなものはないだろう。
トンネルと部屋からなるハキリアリの巣は、地下6m程の場所につくられている。
ハキリアリはそのなかへ、かみ切った歯の断片をせっせと運ぶ。
アリは部屋に運んだ葉をさらに小さく切ってそのに糞をし、微小なキノコを育てる。
最終的にそれを食料とするのだ。
これまでに見つかった最も大きなコロニーはムツバハキリアリのもので、500万〜800万匹がいると推測された。
ハキリアリの巨大なコロニーは、たった1匹の女王アリとその子どもから成り立っている。
新女王となるアリは育った巣を離れる前に、小さなキノコの塊をくわえて飛び立つ。
そして1匹もしくはそれ以上のオスと交尾したのち翅を落とし、新しい穴を掘る。
そして自分で切った葉を運び、運んできたキノコを植える。
最終的には彼女が産んだ働きアリ(生殖能力がないメスで、比較的短命)が葉を切り、
キノコを育てる仕事や子育てを担当し、女王アリは卵を産むことに専念する。
ムツバハキリアリのコロニーの寿命は10〜15年ほどだが、このあいだに女王アリは1日におよそ3万個もの卵を産み、
コロニーが維持されている期間をつうじて合計2億匹の子孫を残す。
1つの平均的な大きさのコロニーで、働きアリが1年間に集める葉は、面積にすると4500平方メートル以上になるという。
- 195 ::||‐ 〜 さん:2013/03/02(土) 20:05:55.14 ID:fQIcbURj.net
- 気前のいい婚前プレゼント
コブバネコオロギのオス ( Cyphoderris sp. )
生息地 北アメリカ
特徴 オスがメスに体の一部と精液袋を食べさせる
- 196 ::||‐ 〜 さん:2013/03/02(土) 20:26:52.17 ID:fQIcbURj.net
- 脊椎動物にはオスが子の面倒をみるケースがよくあるが、昆虫ではほとんどない。
むしろ繁殖の協力として一般的なのは、交尾のあいだにオスがメスに食料を貢ぐことだ。
博物学者は「婚礼のプレゼント」と遠回しに呼んでいるが、オスがメスと交尾したいときに差し出す品だ。
獰猛なハエの一種には、体の大きなメスに食料を与えることで小さなオスが受精させているあいだに自分のみを守ってい
るのではないかというケースもある。
しかしカマキリなどで有名な「共食い」は実際はあまり見られない現象で、ふつうは飼育条件下などストレスを受けてい
る場合に起きるものだ。
- 197 ::||‐ 〜 さん:2013/03/02(土) 20:28:21.95 ID:fQIcbURj.net
- ではなぜオスはプレゼントを差し出すのだろうか。
受け入れやすい説明としては、これから産卵という非常に体力を消耗する仕事に臨むメスに栄養を与えることにより、
オスは、自分の子孫を育てるのに協力しているという説だ。
シリアゲムシのプレゼントは捕獲した虫だったり、ツチカメムシの場合は小さな種子だったり、ハエやハチなどは植物の茎から吸い、吐き戻した樹液だったりする。
しかしキリギリスやコオロギはもっと高度なプレゼントをする。
多くのキリギリス、バッタ、イナゴなどのオスは、「精包」と呼ばれるゼラチン質の塊をメスにわたして食べさせる。
フランスの高名な昆虫学者であるジャン・アンリ・ファーブルいわく、「色も大きさもヤドリギの実とよく似た乳白色の袋」という精包のなかには、タンパク質が豊富な精液が入っている。
この独特のプレゼントはメスに栄養を与えるだけではなく、メスの生殖器に精子を送りこんでいるあいだ、ほかのオスの邪魔が入らないようにする意図もある。
研究によれば、大きな精包ほど食べるのに時間がかかり、ほかのオスとの交尾は遅くなる。
しかしコブバネコオロギは、精包だけではまだ足りないようだ。
この種はメスがオスの上に乗って交尾するのだが、そのあいだにメスは厚みのあるオスの後翅をかじり始めるのだ。
しみ出す体液をなめつくし、翅を全部食べてしまうと、どれほど次に差し出す精包が大きくても、メスにとってそのオスはもはや魅力的ではない。
もしかしたらオスは、生涯に一度しか交尾できないかもしれない。
- 198 ::||‐ 〜 さん:2013/03/03(日) 22:25:47.35 ID:Ss+z2E63.net
- 最高の用心棒
ハキリアリのいちばん小さな働きアリ ( Atta sp. )
生息地 中央アメリカ、南アメリカ
特徴 切り取った葉の上に乗り、寄生バエを撃退する
- 199 ::||‐ 〜 さん:2013/03/03(日) 22:39:21.32 ID:Ss+z2E63.net
- ハキリアリのなかまは、中央アメリカから南アメリカの亜熱帯地方に生息する草食性の昆虫の中で、最も数が多いものの一つだ。
巨大な巣に数百万匹が住み、森の中の地面から木の上まで、ありとあらゆるところで活動している。
歩くタンパク質ともいえるハキリアリが、いろいろな捕獲者や寄生者のターゲットになるのは無理もない。
最も油断ならないのは、ネオドーニフォーラ属(Neodohrniphora sp.)の小さなハエだ。
このハエはハキリアリの頭のなかに卵を産み。
生まれた幼虫は寄主を内側から生きたまま食べる。
ハエは枝にとまり、ハキリアリの通り道で待ち伏せている。
そしてターゲットを決めると後ろからこっそり近づき、ホバリングしながら卵を生みつけるチャンスをうかがう。
ある研究によれば、列をなして食料を運んでいるハキリアリの2.2%が、このハエに寄生されているという。
もし敵に狙われていることがわかれば、逃げることもできるし、触角と前脚で攻撃を受けて立つこともできるだろう。
しかしハキリアリが自分よりずっと大きな葉を運んでいるときには、そうやって防御することは難しい。
そんなときのために、彼らは助っ人を雇うのだ。
- 200 ::||‐ 〜 さん:2013/03/03(日) 22:48:36.60 ID:Ss+z2E63.net
- 数百万匹の固体で構成されるコロニーには、そのなかでいちばん体が小さい「ミニムス」と呼ばれる働きアリたちがいる。
個体数はそれほど多くはない。
ミニムスの仕事は、地中の巣にあるキノコの栽培室をパトロールし、異質な菌があれば取り除くことだ。
しかしそれだけではない。ときどき、巣から50mほどはなれたところにある、葉の採取場所に連れて行かれることがある。
その帰り道、ミニムスはなかまが運んでいる葉の上に乗り、なかまを狙う寄生バエを撃退する。
小さすぎるミニムスはハエの標的にならないため、下で葉を運ぶなかまの用心棒になれるのだ。
- 201 ::||‐ 〜 さん:2013/03/03(日) 23:12:27.10 ID:6ybhnwH1.net
- 寄生バエに対する防衛手段が確立されているとは驚き。
自分が研究している国内の直翅やカマキリは寄生バエにいいように卵を植え付けられている。
特に色素異常の直翅が多い産地は寄生バエもターゲットを見つけやすいのか寄生バエの個体数が多い気がする。
具体的な数値データを取ったら論文書いて学会に発表しようかな。
ハキリアリは多摩動物公園で飼育・展示されてるよね。
本来、ハキリアリなんて絶対に輸入できないんだけど多摩動物公園だけは例外。
多摩動物公園はかなり昔から海外の動物園と頻繁に動物のやり取りをしていて専用の輸入・輸出許可が出されている。
環境省の知人も「あー、多摩動物公園は特別だからねぇー」って思いっきり特別扱いしてるしw
- 202 ::||‐ 〜 さん:2013/03/05(火) 00:52:41.52 ID:YG7PHUuN.net
- 日本ではあんまりハエが獰猛ってイメージはないけど、
なんかオーストラリアのアブとかに刺されると刺された瞬間にすでに痛いらしいね。
図鑑見てると普段の印象と違う情報が載ってて面食らう。世界観が更新されておもろいんだけども。
多摩動物園は一度行ってみたいな。
- 203 ::||‐ 〜 さん:2013/03/05(火) 23:58:40.61 ID:gpqToSOu.net
- 国内のアブもけっこう痛いけどね。 八重山ではしつこく付きまとわれてかなり刺されたよ。
でも北海道で乗馬したときは大量のアブに囲まれたけど不思議と全く刺されなかった。
図鑑で事前に得た印象と実物を見たときの印象が全然違っていることがあって面白いよね。
インドネシア、マレーシア、ペルーあたりで昆虫採集してみたい。
- 204 ::||‐ 〜 さん:2013/03/10(日) 16:17:59.72 ID:NNFuoxLE.net
- 死体が大好きな昆虫
シデムシのなかま ( Nicrophorus sp. )
生息地 世界各地にさまざまな種がいる
特徴 小さな鳥やほ乳類の死体をていねいに埋める
- 205 ::||‐ 〜 さん:2013/03/10(日) 16:29:24.33 ID:NNFuoxLE.net
- 「森の掃除屋」と呼ばれる多様な昆虫たちにとって、死肉は貴重なごちそうだ。
死肉を好む昆虫のうち最も大きなものは、オレンジと黒の縞模様のシデムシだ。
シデムシはいちばん乗りのクロバエの次に、腐敗の始まりを知らせる腐敗臭を察知して、死んだほ乳類や鳥のところにやってくる。
小さなネズミやスズメの死体をめぐっては、なかまたちのあいだで熾烈な競争が繰り広げられる。
最終的には一番大きなオスとメスが1匹ずつ残る。
種に関係なく、死体を取り巻くすべての競争相手がそこにいなければ、オスは死体に登って尾を上げ、においを発してメスを交尾に誘う。
オスとメスは頑丈で幅広い脚を使って死体の下に穴を掘り、掻き出した土を周りに積み上げる。
数時間かけて、死体は少しずつ穴に沈んでいき、土に埋もれて見えなくなる。
その時点で、死体はようやく2匹のものとなる。
- 206 ::||‐ 〜 さん:2013/03/10(日) 16:31:07.44 ID:NNFuoxLE.net
- 昆虫には珍しく、シデムシは両親が協力して子を育てる。
死体をすっかり隠してしまうと、メスはその周りの土のなかに卵を産む。
卵が孵化して幼虫が出てくると、両親は腐敗した肉を食べ、一部を吐き戻して幼虫に食べさせる。
幼虫は成長するに従い、腐りかけてどろどろになった肉を自分で食べるようになる。
シデムシが獲物の墓穴を掘っているあいだにも、隙あらば卵を産もうと企む虫もいる。
クロバエだ。
シデムシはダニを利用してクロバエを退ける。
シデムシの体には、自分が幼虫のときに食べた死体から移ってきた、小さなダニをくっつけている。
このダニはシデムシには害を与えず、クロバエの卵や幼虫に乗り移って食料にするのだ。
- 207 ::||‐ 〜 さん:2013/03/10(日) 16:33:51.39 ID:NNFuoxLE.net
- 最も巧妙な罠
ウスバカゲロウの幼虫(アリジゴク) ( Myrmeleon sp. )
生息地 世界各地
特徴 完全なわなをつくってアリを捕らえる
- 208 ::||‐ 〜 さん:2013/03/10(日) 16:47:05.20 ID:NNFuoxLE.net
- 世界最古の罠は非常に単純なつくりだ。
大きな穴を掘り、獲物が落ちるまで見張るというものだ。
アリジゴクは繊細なレースのような翅をもつウスバカゲロウの幼虫だ。
成虫のはかなげな外見とは裏腹に、幼虫はその旺盛な食欲を満たすために、驚くべき仕組みの罠を作り上げた。
アリジゴクは主にアリを捕食するが、ほかの昆虫でもかまわない。
通常は乾いた砂地に生息し、岩や木が張り出していて雨が掛からない場所に、きれいなじょうご形の巣穴を掘る。
ポイントは「乾いた砂」という点だ。
獲物が穴に落ちると、乾いた砂壁が崩れるようになっており、いったん崩れ始めた壁は、不運な犠牲者が底に滑り落ちるまで崩れ続ける。
いちばん底にはアリジゴクがいて、三日月刀のような大顎をひらいて、獲物の到着を待ち構えている。
じょうご形の巣穴を作るために、アリジゴクは円を描くように後退しながら、
前脚ですくった砂粒を頭の平らなところと大顎に載せ、頭を大きく反り返らせて空中に弾き飛ばしていく。
すくっては飛ばし、すくっては飛ばし、らせん状にぐるぐるまわっているうちにじょうご形の穴となる。
- 209 ::||‐ 〜 さん:2013/03/10(日) 16:48:51.36 ID:NNFuoxLE.net
- 穴が完成すると、アリジゴクは砂底に隠れて息をひそめる。
壁の傾斜は、土木技師が「静止する角度」と呼んでいるものだ。
つまり崩れるか崩れないかという、ぎりぎりの角度なのだ。
わなの口付近で獲物のアリが転ぶと壁が崩れ始め、獲物は下へすべっていく。
アリが転ぶと壁が崩れ始め、獲物は下へとすべっていく。
アリが登ろうとすると、アリジゴクは下で砂をちょっと動かす。
こうすると砂が崩れる効果はさらに増し、すべり落ちるスピードはますます速くなる。
アリジゴクの罠にはまったアリは、砂の下にひきずり込まれて身動きができず、アリジゴクの大顎で突き刺され、体液を吸い取られてしまう。
- 210 ::||‐ 〜 さん:2013/03/11(月) 10:22:55.06 ID:1RwIfkof.net
- 死に至る交尾
セイヨウミツバチ ( Apis melifera )
生息地 ヨーロッパ、アフリカ、アジア原産(人により世界各地に移入された)
特徴 オスは交尾のあいだに去勢され、致命的な傷を受ける
- 211 ::||‐ 〜 さん:2013/03/11(月) 10:39:42.83 ID:1RwIfkof.net
- オスの性的本能は、できるだけたくさんのメスと交尾し、少しでも多くの自分の子孫を次世代に残すことだ。
一方メスは自分の子孫を生むことは保証されているので、多くの求婚者から1匹だけを選ぶことができる。
ところが、セイヨウミツバチはかなり事情が違う。
その違いは新女王バチが初めて巣を訪れ、オスを探しに行くところから始まる。
昆虫の世界では通常、オスがメスを探すことが多い。
ところがセイヨウミツバチのオスは目立つところ、例えば木の上や、大きな茂みなどに集まっている。
そして女王バチの来訪を知るやいなや、彼女を追いかける。
その数は少しずつ増し、最後には数十匹から数百匹にふくれあがる。
大群となって空中を移動する形から「オスの彗星」ともいわれることもある。
群れのオスは、女王バチと交尾をしようと競い、彼女の下から近づこうとする。
女王バチを脚でつかまえると、オスは膨らませる事ができる生殖器の一部、内陰茎を女王バチに差し込む。
- 212 ::||‐ 〜 さん:2013/03/11(月) 10:40:36.11 ID:1RwIfkof.net
- そして脚を離して後ろによけ、空気の流れに身を任せるのだが、
突然このように体を曲げることで、オスの体には負荷がかかり、内臓が押されて精子が飛び出す。
同時に内陰茎がぽっきり折れる。
女王は内陰茎を体内に収めたままとなり、腹部の先から突き出ている様子を見ることができる。
一方こんな形で去勢されたオスはほとんど即死し、地面に落ちる。
女王バチは5年ほどの生涯のなかで、100万個以上の卵を産む。
30分ほどの交尾で、女王バチは貯精嚢に一生分の精子を貯める。
そして必要に応じて貯めておいた精子を使って受精させ、産卵するのだ。
交尾後の女王バチに求婚する2匹目のオスは、彼女の生殖器から突き出た交尾のしるし、
つまり折れた内陰茎(と精子)を取り出し、自分の内陰茎を挿入する。
女王バチはこうして、2〜3回交尾をするのがふつうだが、なかには20回もするものもいる。
- 213 ::||‐ 〜 さん:2013/03/11(月) 10:42:34.56 ID:1RwIfkof.net
- 植物の形を大きく変える
オウシュウバラタマバチ ( Diplolepis rosae )
生息地 ヨーロッパ
特徴 幼虫を育てるのにふさわしい形に、植物を大きく変える
- 214 ::||‐ 〜 さん:2013/03/11(月) 11:00:51.29 ID:1RwIfkof.net
- ロサ・アルベンシスや英語でドッグローズとも呼ばれるロサ・カニナなどの野生のバラの茂みには、
ごくたまに深紅のふわふわした塊がある。
まるでもつれた赤いウールかコケの繊維のようだが、正体は「ベディガー」と呼ばれる虫こぶだ。
ベディガーという名前は、ペルシャ語の「風にもたらされたもの」という意味の言葉から由来する。
しかしこれは、アザミの種子がふわふわと風に吹かれている様子と混同していると思われる。
確かに見た目は似ている。
もつれたウールの塊は、バラの茎の葉牙(ようが)から生えている。
最初は葉と同じ緑色だが、だんだん鮮やかな赤に変わる。
ベディガーはバラの一部だが正常な成長ではない。
この変化は、塊のなかで成長する小さな生物によってコントロールされているのだ。
- 215 ::||‐ 〜 さん:2013/03/11(月) 11:01:50.60 ID:1RwIfkof.net
- バラの異常な成長は、体長4mmほどのオウシュウバラタマバチが、
40〜60個の卵を化学物質の混合物と共に、芽のなかに産みつけるところから始まる。
するとバラの新しい葉が成長する代わりに、もじゃもじゃの繊維におおわれた大きな虫こぶになる。
卵からかえった幼虫たちは、内側から虫こぶを食べながら、植物の成長ホルモンとよく似た物質を分泌しつづける。
最終的にこぶは直径30mmくらいのクルミ大となり、周りをおおう巻き毛はテニスボール大になる。
昆虫を含めた無脊椎動物が、植物の成長を妨げてこぶをつくらせ、
卵からかえる我が子に安全と栄養を与えるためのすみかにするのは、そう珍しいことではない。
たった1匹の子のために用意されるこぶもあれば、ベディガーのように多くの子をすまわせこぶもある。
しかしベディガーはつくった昆虫やそこにすんでいる昆虫のものだけではない。
勝手に入り込んで分け前にあずかろうとする昆虫もいろいろといるのだ。
そんな招かれざる客である着生昆虫のほとんどは、オウシュウバラタマバチの幼虫に悪さはしない。
しかしなかには幼虫や、ほかの着生植物の幼虫に卵を産みつけ内側から食べてしま捕食寄生者もいる。
これらの捕食寄生者もまた、自分たちを狙う高次捕食寄生者に攻撃される。
虫こぶにできたコミュニティーには25種もの違った昆虫がいるため、少しばかり複雑だ。
- 216 ::||‐ 〜 さん:2013/03/14(木) 15:46:15.62 ID:oew9NK5M.net
- 精密な温度計
シラユキカンタン ( Oecanthus fultoni )
生息地 北アメリカ
特徴 空気中の温度に合わせてうたう
- 217 ::||‐ 〜 さん:2013/03/14(木) 16:01:07.92 ID:oew9NK5M.net
- コオロギの鳴き声は、静かな田舎の風がやんだ夕暮れの風景にぴったりだ。
コロコロリーと繰り返すその歌は、映画やラジオの演出に利用されることも多く、リラクゼーションのCDにもよく使われている。
メロディアスで風情を感じる歌だが、鳴く本当の目的はコミュニケーションのためであり、オスがメスに向けてうたっているのだ。
コオロギ、キリギリス、バッタのなかまはおよそ2万種いるといわれており、それぞれが独特の歌声をもっている。
歌は種ごとに旋律や速度が決まっていると考えられていたが、
1897年にアメリカの発明家トマス・ドルベアがシラユキカンタンを観察したところ、
周囲の大気の温度で速度が変わることを発見した。
ドルベアの報告では、シラユキカンタンが15秒間に鳴く回数に40を加えた数が、華氏で表したそのときの気温になり、
8秒間に鳴く回数に5を加えた数が、摂氏で表したそのときの気温になる。
これは非常にわかりやすいため、シラユキカンタンは「オンドケイコオロギ」とも呼ばれるようになった。
シラユキカンタンはアメリカ全土におり、東部に生息するもののほうが、西部のものより、ゆっくりとうたう。
西部では、近縁種であるライリーカンタン Oecanthus riley が似たような歌をうたうため、
聞き手であるメスが混乱しないよう、テンポを速くする。
- 218 ::||‐ 〜 さん:2013/03/14(木) 16:02:39.55 ID:oew9NK5M.net
- 地域差を加味した、鳴き声の回数から気温を知るための式は以下のとおりだ。
アメリカ東部 そのときの華氏の気温 ( °F ) = 13秒間の鳴き声数 + 40
そのときの摂氏の気温 ( °C ) = 7秒間の鳴き声数 + 5
アメリカ西部 そのときの華氏の気温 ( °F ) = 12.5秒間の鳴き声数 + 38
そのときの摂氏の気温 ( °C ) = 7秒間の鳴き声数 + 4
- 219 ::||‐ 〜 さん:2013/03/15(金) 21:37:48.75 ID:v5HA73uO.net
- 最高の建築家
オオキノコシロアリのなかま ( Macrotermes sp. )
生息地 アフリカ・サハラ砂漠以南
特徴 天候の影響を受けない超高層ビルを建てる
- 220 ::||‐ 〜 さん:2013/03/15(金) 22:00:24.51 ID:v5HA73uO.net
- アフリカに広がるサバンナでは、背が高くコンクリートのようにかたい泥の建造物が、ところどころに見られる。
この立派なアリ塚は、単に泥土を盛っただけのものではない。
建物の内部は空調室と居住室に分かれており、天候の変化にも対応すれば空調も完璧という、構造的に工夫された高層都市なのだ。
建築家は小さなシロアリだ。
塚の形が最も見事で、研究も盛んにされているのは、
アフリカ南部のミカエルセンオオキノコシロアリ Macrotermes michaelseni の巣だ。
直径4〜5m、高さが1.5mの広い円錐形の土台の中央からは、高さが9mにもおよぶ尖塔がそびえ立つ。
その尖塔の周りは直径20mにわたって、掘り返された土が積み上げられている。
土台、尖塔、掘り返された土という3つの構造が重なり合い、1つの巣を構成しているのだ。
外から見ただけでは、この建造物の複雑な造りを創造するのは難しい。
いちばん外側の層はもろくて埃っぽい。
そのすぐ内側は、焼けた土とシロアリの唾液を混ぜてつくった、かたい壁になっている。
そして壁の内部にはトンネルや通路、ちょっとした空間が迷路のように連なっている。
すべての巣の間取りは少しずつ違うが、基本的な設計図は同じだ。
- 221 ::||‐ 〜 さん:2013/03/15(金) 22:02:23.39 ID:v5HA73uO.net
- 複雑な迷路の中心に、幼虫を育てるための狭い部屋がある。
部屋の周りにはトンネルがあり、そこでシロアリは食料にするために菌類(シロアリタケ)を育てている。
葉の断片や実、種子、枯れ木などどんな繊維のもと(セルロース)でも巣にもち帰り、
堆肥に加えては畑をならし、シロアリタケを栽培するのだ。
一棟のアリ塚はオスとメスのペアがつくり始める。
その際ペアは、自分たちが生まれた巣から菌類を少しもち出して植える。
シロアリタケの一種であるテルミトミケスはシロアリの巣のなかにしか見られず、シロアリと共生関係を築いている。
幼虫の部屋とシロアリタケの畑からは「煙突」と呼ばれる狭い空間が尖塔に向かって伸びている。
煙突はたくさんのトンネルに枝分かれし、巣のなかに張りめぐらされている。
この入り組んだトンネルと煙突が、巣全体を空気調整している。
高濃度の二酸化炭素を含み30℃ほどに温かくなった空気は、トンネルに広がりながら煙突のなかを上昇していく。
張りめぐらされたトンネルを通るあいだに熱と二酸化炭素は薄い壁から排出され、酸素が入ってくる。
熱交換によって冷やされて24℃ほどまで下がった空気は巣の地下室に沈んでいき、そのあと巣全体に広がっていく。
このような空調が施された全天候対応型のシロアリの都市は100年ほども保たれる。
- 222 ::||‐ 〜 さん:2013/03/17(日) 04:53:05.99 ID:hsgvPXxE.net
- 知恵を絞って水を飲む
キリアツメゴミムシダマシのなかま ( Stenocara sp. )
生息地 ナミビア
特徴 地上でいちばん感想した地域で、水を集めて飲む
- 223 ::||‐ 〜 さん:2013/03/17(日) 05:06:10.19 ID:hsgvPXxE.net
- アフリカ南西部は、年間降水量が10mmにも満たない、地球上で最も乾燥した地域だ。
しかしこの不毛のナミブ砂漠にも、生物はいる。
砂の上を丸い体に長い脚をもったゴミムシダマシがちょこちょこ走っている。
彼らは、風に飛ばされてきた動物の市外のかけらや植物の断片を食べる。
いわば砂漠の掃除屋だ。
丸い体とかたい殻、そして日に当たるのを避けることで、極力水分を失わないよう工夫している。
しかしそれでも水分は補給する必要がある。
そこでキリアツメゴミムシダマシは、水を集める独創的な方法を編み出した。
- 224 ::||‐ 〜 さん:2013/03/17(日) 05:08:13.17 ID:hsgvPXxE.net
- 雨はほとんど降らない場所だが、海からの水蒸気による霧が、夜間に定期的に発生する。
霧の夜、キリアツメは長い脚を使って、尻を空中に突き上げる。
霧は虫の体を包み、体の表面で水滴に変わる。
霧が液化するメカニズムは、ステノカーラ属Stenocara sp.で詳しく研究された。
体の表面には、微細な粒が並んでいて、霧のなかの水分が結露しやすくなっているのだ。
粒と粒のあいだの溝は、水をはじく層でできていて、水滴がたれると、プラスチックの雨樋(あまどい)を雨が流れるように伝わっていく。
頭を下げ、尻を上げて体を傾斜させているため、水滴は口へと流れ込む。
ナミブ砂漠は地球上で最も古い乾燥地域であり、砂漠化してすでに5500万年が経っている。
そのあいだにキリアツメのなかまは多様化し、今では200種以上がいるが、その多くは他の地域には生息していない。
- 225 ::||‐ 〜 さん:2013/03/19(火) 05:48:46.29 ID:qUdNH5mo.net
- 最も危険な産卵
アルティクラータツヤアリバチ ( Methoca articulata )
生息地 世界各地
特徴 自分にかみつくよう相手を誘い、その相手に産卵する
- 226 ::||‐ 〜 さん:2013/03/19(火) 06:16:45.05 ID:qUdNH5mo.net
- ハンミョウ( Cicindeta )は食用旺盛な捕食昆虫だ。
動きが速く、鋭い大顎を武器とする。
そしてその幼虫も恐ろしさにかけては成虫に負けていない。
ハンミョウの幼虫は土のなかに垂直にトンネルを掘る。
そしてその大きな頭で入り口の穴を塞ぎ、大顎をひらいて、巣穴のそばを獲物が通るのを待つ。
小さな無脊椎動物がそのそばを歩けば、素早く半身を伸ばして大顎ではさみ、地中に引きずり込んでむさぼり食う。
- 227 ::||‐ 〜 さん:2013/03/19(火) 06:18:21.10 ID:qUdNH5mo.net
- ハンミョウがいるところならばどこにでも、小さくて細いアリのような昆虫がいる。
その多くはツヤアリバチ属( Methoca sp.)に属するカリバチだ。
オスに翅がある種類もいる。
ハンミョウの幼虫にとって一番多い獲物はアリだが、
アリそっくりのアルティクラータツヤアリバチが巣穴のそばを歩いてもやはり大顎で捕まえようとする。
しかしツヤアリバチ体つきはとても細く、また幼虫の大顎から身を守るための装備ももっているため、
ツヤアリバチは何らダメージを受けない。
逆に、獲物を捕まえようと巣穴から半身を出した幼虫はすぐに獲物を放って巣穴に逃げ込むが、
ツヤアリバチは毒によってハンミョウが麻痺するのをしばらく待ち、巣穴に入っていく。
さらに何回か刺せば、ハンミョウの幼虫はおとなしくなる。
アルティクラータツヤアリバチのメスは動けなくなったハンミョウの幼虫に、卵を1つ産みつけてから巣穴を砂や土で埋める。
孵化した幼虫はハンミョウの幼虫の血液を吸って育つ。
メスはまた次の巣穴を探しに行く。
そしてこの向こう見ずな産卵方法を繰り返す。
- 228 ::||‐ 〜 さん:2013/03/27(水) 21:21:15.18 ID:aUv0E1BE.net
- 大冒険家
ウミアメンボのなかま ( Halobates sp. )
生息地 大西洋、インド洋、太平洋
特徴 昆虫にとっては最も厳しい環境である外洋に生息する
- 229 ::||‐ 〜 さん:2013/03/27(水) 21:38:21.67 ID:aUv0E1BE.net
- 昆虫にとって最も危険な環境は灼熱の砂漠でもなければ、荒涼とした山地でもなく、また汚染された都市部でもない。
最も危険な環境、それは海だ。
知られているだけで約100万種の昆虫がいるがg、外洋に進出した海洋性昆虫はわずか5種類しかいない。
「シースケーター」とも呼ばれるウミアメンボは、おそらく何百万年も前に池や小川の表面を素早く動くアメンボから進化したと思われる。
小さな体に長く細い足をもっているが、やや短めの前脚は頑丈で、
ものをつかむのに適しているため、捕食するときに、獲物を押さえるのに便利だろう。
支柱のような中脚と後脚には、長い毛が生えているおかげで水の上に乗ることができる。
中脚はオールの役目、後脚はハンドルの役目をしている。
ウミアメンボのなかまは約45種が確認されている。
温帯から熱帯地方に生息し、ほとんどは磯や内陸のマングローブの沼地などにすんでいる。
- 230 ::||‐ 〜 さん:2013/03/27(水) 21:39:02.61 ID:aUv0E1BE.net
- 5種だけは深く広い大海原へ出て行った。
5種のうち3種が太平洋、1種がインド洋、残りの一種が大西洋、インド洋、太平洋にわたって生息している。
ウミアメンボは見つけにくいところにすんでいるため、研究はほとんど進んでいない。
捕獲してケース内で観察することも難しいため、繁殖期や生態の詳細は不明のままだ。
食べ物は動物性プランクトン、魚の卵、小魚、死んだクラゲなどであることがわかっている。
すべてのウミアメンボは無味乾燥な銀色がかった灰色をしている。
それには理由がある。体全体が防水性のある灰色の毛におおわれているからだ。
おかげでウミアメンボはびしょ濡れにならない。
体の構造はほかのアメンボと同様に、水面で生きていくようにできている。
もぐることはできず、翅はない。
卵は丸太や水鳥の羽毛、海藻、オイルボールなどの漂流物に産みつける。
海は広いが、産卵する場所は非常に少なく、人間の捨てたごみなどは重宝がられる。
2002年にはプラスチックの牛乳瓶が太平洋の真んなかで回収されたが、
そのなかには7万個のウミアメンボの卵が産みつけられていた。
牛乳瓶と同じ網には833体ものソブリヌスウミアメンボ Halobates sobrinus が掛かった。
- 231 ::||‐ 〜 さん:2013/03/27(水) 21:49:16.99 ID:uxhvewa8.net
- おぉ、ウミアメンボか。
明日の応動昆で講義聞こうと思ってたからタイムリーな昆虫だわ。
ウミアメンボは飼育下ではなぜか溺れるんだよね。
- 232 ::||‐ 〜 さん:2013/03/28(木) 21:43:13.18 ID:QKGuCJ2G.net
- う〜ん・・・
波というか環境の動性に適応したのかなぁ
- 233 ::||‐ 〜 さん:2013/03/29(金) 17:07:46.49 ID:sonxFeXB.net
- 最も不愉快な寄生法
ウシバエ ( Hypoderma bovis )
生息地 ヨーロッパ、アジア北部、北アメリカ
特徴 幼虫が生きたウシの皮膚に入り込む
- 234 ::||‐ 〜 さん:2013/03/29(金) 17:25:01.00 ID:sonxFeXB.net
- その昔、ウシたちが草原で草を食(は)んでいると、突然、揃って尾をもち上げ、大あわてで草原を暴走することがあった。
このパニックは、マルハナバチに似た小さな昆虫によって引き起こされていた。
ウシはこの昆虫によってもたらされる激しい痛みを知っていたのだ。
このような騒動を引き起こす、茶色とオレンジ色の毛のハエはウシバエといい、
北半球のウシが飼われている地域ではよく知られた昆虫だ。
ウシがウシバエを嫌うのは、追いまわしたり、かみついたりするからではない。
ウシバエはウシの脚と脇腹の毛に、小さな白い卵を産みつける。
すぐに幼虫が生まれ、ウシの皮膚に穴を開けると体をくねらせてもぐり込む。
筋肉や脂肪を消化する消化酵素を分泌しながら、血液を吸い肉を食べるのだ。
- 235 ::||‐ 〜 さん:2013/03/29(金) 17:26:49.41 ID:sonxFeXB.net
- 秋の数ヶ月間、ウシバエの幼虫はウシの皮膚の下を動きまわり、盛り上がった背中を移動する。
最終的にはビー玉くらいのかたさと大きさにまで成長し、ウシの背中にはたくさんのこぶができたようになる。
このこぶは「腫瘤(しゅりゅう)」と呼ばれ、幼虫が呼吸をするために開けた傷穴がある。
傷穴にはそのうち何らかの菌が感染して膿ができる。
最終的にはその膿が幼虫を押し出してくれるしくみだ。
地面に落ちた幼虫はやがてさなぎになり、成虫に変身する。
先史時代に人間がウシを家畜にしたときから、飼い主にとってウシバエは悩みのたねだった。
決しておおげさに家畜の苦しみを心配しているわけではない。
肉や牛乳はほとんど影響を受けないが、ウシの皮はウシバエが開けた穴や膿庖で傷だらけになってしまう。
治療は難しく、毒性のある水銀の軟膏か、車輪の潤滑油に硫黄を加えた塗り薬、テレピン油、亜麻仁油、タールなどが使われた。
ウシバエは現在、北アメリカとヨーロッパの家畜の周りにはいなくなった。
ウシの飼料に入れた殺虫剤のおかげでほぼ根絶されたのだ。
しかし今もって野生のバイソンやバッファローはウシバエに襲われることがあり、
この昆虫からのがれようと無駄な抵抗をしているところを見ることがある。
- 236 ::||‐ 〜 さん:2013/04/03(水) 14:49:13.36 ID:1qpv2kNW.net
- 寒さにいちばん強い
ウェッデルアザラシジラミ ( Antarctophthirus ogmorhini )
生息地 南極
特徴 氷点下の南極の海で何ヶ月も生きのびる
- 237 ::||‐ 〜 さん:2013/04/03(水) 15:16:39.21 ID:1qpv2kNW.net
- 寒冷地に適応できる昆虫は少ないが、ウェッデルアザラシジラミは間違いなくその代表だろう。
体長3mmほどの小さな虫で、アタマジラミやケジラミと同じシラミのなかまだ。
南極周辺に生息するウェッデルアザラシの尾や足首、腰、後ろの鰭脚(ききゃく)などの毛に寄生することでしか生きられない。
ウェッデルアザラシはほとんど氷の下を泳いで過ごし、呼吸をするためだけに水面まで上がってくる。
つまりこのシラミは、マイナス2℃以下の水温のなかにいるわけだ。
またこの寄主は、水深450mの深さに1時間以上もぐっているため、シラミはその水圧にも耐えなくてはならない。
近い親戚であるオタリアアサラシジラミ Antarctophthirus microchir は、同じような過酷な状況を味わっている。
- 238 ::||‐ 〜 さん:2013/04/03(水) 15:17:26.88 ID:1qpv2kNW.net
- ウェッデルアザラシは9月〜11月に海から陸に上がり、交尾したり子を産んだりする。
そのあいだにシラミも元気によく育ち、ほとんどすべてのアザラシに寄生する。
寒さのためにアザラシがあまり活動しない時期は、シラミもただくっついているだけだ。
冷たい水には暖かい水より多くの酸素が溶けているため、それを吸収して生きている。
またシラミの体の表面は微細な鱗毛(りんもう)におおわれており、これが薄い空気の層をつくって防寒の役割を果たしている。
シラミは寄主の血液を吸う。アザラシが活発にもぐったり捕食したりしているときは、体が温まって熱を発散する。
すると尾や鰭脚の皮膚まで血のめぐりがよくなるのだ。シラミの短い繁殖期はこのときに訪れる。
たっぷりと血液を吸い、交尾して産卵する。
この時期はウェッデルアザラシジラミのライフサイクルのなかでは比較的暖かいとはいえ、気温は0〜4℃程度だ。
しかしこの温度でも卵は孵化することができる。
産卵以外の活動は、気温が5〜15℃くらいのときに見られるが、それでもほかの昆虫が生息している環境よりはずっと寒い。
- 239 ::||‐ 〜 さん:2013/04/06(土) 17:26:39.11 ID:zz0TW/4L.net
- 最も悪質なわな
ヒカリキノコバエのなかま ( Arachnocampa sp. )
生息地 オーストラリア、ニュージーランド
特徴 獲物を粘着質のわなで捕らえるため、光っておびき寄せる
- 240 ::||‐ 〜 さん:2013/04/06(土) 17:44:00.22 ID:zz0TW/4L.net
- オーストラリアやニュージーランドの暗い洞窟の天井に、小さな光がまるで星座を描くように光っている。
発光源であるヒカリキノコバエの幼虫は、北半球にいるホタルのなかまでもなければ、
ホタルのようにお互いを探すために光っているのでもない。
獲物をおびき寄せるために光を放っているのだ。
ヒカリキノコバエの幼虫は細長く、絹のように細い糸と粘液でできた細い管に包まれた姿で洞窟の天井にくっついている。
そこから長さ50〜150mmの糸を30〜70本たらす。
それぞれの糸には粘着力のある雫がたくさんついており、まるでネックレスのようだ。
ヒカリキノコバエの属名は Arachnocampa sp. といい、
クモの幼虫という意味で、クモのように糸を出すことから名づけられたものだ。
- 241 ::||‐ 〜 さん:2013/04/06(土) 17:45:52.62 ID:zz0TW/4L.net
- 洞窟は荒涼とした場所であり、栄養分となるものはほとんどない。
しかし水はあり隠れ場所として最適だ。
ヒカリキノコバエの獲物となる小さな虫は、風に乗ってふわふわと飛んできたり、
一時的な避難場所を求めて入ってきたりするが、暗闇のなかで迷ってしまう。
昆虫は本能的に上へ、もしくは光の方へ飛んでいくため、ヒカリキノコバエのべとべとしたネックレスへと誘われていく。
雫にくっついた犠牲者は、もがけばもがくほどますます粘着質のネックレスにからめとられることになり、ついには捕まってしまう。
犠牲者はハエかもしれないし、クサカゲロウかもしれないし、またハチや甲虫やクモかもしれないが、
何にせよヒカリキノコバエはからまった獲物を引き寄せ、むさぼり食う。
そして次の食事まで、また暗闇で何日でも何週間でも待つ。
幼虫が成虫になるまでおよそ1年かかる。
成虫になり卵を産んだあとは、それほど長生きしない。
おそらく最後は、自らが子どもたちの食料になるのだろう。
- 242 ::||‐ 〜 さん:2013/04/08(月) 00:27:10.41 ID:8iT/osFA.net
- 多摩動物公園のヒカリキノコバエ(グローワーム)は昆虫だけじゃなく人間でも見とれてしまうくらいすごい綺麗だった。
今度バックヤード見学させてもらうから、餌の給仕を撮影させてもらおうかな。
- 243 ::||‐ 〜 さん:2013/04/12(金) 15:50:24.04 ID:V5R5HMcw.net
- >>242
遅レスですまんす
写真でしか見てないけど玉簾という感じだね
- 244 ::||‐ 〜 さん:2013/04/12(金) 15:50:57.61 ID:V5R5HMcw.net
- 妻を全く信用しない
ウスバシロチョウのなかま ( Parnassius sp. )
生息地 北極付近と北半球の山岳地帯
特徴 オスは交尾するメスに貞操帯をつける
- 245 ::||‐ 〜 さん:2013/04/12(金) 16:04:05.34 ID:V5R5HMcw.net
- ほとんどのオスにとって、できるだけ多くのメスと交尾し、できるだけ多くの子孫を残したいという本能は何にも勝る。
一方でメスはできるだけ優秀な相手を選び、自分の子の父親としたいという欲求がある。
両者の思惑を見越して、交尾の際には複雑な儀式や戦略が数多く見られる。
ウスバシロチョウのなかまは、そのなかでも究極といえる方法を開発した。
貞操帯だ。
ウスバシロチョウのオスとメスのあいだには、求愛行動というものがほとんど存在しない。
オスは交尾するメスを単純に捕らえる。
そして交尾が終わったら、急いで次のメスを探すのではなく、オスはそのメスと数時間一緒にいる。
- 246 ::||‐ 〜 さん:2013/04/12(金) 16:04:52.52 ID:V5R5HMcw.net
- 白と薄い黄色地の翅には、黒い線と赤い円が描かれていて、敵に「毒があっておいしくない」と警告している。
そのため捕食者の心配をする必要がなく、たとえ交尾中に邪魔が入ったとしても、このウスバシロチョウはその場を去らずに一緒にいる。
ほかのチョウなら、おののいてそれぞれに飛び去るだろう。
このように交尾に長い時間をかけるのには理由がある。
精子を送るのと同時に、オスは腹部の先にある特別な分泌腺からゼリー状の液体を出す。
このゼリーはかたまって、薄いピンクもしくは黄色の「交尾栓」と呼ばれる栓、
すなわち貞操帯となり、ほかのオスはこのメスと交尾できなくなる。
調査したところによると、この交尾栓は確かにメスが交尾した証拠になる。
解剖すると、ほかのオスがその後いくら試しても、最初のオスだけが交尾に成功したことがわかる。
しかし交尾栓をつくるという営みは、オスにとって大きな消耗を強いる行為であるため、
成虫になってから死ぬまでの数週間のうち、1〜2個しかつくれない。
- 247 ::||‐ 〜 さん:2013/04/18(木) 19:01:34.45 ID:z/KybYt6.net
- 最もすばらしい陶芸家
トックリバチのなかま ( Eumenidae )
生息地 いろいろな種が世界各地に生息している
特徴 子を育てるために、泥でできた壺形のすみかをつくる
- 248 ::||‐ 〜 さん:2013/04/18(木) 19:02:46.41 ID:z/KybYt6.net
- せっせと子育てに励むというのは、典型的な昆虫の行動ではない。
しかし単に卵を生む以上のことをする種も多い。
幼虫に必要なだけの食料を用意しておくことは、生き残る確率を大いに高める。
またハチのなかには自分たちのコロニー( 集団 )をつくり、幼虫に十分な食料を与えて育てるものがいる。
大多数のハチは大雑把に穴を掘り、もしくは他の誰かの穴を見つけ、そこに食料を入れて卵を産みつけたら立ち去る。
メスだけが働く種はなかなか創意にあふれており、空洞になっている植物の茎を使ったり、壁の穴を利用したり、
空になったカタツムリの殻を使ったりする。
- 249 ::||‐ 〜 さん:2013/04/18(木) 19:04:02.30 ID:z/KybYt6.net
- とりわけ美しい職人技を見せてくれるのはトックリバチだ。
自分の子のために巣となる壺をつくってやるのだ。
その形はまるでギリシャ時代に起源を発する壺、アンフォラのように美しい。
トックリバチの壺づくりは、長い大顎と前脚で土を運び、まず底をつくるところから始まる。
泥や粘土を集めてきては茎や葉や枝にくっつけて、土が乾いてかたくなると、
今度は壺の横の部分を一塗り一塗りしながら形づくっていく。
外側は粗く未完成に見えるが、内側はなめらかにでき上がっている。
最後にいちばん上の口の周りの張り出した縁を、大顎で操作しながらていねいに仕上げる。
- 250 ::||‐ 〜 さん:2013/04/18(木) 19:05:19.48 ID:z/KybYt6.net
- 壺がほぼ出来上がると、ハチはガの幼虫を捕らえにいく。
ガの幼虫を針で刺して動けなくすると、完成した壺に入れる。
そして卵を1個、そのなかに産む。
卵は絹のような糸で壺の天井からぶら下げられている。
そして壺の口にふたをし、その近くに新しい壺をつくり始める。
安全が確保され、食料も蓄えられた環境で育つこの幼虫は、生き残る可能性が高い。
しかしそれでも母親は油断できない。
食料となるガの幼虫を運ぶあいだに、せっかくつくった壺にはほかのハチやハエがそっと忍び寄り、
卵を産んで寄生してしまうかもしれないからだ。
- 251 ::||‐ 〜 さん:2013/04/22(月) 21:40:30.19 ID:bLGFxIjB.net
- いちばんの悪食
イリスコムラサキ ( チョウセンコムラサキ ) ( Apatura iris )
生息地 ヨーロッパ、アジア北部
特徴 糞、腐った死肉、車の排気ガスを好む
- 252 ::||‐ 〜 さん:2013/04/22(月) 21:59:17.41 ID:bLGFxIjB.net
- イリスコムラサキは風格のあるチョウだ。
玉虫色に光る紫に白い光のような模様が入ったうるわしい翅の表側は、温帯地方に生息するチョウの中でも、とりわけ美しい。
熱帯地方の鮮やかなチョウの美しさに匹敵する。
古くからある森林に生息し、流線型の緑色の幼虫はヤナギやサルヤナギの葉を食べ、
成虫はカシやブナの木の周りを高く飛びながら交尾の相手を探す。
イリスコムラサキはとりわけ用心深いため、人間はあまり近づけない。
遠くから双眼鏡で観察する限りでは、花の蜜を吸いに行くことはない。
しかし地面の泥のところへは行く。
イリスコムラサキは泥や水たまりから水を飲むのだ。
その黄色く頑丈で長い口吻(こうふん)の先端は、繊細な毛でおおわれていて、
チョウが泥のなかから液体を吸い上げるときに余分なものを漉(こ)す働きをしている。
- 253 ::||‐ 〜 さん:2013/04/22(月) 22:00:09.81 ID:bLGFxIjB.net
- ほかのチョウでも同じような行動が見られ、これにより必要なミネラルを取り入れている。
泥水のほかにも動物の糞や尿、腐った死肉、車の排気ガスのパイプから落ちる液化したガスなどからもミネラルを得ている。
オスもメスもこのようにして栄養をとるが、繁殖するためにさらに栄養を必要としている。
昆虫の世界には、ほかにもさまざまな変わった食料がある。
タバコシバンムシ Lasioderma serricorne は、乾いたタバコの葉を食べるため、タバコや葉巻にとっては害虫だ。
10年以上封をしてあったカゼイン (ミルクに含まれるタンパク質) からは、
何千匹ものヒョウホンムシ Niptus hololeucus が見つかったこともある。
セイヨウシミ Lepsma saccharina は壁紙の下に薄く広がる接着用糊のでんぷんを食べる。
ヒメマルカツオブシムシ Anthrenus verbasci の幼虫は、博物館の動物の剥製や皮膚の標本などを食べる。
昆虫館の昆虫標本も同じく大好物だ。
- 254 ::||‐ 〜 さん:2013/05/14(火) 22:37:05.85 ID:CVmzVyzk.net
- 究極の昆虫変態
ツチハンミョウのなかま ( Meloidae )
生息地 世界各地
特徴 幼虫の目的に合わせ、さまざまに変態する
- 255 ::||‐ 〜 さん:2013/05/14(火) 22:37:55.71 ID:CVmzVyzk.net
- おおまかにいって昆虫は、幼虫時代はあまり動きまわることはなく、食物を摂取し成長することに専念する。
そして成虫になると、交尾したり移動したり、産卵したりと活発に動きまわる。
イモムシとチョウの例が物語るように、幼虫から成虫という成長段階に応じて、形や行動が変わることを知らない人はいないだろう。
ところがツチハンミョウは幼虫時代に何回か変態をする。
ある幼虫の姿から異なる幼虫の姿へと、各時期の過ごし方に適した複数の幼虫期をもつのだ。
- 256 ::||‐ 〜 さん:2013/05/14(火) 22:38:50.72 ID:CVmzVyzk.net
- ツチハンミョウが英語圏で「オイルビートル」と呼ばれている理由は、油っぽい毒を分泌するからだ。
土のなかや草の根、草の上に卵を産み、その卵からは非常に体の小さい「三爪型幼虫」と呼ばれる6本脚の幼虫が生まれる。
名前のとおり、幼虫は珍しいことにそれぞれの足先に3本の爪(多くの昆虫の爪は2本)をもっている。
細くて長い脚をもつ三爪型幼虫は花の上まで登り、通りかかる昆虫にヒッチハイクしようと待つ。
待っているのは特定の種類のハチで、目的地はそのハチの巣のなかだ。
しかし多くの幼虫は、目的のハチ以外の昆虫にヒッチハイクしてしまう。
運のいいわずかな数匹の幼虫だけが、目的どおりの巣まで連れていってもらえる。
そこで三爪型幼虫から太った短い幼虫に変態する。
- 257 ::||‐ 〜 さん:2013/05/14(火) 22:40:33.20 ID:CVmzVyzk.net
- ここからの生態は種によって異なるが、寄主の蓄えている食料をたべたりもする。
そして成長しきったら皮膚がかたくて脚がない、従って運動能力もない幼虫に変態し、冬や乾季の期間を何ヶ月も眠る。
幼虫期の終わりが近づくと今度は運動能力のある幼虫へと変態し、さなぎになるための部屋を掘り、そこでさなぎに変わる。
そしてツチハンミョウは自らの子どものために、ハチたちが食料を集める時期に間に合うように成虫になる。
このように複数の幼虫期をもつ変態の形式を「過変態」という。
複数の幼虫期をもつ点、また三爪型幼虫の時期と最後の成虫期の2回、ある場所からほかの場所に移動するという、
活動的な行動をとる点でツチハンミョウの一生はとても珍しい。
- 258 ::||‐ 〜 さん:2013/05/15(水) 18:14:32.86 ID:CX7W7FIN.net
- 抜群の視力
アメリカギンヤンマ ( Anax junius )
生息地 北アメリカ、中央アメリカ
特徴 昆虫のなかで最も視覚が優れている
- 259 ::||‐ 〜 さん:2013/05/15(水) 18:15:33.86 ID:CX7W7FIN.net
- 脊椎動物の眼の、瞳孔と焦点の複雑なメカニズムとは違い、昆虫の眼は単純で固定された構造をしており、
外界の非常に狭い部分での光でとらえる。
光は数個の視細胞を通り、視神経から脳に達する。
個眼(こがん)と呼ばれる外を見る部分は、六角形のレンズだ。
レンズの下には円錐形の「桿(かん)状体」とよばれる網膜細胞の感光組織があり、
その下に光刺激を感じるセンサーがある。
昆虫の眼は、多くの個眼が集まって複眼となっている。
六角形レンズがモザイク状に集まり、ドームを形づくっているのだ。
それぞれの個眼に受けた信号は、デジタルカメラの1画素のようなものであり、それらが昆虫の脳内で集積され、
1つの視覚イメージをつくり上げる。
- 260 ::||‐ 〜 さん:2013/05/15(水) 18:17:12.10 ID:CX7W7FIN.net
- つまり個眼が多ければ多いほど、イメージの解像度は高くなる。
最も大きい複眼をもつ昆虫はトンボであり、なかでも特に大きいのはヤンマのなかまだ。
左右それぞれ3万個の個眼があるといわれている。
それほど多くの種を調べたわけではないが、ある研究によれば、アメリカギンヤンマには左右に29.247個ずつあったとのことだ。
トンボはどのような世界を見ているのだろうか。
おそらく風景を見ているのではなく、単純に特定の形や模様、動きを抽出しているのだろう。
複眼を構成する個眼は、いろいろなサイズのものが、ある規則に従って並んでいる。
そして、それぞれ個別の焦点距離や解像度をもっていて、獲物を感知するときは近くを、敵を見つけるときは遠くを見ているようだ。
昆虫には眼が退化してなくなってしまったものも多い。
眼のある昆虫のなかで最も視力が悪いのはアリのなかまであるプンクタティッシマニセハアリ( Hypoponera punctatissima )だろう。
左右の複眼が退化し、個眼が一個ずつになってしまった。
- 261 ::||‐ 〜 さん:2013/05/18(土) 17:47:19.26 ID:9i9It6gA.net
- いちばん上手な擬態者
オスジロアゲハ ( Papilio dardanus )
生息地 アフリカ、マダガスカル島、アラビア半島南部
特徴 毒をもつさまざまなチョウに擬態する
- 262 ::||‐ 〜 さん:2013/05/18(土) 17:48:15.50 ID:9i9It6gA.net
- ビクトリア時代の英国の博物学者であるウォルター・ヘンリー・ベーツが、
1840年代と50年代にアマゾン川を探検したとき、鮮やかな色でゆっくりと飛ぶドクチョウ( Heliconius sp.)をたくさん見つけた。
このチョウは幼虫のときに有毒な植物を食べるため、成虫は鳥にとっては有毒であり、おいしくない。
そのため目立つ模様をもっていても、警戒する必要はない。
しかしベーツを最も驚かせたのは、有毒ではないコバネシロチョウ( Dismorphia sp.)が、
毒をもつドクチョウにそっくりな模様をもっていたことだった。
ベーツは「まずいチョウ」は化学物質により守られているが「まずくないチョウ」は有毒なチョウの翅の模様を真似することによって、
自己防衛をしているのだと推測した。
この概念を今では「ベーツ型擬態」と呼んでいる。
- 263 ::||‐ 〜 さん:2013/05/18(土) 17:49:03.99 ID:9i9It6gA.net
- 擬態は昆虫の世界では珍しくない。ハナアブはハチに擬態する。
カメムシはアリに、ガの幼虫は鳥の糞に、そしてチョウはお互いに擬態する。
真似される者と真似する者は、有害なものとそうでないものとが対になることが多く、ベーツ型擬態のチョウのコンビはよく知られている。
しかし広い分布地域のなかで、チョウは少しずつ違う模様や色をしており、
擬態者はそれに合わせて変化しなければならない。
ベーツは上流へと川をたどりながらチョウを見るたびに、まずいチョウかそれともまずくないチョウか観察していた。
アフリカのオスジロアゲハは擬態の名手だ。
オスはすべて黒と薄い黄色をしており、尾状突起があるふつうのアゲハチョウだが、
メスは、この大陸に広く生息する14種の「ますいチョウ」に擬態する。
- 264 ::||‐ 〜 さん:2013/05/18(土) 17:49:49.20 ID:9i9It6gA.net
- メスのなかには、翅の地の色がオレンジ色で黒い縁取りがあり、
白い稲妻のような模様が入っているメスのカバマダラ( Danaus chrysippus )に擬態するものもいる。
また前翅には黒地に白い点があり、後翅には黄色い模様がある、レイマンシロモンマダラ( Amauris albimachlata )や、
黒地に青白い大きな模様があるシロモンマダラ( Amauris niavius )に擬態するものもいる。
真似されるどのチョウにも尾状突起はなく、擬態する方も当然ない。
ベーツにとって予想外だったのはマダガスカルだった。
オスジロアゲハは、メスもオスも同色同形であり、翅は黒と黄色で目立つ尾状突起をもっていた。
もしかするとアフリカ大陸での擬態の進化は、2億800万年前から1億4600万年前のジュラ紀に大陸移動が起こり、
マダガスカルをインド洋へと引き離したあとに始まったのかもしれない。
- 265 ::||‐ 〜 さん:2013/05/19(日) 20:30:31.06 ID:PUvjBUuq.net
- >>263
>>メスは、この大陸に広く生息する14種の「ますいチョウ」に擬態する。
タイプミス。
「まずいチョウ」
- 266 ::||‐ 〜 さん:2013/05/25(土) 17:18:36.01 ID:XnEN3Dq+.net
- 数も距離も最大規模の移動
オオカバマダラ ( Danaus plexippus )
生息地 北アメリカ
特徴 毎年秋になると5200kmの長旅をし、春になると戻ってくる
- 267 ::||‐ 〜 さん:2013/05/25(土) 17:35:43.47 ID:XnEN3Dq+.net
- 毎年9月の初め頃になると、ロッキー山脈の東側に2億5000万匹ほどいるといわれているオオカバマダラの食欲が旺盛になる。
よく食べるせいで、体重は30%も増える。
こうして体内に脂肪を蓄えたオオカバマダラは、南に向かって飛び立つ。
カナダ南部からアメリカの五大湖へ、1日に約80kmも飛ぶのだ。
どうやって方向を知るのかわからないが、ほとんどがテキサスを通り、
そして11月までにはメキシコシティ西部の山地に30ヵ所ほどある、谷間の目的地に到着する。
チョウは茂みやモミの木に落ち着くと、翅をたたんで冬眠に入る。
晴れた朝にはねぐらのそばにある小川に水を飲みにいき、気温の下がる夕暮れには夕景を見ながら戻ってくる。
空はチョウでいっぱいになり、そして木はチョウの重さでしなる。
- 268 ::||‐ 〜 さん:2013/05/25(土) 17:39:04.77 ID:XnEN3Dq+.net
- 2月には気温が上昇して、日も長くなる。
これをきっかけに交尾が始まり、3月までにはあちらこちらでカップルが誕生する。
オスは交尾が終わるとすぐに死ぬが、メスは数日のうちにその場を発つ。
命を脅かす寒さからのがれるための秋の移動とは異なり、北へ帰る春の移動にはまとまりがない。
てんでんばらばらに北へ帰りながら、チョウは幼虫の好きなトウワタの上に卵を産む。
幼虫はそこで葉を食べて成長し、さなぎになり、成虫となる。
そして同じ時期に生まれたなかまたちと北を目指す。
8月頃にオンタリオ湖の上を飛んでいるオオカバマダラは第4世代、つまり5ヵ月前にメキシコを離れたチョウのひ孫に当たる。
彼らは祖先の移動の記憶がないのにもかかわらず、すぐに南に向かって出発する。
そして全く同じ道を通り、同じ木をねぐらにし、メキシコシティの近くに落ち着くのだ。
なぜこのように驚くべき移動が可能なのか、いまだに謎は解かれていない。
- 269 ::||‐ 〜 さん:2013/05/25(土) 17:46:10.15 ID:XnEN3Dq+.net
- モルジブの昆虫学者チャールズ・アンダーソンが2009年7月に発表した説によれば、
「アフリカ東岸やセイシェル諸島とモルジブ諸島を行き来するウスバキトンボ ( Pantala flavescens )など数種のトンボが、
昆虫では最長距離を移動する」という。調査、証明はこれからだ。
- 270 ::||‐ 〜 さん:2013/05/31(金) 21:46:02.69 ID:MGWngnmK.net
- 最強のレスラー
テナガカミキリのオス ( Acrocinus longimanus )
生息地 メキシコからアルゼンチン北部
特徴 長い前脚を使い、敵をひっくり返す
- 271 ::||‐ 〜 さん:2013/05/31(金) 21:54:24.34 ID:MGWngnmK.net
- 同じ種でありながらオスとメスの外見が大きく違う場合、その理由は交尾のパートナー選びにある。
エネルギーを産卵に集中させたいメスは、オスを探しまわることで消耗しないよう、化学物質のにおいを発してオスをひきつけるが、
オスのほうはメスをめぐって戦うために、恐ろしい武器をもつようになったり、奇怪な姿に進化した。
奇怪に見える姿形にも、はっきりとした目的がある。
しかしテナガカミキリの前脚がなぜこんなに長いのかという謎が解かれるのには、じつに250年もかかった。
テナガカミキリは道化めいたその派手な模様から「道化の虫」という意味の英名をもつ。
手に入りにくく、しかも人目をひく美しいテナガカミキリは、長いあいだコレクターや昆虫商の垂涎の的だった。
- 272 ::||‐ 〜 さん:2013/05/31(金) 21:56:51.67 ID:MGWngnmK.net
- しかしテナガカミキリの最大の特徴は、オスの前脚の長さだ。
オスの体長は大きなもので7.5cmくらいだが、前脚は15cmもある。
そして同じ体長のメスの前脚の長さはオスの半分もない。
またオスの前脚は先が鋭く曲がっているが、メスの脚は真っすぐだ。
オスの細くて長い前脚の使い方については、あれこれと推測されてきた。
枝をよじ登るため、メスを押さえつけるため、あるいは交尾の最中にほかのオスからメスを守るためなどだ。
しかし本当の答えはどれでもなく、オス同士が格闘するためだった。
- 273 ::||‐ 〜 さん:2013/05/31(金) 22:01:17.25 ID:MGWngnmK.net
- この格闘に勝利するには、対戦相手の足のつけ根に自分の前脚を引っ掛け、相手を木から放り投げるしかない。
お互いの頭から脚までの大きさを測りあったあと、小さいほうは勝者とメスを残して、その場を立ち去ることが多い。
体格の差がない場合は、手始めに頭突きをするが、戦いにまで発展するケースは珍しい。
力強い敵の大顎近くに脚をもっていくことは、危険を伴うからだ。
実際、触覚や脚の一部がないオスを見かけることもある。
めったに格闘をしないわけだから、前脚の用途について長いあいだ昆虫学者がわからなかったのも無理はない。
- 274 ::||‐ 〜 さん:2013/06/02(日) 18:16:40.06 ID:yjbUe3rL.net
- 最も大きな群れ
サバクトビバッタ ( Schistocerca gregaria )
生息地 アフリカ
特徴 数百万匹という大群でいっせいに飛ぶ
- 275 ::||‐ 〜 さん:2013/06/02(日) 18:34:56.75 ID:yjbUe3rL.net
- 昆虫は一生のさまざまな局面で群れをつくる。群れとなるきっかけや目的、規模もさまざまだ。
例えば女王バチの周りに集まるミツバチ、海をわたるヒメアカタテハ。
そのなかで最大のものは、バッタのそれであることは疑いの余地がない。
しかし四方へと広がる大群が、果たしてどこまで広がっているのかを調べることは難しい。
古代からトビバッタによる被害は伝えられており、
旧約聖書の「出エジプト記」にある「十の災い」のうち8番目のイナゴの災いは有名な話だ。
最近までほとんどの報告は逸話のように語られるだけで、その規模も「膨大」という言葉でしか表されなかった。
1784年に南アメリカで大発生した群れは5000平方kmにおよんだという説もある。
バッタは風で海に飛ばされたあげく浜に打ち上げられ、高さ1mの死骸の山が80kmも続き、
悪臭は250km先まで届いたという。
しかしこれはあくまでも伝承だ。
- 276 ::||‐ 〜 さん:2013/06/02(日) 18:43:54.42 ID:yjbUe3rL.net
- 記録として確認されているものでは、1954年にケニアで発生したサバクトビバッタの群れが、最も大きなものだと推測される。
バラバラに発生して次第に大きくなっていったおよそ50の群れが、最終的には集合して、
1000平方kmにわたって広がる様子を、偵察用の飛行機から観察できた。
群れの高度は1〜1.5kmにも達し、推定500億匹のバッタがいたと思われる。重さにして10万 t だ。
サバクトビバッタはいつもこのような大群を形成するわけではない。
ふつうは少数で、ほかのバッタと同様、人に害を与えることなく暮らしている。
緑色の体は草のあいだに隠れるためであり、バッタ同士はお互いを避ける。
しかし豊作で生息地の固体密度が高まると、そのストレスを原因として「相変異」と呼ばれる体型の変化が起こる。
すなわち、長い脚と緑色の体色に代表される「孤独相」から、
移動に適した短い脚と長い翅をもつ「群生相」になり、体色も黄色や茶色になる。
そしてストレスから自らを解放するために、新天地を求めて移動を始めるのだ。
- 277 ::||‐ 〜 さん:2013/06/03(月) 22:09:57.15 ID:R31Esw+g.net
- 長生きの女王
トビイロケアリ ( Lasius niger )
生息地 北アメリカ、ヨーロッパ、アジア北部
特徴 実験用の巣のなかで29年も生きた
- 278 ::||‐ 〜 さん:2013/06/03(月) 22:20:39.67 ID:R31Esw+g.net
- どの生物も子孫繁栄に貢献するべく、さまざまな策略を編み出してきた。
大きな鳥やほ乳類は、少なく大きく産むことに専念し、長い時間とエネルギーをかけて巣で卵を温めたり、胎内で育てたりする。
そのためには親が大きくなければならないし、一回の繁殖期で失敗しても次にまた挑戦できるよう、長生きすることが必要だ。
昆虫は小さな卵をたくさん産む。そして幼虫は、天敵に捕まらないうちに早く成虫になる必要がある。
幼虫のあいだは見つかりにくい場所で時間をかけて成長し、成虫になると短命んは昆虫もいる。
あるいは少ない卵で十分に成長させてから産卵するものもいる。
- 279 ::||‐ 〜 さん:2013/06/03(月) 22:21:19.21 ID:R31Esw+g.net
- 女王アリは、自らがゼロからつくり上げたコロニー( 集団 )のおかげで、長生きする。
交尾を済ませた女王アリは、その際に似た精子をずっと体のなかに貯めておき、産卵時に受精させる。
未受精卵から育つアリはすべてオスだが、受精卵から育つアリはすべてメスで、
ほとんどが働きアリとなって巣を守り、幼虫の世話や食料調達に精を出す。
卵を産むことに専念する女王アリは、働きアリが運んでくる食物を食べて、いたれりつくせりで巣のなかで暮らす。
巣の外は虫が虫を食べる危険な世界だが、女王は安全な場所で何年も生きのびる。
正確な寿命は推測の域を出ないが、最長記録として残っているうち最も長生きだったのは、
ドイツの昆虫学者ハーマン・アッペルの実験室で29年生きたトビイロケアリの女王だ。
- 280 ::||‐ 〜 さん:2013/06/07(金) 14:51:14.62 ID:0i89lp2D.net
- 最も短い幼虫期
ツェツェバエのなかま ( Glossina sp.)
生息地 アフリカ・サハラ砂漠以南
特徴 卵からかえり幼虫になるやいなや蛹化( ようか )する
- 281 ::||‐ 〜 さん:2013/06/07(金) 15:05:10.20 ID:0i89lp2D.net
- どこに卵を産むか、いくつ産むか、どのくらいの大きさに産むか、どうやって守るか、食料はどうするのか。
どの昆虫も多くのことを子孫に残したいと願う本能に従って決定する。
卵と幼虫の時期を無事に過ごせるかどうかが、非常に重要なのだ。
幼虫期はたくさんの栄養をとって成長する時期だ。
特に食料に栄養分が少ない場合には、幼虫は時間をかけて成長する。
成虫になると交尾して卵を産み、種によっては数日、ときには数時間で死んでしまうこともある。
こうした幼虫期と成虫期の一般的な長さという点で、型破りな昆虫がいる。ツェツェバエだ。
ツェツェバエのなかまは30種類ほどいるが、すべてサハラ砂漠以南に生息している。
成虫のメスは吸血するため、アフリカトリパノソーマ症( アフリカ睡眠病 )を媒介する。
この病気はマラリアと同じく、原虫が人間の血液に侵入することによって引き起こされる。
- 282 ::||‐ 〜 さん:2013/06/07(金) 15:08:34.96 ID:0i89lp2D.net
- 血液はカと同様にツェツェバエにとっても非常に重要だ。
子孫の栄養のために血中タンパク質が必要なのだ。
しかしカは栄養を何百個もの卵に分け与えるのに対し、ツェツェバエが与える相手はたった1個の卵だ。
1個だけの卵は、メスの腹にある子宮のような嚢のなかで孵化する。
幼虫はそこで約9日間、ミルクとも呼ばれる分泌物を受け取って成長する。
そして土の上に産み落とされたときには成長しきっている状態のため、数分後には蛹化する。
そして、さなぎの姿でおよそ1ヶ月過ごしたあとに成虫になり、4年ほど生きる。
ツェツェバエはこうして、9日ごとに次の幼虫を育てる。
ツェツェバエの繁殖方法は、ほかの昆虫のようにたくさんの卵を産み、そのうちいくつかでも育ってくれればよしとする方法とは違う。
むしろほ乳類の方法に近い。
一度に1匹だけを育てることにより、生き残る確率を高めているのだ。
- 283 ::||‐ 〜 さん:2013/06/11(火) 02:55:06.93 ID:rgvPJPze.net
- 最高のキッカー
ハネナシコオロギ ( Anostostomatidae と Rhaphidophoridae )
生息地 ニュージーランド
特徴 棘のある後脚で、身を守るために蹴る
- 284 ::||‐ 〜 さん:2013/06/11(火) 03:08:36.98 ID:rgvPJPze.net
- ニュージーランドと周辺の島々に生息する、ウェタとも呼ばれるハネナシコオロギは、
少数の祖先種から多様な種が分化した放射状進化の好例といえる。
地球上で最も隔離された場所であるニュージーランド群島には、数百万年という年月をかけて、
不思議な生物たちが空から、そして海から吹き寄せられた。
数百万年前のあるとき、コオロギに似た、お腹の大きな昆虫のメスが、流木と一緒に流されて浜についた。
そこにはほかのコオロギがいないうえに、ほ乳類もおらず、捕食者は何もいなかった。
繁殖しないわけがない。
- 285 ::||‐ 〜 さん:2013/06/11(火) 03:43:54.46 ID:rgvPJPze.net
- そしてその子孫はコオロギもほ乳類もいない、これら新世界の島々に広がり、
この地方の天候や環境、食料や生態的地位に適応していった。
地上を走りまわるものもいれば、木に登るもの、土を掘るもの、洞窟にすむものも出てきた。
そして孤立した環境下で、特にいくつかの離れた島々では、それぞれの島に固有の種へ進化した。
今日、ハネナシコオロギは70ほどの種がある。
ほ乳類の捕食者から逃げる必要がないことから、ハネナシコオロギは2つの特徴をさらに発達させた。
大きいことと、翅がないことだ。
しかし地上には敵がいないとはいえ、ときには鳥やほかの昆虫、トカゲ、カエルなどから我が身を守らなくてはならない。
ハネナシコオロギはどうやって戦うのか。
相手を蹴るのだ。
- 286 ::||‐ 〜 さん:2013/06/11(火) 03:51:52.16 ID:rgvPJPze.net
- こすり合わせる翅はないものの、キリギリスやバッタ、コオロギに特徴的な大きな後足をハネナシコオロギももっており、
その後縁 (こうえん) には力強い棘がついている。
彼らは身の危険を感じたとき、後脚を頭より高く上げて、棘だらけの部分を相手に見せる。
「これで頭を蹴ってやるぞ」という威嚇だ。
残念なことにハネナシコオロギは、人間がニュージーランドに入植したときに密航してきた陸のほ乳類には勝てなかった。
ナンヨウネズミはおそらく1280年頃、マオリ文化を打ち立てたポリネシア人と一緒に到着した。
またドブネズミやクマネズミは、17〜18世紀にヨーロッパからの入植者と共にやってきた。
人間がこの島に登場してから、どれだけの種のハネナシコオロギが絶滅したのかはわからない。
今日もなお、たくさんの種が絶滅の危機に瀕しているか、またはその個体数を急激に減らしている。
- 287 ::||‐ 〜 さん:2013/06/14(金) 19:49:20.44 ID:FTnXduZY.net
- 最も組織的な社会
高等シロアリ ( Termitidae )
生息地 アフリカ、アジア、オーストラリア
特徴 複雑な身分制により分業が成り立っている
- 288 ::||‐ 〜 さん:2013/06/14(金) 19:56:44.58 ID:FTnXduZY.net
- 社会性昆虫と呼ばれるハチ、アリ、シロアリなどは、大きなコロニー ( 集団 ) を形成する。
複雑な巣をつくり、食料を集め子を育てる。
混乱を避けるため、社会性昆虫の暮らしは分業が成り立っている。
巣をつくもの、食料を採取するもの、戦うもの、幼虫の面倒をみるもの、そして卵を生む女王だ。
最大級で、かつ複雑なコロニーを形成しているのは、
南北アメリカ大陸を除いた世界各国に分布している、キノコを栽培するシロアリだ。
大きな巣には、日齢も体長も違う15種類もの仕事を分担するシロアリがすんでいる。
ハチやアリと違って、不完全変態を行うシロアリは卵からかえると同時に脚のある若虫 ( 幼虫 ) となるため、すぐ活動できる。
幼虫は成長するに従い、一定の期間をおいて脱皮し、そのたびに大きくなっていくが、
その過程や大きさも形も、それぞれの役割によって違う。
- 289 ::||‐ 〜 さん:2013/06/14(金) 20:05:07.93 ID:FTnXduZY.net
- あるものは幼虫の段階で翅芽 ( しが ) をもっている。
未発達だった翅芽は脱皮ごとに大きくなり、やがて完全な翅となって最終的に成虫になる。
するとオスとメス ( 有翅『ゆうし』)が集団となり、巣から出て交尾をし、新しい巣をつくる。
別のものは生殖に参加しない中性として生まれ、そこからいくつかの道に分かれる。
兵アリは大きな頭に強い大顎、もしくは敵に向けて粘着液を噴出させる口先をもつ。
小さな働きアリは葉や木片をかみ切り、大きな働きアリはそれをキノコの菜園へと運ぶ。
シロアリが最終的にどのように分業するのかは、卵の時期に決まってしまう。
女王は「幼若 ( ようじゃく ) ホルモン」を分泌し、
若虫の翅の成長や体の変化を止めることにより、交尾し繁殖する能力を抑えることができる。
さらに、コロニーの各所でほかの個体が出すフェロモンにより、分業はコントロールされている。
- 290 ::||‐ 〜 さん:2013/06/23(日) 19:57:39.58 ID:0tDWLGOf.net
- とんでもなく汚い習慣
オウシュウユリクビナガハムシ ( Lilioceris lilli )
生息地 ユーラシア原産、世界各地
特徴 自分の糞を身にまとう
- 291 ::||‐ 〜 さん:2013/06/23(日) 20:03:28.19 ID:0tDWLGOf.net
- ユリの花は鮮やかな色に咲き、葉は輝き美しい。
しかしユリのあるところには必ず害虫がきて、葉を食い散らしては花びらを引き裂く。
オウシュウユリクビナガハムシは、もともとヨーロッパとアジアに生息していたものが、
同じくヨーロッパ、アジア産のユリ科の植物にくっついて世界中に広がってしまった、非常に腹立たしい昆虫だ。
オウシュウユリクビナガハムシは殺虫剤を散布してもものともせずにまた集まってくるため、園芸家泣かせの昆虫だ。
殺虫剤に対する抵抗力の強さは、幼虫のときの変わった生態にある。
しかしそれは、化学物質を手にした人間に抵抗するためではなく、捕食者から我が身を守るために進化させた能力だった。
- 292 ::||‐ 〜 さん:2013/06/23(日) 20:10:42.73 ID:0tDWLGOf.net
- オウシュウユリクビナガハムシの幼虫はなめらかで光沢があり、ナメクジのような外見をしている。
ほかの幼虫と同様、葉を食べる口をもっているが、ほかと違っているのは、肛門がちょうど体の真んなか、背中にあることだ。
この変わった位置のおかげでオウシュウユリクビナガハムシは、どろどろとした大量の糞で体をおおうことができる。
ほとんどの昆虫は他の動物と同様、自分の糞に触れることを嫌う。
病原菌があるからだけでなく、べとべとして動きにくいからだ。
- 293 ::||‐ 〜 さん:2013/06/23(日) 20:13:07.67 ID:0tDWLGOf.net
- しかしオウシュウユリクビナガハムシの幼虫は、積極的に糞を身にまとう。
この不衛生な習慣は、捕食者や寄生虫などの敵や協力な殺虫剤から身を守るのに2つのメリットがある。
1つは糞という毛布で身をおおい隠せば、敵に見つかりにくくなることだ。
見つかったとしても、敵は食べるのも触るのも避けるだろう。
もう1つのメリットは、殺虫剤のスプレーを体まで届かなくするコーティングとして働くことだ。
オウシュウユリクビナガハムシは温帯地方において、一般的なユリの花の害虫だ。
ほかにも黒い脚のかわりに赤い脚をもつユリクビナガハムシ Lilioceris merdigera がいる。
この昆虫の学名は「私は糞を運ぶ」という意味だ。
- 294 ::||‐ 〜 さん:2013/06/26(水) 19:39:09.88 ID:8hUABKt+.net
- 大人にならずに死ぬ
ドラニア・アメリカーナのメス ( Dolania americana )
生息地 世界各地
特徴 成虫にもならずに飛び去ってから五分程度で死んでしまう
- 295 ::||‐ 〜 さん:2013/06/26(水) 19:47:51.07 ID:8hUABKt+.net
- 昆虫の一生は短い、あっというまに年老いてしまうからではなく、ほとんどの昆虫は敵に捕まって食べられてしまうためだ。
もし捕まらなかったとしても、長生きする昆虫はとても珍しい。
しかしどれほど短くても、繁殖機能が働けば次世代に種を残すことができるわけで、その昆虫の一生は全うされたといえるだろう。
あまりに短命なことで知られているのは、カゲロウ目 Ephemeroptera だ。
この目の名前は「短命」とか「一日限りの」を意味する英語を語源としている。
カゲロウは早朝に水面を飛ぶ姿からフライフィッシングの釣り人にはよく知られているが、午後になると見かけなくなるため、
成虫になつと1日しか生きられないのではないかと信じられていた。
もちろん1日ということはないが、非常に短命なことは確かだ。
食べない幼虫として隠れて過ごす時間を含めた寿命は1〜2年だ。
幼虫期に盛んに食べて育つカゲロウは、成虫になると非常に弱々しい形となり、口はあるもののまるで機能しない。
成虫は何も食べないのだ。
- 296 ::||‐ 〜 さん:2013/06/26(水) 19:54:08.40 ID:8hUABKt+.net
- 成虫としてどれだけの時間を生きるのか厳密に測った記録はあまりないが、
いくつかのカゲロウの一生についてはかなり詳しく調べられている。
なかでもドラニア・アメリカーナのメスほど特異な例はないだろう。
カゲロウのなかまは幼虫の最終段階で翅をもち、飛ぶことができるという点で非常にユニークだ。
これを昆虫学者は「亜成虫」と呼んでいる。
亜成虫の時期があるので、カゲロウは成虫になる前に、どこかに飛んでいって隠れ、羽化することができるのだ。
しかしドラニア・アメリカーナのメスは羽化して成虫になることはない。
亜成虫のままで交尾し、水に戻って産卵すると、
弱々しい脚しかもたないため、水際の草にとまって休むこともできずそのまま命尽きてしまう。
亜成虫になってからここまで、たった5分間の出来事なのだ。
- 297 ::||‐ 〜 さん:2013/06/29(土) 01:55:24.24 ID:cY3ukGnC.net
- 爆発する化学兵器
ホソクビゴミムシのなかま ( Branchinus sp.)
生息地 世界各地
特徴 化学物質を体内で燃焼させて爆発させる
- 298 ::||‐ 〜 さん:2013/06/29(土) 02:10:49.30 ID:cY3ukGnC.net
- 昆虫は自分を食べようとする敵から狙われている。
そのため、ありとあらゆる構造や生態を進化させ、敵の脅威からのがれようとしてきた。
よく使われる手段は、体液を出して防御するやり方だ。
例えば有毒の血リンパ液や分泌物、排泄物などだ。
ホソクビゴミムシは化学兵器を使い、爆発させることによって身を守る。
腹部の先にある2組の分泌腺で、不安定な過酸化水素とヒドロキノンをつくり、べつべつの貯蔵室に貯めている。
いざというときにはそれらの化学物質を、一方通行の弁から肛門のすぐ内側の反応室に送る。
そこで触媒酵素カタラーゼおよび酸化酵素ペルオキシダーゼと混合する。
すると急激に高温となり、有毒なp-ベンゾキノンは100℃に達したところで沸騰し、ガス状のスプレーとなって噴射される。
有毒スプレーの爆発的な噴射力は、過酸化水素から酸素ガスを放出することによってパワーを得ている。
反応室のなかで圧力が高まり、爆発音と共に虫の後部から反応物質を押し出すのだ。
- 299 ::||‐ 〜 さん:2013/06/29(土) 02:21:17.12 ID:cY3ukGnC.net
- 「爆撃手の虫」という意味の戦闘的な英名は、この爆発作用からつけられた。
刺激の強い化学物質は、腹部先端にある前にも後ろにも自由自在に動く噴射孔は、脚の下からでも狙うことができる。
もし噴射孔を的確な方向に向けられないときは、噴射孔開口部のすぐ後ろにある2つの小さな反射板に噴射し、跳ね返らせることもできる。
ホソクビゴミムシはこの有毒スプレーを、主にアリに対して使う。
実験室では、すばらしい精度でアリの脚に熱いp-ベンゾキノンを命中させることができた。
アリに攻撃されたときは、自分の脚に食らいつく大顎をめがけて発射する。
1回で足りなければ、およそ20回までは噴射できる。
逃げるだけの時間はかせげるだろう。
- 300 ::||‐ 〜 さん:2013/08/05(月) NY:AN:NY.AN ID:WMUlWp9h.net
- 最も長い精子
ドゥロソフィラ・ビフルカ ( Drosophila bifurca )
生息地 北アメリカ
特徴 体長の20倍も長い精子をつくる
- 301 ::||‐ 〜 さん:2013/08/05(月) NY:AN:NY.AN ID:WMUlWp9h.net
- ほ乳類を除くと、ふつうメスは比較的大きめの卵を少し産み、オスは驚異的な数の精子を生み出す。
このことにより、オスとメスのあいだで利害が衝突する。
オスはできるだけ多くのメスと交尾しようとし、メスはできるだけよい子孫を残すため、相手を選ぶようになる。
通常は何百万個という小さな精子が一個の卵細胞をめぐって争うため、
昆虫学者がほんの数個の巨大な精子を作り出す昆虫を発見したときは、とても信じられなかった。
ショウジョウバエの一種であるドゥロソフィラ・ビフルカは、同属の別種たちと同じく体長は2〜3mmだが、
精子は全長が58mm以上もある。
長いムチ状の尾がついた精子で、毛糸玉のように巻かれているのだ。
メスの卵細胞1個に対し、オスは精巣(やはり体長と比較すると大きい)のなかに6個の精子しかつくらない。
- 302 ::||‐ 〜 さん:2013/08/05(月) NY:AN:NY.AN ID:WMUlWp9h.net
- なぜこのような珍しい生態を進化させたのだろうか。
メスの生殖管は、すべての精子が容易に進めるような平穏な道ではない。
そこには身体的、化学的な障害物があり、最高の精子だけが進み、卵細胞に到達するようにできている。
最高の精子とは、ほとんどの生命体にとって最も強く、最も速く、最も忍耐強い精子のことだ。
ドゥロソフィラ・ビフルカのメスの生殖器官は、その長大な精子よりも若干長く、
まるで中空のバネのように腹部のなかで巻かれている。
最も長い精子だけがそこを通り抜けることができる。
より優れた精子を迎えるために複雑さを極めようとするメスの生殖器官と、
苦難の道をその長さで乗り越えようとする精子の果てしのない競争が、
このショウジョウバエにどのような利益をもたらしているのか、それは疑問だ。
もしかしたら最も栄養状態のいい最高に有能なオスだけが、長い精子をつくり出せるのかもしれない。
受精がうまくいくとしたら、それは優れた能力を反映しているということになるからだ。
- 303 ::||‐ 〜 さん:2013/09/05(木) 03:09:45.74 ID:/hJYMrFo.net
- 1ヶ月経過・・・ けっこう楽しみに見てたのに残念。
- 304 ::||‐ 〜 さん:2013/09/18(水) 04:43:33.03 ID:eXMDoN/l.net
- がっかり
- 305 ::||‐ 〜 さん:2013/11/04(月) 18:20:55.59 ID:gP3S8zLU.net
- 保守
- 306 ::||‐ 〜 さん:2013/12/28(土) 23:35:12.08 ID:fHUASSsj.net
- 保守どうも。
再開します。
- 307 ::||‐ 〜 さん:2013/12/28(土) 23:36:04.00 ID:fHUASSsj.net
-
巨大な寄生昆虫
コウモリヤドリハサミムシのなかま( Arixenia sp. や Xeniaria sp.など )
生息地 東南アジア
特徴 小さなコウモリに生息する大きな寄生虫
- 308 ::||‐ 〜 さん:2013/12/28(土) 23:37:12.57 ID:fHUASSsj.net
-
たいていのほ乳類と鳥は、その巣や毛や羽根、ときには皮膚の下に寄生虫がもぐり込んでいる。
ノミ、シラミ、吸虫類、ダニなど、それらはすべて小さくやっかいだが、寄主にさほど重大なダメージを与えるわけではない。
たとえ寄主が感染症や病気にかかりやすかったとしても、基本的には通常の生活を送ることができる。
しかしインドからマレーシア、フィリピンの洞窟に生息する、体毛のないハダカオヒキコウモリのなかまは、
その小さな体の表面を這いまわるコウモリヤドリハサミムシと戦わなくてはならない。
ふつうハサミムシのなかまは、脅威を感じたときに振りまわしたり、
繊細な後翅を短い前翅の下にたたみ込んだりするときに使う腹端のハサミから簡単に判別できる。
ところがコウモリヤドリハサミムシは、丈夫な長い脚をもつ一方で、複眼は小さく退化し、翅もなく、腹端にあるハサミは短くて、ものを挟むこともできない。
それでも不都合はない。
寄主の体から離れるとしても、洞窟の壁面や古木のうろなどを徘徊する程度であり、生涯ねぐらの外へは出ないからだ。
- 309 ::||‐ 〜 さん:2013/12/28(土) 23:38:24.14 ID:fHUASSsj.net
-
ハダカオヒキコウモリ属の体長は145mm以下であり、20mmほどのヤドリハサミムシがこの体につかまっているのは、
まるで人間の背中にロブスターが住んでいるようなものだ。
にもかかわらず、あるときは1匹のコウモリに12匹のヤドリハサミムシがついていたこともあった。
コウモリヤドリハサミムシはほ乳類に寄生するほかの昆虫のように、血液を吸ったり肉を食べたりはしない。
代わりにいただくのは皮膚腺からの分泌物や、代謝で剥がれた皮膚の薄片だ。
コウモリの糞や死んだ虫なども食べる。
また、寄主がねぐらで休んでいるときは活発に体を走りまわり、飛んでいるときは、頑丈な爪でしっかりとつかまっている。
好きなときに寄主を離れ、洞窟のなかを探検するのも、ほかの寄生虫と違うところだ。
しかし単なる洞窟の清掃動物ではない。
進化により、完全に密接なコウモリとの関係を築いたのだ。
コウモリヤドリハサミムシのそれぞれの種は、寄生するコウモリの種が1種類だけに決まっている点も、その緊密な関係を示している。
- 310 ::||‐ 〜 さん:2013/12/29(日) 15:50:21.92 ID:6hDjvhjr.net
- 再開
- 311 ::||‐ 〜 さん:2013/12/29(日) 19:53:53.95 ID:Z5sNgc+d.net
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熱にめっぽう強い
サハラサバクアリ ( Cataglyphis bicolor )
生息地 北アフリカ・サハラ砂漠
特徴 ほかの生物が日陰に避難するような猛烈な暑さのなかで食料を探す
- 312 ::||‐ 〜 さん:2013/12/29(日) 19:55:08.01 ID:Z5sNgc+d.net
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昆虫は自分の体温を調節することができないため、取り巻く環境の気温に合わせて生きている。
寒いときにはガス交換や栄養の代謝、神経の伝達機能、筋肉の収縮メカニズムがにぶくなるため、体の動きも遅くなる。
しかし気温が上がれば、またすぐもとに戻る。
寒さよりも問題なのは熱のほうだ。
加熱されると水分が失われ、乾燥するだけでなく、タンパク質や体内の化学物質が取り返しのつかないほど変性し、死んでしまう。
それなのに、地球上で最も暑い場所の最も暑い時間帯に食物を探すこのアリは、いったいどういうつもりなのだろうか。
サハラサバクアリは地温が56℃になると巣穴から出てくる。もちろんほかに生物は見当たらない。
そして数分のあいだかけずりまわると、また巣穴に戻っていく。
たとえ地温が60℃と危険なまでに上昇しても、サハラサバクアリの体温はそこまで上がらない。
長い脚で、体を地面から4mmも離しているのだ。
- 313 ::||‐ 〜 さん:2013/12/29(日) 19:55:47.80 ID:Z5sNgc+d.net
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4mmという距離は極めて重大で、このあいだを空気が通ると、地温よりも6〜7℃も下がる。
またサハラサバクアリは、昆虫としては非常に速い秒速1mで走るが、その際に起きる風も体を冷やすのに一役買っている。
ただし体の中心部分が55℃に達するとサハラサバクアリといえども死んでしまうので、長居は禁物だ。
食物探しをこのようなスタイルに進化させたのには理由がある。
砂漠に誰もいないということは、すなわち競争相手も敵もいないということだ。
砂漠にすむトカゲがサハラサバクアリにとっていちばんの敵だが、太陽が出ているあいだは、このような動物さえ日陰に隠れて活動しない。
サハラサバクアリは何を食べているのか。
答えは猛烈な暑さで死んでしまった昆虫だ。
- 314 ::||‐ 〜 さん:2014/01/05(日) 04:15:51.24 ID:mBM5RCBA.net
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神出鬼没の幼虫
ノミバエのなかま ( Phoridae )
生息地 世界各地
特徴 幼虫時、ほかのどの動物よりも多様な場所に生息する
- 315 ::||‐ 〜 さん:2014/01/05(日) 04:16:55.13 ID:mBM5RCBA.net
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ノミバエは英名「ちょこちょこ走るハエ」が示すように、せわしなく走りまわる習性をもつ。
体長は大きくても6mm、ふつうはほんの2mmしかない。頑丈で少し猫背の体型をしており、短く丸い翅をもっている。
知られているだけで3000種がいるが、みんなよく似ており、あまり研究されていないため、同定して命名するのは専門家にも難儀な仕事だ。
ノミバエの生涯は、じつはどの昆虫と比べても、非常に変化に富んでいる。
ノミバエは「棺のハエ」とも呼ばれている。
ノミバエのうち数種が死肉に卵を産み、繁殖するからだ。
地中深く埋められた棺のなかで、何百世代も生きてきたと思われるハエが見つかっている。
ほかにも、じつにさまざまな腐った有機物に産卵する。
- 316 ::||‐ 〜 さん:2014/01/05(日) 04:19:25.39 ID:mBM5RCBA.net
-
ほ乳類や鳥、カタツムリなどの死骸、昆虫の糞、ハチやアリやシロアリの巣のごみ、腐りかけの菌類、毒キノコ、枯れ葉、弱った植物の茎のなかなどだ。
いくつかの種は、葉の内部に筋のような巣を掘ることも確認されている。
しかしそれはほかの昆虫が掘った巣を使っているのかもしれない。
種子、花、葉、茎、穀物、果物などを食べているところも見つかっている。
ハナバチの巣のなかに卵をうまく隠すものも数種いる。
巣のなかにハナバチが貯蔵した栄養のある食物を探し出し、そこに卵を産むのだ。
ここで生まれたノミバエの幼虫は、寄主が集めた花粉や果汁などを横取りすることができる。
またカリバチの巣に産卵し、カリバチが自分の子のために集めたクモや昆虫の死骸を食べる種もいる。
多くのノミバエは捕食寄生者でほかの昆虫 ( 甲虫、ハエ、アブラムシ、ゴキブリ、ハチ、アリ、カリバチ、シロアリ、ガ、キリギリス、バッタ など ) や
ミミズ、カタツムリ、ナメクジ、クモ、ムカデ、ヤスデ、などの体内に寄生する。
カエルの卵、人間の傷口、家畜などに寄生するものも何種かいる。
粘菌や鳥の巣、モグラのトンネルなどにすんでいるノミバエの幼虫も見つかっている。
さらに、ノミバエが生息するのは自然のなかだけではない。
思いもよらない人工的な場所、例えばアルコール漬けの蛇の標本、ビーツのピクルス、靴磨きのクリーム、そして青色のペンキなど、
これらはすべてノミバエのすみかとなる。
このようにノミバエの幼虫はほかに類を見ないほど、さまざまな場所で見つけられる。
- 317 ::||‐ 〜 さん:2014/01/05(日) 10:24:03.41 ID:sX8pzY3a.net
- 隔離された場所で羽化したノミバエは
現場だけで世代交代を繰り返すのか?
- 318 ::||‐ 〜 さん:2014/01/05(日) 23:47:03.95 ID:mBM5RCBA.net
- 一応翅あるから余所に飛んで行くこともあるんじゃないかな
ウジの雑食性に依拠して、巣を作らないという生物的戦略を取ったわけだから
何かの気まぐれで別の場所に移ることもあるでしょ
- 319 ::||‐ 〜 さん:2014/01/05(日) 23:48:14.14 ID:mBM5RCBA.net
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脚がなくなりウジムシに逆戻り
コウモリバエのなかま ( Streblidae )
生息地 南アメリカ熱帯地方、アフリカ、アジア、オーストラリア
特徴 成虫の翅や脚が失われ、ウジムシに変身する
- 320 ::||‐ 〜 さん:2014/01/05(日) 23:49:22.14 ID:mBM5RCBA.net
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幼虫から成虫に変わる昆虫の変態は、自然界の不思議といえる。
昆虫たちは幼虫期にはどこかに隠れ、危険を避けながら、栄養をとって成長する。
成虫になると多くは翅をもち、自由に動けるようになって交尾し、産卵する。
成長を2段階に分けるということは、環境の変化に対して2とおりの対応を可能にすることであり、昆虫が地球上で未曾有の繁栄を誇っている主な理由だろう。
しかし奇妙に曲がった翅に長い脚をもつ昆虫、コウモリバエの場合は違う。
一般的な昆虫のたどる変態の過程が逆転しているのだ。
空飛ぶほ乳類であるコウモリには、たくさんの吸血性寄生虫が寄生している。
なかでもコウモリバエ科の昆虫はコウモリにしか寄生せず、その寄主と非常に強い関係性を築く。
- 321 ::||‐ 〜 さん:2014/01/05(日) 23:51:03.59 ID:mBM5RCBA.net
-
さなぎから羽化したコウモリバエは、コウモリが巣にしている洞窟や木のうろの床で相手を見つけて交尾する。
オスはすぐに死んでしまうが、交尾を済ませたメスはただちにコウモリの体表にとまり、翅と脚を脱ぎ捨てて、コウモリの皮膚にもぐり込む。
そして、東部・胸部・腹部に分かれているという成虫としての体の特徴を捨て去り、名実共にウジムシとなる。
まるで成虫から幼虫へと、一般的な昆虫の変態を逆行するかのようだ。
コウモリバエの腹の先端には呼吸用の孔と生殖器の孔があり、この部分はこコウモリの皮膚から出しておく。
メスは寄主から吸った血液を、ほ乳類でいうと子宮にあたる器官にいる幼虫に与えて、残りの生涯を過ごす。
幼虫は完全に大きくなるまで外に出ることはできない。
そして十分に成長し、コウモリのねぐらの地面に落ちると、すぐにさなぎになるのだ。
- 322 ::||‐ 〜 さん:2014/01/08(水) 12:26:38.11 ID:Aj3c1jq4.net
- 動物の中でコウモリは
寄生虫の宿主だけでなく
エボラなどのヤバい感染症ウィルスの自然宿主になる事が多いが
理由はなんだろうな
- 323 ::||‐ 〜 さん:2014/01/08(水) 19:26:57.93 ID:Aj3c1jq4.net
- コウモリは特別に思える
- 324 ::||‐ 〜 さん:2014/01/09(木) 03:00:46.87 ID:Z5yTYmx8.net
- >>322
日の光を浴びないからかな
何のデータも無しに単なる直感で言ってるだけですが
- 325 ::||‐ 〜 さん:2014/01/09(木) 03:01:46.33 ID:Z5yTYmx8.net
-
気が遠くなるほど長い子供時代
アメリカアカヘリタマムシ ( Buprestis aurulenta )
生息地 北アメリカから全世界へ広がった
特徴 ゆっくり成長するため、50年も幼虫のままでいる
- 326 ::||‐ 〜 さん:2014/01/09(木) 03:02:58.07 ID:Z5yTYmx8.net
-
ほとんどの幼虫の時間は、食べて成長することに費やされる。
しかし遅かれ早かれ非常に重大な決断を下さなくてはならない。
いつ成虫になるか。
短く気楽な生涯を送る昆虫なら、答えは簡単かもしれない。
育つだけ育ったら、あとはさなぎになって成虫に変わるだけだ。
それに比べて大きな昆虫は、難しい決断を迫られる。
通常、幼虫期は数年にわたる。
特に枯れ木を食べる幼虫は栄養が乏しいことから、成長するのに時間がかかるが、その期間が長ければ長いほど危険にさらされることになる。
敵に見つかりやすくなり、食べられてしまうか、冬の寒さで死んでしまう可能性が高くなるからだ。
反対に変態が早すぎると栄養不足で体が小さくなり、縄張りや交尾や産卵場所などの争いで、ライバルに負けてしまうかもしれない。
- 327 ::||‐ 〜 さん:2014/01/09(木) 03:05:25.68 ID:Z5yTYmx8.net
-
栄養不足をのがれるために、長い幼虫期を過ごす昆虫もいる。
究極の例はアメリカアカヘリタマムシだ。
彼らはまず弱ったり枯れたりしている針葉樹に卵を産む。
幼虫は木の皮に穴を開け、木の中心へと入り込んでいく。
通常は幼虫になるまでの機関は2〜4年だが、ひとまとまりの卵のなかには常に15〜20年かけるものがいくつか出てくる。
まるでアメリカアカヘリタマムシが、成虫になるのを早いものと遅いものに故意に分け、リスク分散をしているようだ。
これまでの幼虫期最長記録保持者は、カナダのブリティッシュコロンビア州で建物の材木をヤスリで磨いていて発見された2匹の幼虫だ。
なんと51年間も静かに木をかじっていたという。
そしてその時点でもまだ大きくなりきっていなかった。
- 328 ::||‐ 〜 さん:2014/01/09(木) 11:00:03.22 ID:Z5yTYmx8.net
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最高のジャンパー
ホソアワフキ ( Philaenus spumarius )
生息地 ヨーロッパ、アジア北部、北アメリカ
特徴 体長の100倍の高さまでジャンプできる
- 329 ::||‐ 〜 さん:2014/01/09(木) 11:00:56.25 ID:Z5yTYmx8.net
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攻撃を受けた昆虫の典型的な反応は、大あわてで逃げることだ。
翅を広げて飛び立つことが多いが、いくつかの種にとってはジャンプするほうが速く、確実なようだ。
バッタやノミ、コメツキムシはみな優秀なジャンパーだが、何といってもチャンピオンはホソアワフキだろう。
小さくて無愛想な顔をしたホソアワフキは幼虫期に、粘液の排泄物をかきまぜて泡をつくり、
カッコウの名誉を傷つけかねない「カッコウの唾」と呼ばれる巣をつくることで知られている。
体長は6〜7mmだが、1回のジャンプでその体長の100倍もの高さまで跳ぶことができる。
速度は秒速4m ( 時速14.4km ) であり、1000分の1秒のあいだに加速度は400G ( 地上の重力の400倍 ) に達する。
ちなみに宇宙飛行士がロケット発射時に感じる加速度は5Gだ。
- 330 ::||‐ 〜 さん:2014/01/09(木) 11:02:13.32 ID:Z5yTYmx8.net
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ホソアワフキはこのような偉業を筋力だけで成し遂げるのではない。
まるで弓が矢を放つように、蓄えた弾力エネルギーを突然開放することによって、ジャンプするのだ。
アワフキムシの全体重のうち10分の1以上を占めるのは、胸部の内側にある巨大な筋肉だが、
ここの筋肉は「転節下引筋」と呼ばれ、後脚の第2関節である転節につながっている。
転節下引筋は数秒間収縮し、胸部背面の内側にあるアーチをしならせる。
このアーチはかたいけれど柔軟性のあるキチン質と、ゴムのようなタンパク質であるレシリンでできている。
そして緊張が最高潮に高まったときに、ホソアワフキの脚を抑えていた掛け金が外れて、アーチに蓄えられていたバネの力が解放される。
これを推進力としてホソアワフキは前方へ高く飛ぶことができるのだ。
- 331 ::||‐ 〜 さん:2014/01/10(金) 01:32:20.35 ID:hjbwiLZ6.net
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最高のダンサー
ミバエのなかま ( Tephritidae )
生息地 世界各地
特徴 ステップも軽やかに翅を振りながら独特の求愛ダンスを踊る
- 332 ::||‐ 〜 さん:2014/01/10(金) 01:32:58.10 ID:hjbwiLZ6.net
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違う種と交尾しても意味がない。
時間の無駄であり、危険に身をさらすだけでなく、子孫は生まれず、生まれてもおそらく繁殖能力はないだろう。
求愛とは、見て、触って、音を聞いて、においをかいで、正しい相手を選んでいるかどうかを確かめるための行為でもある。
昆虫の場合よく似た種が多いため、求愛行動も複雑になる。
なかでもミバエのなかまは、複雑な踊りの名手といえる。
踊りで相手を確かめるのだ。
求愛ダンスはまず2匹のミバエがサインを送り合うところから始まる。
ミバエの翅には稲妻のような線や斑点、まだらの模様が描かれているが、交尾に至る過程において、
この一幅の絵のような翅を振って相手に見せることが、求愛ダンスのなかでは非常に重要なのだ。
模様は種によって、またオスかメスかによって違う。
お互いに向き合い、一方が動けば、相手もそれに応えて動く。
脚を上げたり下ろしたり、翅をいろいろな角度で振ったり揺らしたり、また左右に動いたり前後に動いたりする。
頭をくっつけ合って、触覚をこすり合わせることもある。
体液を交換するために口器をくっつけ、キスすることもある。
- 333 ::||‐ 〜 さん:2014/01/10(金) 01:35:09.19 ID:hjbwiLZ6.net
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もちろん最高のダンサーを選ぶ目的は、同じ種かどうか確認するためだけではない。
いちばん栄養が行き届いていて、敏捷で用心深いパートナー、つまりは子孫にとってよい遺伝子を選ぶためなのだ。
メスは鋭い洞察力をもっている。
それを示すエピソードがある。
害虫であるチチュウカイミバエ ( Ceratitis capitata ) の繁殖を抑えようと、農家は多額のお金を使って、繁殖力のないオスを人工的に育て、大量に放したことがあった。
オスに放射線を浴びせると、精子が破壊され、メスと交尾しても卵はかえらないのだ。
しかし残念ながら無精子症のダンサーは、メスに見向きもされなかった。
メスは踊りのリズムにより、繁殖力のあるオスを見抜けるのだ。
ところがおもしろいことに、放射線を浴びたオスに根ショウガのエキスでアロマテラピーを施してやるとダンスがうまくなり、交尾に成功する確率が高まったという。
- 334 ::||‐ 〜 さん:2014/01/11(土) 03:34:11.59 ID:pf8uAS5W.net
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最も大胆な泥棒
クモノスカツオブシムシ ( Ctesias serra )
生息地 ヨーロッパ、アジア北部
特徴 寄主であるクモの食料を目の前で盗む
- 335 ::||‐ 〜 さん:2014/01/11(土) 03:35:09.61 ID:pf8uAS5W.net
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優秀な泥棒とは、誰にも気づかれることなしに、または目撃されることなしに盗むことができる泥棒だろう。
自然界にも泥棒はたくさんいる。
誰かの食料の残りを漁る昆虫や、誰かの巣の食料貯蔵庫に卵を産みつける昆虫もいる。
ふつうは泥棒のほうが盗まれる側より小さいことが多いが、体の大小にかかわらず逃げ足の速さがものをいう稼業だ。
ところがクモノスカツオブシムシという泥棒は違う。
被害者のすぐ近くにすみ、盗みたいときに盗むという自信満々の手口を見せる。
しかも被害者は盗まれていることに全く気づかないのだ。
剛毛でおおわれ、靴ブラシのような形をしたクモノスカツオブシムシの幼虫は、古木や枯れ木の剥がれかけた樹皮の下にすんでいる。
そしてクモが樹皮の下に張りめぐらした巣の上を這って盗みにいく。
クモは夜になると樹皮の表面に姿を現して、獲物を待つ。
樹皮が剥がれて浮いた、その狭い隙間に張りめぐらした巣の上を獲物の甲虫や小さな無脊椎動物が動くと、振動が巣に伝わる。
そこでクモは獲物に気づき、飛びかかり、毒液を注入して殺し、糸でくるんでおいて、あとでゆっくりと食べる。
- 336 ::||‐ 〜 さん:2014/01/11(土) 03:36:31.74 ID:pf8uAS5W.net
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しかしときどき、とっておいた獲物がなくなっていることがある。
クモノスカツオブシムシが横取りしているからだ。
獲物を盗みに現れたクモノスカツオブシムシは、もしもクモに見つかって攻撃されたとしてもひるまない。
もしクモが食らいつこうとでもすれば、簡単に抜ける長くてかたい毛で、相手の口を刺す。
ほかにもクモを欺く手がある。
幼虫の腹部の末端にはかたい毛の房があり、これを小刻みに振動させるとクモの巣の振動が複雑になり、クモの距離感や方向感覚が狂ってしまうのだ。
そのせいでクモはクモノスカツオブシムシの居場所がわからなくなってしまう。
クモノスカツオブシムシは皮革製品や毛皮を好んで食べる害虫、ヒメマルカツオブシムシ Anthrenus verbascini に近い。
人間が動物標本のコレクションを始める前から、ヒメマルカツオブシムシはクモの巣や鳥の巣で、死骸の羽根や毛皮を漁っていた。
- 337 ::||‐ 〜 さん:2014/01/12(日) 00:18:46.04 ID:VD8Og8x/.net
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恐ろしく忍耐強い
ノミのなかま ( Siphonaptera )
生息地 世界各地
特徴 さなぎのなかで、次の寄主が通りかかる瞬間をじっと待つ
- 338 ::||‐ 〜 さん:2014/01/12(日) 00:19:35.25 ID:VD8Og8x/.net
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せわしなく働くミツバチは、働き者の象徴のようにいわれている。
また、せっせと食料を集めたり巣をつくったりと、とにかく忙しいアリも、イソップ童話で働き者として描かれていた。
小さな体とせわしない動きから、昆虫はいつも働いているように思われがちだ。
しかし、実際には隠れたり、避難したりしている合間に、ほんの少し大忙しの時間があるというだけだ。
働いていない時間とは、ねぐらで休んでいるときや天気の悪いときだが、ノミのなかまは、何週間でも何ヶ月でも全く動かずにいることがある。
活動のきっかけは、天気がよくなったからでも、日が長くなったからでも、体内時計が知らせたからでもない。
特別な相手が通ったからだ。
- 339 ::||‐ 〜 さん:2014/01/12(日) 00:20:49.96 ID:VD8Og8x/.net
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ノミはジャンプがうまい、血液を吸う昆虫だが、その生涯には大きなリスクが1つある。
寄主をうまく見つけられるかという点だ。
一度寄主を決めたらそこから動かず、毛や羽根のなかで暮らすシラミと違って、
ノミはほかの高等な昆虫同様、幼虫と成虫ではすむ場所を変えるのだ。
ノミの卵は寄主の巣の上に落とされる。
そこで生まれたウジムシ型の幼虫は、巣のなかに散らばるノミの成虫の糞 ( 実際は乾燥した血液 ) を食べて成長する。
成熟した幼虫は繭を紡いでさなぎに、そしてさなぎの皮の下で成虫になり、そのまま忍耐強く待ち続ける。
ノミの寄主となるものは動くため、さなぎからかえったとき、すぐに寄主 ( =食料 ) に出会える保証はないからだ。
そこで寄主が現れるまで、何週間も何ヶ月でも寝て待つ。
新しい血液をたくさんもった寄主が通るときが、まさに目覚めの瞬間だ。
ノミは完全に成虫となっていながら、まださなぎのなかで眠っているが、寄主が通りかかる振動に目覚める。
数秒のうちに、ノミはさなぎから出て寄主に向けてジャンプし、待ちに待った食事にありつくのだ。
飼い主が何週間もの休暇からペットと共に帰ってくると、カーペットからノミがわらわらと現れることがある。
それは留守のあいだにノミの数が劇的に増えたわけではなく、もともと何百匹といた忍耐強いノミが、一斉に成虫となって現れただけなのだ。
- 340 ::||‐ 〜 さん:2014/01/13(月) 01:51:22.33 ID:HLnxNJ5S.net
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日光浴の名手
アカネのなかま ( Sympetrum sp. )
生息地 熱帯地方
特徴 特殊な姿勢により、体温調節する
- 341 ::||‐ 〜 さん:2014/01/13(月) 01:52:56.85 ID:HLnxNJ5S.net
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昆虫は変温動物であり、自分の体の温度を調節できない。
外が寒ければ昆虫も冷える。そして冷えていれば、ゆっくりでのろのろとした動きになる。
飛び立つためにはある程度の体温が必要なので、昆虫は日光浴をして飛べる状態にまで体温を上げる。
日光浴は花の上、葉の上、岩の上、土の上、木の幹の上で行われる。
チョウのなかには、翅の角度を変えて日光の胸部の飛翔筋に当てて、温めるものもいる。
体が温まってくると、今度は反対の問題に直面する。
体温が上昇しすぎるという問題だ。
熱をさます最も簡単な方法は、日陰に移動することだ。
しかし日なたから去ることは、獲物や交尾の相手を残して去るということにもなる。
トンボの場合、小川や池の周りを離れることは、産卵場所を失うということにもなる。
熱帯に暮らすトンボであるアカネのなかまは日陰に移動する代わりに、日に当たる方法を工夫することを選んだ。
尾端を真っすぐ太陽に向ける。
これにより日光を浴びる面積は最も小さくなり、アカネ類が太陽光から受け取る熱を最小限におさえることができる。
体温が上がりすぎることがないため、熱帯のアカネのなかまは日当たりのよい広々とした川べりなどにいられるのだ。
- 342 ::||‐ 〜 さん:2014/01/14(火) 05:22:57.39 ID:0VJRioWa.net
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地球上で最も広く分布する
ヒメアカタテハ ( Cynthia cardui )
生息地 世界中 ( オーストラリアとニュージーランド以外 )
特徴 自力で最も広く生息域を広げた
- 343 ::||‐ 〜 さん:2014/01/14(火) 05:23:37.95 ID:0VJRioWa.net
-
ほとんどの昆虫はそれぞれの生態的地位を利用し、侵入者に対抗し、子孫のためにいい環境を提供できるよう努める。
多くの昆虫は定住性であり、成虫は自分が育ってきた浜辺で産卵する。
自分にとっていい環境であったなら、自分の子にとってもいいはずだからだ。
ほかの場所へ行けば、捕食されてしまったり、交尾の相手が見つからなかったり、いい産卵場所がなかったりする危険性がある。
ふつう昆虫は地上の一定の場所に限定して生息しており、それぞれの動物地理区には、独特の動物相がある。
ヨーロッパとアジア北部 ( 旧北区 ) の昆虫は、アフリカの熱帯やインドからマレーシアにかけての地域にはほとんどいない。
同様に北アメリカ ( 新北区 ) の昆虫は、南アメリカ ( 新熱帯区 ) にはほぼいない。
ずっと同じところに定住していれば、安全は確保される。
しかし冒険することにより大きな分け前にあずかれるかもしれない。
誰もいない場所は寄生虫や病気もなく、自由に侵入していい新しいコロニー ( 集団 ) をつくることができるし、
また広く分布していればある地域で何かが起こり、その種が絶滅することがあっても、ほかの地域で繁殖することができるのだ。
- 344 ::||‐ 〜 さん:2014/01/14(火) 05:24:30.95 ID:0VJRioWa.net
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多くの昆虫が人間の活動に伴い、世界中に広がった。
意図的に移入された昆虫もいる。
例えばセイヨウミツバチ ( Apis mellifera ) は、アジアやヨーロッパから南アフリカとオーストラリア、アメリカに輸出された。
セイヨウミツバチと一緒にノミやシラミも密航した。
ヒメアカタテハは世界をかけめぐるのに、人間の力は借りなかった。
毎年沸き起こる「移住しよう」という強い衝動により、自ら大きな海や大陸をわたって世界中に生息域を広げてきたのだ。
冬の初めに、ヒメアカタテハはヨーロッパの北部から去る。
そして春になると、北アフリカや地中海地方から、あたらしい世代と共に戻ってくる。
このような移動は地球上のほかの地域でも見られるが、今のところ南アメリカには少数の個体しか到達していない。
さらに大洋を隔てたオーストラリア、ニュージーランドにはたどり着いていないようだ。
- 345 ::||‐ 〜 さん:2014/01/14(火) 12:21:49.71 ID:m9NrE390.net
- 在日の親は、子供を朝鮮幼稚園・朝鮮学校に入れたいっていうのが多いのよ。
日本人からすると、なんでだろうって思うけど、日本人の学校では、民族の誇りを持った教育がしてもらえないんだそうだ。
よく分からないけど、流刑者の白丁が密入国して住み着いたじゃ誇りが持てないけど、日本人に強制連行された被害者なら誇りが持てる、とかそういう事かな??
市原市の能満は昔から市街化調整区域で、新規の建物は造れないことになっている。
そのため土地が安く、日本の法律を無視した在日が、次々と移り住んできた。
そこで問題になったのが、朝鮮学校だ。なかなか許可が下りず、一番近くても千葉市にしかない。
そこで在日居住区の能満内にあった、能満幼稚園・市原小・市原中・緑高の保育士や教師を、朝鮮化する事を考えた。
今では通称在日幼稚園の保育士は全て朝鮮帰化人で、在日の父兄からの絶大な支持を受けている。
遠くからでも、わざわざ通称在日幼稚園に入園させたいという在日の親は、後を絶たない。
この在日幼稚園卒園者はほぼ朝鮮系の帰化人と在日だ。
- 346 ::||‐ 〜 さん:2014/01/17(金) 22:06:30.42 ID:phAIFn4F.net
- 名前 ハナクソコマメムシ
体長 3ミリ
目の数 2つ
足の数 100
好物 ゴミ 人の脳 玄米
生息地 エクアドル
体色 無色透明
羽の数 4
天敵 ブヨ
人間との関係 セフレ
名前の由来 脳味噌を食べ終えて太った虫が
鼻の穴から出てきた際にそう見えたから
発見者の名前 ゲーリング
有効な駆除方法 溶かした金(王水)をかける
羽音 デデッデッデデン
どうやって攻撃して来るか 穴という穴から
鳴き声 アニメ声優の声で「好きよ」
オスメスの見分け方 異臭を放つ方がメス
歩くスピード 秒速三センチメートル
この虫に関する言い伝え、伝説 実は日本にも居るらしい
この虫を発見した時にゲーリングが言った言葉 「エンッ」
- 347 ::||‐ 〜 さん:2014/01/17(金) 23:21:46.80 ID:bsbx/5of.net
- >>346
3mmで足100本って一度見て見たいわ
ヤフオク辺りに出品されてないかな
- 348 ::||‐ 〜 さん:2014/01/21(火) 17:23:41.99 ID:sdGih73q.net
-
索引ページにある分類を書き忘れてた。
第1章 究極のすがた >>1 〜 >>177
第2章 究極の進化 >>178 〜 >>344
vipで収斂進化した亜種 >>346
第3章 究極の影響力 >>349 〜
- 349 ::||‐ 〜 さん:2014/01/21(火) 17:25:08.62 ID:sdGih73q.net
-
最も科学実験に貢献した昆虫
キイロショウジョウバエ ( Drosophila melanogaster )
生息地 世界全域
特徴 遺伝学、DNA、突然変異、進化の根本的な謎を解明するのに貢献してきた
- 350 ::||‐ 〜 さん:2014/01/21(火) 17:25:57.37 ID:sdGih73q.net
-
1900年、ハーバード大学の生物学教授ウィリアム・キャッスルは、
時間と予算が限られたなか、彼のもとで発生学を学ぶ学生たちのための実験動物を探していた。
ライフサイクルが極めて短く、取り扱いの簡単なものが望ましい。
キャッスルは身の周りに当たり前に見つかる小さな昆虫、キイロショウジョウバエを選び、
熟れすぎたバナナ半分と腐ったブドウ数粒と共に牛乳瓶に入れ、わずか2週間で200匹まで繁殖させることに成功した。
キャッスル教授の友人でコロンビア大学の動物学教授トマス・ハント・モーガンもキイロショウジョウバエを飼育していた。
ふつうこのハエの複眼の色は赤いレンガ色だが、ある日モーガンは1匹のハエの複眼が真っ白だということに気づいた。
そこでモーガンは赤眼と白眼のハエの系統を確立し、交配させたらどうなるかを調べ始めた。
以来キイロショウジョウバエは、常に遺伝学のありとあらゆる研究の最前線にいる。
白眼のあとにも茶色い複眼、オレンジ色の複眼、ゆがんだ背部、短い翅、反り返った翅、体色の青白いもの、暗い色のもの、長い脚、短い脚などが現れた。
家畜やペットの品種が何千年もかけて確立されてきたように、ショウジョウバエの体のあらゆる部分に異変をもつ個体群が、それぞれ系統として確立された。
卵から成虫まで7日間で成長するキイロショウジョウバエの場合、家畜なら数百年はかかる変異を、数週間で確認できるのだ。
- 351 ::||‐ 〜 さん:2014/01/21(火) 17:26:52.27 ID:sdGih73q.net
-
さらにもっと奇妙な変異体も現れた。
バイソラックス複合遺伝子により、翅を支える部分が二重になり、
本来2枚であるべき翅が4枚になったり、アンテナペディア遺伝子により頭部の触覚が脚になるという変異を見せた。
また、遺伝子は繁殖行動なども支配していることもわかった。
何よりも重要なのは、研究者がキイロショウジョウバエをとおして、生命体のなかで遺伝子が制御されている様子を見ることができるということだ。
例えば遺伝子はどのように働き、どのように働きを止めるのか、どのように代謝過程を調節するのか、放射線や化学物質がどのように突然変異を引き起こすのか。
このハエのおかげで、遺伝子とは何か、染色体とは何かが明確になった。
さらに、すべての生命体に存在する遺伝物質DNAについても、分子レベルで理解できるようになったのだ。
- 352 ::||‐ 〜 さん:2014/01/26(日) 13:46:07.33 ID:ysj+so+6.net
- 激痛の一刺し
ネッタイオオアリ ( Paraponera clavata )
生息地 ニカラグアからパラグアイにかけて
特徴 針で刺されるといちばん痛い昆虫
- 353 ::||‐ 〜 さん:2014/01/26(日) 13:46:51.08 ID:ysj+so+6.net
- ハナバチやカリバチ、アリは針をもっており、この針を武器にして獲物を殺したり麻痺させたり、あるいは戦ったり、自分や巣を守ったりする。
このグループに含まれる種はすべて、1億年以上前に生息していた針で刺す昆虫の子孫であり、
「刺されると最も痛い昆虫」の座を狙えるものが何種もいる。
アメリカの昆虫学者ジャスティン・オーヴィル・シュミットが、自分の手でできるだけたくさんの種を試してみるまでは、勝者は決まらなかった。
シュミットは、昆虫の針で刺された痛みを4段階で表し、わかりやすい説明も添えた「シュミット指標」を1984年に発表した。
コハナバチはいちばん痛くない 1.0 で「腕の毛を一本焼いたような、花火が散るような感じ」だそうだ。
モンスズメバチ Vespa crabro は 2.0 で、「マッチの先に火をつけて皮膚を焼くくらいの痛さ」。
そして最上位にランクされたのはネッタイオオアリの 4.0+ 。
シュミットはこの痛みを「燃える炭の上を歩きながら、かかとに7〜8cmのさびた釘を刺されたよう」と表している。
- 354 ::||‐ 〜 さん:2014/01/26(日) 13:49:30.51 ID:ysj+so+6.net
-
ハチやアリの針は産卵管が変化したものだ。
つまり刺すのはメスだけであり、2本の分泌腺から腹部の先にある注射器に毒が流し込まれるしくみになっている。
ハチやアリといった昆虫は、女王にせよ働きアリにせよ大半はメスで構成される。
そして少数派のオスが刺すことはない。
「刺されると最も痛い昆虫」の座に輝いたのはアリの仲間だったが、現在生息する多くのアリは、こうした針をもっていない。
代わりに腹部の先端から「蟻酸」という酢酸に似た物質を噴射する。
ネッタイオオアリは蟻酸と共にポネラトキシンと呼ばれる毒物をつくる。
この毒物は、長い時間をかけてゆっくりとほ乳類の筋肉を収縮させ、神経回路を遮断する働きをもっている。
現在これを医学的に応用する研究が進められている。
- 355 ::||‐ 〜 さん:2014/01/28(火) 15:13:34.43 ID:ZSDh1wQO.net
-
崇拝された昆虫
スカラベ ( Scarabaeidae )
生息地 世界各地、ただし崇拝の対象となっているのは地中海東部
特徴 人から最も崇拝され、尊敬されている昆虫
- 356 ::||‐ 〜 さん:2014/01/28(火) 15:31:16.02 ID:ZSDh1wQO.net
-
紀元前3000年頃から、スカラベはエジプト人の宗教的信仰の中心を占め、絵に描かれることも多かった。
スカラベは大きく、非常に印象的な昆虫だ。
しかし古代人の心をとらえたのは形状よりもその行動、つまり糞をころがしていることだ。
スカラベはまず、ほかの生物の糞からボールをつくる。
そして逆立ちをして中脚と後脚でボールを固定し、地面に着けている前脚を使って後ろ向きに何メートルもころがしていく。
ころがしていった先でそのボールを地中深く埋めて卵を産み、卵や幼虫が呼吸できるよう加工を施す。
卵からかえった幼虫は、人目につかない場所に自分専用の食料庫があるので安心して育つというわけだ。
エジプト人はスカラベを「太陽神」の象徴としていた。
スカラベがころがすボールが、東から西へと空を移動する太陽のように見えたからだろう。
またスカラベは「創造の神」の象徴でもあった。
成虫となったスカラベが地上に現れる様子が、地下の墓から屍がよみがえる姿のように感じられ、神秘的な現象ととらえたのではないだろうか。
ツタンカーメンの墓から見つかった豪華な金の胸飾りには、大きなスカラベが赤い円盤状の太陽を掲げている様子がデザインされており、広げた翅は色つきガラスと宝石でできている。
ほかにもスカラベの形が彫られた石などが、地中海地方全域にたくさん見つかっている。
これらのモデルはスカラベサクレ ( Scarabaeussacer ) だといわれてきたが、少なくとも5種のスカラベがモデルになったと考えられている。
- 357 ::||‐ 〜 さん:2014/02/03(月) 23:37:06.84 ID:zWBV5J0Z.net
-
家を壊す昆虫
マダラシバンムシ ( Xestobium rufovillosum )
生息地 世界各地
特徴 古い木造の建物を人に気づかれないまま着々と破壊していく
- 358 ::||‐ 〜 さん:2014/02/03(月) 23:42:27.47 ID:zWBV5J0Z.net
-
死の床で何かが起こる。
暗い部屋、病人の浅い息づかい、ベッドを取り囲み見守る家族たち、ふいに静寂を破り、天井からコツコツという音が聞こえてくる。
静かだが鋭く規則正しいその音は、まるで人生の終わりを告げる時計の秒針のようで不吉だ。
しかし実際は、この不気味な音は近づいてくる死や、病人を看取る人々とは全く関係がない。
ある虫が天井の木に掘った穴のなかから出している音だ。
現代のような鉄筋の病院やホスピスではなく、木造家屋で死を迎えた昔には、このような光景が見られたことだろう。
英名を「デスウォッチ・ビートル(死を看取る虫)」というマダラシバンムシは、木食い虫のなかでも大きいほうで、成虫の体長は7.5mmくらいある。
幼虫も大きく、材木に与えるダメージも当然大きい。
さらに幼虫は気づかれないように穴を掘るために、そのダメージはさらに大きくなる。
外から見て分かるような穴を開けたり、木くずの山をつくったりはせず、木のなかにこもったまま、いつのまにか大きな穴を掘り空洞をつくる。
この空洞のせいで、建物の梁は重さに耐えられなくなり、やがて崩壊してしまうのだ。
建物を建てる前から、マダラシバンムシはすでにカシ、ニレ、ブナなど広葉樹のなかにすんでいる。
これらを建材として使うことで、結果的に大きな古い建物のなかに生息することになるのだが、見つけるのは極めて難しく、根絶するのは不可能だろう。
コツコツ音を立てるのは成虫であり、空洞の壁に頭を打ち付けて音を立て、暗闇のなかで自分の存在を交尾する相手に知らせているのだ。
- 359 ::||‐ 〜 さん:2014/02/09(日) 01:09:52.25 ID:yMCVkQrg.net
-
人類がいちばん食べてきた昆虫
コチニールカイガラムシ ( Dactylopius coccus )
生息地 中央アメリカ、南アメリカ (スペイン、北アフリカ、オーストラリアにも移入された)
特徴 食用としてどの昆虫よりも多く摂取されてきた
- 360 ::||‐ 〜 さん:2014/02/09(日) 01:10:52.27 ID:yMCVkQrg.net
-
ボクトウガ、コモリガ、ヤガ、カミキリムシなどの幼虫は確かに栄養豊富で、質のよいタンパク源ではあるが、
食物として利用する例は非常に少なく、主にオーストラリアのアボリジニーの人々に限られる。
それでは南アメリカや中央アメリカにいるアブラムシに似た昆虫、エンジムシとも呼ばれるコチニールカイガラムシはどうだろう。
コチニールカイガラムシは体長が2〜5mmしかない小さな昆虫で、メキシコや南アメリカの乾燥した高地に分布するウチワサボテンの上に、大きなコロニーをつくる。
雌雄の形態は大きく異なり、オスは翅のあるアブラムシのような姿をしており自由に活動するが、メスには翅がなく、
ほかのカイガラムシと同様に、成熟後は固着生活 ( 植物上に体を固定し、移動せずに生活すること ) を営む。
コロニーはメスが体表から分泌した、ふわふわした白いロウ物質で覆われている。
この分泌物は、攻撃しようとする捕食者たちの口器を塞ぎ、コロニーを守る効果がある。
- 361 ::||‐ 〜 さん:2014/02/09(日) 01:11:50.79 ID:yMCVkQrg.net
-
メスは体内で深紅の色素を生成する。
色素はカルミン酸と呼ばれる物質で構成されているが、この複雑な生化学物質には苦味があり、これもまた捕食されないための防御策となっている。
アステカ文明やマヤ文明の頃から、コチニールカイガラムシは染料や化粧品、そして食料として利用されてきた。
紀元前2200年頃から、この虫を乾燥させたものは重要な交易品であった。
スペインがメキシコを征服した ( 1519〜1521年 ) 後、コチニールカイガラムシはヨーロッパ、そしてさらにそのほかの国々へと輸出され、
1600年頃には、銀の次に価値のある輸出品となっていた。
19世紀には工場で簡単に化学染料を合成できるようになり、コチニール色素など労働力がひつような自然染料にとって代わるようになった。
しかし人々が人工的な染料や食料から自然へ回帰し始めた昨今、コチニール色素は再び「カルミン酸」や「自然赤色4」などの名称で、商品価値を取り戻しつつある。
ただし動物由来のため、残念ながらベジタリアンむけではない。
- 362 ::||‐ 〜 さん:2014/02/11(火) 00:54:50.80 ID:dBSbgjQE.net
-
指名手配された凶悪犯
コロラドハムシ ( Leptinotarsa decimlineata )
生息地 北アメリカからヨーロッパ、アジアへと「輸出」された
特徴 交番の「指名手配」のポスターに載っている
- 363 ::||‐ 〜 さん:2014/02/11(火) 00:55:21.65 ID:dBSbgjQE.net
-
1811年、イギリスの旅行家で博物学者のトマス・ナットールがロッキー山脈で昆虫を採集していたところ、
黒と黄色の縞模様が目立つ甲虫が、黄色い花をつけているナス科の植物を食べているところを見つけた。
この甲虫の標本はアメリカの昆虫学者、トマス・セイ ( 1787〜1834 )に届けられ、
1824年、背中の10本の黒い線から「10本の線を持つ」という意味の学名を与えられた。
さらに1867年にこの虫による被害について警告する小冊子が発行されたとき、なぜかコロラドと関係があるかのような、
コロラドハムシという名前が使われ、以後その名が定着してしまった。
誤った印象を与える名前だが、現在でも使われている。
コロラドハムシは、きれいなだけでさして注目されることのない昆虫のはずだった。
しかし1859年、ロッキー山脈から何百kmも東のネブラスカ州で、ジャガイモを食い荒らしているところを発見されてからそうではなくなった。
アメリカを東に向かってものすごいスピードで分布を拡大していったコロラドハムシは、1874年に大西洋岸に到達した時点ですでに、害虫として悪名高い存在になっていた。
- 364 ::||‐ 〜 さん:2014/02/11(火) 00:55:59.30 ID:dBSbgjQE.net
-
1877年にはヨーロッパにも上陸し、人々を大きく動揺させた。
何しろジャガイモは、北半球では重要な主食の一つだったのだ。
コロラドハムシが発見されたドイツのミュールハイムの5ヘクタールほどの土地は封鎖され、石油をかけて燃やされた。
こうしてとりあえずコロラドハムシは撲滅されたが、ヨーロッパに再び上陸するのは時間の問題とされ、
ヨーロッパ各地の港や交番や郵便局には指名手配のポスターが貼られた。
ポスターには鮮やかな色をしたコロラドハムシと、同じように色鮮やかな幼虫が、ジャガイモの葉を食べている様子が描かれていた。
残念ながら1914〜1918年の第一次世界大戦のあいだ、ヨーロッパでは検疫がゆるくなった。
次にヨーロッパでコロラドハムシの侵入が発見されたのは、1922年、フランスのボルドーだった。
1917年にヨーロッパに上陸したアメリカ軍が持ち込んだ多くの物資と一緒に運び込まれたのではないかと考えられている。
そしてコロラドハムシは中央ヨーロッパ、アジアへと容赦なく広がっていった。
イギリス、アイルランド、スウェーデン、フィンランド、バレアレス諸島、キプロス、マルタでは、
現在でもコロラドハムシは監視の対象にされているが、侵入した様子はない。
これらの国々では今でも港や交番で指名手配のポスターを見ることができる。
- 365 ::||‐ 〜 さん:2014/02/17(月) 03:45:24.75 ID:vk7hlYar.net
- 死に至る媚薬
アオハンミョウ ( Lytta vesicatoria )
生息地 ヨーロッパ
特徴 媚薬にも毒にも使える化学物質を分泌する
- 366 ::||‐ 〜 さん:2014/02/17(月) 03:46:33.90 ID:vk7hlYar.net
-
1772年、南フランスのマルセイユで、サド侯爵はアオハンミョウの入った調合薬を売春婦に飲ませたとして告訴された。
死者は出なかったものの、非常に重大な罪であることから死刑を求刑されたが、彼はイタリアへ逃げたあとだった。
古代ギリシャやローマの時代から、アオハンミョウの媚薬としての効果は記録に残っている。
媚薬である同時に毒性もあり、危険性も指摘されている。
アオハンミョウは甲虫であり、輝くばかりのメタリックグリーンの体はツチハンミョウのなかまでもかなり際立っている。
この科に属する虫は、触れられたり妨害されたりすると、油のような粘りけのある分泌物を出す。
この液体には、血リンパ液 ( 甲虫の血液に相当する ) と生殖器近くの付属腺に蓄えられているカンタリジンという強力な化学物質が含まれている。
カンタリジンを摂取すると、尿路がひりひりと刺激され、男性は通常より長時間、勃起することができる。
しかしこのような効果よりも深刻な病変が起こる。
例えば膀胱炎になって尿に血液が混じり、排尿したくてもできないという症状が現れる。
さらに毒素が体にまわると呼吸困難、けいれん、胃腸炎、精神錯乱を引き起こして死に至る。
- 367 ::||‐ 〜 さん:2014/02/17(月) 03:47:50.04 ID:vk7hlYar.net
-
成人にとっての致死量は0.03gだが、1匹の虫で十分それだけの量を得られる。
この致命的な化学物質は、古代には処刑にも用いられた。
ドクニンジンの変わりに罪人は、この甲虫の入ったワインを一気に飲み干したという。
また放牧されている家畜が突然死してしまう原因となる場合もあった。
家畜が間違えてこの甲虫を食べてしまったのだろう。
その場合は中毒死した家畜の肉にも毒が含まれている。
アオハンミョウに不用意に触ると、毒物カンタリジンの効果が皮膚にはっきりと現れる。
数分のうちに赤くなり、いくつも吹き出物ができ、それが1つの大きな水疱になる。
このためこの虫は英語で「水ぶくれの虫」とも呼ばれている。
昔のヨーロッパでは、体に悪性の体液が蓄積するとされ、水疱はそれを出すための一般的な医療行為だった。
現在でもいぼを取り除く治療にカンタリジンを使っているところがある。
- 368 ::||‐ 〜 さん:2014/02/24(月) 05:41:16.53 ID:o/59lqda.net
-
人も虫も惑わす
アリスアブのなかま ( Microdon sp. )
生息地 世界各地
特徴 学者たちだけでなく、昆虫も混乱させてきた
- 369 ::||‐ 〜 さん:2014/02/24(月) 05:42:11.09 ID:o/59lqda.net
-
1924年、スペインの博物学者アレハンドロ・トレス・ミンゲスが、ピレネー山脈のコマ・デ・ロッリで発見した新種のナメクジを Buchanania reticulata と命名した。
彼もまた、それまでに何人もの高名な博物学者が陥った罠につまずいたことになる。
皮膚の網状の模様をもつ、この不思議な軟体動物のような生物は、実はアリスアブのなかまの幼虫だったのだ。
アリスアブが軟体動物に間違われたのは、これで少なくとも4回目だった。
最初は1824年、ドイツの探検家ヨハン・バプティスト・フォン・シュピックスが、ブラジルで発見したこの昆虫を、
Coccus属のカイガラムシに似ていることから Parmula cocciformis と命名した。
翌年、ドイツの博物学者カール・フォン・ハイデンがこれを Scutelligera (盾をもつ) ammerlandia と名付けた。
そして1907年、やはりドイツの動物学者ハインリッヒ・シムロスは Ceratoconcha (角のある貝) schulzei という学名をつけた。
これらの学者たちはすべて、脚も文節もない半球型の外見から、軟体動物のなかまだと信じてしまったのだ。
- 370 ::||‐ 〜 さん:2014/02/24(月) 05:44:11.67 ID:o/59lqda.net
-
しかし惑わされたのは無理もない。
アリスアブの幼虫は奇妙な形をしており、その生態も変わっているからだ。
成虫は翅は短いものの、ずんぐりしたアブらしい外見をしている。
アリの巣に卵を産み、生まれた幼虫は巣にある有機堆積物やアリの幼虫を食べて成長する。
つばのついたカサガイのような形をした幼虫は、アリが大顎を使って剥がそうとしても、巣の壁面にしっかりとしがみついて剥がされることはない。
この幼虫は動いているのかいないのかわからないほどゆっくりと動き、アリの巣内では気づかれないまま自由にゆっくりとアリの幼虫に近づき、
鋭い口器で刺して中身を吸い取り、ぺしゃんこになったその死骸を捨てる。
アリスアブの幼虫一匹で、アリの幼虫10匹を30分で食べてしまう。
アリスアブの幼虫をアリが攻撃しないのは、幼虫の殻がかたく、歯が立たないためだと考えられていた。
しかし、幼虫を巣のなかに入れると、その巣のアリが襲ってくることから、アリスアブの幼虫は何らかの化学物質を出して、寄主を惑わせていると考えられる。
つまり、この昆虫に混乱させられているのは、人間だけではないということだ。
- 371 ::||‐ 〜 さん:2014/03/03(月) 01:09:31.87 ID:bCWCEQJG.net
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不吉なドクロ仮面
ヨーロッパメンガタスズメ ( Acherontia atropos )
生息地 地中海地方、中近東
特徴 死の象徴である骸骨の模様が背中にある
- 372 ::||‐ 〜 さん:2014/03/03(月) 01:10:18.96 ID:bCWCEQJG.net
-
「死の頭をもつスズメガ」という意味の英名は、この虫の特徴を非常によく表している。
骸骨の形をした黄色い模様が胸部の背にあり、空洞の眼窩と落ちくぼんだ頬がはっきりと見てとれる。
このスズメガは中近東から地中海地方にかけて広く分布しており、死の前兆として長らく忌避されてきた。
しかしこの不吉な模様を背中に描いている本当の目的は何だろうか。
スズメガは夕暮れや夜に飛ぶ。コウモリに見つかる危険はあるが、少なくとも鳥には襲われない。
日中は枯れ葉、木の枝、岩肌などをねぐらとし、静かに隠れている。
風景にうまく溶け込んで、敵に見つかることはほとんどない。
翅をテントのように体の上にたたみ、まだら模様の前翅だけを見えるようにして、くすんだ色の鱗粉でカムフラージュするのだ。
まだ黄色い模様が目につくため、暗い色をした体の輪郭がぼやけ、敵は全体像をつかみにくい。
- 373 ::||‐ 〜 さん:2014/03/03(月) 01:11:00.35 ID:bCWCEQJG.net
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しかしそれでも偶然、敵に見つかってしまうことがある。
するとヨーロッパメンガタスズメは突然その鮮やかな黄色の後翅を動かす。
2つの眼をもつ骸骨がさらに相手を驚かす。
まるで突然目を開けたかのように、相手をぞっとさせるのだ。
模様だけでも不吉だが、人間にとってもっとぞっとすることがある。
花の蜜を吸う長いぐるぐる巻きの口吻をもつガと違い、ヨーロッパメンガタスズメは蜂蜜を吸うのにぴったりの、短くて丈夫な口吻をもっている。
養蜂家が育てているミツバチの巣を目当てにやってきたところを追い払うと、このスズメガは口吻から空気を吐き出し、
じつに気味の悪いヒューヒューという音を立てるのだ。
- 374 ::||‐ 〜 さん:2014/03/10(月) 04:20:16.88 ID:5hNnKwtF.net
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幻のチョウ
サイパンタテハモドキ ( Junonia villida )
生息地 18世紀のロンドンと言われていた
( 実際はオーストラリア、ニュージーランド、パプアニューギニア、サモア、ソロモン諸島、ニューヘブリディーズ諸島 )
特徴 本当の生息地がわかるまでの200年間、博物学者たちの好奇心をそそり、けむに巻いた
- 375 ::||‐ 〜 さん:2014/03/10(月) 04:21:08.08 ID:5hNnKwtF.net
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ロンドンの薬剤師ジェームズ・ペティヴァー ( 1663〜1718 ) は、イギリスに生息する多くのチョウに英名をつけたことで有名な博物学者だ。
それ以前は長いラテン語の学名で呼ぶのが決まりだった。
ペティヴァーが考案した英名は現在でも使われているものがあり、例えば鮮やかな黄色いヤマキチョウ ( Gonepteryx rhamni )の「地獄の業火」がそうだ。
ペティヴァーがつけた英名でおもしろい名前がある。
1702年〜1706年に出版された、新しく採集された標本リストのなかで、ペティヴァーはこう述べている。
「『アルビンのハムステッドの目』という名のチョウは、ロンドンのハムステッドヒースで興味深い人物により採集されたが、私はまだ標本の実物を見ていない」
ペティヴァーは1717年に著したイギリスのチョウについての本「イギリス産蝶類図鑑」のなかで、
このチョウの図版を「翅に目をもつチョウ」という項目で紹介している。
ペティヴァーが「興味深い人物」と評した、このチョウの発見者であるエリザル・アルビンは、探究心に富んだイギリスの博物学者だ。
1720年に『イギリスの昆虫博物誌』、1736年に『クモと珍しい昆虫の博物誌』の2冊を出版、これらは彼の主要な業績だとされている。
しかしこの2冊の本のなかで、「アルビンのハムステッドの目」について誤った記述をしたために、以後200年にわたり、謎が残ることとなった。
- 376 ::||‐ 〜 さん:2014/03/10(月) 04:22:25.44 ID:5hNnKwtF.net
-
それから2世紀、このチョウ ( Cynthia hampstediensis から Hipparchia hamstediensis と属名が変更された ) は、
ほかのイギリスのチョウと共に、学術文献に堂々と登場していた。
しかしどの本にも「ペディヴァーの時代以降、発見されていない」との注意書きがあった。
そう、「アルビンのハムステッドの目」は、アルビンが採集した以外には1匹も姿を見せない「幻のチョウ」になっていた。
19世紀末、ついに謎がとけた。
このチョウの標本の現物がロンドン自然博物館で見つかったのだ。
多くの学者が疑っていたように、その正体は外国産のチョウ、サイパンタテハモドキだった。
本来の生息地を考えれば、アルビンがロンドンのハムステッドヒースで、このチョウを生きたまま採集できるはずがない。
アルビンは何かの手違いで別のラベルをつけてしまったのだろうが、それにより昆虫学は2世紀ものあいだ、無駄な努力を重ねてしまった。
- 377 ::||‐ 〜 さん:2014/03/15(土) 00:55:45.57 ID:4m6pmgg7.net
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世界最古の標本
レオナード・ブルークネットの標本コレクション
場所 ロンドン自然史博物館
特徴 300年ものあいだ、博物館の手荒な扱いやカビや虫の被害に耐えた
- 378 ::||‐ 〜 さん:2014/03/15(土) 00:57:20.15 ID:4m6pmgg7.net
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自然界の幸運な偶然により、昆虫が化石となってたまたま保存されることはあるが、通常は死んだ虫はすぐに分解されてしまう。
小動物に食べられ、細菌などの働きで朽ち果てる。
しかし幸いにして昆虫の大きさは、博物館に保存するのにむいている。
ただ乾かすだけで、何年も保存できる。
それでは標本はいったい何年くらい保存できるものなのだろうか。
博物館は最近まで、標本の質にしか興味がなかった。
その昆虫の特徴がよくわかり、より状態がいい標本が手に入れば、古い標本は捨てられる。
現在のような機密性に優れた倉庫ができる前は、標本はカビに侵され、
英名で「ミュージアム・ビートル」と呼ばれるヒメマルカツオブシムシ Anthrenus verbasci の幼虫に食い荒らされていた。
その結果、多くのコレクションが責任者の独断で捨てられてしまっていたのだ。
その歴史的価値を認識されるようになってから、まだ50年ほどしか経っていない。
- 379 ::||‐ 〜 さん:2014/03/15(土) 01:04:24.96 ID:4m6pmgg7.net
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ロンドン自然史博物館は、大英博物館の一部として1759年に開設された、その後さまざまな変遷があったものの、
創設者であり、医師、博物学者、収集家であったハンス・スローン卿が収集した標本がいくつか残されている。
それらのなかには、現存する昆虫の標本 (ほとんどはチョウ) として最古に近いものが含まれている。
薬剤師であり博物学者であったペティヴァーがチョウを二枚の薄いマイカ紙に挟み、縁を粘着紙で糊づけし、木の箱に入れて保存したコレクションもある。
なかでも1702年頃のものがいちばん古い。
博物学者のアダム・バドル ( 1660〜1715 ) が著した革装の植物標本集12巻にはイネ・スゲ・イグサなどと共に、たくさんのチョウも貼られている。
1699〜1715年にロンドン近郊で採集されたこれらの標本は保存状態が悪く、多くが劣化して汚れているが、31種についてはまだ識別できる。
しかしこれらは最も古い昆虫標本ではない。
最古の昆虫標本は、医師であり博物学者であったレオナード・ブルークネット ( 1642〜1706 ) が死の床でスローン卿に譲りわたした、革装の学術書に貼られた1700種の標本だ。
目録には、ブルークネットが1696〜1697年にロンドン近郊とウェストミンスターで採集した昆虫の詳細が書かれている。
ちなみに、ピンでとめるスタイルの最古の昆虫標本は、オックスフォード大自然史博物館にあるチョウセンシロチョウ Pontia daplidice で、1702年に採集されたものだ。
- 380 ::||‐ 〜 さん:2014/04/13(日) 17:22:54.00 ID:EDJEmolY.net
- 新作楽しみにしてます
- 381 ::||‐ 〜 さん:2014/04/25(金) 22:52:55.61 ID:FEUYwyf6.net
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魔法をかけられた昆虫
カリステジ・ミ ( Callistege mi )
生息地 ヨーロッパ、アジア北部
特徴 16世紀の予言者で魔女といわれた人物にちなんだ英名がつけられた
- 382 ::||‐ 〜 さん:2014/04/25(金) 22:54:10.98 ID:FEUYwyf6.net
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この昆虫の英名は「マザー・シップトンモス」という風変わりなものだ。
一般に英名は、その姿かたちの特徴を表す名前が多い。
例えばモンキチョウの英名「曇った黄色」や「硫黄のチョウ」などは、色にちなんだ名前だ。
ガやチョウのなかまの英名は、模様や斑点の特徴に由来するものが多い。
ヨーロッパメンガタスズメは「死の頭」、オレンジ色の縞模様のあるガは「トラのガ」、ほかにも「銀色のY」、「角の影(アールデコ調の模様)」
などと芸術的センスを感じさせる名前もある。
「エメラルドグリーン」や「黄色い後翅」といった単純な名前もある。
またナナフシは「棒の虫」、カスミカメムシは「葉の虫」という英名を与えられている。
ほかに生息地にちなんだ英名の例として「水の虫」や「山の巻き毛」がある。
「キャベツの白」というモンシロチョウの英名は、このチョウがおよぼす害に由来している。
これらのなかで最も変わっているのは16世紀の魔女マザー・シップトンにちなんでつけられた、このガの名前だろう。
- 383 ::||‐ 〜 さん:2014/04/25(金) 23:00:32.39 ID:FEUYwyf6.net
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予言者だったマザー・シップトンは、1488年前後に生まれたとされている。
生まれたときの名はウルスラ・サウテイル。
彼女が何を誰のために予言したかは、今となっては伝説や民話の領域だが、彼女について最初の記録が出版されたのは1641年のことで、
彼女が1561年に没してから実に80年も経っていた。
その後に続々と出版された書物は、伝記作家たちが彼女の一生をさまざまな挿話で演出を加えたものだ。
彼女の予言とされているもので有名なのは、馬のない馬車、水中を歩く人間、水に浮く鉄など、19世紀になってから実現した発明品だ。
唯一確かだとされているのは、彼女が1512年に大工のトビー・シップトンと結婚したことだ。
17世紀の終わりには、伝記の内容が事実か否かという問題は、取るに足らないことになっていた。
現在では、物語のなかに皺くちゃの恐ろしげな魔女として登場することが多い。
そんな魔女らしい魔女ともいえるマザー・シップトンから英名をいただいた昆虫は、昼間に活動する小さなヤガであるカリステジ・ミだ。
一見、優美な模様をもっているが、よく見ると前翅にはグロテスクにねじ曲がった人間の頭が描かれている。
曲がった大きな鼻と尖った顎、小さな暗い目。歯のない口でにやっと笑う顔は、まさしくマザー・シップトンの顔なのだ。
- 384 ::||‐ 〜 さん:2014/04/28(月) 12:51:08.91 ID:Gk4OH7MA.net
- 大惨事を引き起こしかけた昆虫
ラセンウジバエ ( Cochliomyia hominivorax )
生息地 リビア
特徴 もう少しで人間や動物に深刻な災難をもたらすところだった
- 385 ::||‐ 〜 さん:2014/04/28(月) 12:52:14.52 ID:Gk4OH7MA.net
- 1988年のリビアで、家畜が体を掻くために、塀や有刺鉄線や棘のある植物に皮膚をこすりつけると、その傷口にウジがわくという例が報告された。
通常ならたいしたニュースではなかったのかもしれないが、これが中央アメリカにしかいないはずのラセンウジバエであり、
本来の生息地以外の土地で初めて発見された点で非常に重大だった。
ラセンウジバエの幼虫は皮膚の深くに体をねじ込みながら、血液や膿汁、体液を吸う。
メキシコ南部では野生の動物や家畜の害虫として古くから知られていた。
「人間を食べる」という意味の学名 hominivorax が示すとおり、人間が標的になることもある。
ラセンウジバエは確かに有害ではあるが、寄生することがあれば捕食されることもある生態系の一部であり、
もとから同じ地域に生息する動物はラセンウジバエに対する抵抗力をつけている。
- 386 ::||‐ 〜 さん:2014/04/28(月) 12:53:07.70 ID:Gk4OH7MA.net
- しかし他の大陸に進出した場合はどうだろう。
1匹で3000個もの卵を産むラセンウジバエが相手なだけに、生態系に大打撃を与えることが容易に予想された。
1988年末までにはラセンウジバエの繁殖域は2万6000平方kmにまで広がり、そこには270万頭のヒツジ、ヤギ、ウシが放牧されていた。
国連は、無数の家畜や人間がラセンウジバエに寄生されるという大惨事を回避するため、国際的なプロジェクトに着手した。
メキシコとアメリカが管理する環境下で何百万匹というラセンウジバエを安全かつ注意深く飼育し、成虫にかえった直後、放射線セシウム137の放射線を当てた。
見た目は無傷のまま、オスを無精子にするにはそれで十分だ。
1990年12月〜1991年10月にかけて、およそ13億匹の無精子のラセンウジバエが入った段ボール箱が、
低空飛行の飛行機からリビアの郊外に落とされた。
ほとんどのメスは一度しか交尾をしないため、無精子症のオスと交尾すれば卵がかえることはない。
このプロジェクトは成功し、以来ラセンウジバエはアフリカ全土から姿を消した。
- 387 ::||‐ 〜 さん:2014/04/29(火) 07:10:24.90 ID:WGKv03gy.net
- 宗教画に登場する昆虫
ヨーロッパミヤマクワガタ ( Lucanus cervus )
生息地 ヨーロッパ
特徴 恐ろしげな風貌にもかかわらず、中世ヨーロッパの美術において偶像化された
- 388 ::||‐ 〜 さん:2014/04/29(火) 07:11:47.87 ID:WGKv03gy.net
-
クワガタムシは怪獣のような外見をしている。
真っ黒の体は大きくて力強く、敵を威嚇するかのようだ。
オスの巨大な大顎は恐ろしく、民話のなかでは雷を呼んだり、暖炉から燃える石炭を運び出して家に火をつけるなどの災難をもたらすこともあった。
しかし中世ヨーロッパのキリスト教教会において、芸術家たちが礼拝の場所を飾る特異な象徴として選んだものは、このクワガタムシだった。
光栄な地位を得ることができたのは、大顎が雄ジカの角に似ていたためだろう。
初期のキリスト教の宗教画では、シカ、特に角の生えたオスはキリストの象徴であり、ヘビと戦うとされていたシカは、悪に対する勝利を表していた。
クワガタムシが宗教的な象徴として扱われたことを示す最古の書物は、1370年、ミラノ大公ジャン・ガレアッツォに任命されたジョヴァンニーノ・デ・グラッシによる彩色写本だ。
これには図案化されたクワガタムシが神に向かって飛んでいく様子が描かれ、当時の宗教観を反映してその周辺には隠遁者がおり、
もう1匹のクワガタムシが丘の斜面で休んでいるという構図である。
- 389 ::||‐ 〜 さん:2014/04/29(火) 07:13:26.69 ID:WGKv03gy.net
-
ドイツでもクワガタムシが重要な役を演じている。
ケルン大聖堂の聖母マリアの祭壇上には「東方三博士の礼拝堂」がある。
シュテファン・ロホナーが1440〜1445年のあいだに描いたものだ。
ほかにも1479年にザクセン州ツヴィッカウの聖マリア教会の祭壇に、ミヒャエル・ヴォルゲムートによって描かれた「イエスのオリーブ山の祈り(ゲッセマネの祈り)」がある。
これら小さなスケッチ風ではあるが、いずれもはっきりとクワガタムシが描かれている。
クワガタムシにとって最も輝かしい経歴は、ドイツの偉大なる画家アルブレヒト・デューラーの作品に何度も登場したことだ。
有名な「多くの動物のいる聖母子」(1503年)や「東方三博士の礼拝」(1504年)には、クワガタムシが前景をちょこちょこ走っている様子が解剖学的な緻密さをもって描かれている。
デューラーはクワガタムシが気に入ったようで、1505年に描いたポートレート(挿絵)にも見られる。
この絵はヨーロッパ美術において図案化された描写と、自然主義的な描写という2つの流れの分岐点となった。
この絵は多くの画家により模写されてきたが、ヨーロッパでしばしば出版される『昆虫同定の手引書』には採用されていない。
- 390 ::||‐ 〜 さん:2014/05/01(木) 15:16:57.82 ID:Zt3bg3Cb.net
- 世界的ミュージシャン
コオロギのなかまとキリギリスのなかま ( Gryllidae と Tettigoniidae )
生息地 世界各地にさまざまな種が生息しているが、中国と日本に多い
特徴 かごの中で美しい泣き声を響かせ、人の心慰める
- 391 ::||‐ 〜 さん:2014/05/01(木) 15:18:29.88 ID:Zt3bg3Cb.net
- 少なくとも2500年前から人間は、ぴょんぴょんと跳ねる小さな虫を籠に入れ、その泣き声を楽しんできた。
コオロギやキリギリスで鳴き声を出すのは主にオスであり、聞かせたい相手は同種のオス、あるいはメスに限られる。
オスは自分のテリトリーに入ってこようとするほかのオスを威嚇するために、そしてメスを誘うために鳴くのだ。
彼らは前翅をあげてこすり合わせることによって音を出している。
コオロギの右前翅の裏側には、1列に並んだ小さな突起物におおわれた、かたい翅脈が1本あり、櫛に似た形状のやすりになっている。
そして左前翅の上面には別のかたい翅脈が立っており、掻器 ( 「そうき」弦楽器の撥、バイオリンでいえば弓にあたる ) の役目をする。
キリギリスはこれが逆で、やすりは左前翅、撥は右前翅にある。
翅をこすり合わせると ( コオロギは左前翅に右前翅を重ね、キリギリスは右前翅に左前翅を重ねて )、撥が一列の突起物を掻き鳴らし、翅を震わせる。
音の周波数は突起物の数や大きさ、そして翅が動く速さにより決まる。
まるでスキッフル ( 20世紀初めに生まれた音楽ジャンル ) のミュージシャンが洗濯板を鳴らしているようだ。
前翅には、形が似ていることから「ハープ」と呼ばれる部分が2つと、鏡のようななめらかさから「ミラー」と呼ばれる部分があり、
これらが増幅器の役割を果たし、小さな音を何百メートル先でも聴こえる大きさにまで増幅させる。
- 392 ::||‐ 〜 さん:2014/05/01(木) 15:19:19.52 ID:Zt3bg3Cb.net
-
種によってそれぞれ違った音色をかなで、人はそれを「リンリンと鳴く」、「声を震わせる」、「リューリューと鳴く」、
「カチカチと音をたてる」、「さえずる」、「ガチャガチャと鳴く」などの言葉で表現している。
周波数は通常、毎秒1500〜10000Hzであり、人間の聴力の範囲 ( 20〜16000Hz ) 内だ。
そのため我々の耳には音楽的な旋律として聞こえるのだ。
紀元前500年くらいから、中国、日本、韓国の人々はコオロギを小さな網籠や竹を編んだ籠、ヒョウタンを利用した籠などに入れ、家のなかでその鳴き声を楽しんできた。
音の好みは人それぞれであるため、どの種がいちばん音楽的であるかを評価することは難しい。
候補には30種類以上があげられるが、そのなかには音楽的な英名がついているものも多い。
クサヒバリ Svistella bifasciata の英名は「黄金の金」、
タイワンクツワムシ Mecopoda elongata は「機織りする女性」、
Campsocieis gratiosa は「うたう兄弟」とそのものずばりの名を与えられた。
↑調べても出てきませんでした
- 393 ::||‐ 〜 さん:2014/05/02(金) 12:19:34.81 ID:OBF77jKP.net
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有能な掃除屋
マダラメイガ ( Cactpblastis cactorum )
生息地 オーストラリア東部
特徴 侵入性の有害植物をオーストラリアから一掃した
- 394 ::||‐ 〜 さん:2014/05/02(金) 12:21:32.98 ID:OBF77jKP.net
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19世紀のオーストラリアは、イギリス人にとって可能性の大地だった。
サトウキビの栽培や、羊毛をとるためのヒツジの畜養などさまざまな産業が興こされ、その一つにコチニール色素の生産があった。
そのためにコチニールカイガラムシが食料とするウチワサボテンが移入された。その後、科学染料の発明でカイガラムシの飼育は衰退したが、サボテンはそのまま残された。
1900年までに数種類のウチワサボテンが、中央アメリカおよび南アメリカから移入された。
これらは、亜熱帯気候のクイーンズランド州では大繁殖したため、すぐに収拾がつかなくなった。
オーストラリア東部の24万平方kmの土地にウチワサボテンが繁殖し、その半分は農地として使いものにならなくなってしまった。
そこで生物学的な抑制方法を模索するため、ウチワサボテンを食べる昆虫およそ50種が輸入され、成果が試された。
最終的に12種の昆虫が放された。
最もいい動き見せたのは、灰色と茶色のまだら模様の小さなガ、マダラメイガだった。
1926年に初めて放してから1932年までその試みは続けられ、そのあいだに問題のサボテンはほぼ食べ尽くされた。
1932〜1935年に調査したところによると、再生しようとするサボテンもすべて、この幼虫に食い止められていたという。
こうしてウチワサボテンはオーストラリアにとって、いまや頭痛のたねではなくなった。
- 395 ::||‐ 〜 さん:2014/05/13(火) 08:34:26.38 ID:dEt/9QMF.net
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史上最悪の異常発生
ブッシュフライ ( Musca vetustissima )
生息地 オーストラリア
特徴 人間に一因のある生態学的災害。最近になってやっと制御できた
- 396 ::||‐ 〜 さん:2014/05/13(火) 08:35:04.55 ID:dEt/9QMF.net
-
旧約聖書の『出エジプト記』(7〜12章)によると、
エジプトのユダヤ人を隷属状態から解放することをファラオが拒んだことによりエジプトに起きた10の災いのうち、
3つは昆虫の異常発生だった。
その昆虫とはブユ、アブ、そしてイナゴだ。
これらの不快で有害な昆虫は、今日も人類を苦しめ続けている。
この災いをもたらした3種に勝るとも劣らぬ迷惑な昆虫がいる。ハエだ。
しかもハエは人間の行為が原因で、ますます数を増やしている。
19世紀末から20世紀半ばにかけてのオーストラリアで、最も顕著な例を見ることができた。
18世紀末、オーストラリアが植民地化されると、在来種とは異なる植物や動物がヨーロッパから次々と移入された。
入植者たちが北半球にある祖国の地に似せようとしたからだ。
- 397 ::||‐ 〜 さん:2014/05/13(火) 08:40:09.82 ID:dEt/9QMF.net
-
なかでも最も大きく環境を変えたのは、耕作と畜産の導入だった。
移入されたウシたちは、年間に1万平方mの草地を11頭ほどで食べ尽くす。
問題は、ウシが排泄する大量の水っぽい糞がもともと生息するフンコロガシの好みではなかったことだ。
ここのフンコロガシは有袋類のかたいペレット状の糞に慣れていたため、ウシた食べ尽くした草地跡は、フンコロガシが見向きもしない糞におおわれたままとなった。
するとハエのなかまであるブッシュフライが幼虫の食物としてこれを採用した。
ただの不快な草地だった場所が、聖書に災いとして書かれているような虫の大発生の舞台となった。
19世紀後半、旅行者が「空中に群がるハエでできた雲を見た」と報告している。
ハエを飲み込まずに呼吸することができないほどの量だ。
のどが詰まるようなハエの雲の発生と牧草地が失われていく現実を見て、ついにオーストラリア政府が行動を起こした。
1965年以来、50種以上のフンコロガシをアフリカ、アジア、ヨーロッパなどから移入したのだ。
そのうち少なくとも20種がまだオーストラリアで繁殖を続け、分布を拡大している。
その結果ブッシュフライは許容範囲のレベルにまで減少した。
しかしそれでもまだまだうっとうしい。
- 398 ::||‐ 〜 さん:2014/05/14(水) 09:40:48.77 ID:Y9DPeq5V.net
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最も意外な生息域拡大方法
ヒトスジシマカ ( Aedes albopictus )
生息地 世界各地に拡大
特徴 中古タイヤのなかにすんでいたため世界中に輸出された
- 399 ::||‐ 〜 さん:2014/05/14(水) 09:42:04.21 ID:Y9DPeq5V.net
- カはよどんだ水などに産卵し、その幼虫であるボウフラは水中の微生物や有機物のかけらを食べて成長する。
カは比較的寒冷な土地ではそれほど大きな問題にはならないが、熱帯地方では、吸血によってマラリア、フィラリア、脳炎、黄熱病などの恐ろしい病気を媒介する。
最も攻撃的なカといえばヒトスジシマカだろう。
体に白い縞模様があり、足に白い斑点があることから、英名では「アジアのトラのカ」と呼ばれている。
ヒトスジシマカは東南アジア原産で、インド南部からマレーシア、インドネシア、フィリピン、中国に分布し、デング熱の主要な媒介者になっている。
デング熱は消耗性のウィルス疾患であり、風邪の症状に似た高熱や体の痛みをもたらすばかりでなく、ときには死に至らしめることもある。
マラリアのような主に農村に発生する疫病と違って、デング熱は都市部にも発生する。
東南アジアの主要都市も例外ではない。
- 400 ::||‐ 〜 さん:2014/05/14(水) 09:42:53.81 ID:Y9DPeq5V.net
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1985年に本来はいないはずのアメリカ・テキサス州でヒトスジシマカが発見されたとき、人々は驚いた。
そしてテキサス州にとどまらず、東はメイン州、北はネブラスカ州やミネソタ州へと広がっていった。
しかしヒトスジシマカが自力で北アメリカ大陸まで飛んでいったわけではない。
再利用、再生するために世界各地に輸出される中古タイヤと一緒に、ヒトスジシマカも運ばれていったのだ。
タイヤを製造するにはコストがかかるが、輸送するのは簡単でそれほど費用がかからない。
しかも倉庫や波止場に何週間と放っておいても、腐ったり劣化したりしない、ただ雨水が溜まりやすく、
そのよどんだ水はヒトスジシマカの繁殖にはうってつけの環境だった。
こうして知らないうちに、中古タイヤと雨水とヒトスジシマカのボウフラが世界各地に運ばれていった。
1990年にはヒトスジシマカはイタリアに現れ、その後、南アメリカにもアフリカ南部にも現れた。
今後も生息地は拡大しつづけるだろう。
- 401 ::||‐ 〜 さん:2014/05/18(日) 03:15:36.92 ID:cMFcHUaF.net
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最も恥ずべき昆虫
ケジラミ ( Pthirus pubis )
生息地 世界各地
特徴 上流社会では話題にのぼらない
- 402 ::||‐ 〜 さん:2014/05/18(日) 03:16:14.19 ID:cMFcHUaF.net
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吸血する寄生昆虫であるシラミやハジラミは、寄主にしがみついたままで一生を過ごす。
シラミの寄主はほ乳類、ハジラミの寄主は鳥とほ乳類だ。
(大陸移動のおかげで有袋類はシラミはハジラミの祖先と出会わず、結果として寄生を免れた)
彼らは這って寄主の上を移動する。
その葦には力強い爪があり、シラミの場合は毛を、ハジラミの場合は羽毛をしっかりとつかんで離さない。
そして器用に毛髪や毛皮、羽毛のなかを動きまわり、寄主の毛づくろいを回避する。
シラミはハジラミは一般に信じられているように、衣服やシーツや家具、タオル、トイレの便座などにつくことはない。
寄主の温かくて湿気のある皮膚を離れると、彼らは死んでしまうのだ。
- 403 ::||‐ 〜 さん:2014/05/18(日) 03:16:54.51 ID:cMFcHUaF.net
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ケジラミの体長は2〜3mmで、アタマジラミと同じ大きさだ。
アタマジラミは人間の頭髪にくっつきやすいように細長い。
一方ケジラミは横に広いずんぐりとした形状で、恥骨、脇の下、胸、顎などの粗い毛にもつかまりやすいよう、巨大な爪をもっている。
ケジラミはいつでも血液を吸える環境にあるため、栄養には困らない。
ただし食料が液体のため、水分の排出には一工夫必要だ。
排泄物が多すぎると、毛のあいだを動きづらくなり、髪の毛一本一本の根元に卵を産みつけるという繊細な作業に支障が生じるためだ。
そのためケジラミは自分の皮膚を通して余分な水分を蒸発させ、糞便を乾いた粒にする。
しかし彼らは乾燥に弱いため、ほどよい湿度が保たれている皮膚から長時間離れることはできない。
すみなれた寄主から別の寄主に乗り換える唯一の方法は、身体的に密着しているときだ。
つまり恋人同士の親密な時間を利用するのだ。
- 404 ::||‐ 〜 さん:2014/05/20(火) 23:32:02.36 ID:nPhcKCaP.net
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いちばん危険な昆虫
ハマダラカのなかま ( Anopheles sp. )
生息地 アフリカ、アジア、中央アメリカ、南アメリカの熱帯地方
特徴 マラリアを媒介して無数の人間の命を奪ってきた
- 405 ::||‐ 〜 さん:2014/05/20(火) 23:33:40.89 ID:nPhcKCaP.net
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ほんの小さな虫が、強い不快感を与えることがある。
アリは顎でかみ、鉢はハリで刺し、シラミはかゆい。
だが、こうした虫たちは、病気を媒介する虫に比べたら、危険とはいえないだろう。
最近までイエバエ Musca domestica は地球上で最も危険な生物だといわれていたが、それには十分な根拠があった。
不潔なところに繁殖するこのハエからは、100種類以上の病原体が発見されている。
そのうち細菌、回虫などの体内寄生虫、原虫、ウィルスを含む65種が、イエバエを介して私たちの食物へ運ばれることがわかっている。
赤痢、ポリオ、腸チフス、コレラ、ジフテリア、結核の感染もイエバエによるものだと考えられてきた。
ところが19世紀に衛生状態の改善と冷蔵庫の普及が進み、今日では先進国の家庭でイエバエを見ることはあまりなくなった。
しかし昆虫がもたらす恐怖はまだ続いている。
- 406 ::||‐ 〜 さん:2014/05/20(火) 23:35:52.74 ID:nPhcKCaP.net
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地球上の5つの致死的な病のうち、4つ(マラリア、リーシュマニア症、睡眠病、リンパ管フィラリア症)は昆虫が媒介する。
なかでもマラリア原虫 Plasmodium と呼ばれる微生物が原因のマラリアが人類にとっては最大の脅威だが、この病気はカが媒介して流行する。
マラリア原虫の一生は、原虫をもったメスのカが、感染していない人間の血液を吸うところから始まる。
人間の血液は凝固する性質をもっているが、カはその細い管状がつまらないように、抗凝血剤となる唾液を注入する。
この唾液に、マラリア原虫の休眠状態のスポロゾイト (種虫)が含まれている。
スポロゾイトは唾液と共に寄主の血液に入り、肝臓にとどまる。
そこで変態し、細胞が増殖して有機体メロゾイト ( 分裂小体 )となり、血流内に放出される。
これらが再び肝臓に感染するか赤血球を食い荒らして、さらに多くのメロゾイトを生成する。
マラリア熱はこれらの異質な物体が血液に放出されることに対し、人体が起こす免疫反応だ。
- 407 ::||‐ 〜 さん:2014/05/20(火) 23:37:40.99 ID:nPhcKCaP.net
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数週間のうちにまたほかのカが、感染した人間の血液を吸うこともある。
カの腸内でマラリア原虫のオスとメスが接合して新しいスポロゾイトが生まれ、カの唾液腺に集まる。
これが次の感染源となる。
世界中でマラリア発症例は年間5億件もあり、200万から300万人も亡くなっている。
そのほとんどがサハラ砂漠以南のアフリカの子どもたちだ。
- 408 ::||‐ 〜 さん:2014/05/22(木) 14:12:52.46 ID:DQZPh69f.net
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最高の奉仕家
セイヨウミツバチ ( Apis mellifera )
生息地 世界各地
特徴 産業規模で受粉活動に従事している
- 409 ::||‐ 〜 さん:2014/05/22(木) 14:13:36.53 ID:DQZPh69f.net
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ミツバチを飼育する目的は、蜜や蜜蝋を採取するためだと考えられがちだ。
しかし世界中の農業で行われているミツバチが使った受粉は、それとは比べものにならないほど規模が大きい。
昔から、果樹園では木が花をつけると、ミツバチの巣箱を置いておく、ミツバチは、最高の農作物を実らせる。
最高の花粉媒介者なのだ。
ミツバチの巣箱を使用する農業としては、アメリカ・カリフォルニア州のアーモンド生産が世界最大規模を誇る。
25万ヘクタールのアーモンド単一栽培の果樹園のために、毎年2月、アメリカ全土から15万箱のハチの巣箱が運び込まれる。
そしてリンゴやイチゴ、アルファルファにも受粉させるわたり労働のため、次の場所へと巣が運ばれていく。
推定では、人間が食べる農作物のうち10〜15%と、動物が食べるものの10〜15%がミツバチによって受粉されている。
花粉は植物の雄性配偶体で、動物の精子に相当する。
花が咲く植物の場合、雄性器官 ( おしべや雄花 ) から雌性器官 ( めしべや雌花 ) まで、花粉媒介者によって花粉が運ばれる。
コウモリや鳥のなかにも媒介役を果たすものがいるが、ほとんどは昆虫だ。
- 410 ::||‐ 〜 さん:2014/05/22(木) 14:17:57.66 ID:DQZPh69f.net
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ミツバチ ( ときにはマルハナバチも ) は、花に対して忠誠を守る優秀な花粉媒介者だ。
ミツバチは蜜や花粉をなるべく楽に集めようとする。
蜜の出ている花があれば、出ている限りはみんな一緒にその花を訪れる。
その結果、花粉はほかの種にばらまかれることなく、雄花 ( おしべ ) から雌花 ( めしべ ) に確実に届けてもらえる。
ミツバチは信用できる媒介者なのだ。
一方ミツバチにとっての花粉は、生命維持に必要なタンパク質を豊富に含む食物だ。
ミツバチは後脚にある花粉ブラシで体についた花粉をかき集める。
そしてかたいペースト状の「花粉団子」にして、後脚の剛毛でできた花粉カゴにつけて運ぶ。
集めきれなかったたくさんの花粉は、柔らかい体毛にくっつけたまま次の花まで運んでいく。
- 411 ::||‐ 〜 さん:2014/05/24(土) 01:01:28.06 ID:jWxsDL2a.net
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世界一昆虫が多様な地域
場所 中央アメリカ
特徴 地球上で最も多様な昆虫が見られる場所
- 412 ::||‐ 〜 さん:2014/05/24(土) 01:02:55.14 ID:jWxsDL2a.net
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生物を進化させる最大の要因は、山、川、砂漠、海などによる地理的な隔離だ。
ある種の特定グループが、競争相手も捕食者も寄生者も病気もないところに孤立していると、その種は繁殖し、生息地を広げていくだろう。
そして新しいテリトリーに適合するために形状や生態を進化させる。
地球上の大陸は、最初から現在のように分かれていたわけではない。
約2億5000万年前には超大陸「パンゲア」が1つだけあった。
その後、地球の表面をおおうプレートが移動し、約1億8000万年前にはこの超大陸が、
ローラシア大陸 ( 北アメリカ、ヨーロッパ、アジア ) とゴンドワナ大陸に分裂した。
後者はさらに1億5000万〜1億4000万年前にアフリカ、南アメリカ、インド、南極大陸、オーストラリアに分裂した。
そして最近になって ( といっても何百万年も前だが ) 今度は大陸同士が衝突したのだ。
- 413 ::||‐ 〜 さん:2014/05/24(土) 01:03:29.89 ID:jWxsDL2a.net
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アフリカの熱帯地方はヨーロッパから地中海と砂漠を隔て離れており、アジアからは中東の乾燥地帯を挟んで離れていた。
インドとアジアは地つづきになったが、その衝突で盛り上がったヒマラヤ山脈が障壁となった。
アジアとオーストラレーシア ( オーストラリア、ニュージーランド、パプア・ニューギニアと周辺諸島 ) の動植物のあいだにある障壁は、
ミンダナオ島とスラウェシ島との海峡から始まって東西に伸び、ボルネオ島とスラウェシ島のあいだを通り、
さらにジャワ島とロンボック島とのあいだを抜ける狭い海域だ。
中央アメリカの狭い地峡は、2つの大陸を熱帯雨林で結びつけている。
最も豊かな生態系を内包しているこの熱帯雨林は、日光と水がふんだんにあり、大きな気温変化もないため、生物にとっては栄養豊富で快適な環境だ。
当然昆虫やそのほかの生物も繁殖する。
300万年前、南アメリカ大陸と北アメリカ大陸がくっついたとき、南へ向かう生物と北へ向かう生物がここですれ違った。
地球上にいる推定100万種の昆虫のうち、15〜20%がこのエリアの熱帯雨林に生息しているといわれており、
地図で見ると非常に狭い地域が、地球上で最も昆虫の繁栄する場所となっている。
- 414 ::||‐ 〜 さん:2014/05/25(日) 08:02:18.96 ID:cjbOqbHr.net
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腹立たしい昆虫
ブユとヌカカ ( Simuliidae と Ceratopogonidae )
生息地 世界各地、特に北アメリカ、ヨーロッパ
特徴 観光に打撃を与える迷惑な昆虫
- 415 ::||‐ 〜 さん:2014/05/25(日) 08:03:01.62 ID:cjbOqbHr.net
-
ほ乳類の血液は非常に貴重な物質だ。
その所有者にとっては、酸素などのガスや栄養分を含んで体中に運ぶ媒体であり、
血液を吸う生物にとっては、簡単に摂取できる栄養が豊富な食物だ。
吸血生物のなかで最もやっかいなのはハエやアブだ。
ウシアブやアブは大きくて頑丈な口吻をもち、噛まれると痛い。
しかしこれらは近づいてくるときのブーンという羽音で察知しやすく、また大群でくることもほとんどない。
ハエの場合、マラリアを媒介するカに抱くような恐怖感はないが、小さな怒りや苛立ちをまねくことが多い。
- 416 ::||‐ 〜 さん:2014/05/25(日) 08:04:36.99 ID:cjbOqbHr.net
-
例えばレジャーを楽しんでいるときに、ハエの大群によって中断させられるようなことだ。
ブユやヌカカのような吸血性の小さなハエのなかまは、
外にいる動物が屋内に逃げ込むほどの大群になるため、被害を免れることは難しい。
目や耳、鼻、口にも入ってくる。袖やズボンの裾、襟口からも侵入してくる。
困ったことに、彼らは一日中活発に活動するうえ、私たちが屋外レジャーを楽しむような場所ならどこにでもいるのだ。
人間にとって厄介なこの小さな吸血昆虫たちは、産卵のために必要な血液を得ようと
「大きくて黒っぽい色の二酸化炭素を出すもの」に寄っていく。
外で働いていたり、休暇中に自然の中で過ごしたりしている人間は、メスが求める条件にぴったりなのだ。
カナダやアメリカの一部ではこの吸血昆虫たちの活動期間を避けるために、
観光シーズンを最も気候がよい6月ではなく、7月半ばからとしているほどだ。
- 417 ::||‐ 〜 さん:2014/05/30(金) 23:45:45.18 ID:wfhIoiFB.net
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糸が紡ぐ逸品
カイコガ ( Bombyx mori )
生息地 中国原産、世界各地に広がっている
特徴 幼虫が紡ぐ絹糸は、世界で最も贅沢な繊維を生み出す
- 418 ::||‐ 〜 さん:2014/05/30(金) 23:49:22.29 ID:wfhIoiFB.net
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富と贅沢の代名詞である絹は、決して高貴には見えないカイコガの幼虫であるイモムシが生み出すものだ。
現代ではカイコガは完全に飼育下にあり、野生では全く見られない。
中国と日本を含む東アジアでは、産業規模で大量に飼育されているが、「絹糸」になるまでに投資される時間と労力と費用は並大抵のものではない。
メスの成虫はそれぞれ350〜500個の卵を産む。
そこからかえった小さな幼虫は蚕棚の上に並べられて、収穫したての新鮮なクワの葉を食べる。
およそ3週間ほど経つと、人間の中指くらいにまで大きくなり、自分たちがさなぎになるために入る繭を紡ぐ。
絹は複雑な物質であり、幼虫が吐き出すときには液体だが、空気に触れるとすぐに硬化する。
1本の絹糸の直径はおよそ30um ( 30/1000mm ) で、幼虫はこの絹糸を2〜3日かけておよそ2000mも紡ぎ、すっぽりと自分を包む。
絹糸の本体がある弾力性のあるタンパク質「フィブロイン」が、べたべたしたゼラチン質のタンパク質「セリシン」におおわれているため、
糸同士は接着されて繭となる。
- 419 ::||‐ 〜 さん:2014/05/30(金) 23:50:55.03 ID:wfhIoiFB.net
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いくつかの繭は次の世代のために残しておくか、あとは絹糸の生産のために使われる。
沸騰した湯に繭を2〜3分浸すとセリシンが溶け、繭がほどけてくる。
ほぐれた糸の先を機械に結びつけ、伸ばしながらより合わせることで絹糸となり、染色や紡職に使われる。
養蚕の起源ははっきりしないが、記録に残っている最古のものは、紀元前2600年頃の中国のものだ。
伝説によると、黄帝の妃、西陵氏が偶然にカイコガの繭を熱い茶に落としたところ、繭が広がり、光沢のある繊維が現れたという。
カイコガの食料であるマグワは中国原産の植物だ。
中国人は用心深く命がけでこの秘密を守り、2500年ものあいだ絹の生産を独占してきた。
しかし紀元前150年頃、インドにカイコガの卵がこっそり密輸され、そこからペルシャ、トルコへと伝わっていった。
現在では絹糸は世界中で生産されているが、中国、インド、ブラジルの上位3国が圧倒的な生産量を誇っている。
- 420 ::||‐ 〜 さん:2014/05/31(土) 09:02:54.04 ID:NJYoFLJN.net
- >>419
いつも不思議に思うんだけど
ほぐれた糸の先ってどうやって探すんだろう?
- 421 ::||‐ 〜 さん:2014/06/01(日) 06:31:03.33 ID:+sFVR11J.net
- 見たことないな
- 422 ::||‐ 〜 さん:2014/06/02(月) 22:15:03.01 ID:FVJ7UO6j.net
- https://www.youtube.com/watch?v=fE4pBO-NFBg
https://www.youtube.com/watch?v=ybmH7i8Bm_Q
糸紡ぎって神事だったりもするわけだけど、
綿菓子なんかも儀式の擬似伝承的な側面もあるのかもしれない。(めっちゃあやふや)
- 423 ::||‐ 〜 さん:2014/06/02(月) 22:17:52.19 ID:FVJ7UO6j.net
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傷口を治療する昆虫
ヒロズキンバエ ( Lucilia sericata )
生息地 世界各地
特徴 幼虫(ウジムシ)は、化膿し壊疽状態の傷口をきれいにする
- 424 ::||‐ 〜 さん:2014/06/02(月) 22:19:58.60 ID:FVJ7UO6j.net
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ウジムシと呼ばれる生物が、好感をもたれることは少ない。
食物にたかり、穀物を食い荒らし、基本的に汚物、糞、腐敗物、廃棄物と共に存在するからだ。
「ウジムシ」という呼び方は、柔らかくて脚のない幼虫全般をさし、いろいろな昆虫に使われるが、最も多くこう呼ばれるのはハエの幼虫だろう。
人間の肉体にたかるウジムシの逸話はたくさん残っている。
例えば戦場で傷を負った兵士が何日も放っておかれた場合、傷口が病原菌に感染し壊疽を起こすと、軽傷でも命取りになることがある。
しかしフランスの外科医、アンブロワーズ・パレは1557年、スペインとのサンカンタンの戦いで、ウジムシがたかった傷の快復が非常に速いことに気がついた。
ナポレオンのエジプト遠征、クリミア戦争、南北戦争のときにも同じような記録が残っている。
ウジムシは壊死したり感染したりした細胞組織を食べるようで、結果的に皮膚や筋肉を傷つけることなく治療させるのだ。
- 425 ::||‐ 〜 さん:2014/06/02(月) 22:22:03.53 ID:FVJ7UO6j.net
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残念なことにウジムシに対する嫌悪は強く根深かった。
微生物が発見され、病気や感染と細菌とのかかわりが明らかになると、ウジムシのような汚いものを傷につけるなどという行為は、医学的な考えに反するとされたのだ。
感染した傷口をウジムシできれいにするという考えは1920年代まで受け入れられず、ようやく認められたあとも、長続きはしなかった。
1940年代に抗生物質が開発され、ウジムシの出番はなくなってしまったからだ。
しかし今日、抗生物質に対する耐性をもつ細菌 ( 例えばMRSA:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 ) の登場で、
人類は治らない感染症や壊疽などの新たな危険にさらされている。そこでウジムシの再登場を請うこととなった。
壊死した傷口を治療するため、現在、不妊処理をしたヒロズキンバエの幼虫は、製薬会社をつうじて容易に手に入るようになった。
- 426 ::||‐ 〜 さん:2014/06/16(月) 09:40:32.47 ID:UMTDvSgm.net
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皮膚の治療を手伝う
カラフトキリギリス ( Decticus verrucivorus )
生息地 ヨーロッパ、アジア
特徴 イボを噛み切るために使われる
- 427 ::||‐ 〜 さん:2014/06/16(月) 09:41:05.34 ID:UMTDvSgm.net
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比較的大きな動物の多くは、人間による利用方法にちなんで名前をつけられている。
人間はその肉を食べたり、皮革や毛皮を商品に仕立てたり、ペットとして飼ったり、狩りの対象になったりするため、
「どのように有効か」がわかる名前をつけている。
それと対照的に昆虫の場合は「どのように迷惑か」という点が名前の由来であることが多い。
ウシアブはウシのウマバエはウマの血液を吸い苦しめる、キクイムシは木を食い荒らす、イガ ( 衣蛾 ) は衣類をだめにするなどだ。
またモンシロチョウの英名「キャベツの白」はアブラナ科の植物を荒らすことに由来する。
しかし人間にとって役に立ち、重宝がられている昆虫もわずかながらいる。
- 428 ::||‐ 〜 さん:2014/06/16(月) 09:42:10.37 ID:UMTDvSgm.net
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なかでも頭部が緑色で、翅に褐色の斑点がまじるカラフトキリギリスは、役立ち方がとても変わっている。
ふつうバッタのなかまは草食性で、短いが力強い大顎で植物を咀嚼する。
一方キリギリスのなかまは雑食性で、バッタを含めた小さな無脊椎動物も食べる。
カラフトキリギリスは大きさこそヨーロッパ最大のキリギリスではないが、しかしその力強い大顎は人間の皮膚を破ることができる。
この能力を利用して、真皮のかたい部分にあるイボやタコなど、できものを除去する治療に使われている。
カラフトキリギリスは、イギリス、ドイツ、デンマーク、オランダ、スウェーデンなどヨーロッパの各地域でそれぞれの国の言葉で「イボをかむ者」という意味の名前がつけられている。
また1758年に博物学者リンネがつけた学名の種小名である verruciorus は「イボを食べる」という意味だ。
初期の昆虫学者によるカラフトキリギリスの観察記録には「ドイツ人とスウェーデン人の農夫が、この昆虫の大顎を皮膚への施術に使用した」とある。
喜色満面の農夫が大きな昆虫をもって、指から血を流しながら「これはいいぞ!」と、叫ぶ場面が想像できる。
- 429 ::||‐ 〜 さん:2014/06/21(土) 14:48:46.26 ID:/MOsdumm.net
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絶滅寸前からの劇的回復
ロードハウナナフシ ( Dryococelus australis )
生息地 オーストラリアのニューサウスウェールズ州、ボールズ・ピラミッド島とメルボルン動物園
特徴 絶滅したと考えられたのち再び発見された。人工繁殖が成功し、再移入されるかもしれない。
- 430 ::||‐ 〜 さん:2014/06/21(土) 14:49:40.31 ID:/MOsdumm.net
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1788年、イギリス海軍の補給船が、ヘンリー・リッジバード・ボール大尉の指揮によりオーストラリアから太平洋のノーフォーク島へ向かっていた。
目的は島を流刑地として開拓するためだ。
その途中、オーストラリアから600km沖で小さな三日月型の無人島を発見した。
この島はのち「ロード・ハウ島」と名づけられる。
オーストラリアとニュージーランドの中間に位置する、この隔離された楽園には多くの不思議な生物が生息していた。
なかでも珍しいのは体長15cm、翅のないロードハウナナフシで、甲殻類のような風貌から「陸のロブスター」とも呼ばれていた。
その後まもなく、ブタやヤギが家畜としてロード・ハウ島に放牧され、近くを通りかかる船に食料として供されるようになった。
そして1834年、この島に人間が定住したことは、島本来の自然に深刻な悪影響をおよぼした。
例えば1918年には商船マカンボ号からネズミが逃げ出し、生態系に最悪の災難をもたらした。
そうして生態系が崩壊した結果、1930年までには何種類もの固有種の鳥と共に、ロードハウナナフシも絶滅したと考えられた。
- 431 ::||‐ 〜 さん:2014/06/21(土) 14:50:23.98 ID:/MOsdumm.net
-
2001年、生態学者のチームがロード・ハウ島の南西20kmの海上にあるボールズ・ピラミッド島に上陸した。
切り立った岩が急な崖となってそびえ立つ尖塔のような島だ。
チームの目的は、木の生えていない火山岩の斜面を調査することだったが、メラレウカという植物の茂みに驚くべき生物の姿を発見することになる。
長く絶滅したと考えられていたロードハウナナフシが、24匹隠れていたのだ。
生態学者はそのなかからオスとメスをそれぞれ2匹ずつ採集し、雌雄をペアにした1組は個人ブリーダーに託し、もう1組はメルボルン動物園にもち帰った。
飼育による繁殖計画は非常に順調、2008年には4世代目が生まれ、何組もの成虫のペアと何百個もの卵が孵化するときを待っている。
ロード・ハウ島のネズミ根絶計画もうまくいっており、「陸のロブスター」が故郷に再上陸する日も近い。
- 432 ::||‐ 〜 さん:2014/06/21(土) 16:10:32.07 ID:MNgu0CDc.net
- 今、自分はカラフトキリギリスを累代してるけどけっこう参考になる。
ヨーロッパ圏やドイツ南部に広く生息してるけど、日本ではまだ小清水原生花園付近でしか見つかってないんだよね。
しかも小清水原生花園では原則的に昆虫採集が禁止されてるから、採集する際は研究目的として環境省から許可を貰らう必要がある。
しかも産卵された卵は3年後〜4年後に孵化するから管理が非常に難しくて、国内で累代してる人は数人くらいのはず。
- 433 ::||‐ 〜 さん:2014/06/21(土) 17:48:34.80 ID:Onm3NnTg.net
- 単為生殖は結局出来ないのか?
- 434 ::||‐ 〜 さん:2014/06/22(日) 14:50:01.80 ID:6VHuC/xV.net
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死亡時刻を教えてくれる
ホホアカクロバエ ( Calliphora vicina )
生息地 北アメリカ、ヨーロッパ、アジア北部
特徴 死亡時刻がかなり正確にわかる
- 435 ::||‐ 〜 さん:2014/06/22(日) 14:51:25.75 ID:6VHuC/xV.net
-
殺人や不審な死に直面したとき、警察が最初に知りたいのは「誰が」でも「なぜ」でもなく、「いつ」という点だ。
この極めて重要な情報は、その後の捜査のすべての局面にかかわってくる。
死後数時間内であれば、硬直の程度や体温によって死亡時刻がわかるかもしれない。
しかし死体発見が数日後または数週間後だった場合、腐乱しつつある死体の死亡時刻を推測するには、ほかの指標に頼るしかない。
それを示唆してくれるのは、ある昆虫だ。
死体は貴重なタンパク源のため、非常に多くの昆虫が卵を産みつける。
死んだ直後にやってくるクロバエを筆頭に、腐敗が進むにつれて、さまざまな虫が集まってくる。
その幼虫を狙って甲虫もやってくる。
- 436 ::||‐ 〜 さん:2014/06/22(日) 14:52:03.52 ID:6VHuC/xV.net
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やがて数日のうちに死体は最近による腐敗から膨張が始まり、腐敗物を食べて育つ小さなハエたちがやってくる。
2〜3週間が経つと乾きつつある遺骸にシデムシが寄ってくる。
そして2〜3ヶ月が過ぎた頃には、遺骸は毛髪や骨だけになり、そこには何匹かのカツオブシムシしか残っていない。
死亡時刻を推定する手段として、一般的に用いられ、しばしば重要な指標となるのは、その遺骸で育ちつつあるホホアカクロバエだ。
その虫は死後2〜3時間以内の死体にやってきて、口、鼻、耳、目、皮膚の深い皺、そして傷口があればそこへも300個くらいの卵を産む。
産卵から24時間以内に卵はかえり、うまれた幼虫は食事のために体内へもぐり込む。
食べ進む速度は気温によって変わるが、通常は14〜25日くらいで成虫となる。
ホホアカクロバエの成長過程について、すでに詳しく分かっている。
たっぷりと食べた幼虫は十分に成長すると脱皮する。
この脱皮を3回繰り返してさなぎになり、やがて最終段階の成虫となる。
つまり死体にいる虫がどの成長過程にあるのか調べれば、卵が産みつけられたときを逆算できる。
死後どのくらい経過した死体なのか正確に推測できるというわけだ。
- 437 ::||‐ 〜 さん:2014/06/23(月) 18:24:25.29 ID:OPXJR0/B.net
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人間に寄生して大繁殖する
アタマジラミ ( Pediculus capitis )
生息地 世界各地
特徴 人間に寄生した昆虫で最も繁殖したとされる
- 438 ::||‐ 〜 さん:2014/06/23(月) 18:24:59.25 ID:OPXJR0/B.net
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人間の歴史においてアタマジラミは災難ともいえるものだった。
古代の遺跡には、アタマジラミそのものだけでなく、卵の抜け殻とそれを取り除くための櫛が残っていた。
しかしアタマジラミは多少不愉快ではあるが、健康を損なうものではないことを、我々は感謝しなくてはならない。
ほかのおおくの血液を吸う寄生虫のように、アタマジラミは病気を運んだりしないからだ。
アタマジラミは不衛生や社会的地位の低さ、不信心などによってうつるわけではないにもかかわらず、恥ずかしいものと考えるむきは多い。
実際のところアタマジラミは誰にでも寄生するのだ。事実、アタマジラミは不潔な頭よりも清潔な頭を好む。
洗っていない細い髪は、自然の油分が絡まって活動しにくいからだ。
- 439 ::||‐ 〜 さん:2014/06/23(月) 18:26:11.09 ID:OPXJR0/B.net
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アタマジラミが大繁殖した場合、貧血や失血が起こるのではないかと懸念する専門家もいた。
そこで2005年、アタマジラミがどのくらい血液を吸うのかが正確に調べられた。
オーストラリアの小学生の頭から摂取されたアタマジラミを、暖かくて湿気の多い条件のもと、6〜8時間飢えさせる。
何匹かまとめて体重を量り、次の科学者の手の上で15分間血液を吸わせ、また体重を量った。
その結果、吸った血液は極めて少ないことがわかった。また、ちくりと刺すような刺激も感じられなかった。
吸血量の調査の結果、メスの成虫は0.0001579ml、オスの成虫はたったの0.0000657mlだった。
最も多くのアタマジラミが繁殖した記録に、子ども1人の頭に2657匹というものがあり、これで計算すると1日に吸われた血液は0.7mlということになる。
アタマジラミは1日に3〜5回に分けて血を吸うと考えられているが、この程度の量でなければ、子供はとっくに貧血になっていただろう。
- 440 ::||‐ 〜 さん:2014/06/24(火) 14:51:32.21 ID:JD9dP3+s.net
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短期間の自然選択
オオシモフリエダシャク ( Biston betularia )
生息地 ヨーロッパ、北アメリカの産業都市
特徴 煤煙で黒くなった木の幹に溶け込めるよう進化した
- 441 ::||‐ 〜 さん:2014/06/24(火) 14:52:41.11 ID:JD9dP3+s.net
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自然選択による進化は非常に単純な論理の上に成り立つ。
同じ種であってもそれぞれ個体は少しずつ違い、その違いが生存と繁殖にとって有利に働けば、違いは子孫へと受け継がれていく。
そして何世代にもわたるうちに小さな違いが大きく強調され、外見が祖先からかけ離れてしまうこともある。
通常、自然界の進化は何千年、何百万年という長い時間をかけて行われる。
しかし1848〜1895年にかけて、進化がどのように起こるのかを知る手がかりとなる自然選択が、オオシモフリエダシャクで観察された。
本来オオシモフリエダシャクの体色は薄いクリーム色 ( 通常型 ) をしており、黒い斑点がたくさんある。
この色のおかげで、薄い色のコケがまだらにおおった木に完璧にカムフラージュできる。
- 442 ::||‐ 〜 さん:2014/06/24(火) 14:53:26.36 ID:JD9dP3+s.net
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ところが1848年、真っ黒な色相のオオシモフリエダシャクが、イギリスの新工業都市マンチェスターで発見された。
この色相は黒化型と名づけられた。
1895年までに、その地域のオオシモフリエダシャクのうち98%が黒色となり、正常型は姿を消してしまった。
同じような変化はほかの場所でも起こった。
1867年、オランダにも黒化型が現れ、1900年までにヨーロッパ北部の工業地帯に広がった。
また北アメリカに分布する北アメリカ亜種 Biston betularia cognataria の黒い色相 ( swettaria型 ) も、フィラデフィア郊外で1906年に発見され、
すぐにミシガン州やイリノイ州の工業都市に広がっていった。
- 443 ::||‐ 〜 さん:2014/06/24(火) 14:53:58.96 ID:JD9dP3+s.net
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変化の原因は、黒い色相であれば都市のすすけた木に溶け込めるからではないかと考えられている。
すすで黒く汚れた木にいるには薄い色の型では目立ちすぎ、鳥などの捕食者にすぐに食べられてしまうだろう。
1950年代にはさまざまな実験と調査が行われ、イギリスの昆虫学者バーナード・ケトルウェルがこの論理の証明に着手した。
彼はしるしをつけたオオシモフリエダシャクの両方の型 ( 黒い色と薄い色 ) を、すすで汚れた木とそうでない木にそれぞれ放した。
黒化型は汚れた木で生き残り、薄い色の正常型はそうでない木で生き残った。
その後公害防止のための法律ができ、イギリスからすすで汚れた木が減っていった。
それに伴い黒化型も減っていき、正常型は再び増えていった。
驚くほどの短期間で、まるで再進化したかのように、以前の姿への自然選択が行われたのだ。
- 444 ::||‐ 〜 さん:2014/06/25(水) 17:07:22.30 ID:9Ul7wwcl.net
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絶滅寸前
アメリカモンシデムシ ( Nicrophorus americanus )
生息地 アメリカ・アーカンソー州、マサチューセッツ州、ネブラスカ州、オクラホマ州、ロードアイランド、
そしてもしかするとサウスダコタ州
特徴 かつては広く分布していたが、現在その数が激減している
- 445 ::||‐ 〜 さん:2014/06/25(水) 17:08:07.61 ID:9Ul7wwcl.net
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人類は先史時代からさまざまな昆虫に悩まされてきたが、昆虫の多様さから考えると、迷惑な種類はじつはほんの少数だ。
ほとんどの昆虫は小さく、隠れているので見つけにくい。
調査のためにはそれを探し出さなくてはならないが、骨を折って詳しく調査した地域でも、我々の知らないことはまだまだ多い。
たった1種の昆虫を生活環を理解するためには、何年も何十年もかけて緻密な観察を行わなくてはならない。
自然を正確に理解するためには時間がかかり、そのあいだに人間による自然破壊が進んでしまう。
自然に関する新しい知識が得られたときには、その自然が破壊されてしまったあとである場合も多い。
アメリカモンシデムシも絶滅の危機に瀕している昆虫の一つだ。
小動物の死骸に卵を産むこの昆虫は、一時はアメリカ東部とカナダ東南部に広く分布していた。
しかしその数は1920年代に減少しはじめ、1960年まだにはそれまで生息していたアパラチア山脈 ( カナダからアメリカ東北部に位置する ) の東から、
ほぼ姿を消してしまった。
- 446 ::||‐ 〜 さん:2014/06/25(水) 17:45:32.05 ID:9Ul7wwcl.net
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現在では以前の生息域の端の方に点在する個体群に限られているが、
1つの個体群につき数百匹しかおらず、長期的に見て生き残っていくのは難しいだろう。
アメリカモンシデムシが絶滅の危機に追い込まれた主因は、都市の発展と農業の大規模な機械化による環境破壊だ。
アメリカモンシデムシが卵を産む死骸には、動物の種類も生息地も特に条件はない。
環境破壊によって生息域が狭められたうえに、スカンクやオポッサム、アライグマなど腐肉を好む動物の侵入によって、
アメリカモンシデムシが動物の死体を発見し、埋めて産卵する前に横取りされるようになったのだ。
アメリカモンシデムシが絶滅の危機に瀕するなどという事態を、誰が予想しただろうか。
事態の深刻さが判明したのは、ずっとあとになってからだ。
アメリカモンシデムシは比較的大きく ( 30mm ) 、体色も美しいが、所詮はただの虫にすぎない。
同じく危機に瀕しているマダガスカルのキツネザルのようにかわいいわけでもなければ、シベリアトラのように威風堂々としているわけでもない。
隠れている小さな昆虫を手間をかけてわざわざ見つけ出し、調査するのは難しく、手遅れになってしまう可能性が高い。
- 447 ::||‐ 〜 さん:2014/07/02(水) 14:42:48.98 ID:THQ7eBwd.net
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木造建築の最悪の敵
木材を食べる幼虫 ( シバンムシを含むさまざまな甲虫 )
生息地 世界各地
特徴 先史時代から木造建築物を破壊しつづけてきた
- 448 ::||‐ 〜 さん:2014/07/02(水) 14:43:41.76 ID:THQ7eBwd.net
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今から300万年前の石器時代は、石でできた遺物が発見されたことから、その名がついている。
しかしこの時代の人々は石の家に住んだり、石の椅子に座ったり、石の道を歩いていたわけではない。
今日の人類と同様、彼らも木を使っていただろう。
しかし木でつくられたものは残っていない。
すべて破壊され、朽ち果ててしまったからだ。
熱帯地方で木造建築を破壊する昆虫といえばシロアリが最も有名だが、世界にはシロアリが生息していない場所もある。
一方、木材食いの幼虫がいない場所はなく、その破壊行為から逃げることはできない。
木材を食べるずんぐりとした幼虫は、どんな木にもすみつき、いくつかの科にまたがっていても種類は多い。
よく知られているものはシバンムシ ( Anobiidae ) 、 キクイムシ ( Scolytidae ) 、 カミキリムシ ( Cerambycidae ) 、 ナガシンクイムシ ( Bostrychidae ) などで、いずれも甲虫だ。
- 449 ::||‐ 〜 さん:2014/07/02(水) 14:44:44.26 ID:THQ7eBwd.net
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人類が登場する前から、彼らはほかの昆虫と共に、木の幹に強度を与えているリグニンなどのセルロース繊維をリサイクルするという、重要な役割を担ってきた。
そして人類が、強くて柔軟な素材である木材を住宅や道具、家具、武器などに利用するようになると、彼らも木材と一緒に屋内に入り込み、森にいるときと同様に内側から木材をかじり続けた。
木材は有用な建築資材だが、現在においても過去においても、代表的な名建築のほとんどが頑丈な石でできているのは、偶然ではない。
石の建物はあらゆる攻撃に耐え、木材を食べるちっぽけな昆虫の相手ではない。
これらの虫は単に木造建築を破壊させるだけではない。
彼らは木の繊維でつくられた紙類も大好物なのだ。
フルホンシバンムシや、甲虫ではないがシミも、印刷物や彩色された原稿、パピルス、樹皮の巻物を食べる。
そのせいで貴重な美術作品や記録された知識、英知までもが失われてしまうのだ。
- 450 ::||‐ 〜 さん:2014/07/10(木) 22:16:14.27 ID:bsfTrRDs.net
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最も多様性に富むグループ
甲虫目 ( Coleoptera )
生息地 海岸沿いから山頂まで、北極と南極を除く世界各地
特徴 動物すべてを含めて最も多くの種が属する目
- 451 ::||‐ 〜 さん:2014/07/10(木) 22:16:55.70 ID:bsfTrRDs.net
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イギリスの科学者 J・B・S・ホールデン ( 1892〜1964 ) は、
ある聖職者から「神が創造されたものを研究することにより、神の御心のなかには何があったかを推測できるか?」と尋ねられた。
それに対するホールデンの答えは「甲虫に対する過度な選り好み」だったとされている。
20世紀末までは、世界中の博物館や個人のコレクションを調べることで、昆虫の種の数を推測していた。
リンネの命名法が採用された1758年以降、昆虫学の論文には、種の記載に用いた標本について、保管先まで特定できる詳細な情報が記されるようになった。
論文を読み、保管してある標本を調べれば、種類数の推測ができる。
1980年代、すべての動物を合わせると地球上にはおよそ120万種がいると考えられるようになり、そのうち100万種は昆虫であり、
100万種のうち40万種はかたい前翅をもつ甲虫だとされた。
ここ30年間、昆虫学者が熱帯雨林を詳細に調査してきた結果、種の数は劇的に増加した。
調査の方法はきわめて単純で、殺虫剤をロープで木々の上に引っ張り上げて噴射すると、下に広げた採集シートの上に未知の昆虫が落ちてくる仕組みだ。
- 452 ::||‐ 〜 さん:2014/07/10(木) 22:22:03.15 ID:bsfTrRDs.net
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その後の理論づけはもう少し複雑だ。
さまざまな植物を食べる虫はいるものの、ほとんどは一種類の葉、もしくは同じなかまの葉しか食べない。
そこで殺虫剤の噴射により発見できた新種の数に、植物や木の種についての知識を加えて、昆虫全体でどれだけの種がいるかを推測している。
これらのデータからある科学者は、「昆虫はおよそ3000万種がおり、うち1200万種が甲虫である」と推測している。
しかしほかの科学者はまた違う結果を算出し、「300万〜8500万種の昆虫がいて、100万〜3000万種を甲虫が占める」と推測地の範囲は広い。
正確な数値はわからないにせよ、重大な懸念は、このうちの多くの甲虫が発見される前に絶滅してしまうのではないかということだ。
- 453 ::||‐ 〜 さん:2014/08/08(金) 21:34:58.44 ID:0bCxYTxG.net
- 甲虫かよ
- 454 ::||‐ 〜 さん:2014/08/13(水) 19:46:04.09 ID:bWVD88et.net
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世界でいちばん珍しい
オウサマゲンゴロウ ( Megadytes ducalis ) ほか多数
生息地 ブラジル
特徴 1体の標本があるのみで、それ以外に見つかっていない
- 455 ::||‐ 〜 さん:2014/08/13(水) 19:47:52.67 ID:bWVD88et.net
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1882年、イギリスの著名な昆虫学者デイビッド・シャープ ( 1840 〜 1922 ) が、当時知られていた世界の水生昆虫について膨大な研究論文を発表した。
そのなかで詳述されていた数種類の新種の一つを彼は、オウサマゲンゴロウ Megadytes ducalis と名付けた。
体長50mm、横幅は30mmもあり、発見されたなかでは最大の水生昆虫だった。
この種について、ラテン語と英語の両方で書かれた200語ほどの簡潔な原記載には、原産地 ( ブラジル ) と採集者の名前 ( サンダース ) が明記してある。
さらに「この種に関しては1匹の個体しか見ていない」とある。
その1匹は今、ロンドンの自然史博物館に唯一の標本として保存されている。
このオウサマゲンゴロウを世界でいちばん珍しい虫としていいのだろうか?
- 456 ::||‐ 〜 さん:2014/08/13(水) 19:50:58.08 ID:bWVD88et.net
-
例えば昆虫が100万種類いるとして、そのうち大多数は生息地に行くのも探すのも難しい。
従ってそれらの昆虫について知るには、博物館や研究所に保存されている標本を通して研究するのが普通だ。
現在保存されている標本は、過去300年にわたって少しずつ集められたものであり、シャープのような専門家が時間があるときに研究史、同定し、分類する。
新種に関しても同じ過程を経て書物などで発表されるが、そこにはシャープが記したような「唯一の個体の標本である」というコメントが付くこともよくある。
なかでもオウサマゲンゴロウは最も珍しい昆虫として取り上げるのにふさわしいだろう。
この標本につけてあるラベルにはシャープが論文に書いたものと同様、わずかながら原産地についての情報が書いてある。
原産地ブラジルは850万平方kmという世界で5番目に広い国土をもつ。
そして淡水系で世界最大の河川面積を誇るアマゾン河が流れている。
世界で唯一の標本となったオウサマゲンゴロウは、その河に浮かぶ丸木舟の底で発見された。
どうすれば再びこの昆虫を発見することができるのだろうか?
我々にできるのは、再び現れてくれるのをただ待つことだけだ。
しばらく、あるいは永遠に待たなければならないだろう。なぜなら1994年、オウサマゲンゴロウは絶滅したと宣言されたからだ。
- 457 :1:2014/08/13(水) 19:52:06.30 ID:bWVD88et.net
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これで終了です。
私が書いた本ではないんですけど、読んでくれた人はどうも。
- 458 ::||‐ 〜 さん:2014/08/15(金) 17:04:38.61 ID:uDrSNScf.net
- 面白かった
- 459 ::||‐ 〜 さん:2014/08/15(金) 18:59:24.48 ID:X5FnUdWg.net
- 色々勉強になった
ありがとう!
- 460 ::||‐ 〜 さん:2014/08/23(土) 04:02:23.73 ID:24u2c7Ru.net
- ぜんぶ読んだよ。
おもしろかった。
- 461 ::||‐ 〜 さん:2015/04/02(木) 05:15:41.93 ID:cjqIbzYm.net
- 読み返す
- 462 ::||‐ 〜 さん:2015/08/16(日) 19:19:31.38 ID:mIjEmeMe.net
- 上げ
- 463 ::||‐ 〜 さん:2015/08/23(日) 20:51:26.10 ID:I65wRTIa.net
- キョジンカマキリ輸入してくれ
- 464 ::||‐ 〜 さん:2017/04/13(木) 01:38:55.44 ID:ooGGKS2w.net
- age
- 465 ::||‐ 〜 さん:2017/05/17(水) 01:45:37.40 ID:J8fY+fuQ.net
- ___ _
ヽo,´-'─ 、 ♪
r, "~~~~"ヽ
i. ,'ノレノレ!レ〉 ☆ 衆参の両院のそれぞれで、改憲議員が3分の2を超えております。☆
__ '!从.゚ ヮ゚ノル 総務省の、『憲法改正国民投票法』、でググって見てください。
ゝン〈(つY_i(つ いよいよ日本国憲法改正の、国民投票が実施されます。お願い致します。☆
`,.く,§_,_,ゝ,
~i_ンイノ
- 466 ::||‐ 〜 さん:2017/11/25(土) 09:21:00.35 ID:JevWwIZI.net
- おいリチャード
- 467 ::||‐ 〜 さん:2018/02/07(水) 02:02:58.17 ID:Gfq92wrZ.net
- ジョーンズの
- 468 ::||‐ 〜 さん:2018/02/20(火) 20:34:28.22 ID:p7kAtdic.net
- てす
- 469 ::||‐ 〜 さん:2018/05/14(月) 21:23:45.64 ID:R0V1kP9W.net
- ☆ 日本人の婚姻数と出生数を増やしましょう。そのためには、公的年金と生活保護
を段階的に廃止して、満18歳以上の日本人全員に支給する、『ベーシックインカム』
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- 470 ::||‐ 〜 さん:2019/11/03(日) 05:34:26.03 ID:bezx7/bW.net
- まだ寒くない
- 471 ::||‐ 〜 さん:2020/01/25(土) 13:18:14 ID:uwicChup.net
- Sir Richard Starkey
- 472 ::||‐ 〜 さん:2023/06/06(火) 15:52:17.65 ID:8tzErlJ4.net
- グリグリ(=▼ェ▼)o-*~)=TдT=)ニャァアアアア!!
- 473 ::||‐ 〜 さん:2023/10/09(月) 09:10:00.92 ID:53G69SQo.net
- 俺くらいのマヨラーになると、マヨネーズなしでご飯が食える
- 474 ::||‐ 〜 さん:2023/12/07(木) 06:04:53.41 ID:ehzfcoPMk
- 議員報酬という名目で国民から毎年2000万以上もの金銭強奪してる上に政党交付金でウハウハの山口那津男のデタラメさは常軌を逸してるな
どんだけ隠し子いるのか知らんか゛こいつのような高所得者に児童手当くれてやれは゛何か分断が回避できるだの何言ってんか全く意味不明だろ
そもそも富裕層ってのは最低でも都心まで数珠つなぎて゛鉄道の30倍以上もの莫大な温室効果ガスまき散らして騒音まみれにして孑の学習環境に
知的産業にと壊滅させて気候変動、災害連発させて住民の生命と財産を強奪することで私腹を肥やしてる世界最悪の殺人テロ組織公明党
強盗殺人の首魁蓄財3億円超の斎藤鉄夫以上の資産を持ってるやつをいうわけだが歴史的ハ゛カの黒田東彦に金刷らせて株買わせて
資本家階級の資産倍増させて1兆円を超える圧倒的資産格差形成させて円安誘導してマッチポンプ丸出しで大衆を不幸に陥れて
労働者階級が子を産む行為を遺棄罪に等しくしておいて相続税のソの字も言わす゛に追い銭倍増とかどんだけ社会を分断させて
俺も俺もと強盗殺人を流行らせたら気が済むんだろうな
(羽田)ttPs://www.call4.jΡ/info.php?tурe〓iΤems&id=I0000062 , ТΤps://haneda-projecТ.jimdofrеe.Com/
(成田)tTps://n-souonhigaisosyoudan.amebaownd.com/
(テロ組織)tTps://i.imgur.Com/hnli1ga.jΡeg
- 475 ::||‐ 〜 さん:2024/04/29(月) 17:24:41.11 ID:wf/4f82S.net
- 世界一あげ
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