■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
『罪と罰』 新編 ごちうさ訳
- 1 :学生さんは名前がない:2015/05/18(月) 14:27:04.01 ID:UGauZf3l0.net
- シャロ「お金が足りないっ・・・今日ももやし炒めだわ」
- 2 :学生さんは名前がない:2015/05/18(月) 15:16:00.36 ID:UGauZf3l0.net
- 今日も貧困に喘ぐ桐間紗路は、友人たちとの外食も断り、
一人カビの生えた部屋で内職に苦しんでいた
この整然と区画された都市ストラスブルグの中では、
今日も様々な貧困や格差、窃盗や殺人、売春が横行していた
彼女の心は、唯一の居場所であるバイト先のフルール・ド・ラパンだ
メイドの制服を着て接客をしている時だけが彼女の心の支えだった
親友の千夜が訪れた時はその友情が切られることを恐れ、
なけなしの金でおごり、作り笑いで貧乏から来る対立を回避することに必死だった
しかし、紗路は先月に続き、今月も月経のない自分の体に抗い難い不安を抱いていた
貧乏を隠し自分への恥を抱きつつ生きてきて、
これまでは多少の風邪や怪我では病院を受診しなかった
だが千夜に顔色の悪さを指摘されると、病気の不安で夜も眠れなくなった
彼女の心の支えは憧れのリぜ先輩だった
容姿端麗でかっこ良くて強くて優しく裕福、薄幸の少女が夢見る全ての要素が詰まっていた
彼女は空腹と不安で眠れない夜は、
彼女のくれた銃のレプリカを自分の足の間に挟みこすりつけて満たされない想いを解消していた
シャロ「このままじゃ私・・・空腹で死んじゃいそう・・・」涙が頬をこぼれた
- 3 :学生さんは名前がない:2015/05/18(月) 15:36:52.11 ID:UGauZf3l0.net
- 翌日、シャロは玄関先で一通の書留速達郵便を手渡された
この大変な時になによ、そう思って封を切った瞬間、彼女は絶句した
「桐間紗路 様
ストラスブルグ高校 除籍処分決定のお知らせ」
何度も反芻して読み返したが、
書類の中央に大きく書かれた文字は揺らぐことはなかった
全身が震える、涙が止まらない、どうして?
彼女はすぐに郵便ポストにたまった通知の束を回収し、封を開け、乱読した
週6のバイトと学業と友人付き合いでボロ雑巾のような生活で、
高校から送られてきた、幾度に渡る授業料催促通知を見る暇もなかった
しかしながら、たとえ催促通知に気づいていても、彼女には授業料を払う余裕もなく、
彼女の母親が振込を止めた結果の、ある意味当然の処置であった
授業料免除を申請することができただろうが、書類を集めることは難しかった
書類自体にも費用を必要とするからだ
彼女は床に置いた郵便の束をくちゃくちゃに破いて踏みつけた
顔は涙と鼻水と汗でぐちゃぐちゃだった、途中で何度か叫んだ、
そして疲れたら紙切れの散乱した床に女の子座りし、枯れるまで泣いた
- 4 :学生さんは名前がない:2015/05/18(月) 18:19:52.25 ID:MYdL9JOW0.net
- いいね
- 5 :学生さんは名前がない:2015/05/19(火) 20:33:17.19 ID:t0ZhJCwR0.net
- 翌日、彼女の退学はまたたく間に学校に知れ渡り、
放課後になるとココアチノ千夜そしてリゼが彼女の元に訪れた
始めは声すら聞こえず、寝ているのかと思っていた4人だったが、
かすかな嗚咽と部屋の足音で退学少女が生きていることを確認すると、
すぐさまドアを執拗にノックした千夜、声を張り上げた
ドアを開けると、書類が散乱した薄暗い部屋からパジャマ姿で打ちひしがれたシャロ
目は腫れぼったく、髪はボサボサ、パジャマは訪問した誰もがその異常さを感じ取れた
「大丈夫?!シャロちゃん!」ココアが張り詰めた沈黙を甘ったるい声でかき消した
しかし今にも泣き出しそうな中卒は憤りと優しさの狭間で俯きぐっと唇を噛んだ
「シャロちゃん!!」いたたまれなくなった親友の千夜が彼女を抱擁する
「ごめんね、ごめんね、シャロちゃん・・・」
「千夜は悪くないのよ、千夜は・・・」
「シャロちゃん、どうして・・・」
「どうしようもなかった・・・もうおしまいよ!」涙がとめどなく流れ、パジャマにしみを作る
「そんなことない・・・ないわ・・・」もらい泣きする千夜
「ないってどういうことよ・・・」
「こんなの・・・嘘・・・」
「・・・ほら、これよ・・・」涙の染み込んだ紙を手渡すシャロ
「ああっ・・・」顔色が真っ青になる千夜、そして他の3人も確認する、
皆一様に悲しい表情をする、同情のもらい泣きをする
しかし、シャロは理解していた
彼女たちはたとえどんなに勉強しなくとも、成績が悪くとも、
親から受けている豊かな教育資金によって、
高校退学の可能性など考えたことすらない人間たちだ
つまり、自分とは完全に違う人生を送る人々が、
上から貧者の私を哀れんでいるだけだということを知っていた
憧れていたリゼ先輩ですら、本当は私の気持ちなど理解できるはずがない
そう思うと、彼女が大豪邸住まいのお嬢様であることに憤りを感じた
- 6 :学生さんは名前がない:2015/05/19(火) 21:08:09.59 ID:t0ZhJCwR0.net
- 特待生として入学できたはずの私が、どうしてこんな勉強もできない人に同情されるのか
桐間紗路はその夜、湿気のこもった布団の中でふと今後の身の振り方を考えていた
中卒なんてろくな仕事はない、それぐらいは知っていた、だけど現実は非情だ
勉強はできたから、バイトしてお金貯めて、通信制高校か、大検を受けて見ようかな、
だけどこの不景気の中、高卒程度の人間など腐るほどいる、再び頭をもたげる
大学、彼女の頭に浮かんだ魅力的な二文字、でも大学授業料は高校の比ではない
彼女は自分の運命を呪い始めた、どこまで堕ちていくのか、助けてくれる親戚は?
その時、こんな夜遅くに唐突に家のドアがノックされる、誰か居る、
借金取りか何かだと勘違いし、恐怖で震え上がるシャロ
「お〜い、私だ!リゼだ!開けてくれ!」
・・・なんだ、又来たのか、冷たい言葉がシャロの心に浮かぶ
「ど、どうしたんですか?リぜ先輩」
「実はな・・・」
リゼは自分の手提げ鞄からはち切れそうな茶封筒を取り出した
「あっ、ああっ!」
思わず体が震えだすシャロ、目は見開かれ、顔の筋肉が強張る
「あのなシャロ、聞いてく・・・」
「わ、分かりました!聞きます聞きます!」
リゼの手を握りしめるシャロ、リゼは一度茶封筒を脇に置き、
印鑑の必要な書類を彼女の前に差し出した
「な、なんですか、この紙?」
「これは借用証だ」
「しゃ、しゃくようしょう?」
「そうだ」
「どうして・・・?」
「どうしてって、シャロのためを思ってだ」
「だ、誰のお金なんですか?」
「一応私のポケットマネーだ、気にするな」茶封筒を見た感じ100万はあるけど・・・
「あ、あの、いつまでに?」
「そうだな、お前が高校卒業するまでかな」・・・神よ、ありがとう
- 7 :学生さんは名前がない:2015/05/19(火) 22:27:03.54 ID:t0ZhJCwR0.net
- それから月日は流れ、復学は困難だったため大検を受験し、
見事、地方国立大学に現役合格したシャロ
桜の舞う季節の活気とともに、孤独な受験生活を続けた結果人恋しくなり、
すっかり疎遠になってしまったラビットハウスや甘兎庵の友達に会う予定を立てた
石畳と木組みの歴史ある家々が立ち並ぶこのストラスブルグの大学で、
大学生活を送れる、優雅な風景と過去の絶望を対比させて、一人感傷に浸るシャロ
「久しぶり!元気だったかしら?」和服姿の美少女が背後からそっと肩に触れる
「もう!びっくりさせないでよ!」久しぶりの再会で舞い上がる二人
「あっ、千夜ちゃん!シャロちゃん!」ココアとチノがこちらに走ってくる
待ち合わせ場所は街を流れる運河と草木に彩られた日の当たるカフェテラスだった
全員集合した所で、各々好きなポーズで記念撮影会をして、親睦を深め、席についた
大学名は明かさずとも、皆それぞれ現役合格したらしく、皆表情は晴れ晴れとしていた
「シャロちゃんはどこの大学にいくの?」満面の笑みでココアが口走る
「えっと、ストラスブルグ大学よ」
「すごーい!」一同褒め称える
「住む所はもう決まったの?」千夜が聞く
「ええ、大学からすぐ近くの学生マンションよ」
「バイトはしたりするんですか?」チノがつぶやく
「またフルール・ド・ラパンだわ」
「そうか、それは良かった、ところで」
リゼがこちらをいつになく真剣な表情で見つめている
一瞬たじろぐシャロだったが、この陽気な空の下で何も考えていなかった
「これ、渡しとくな、明日までに頼むぞ」借用証だ、忘れてた、顔色が変わる
誰もこの日、昔のシャロについて騙りはしなかった
もはや別々の道を歩んだのだ、あの日から
だけど、ここになって現実が彼女に突きつけたものは大きすぎた
その晩、シャロはある思想を抱いた
『貧困の中から天才が生まれるのならば、その天才は凡人をなきものにしても、
人類に革新的発見をもたらすならば、その殺人は正当化され得るのではないか』、と
- 8 :学生さんは名前がない:2015/05/19(火) 23:25:25.30 ID:ynLyTylB0.net
- クオリティ高すぎワロタ。ちゃんと見てるぜ
- 9 :学生さんは名前がない:2015/05/20(水) 06:40:18.82 ID:KgJUOhXm0.net
- くっさ
VIPとか他でやれ
- 10 :学生さんは名前がない:2015/05/20(水) 07:34:20.70 ID:Y37O2Amq0.net
- うっせえよ
- 11 :学生さんは名前がない:2015/05/20(水) 07:34:40.04 ID:X31dGP2f0.net
- >>9
嫌ならみんな
- 12 :学生さんは名前がない:2015/05/20(水) 08:17:23.17 ID:WrOjlGPn0.net
- まーたクソガキゆとりが紛れ込んできたのか
- 13 :学生さんは名前がない:2015/05/20(水) 08:28:18.48 ID:sWV3EEev0.net
- シャロちゃん妊娠したかと思った
- 14 :学生さんは名前がない:2015/05/20(水) 21:07:20.43 ID:QKqnGtOv0.net
- 続きまだ?
- 15 :学生さんは名前がない:2015/05/20(水) 23:27:41.26 ID:fRQU5wnZ0.net
- シャロを捉えたこの思想は、またたく間に自分の悲劇的状況を正当化してくれるものであった
彼女は翌日には現金受け渡しの場所となった、彼女の六畳一間のアパートで、
高校退学から大学合格までの苦悩の日々を振り返り、理想の未来を思い描いていた
それがあの先輩のせいで、再び破壊されようとしている
ここで借金を返さなければ、法的効力を持つあの書類によって財産差し押さえは確実で、
何よりシャロを動揺させたのは、先輩との縁が切れ、
今度会う時は家庭裁判所の法廷でということになりかねない点であった
そうしたら今度こそ自分の人生を救ってくれる人はもうどこにもいなくなる、
私は血の滲むような努力で掴んだ大学合格を蹴るか、大金を手に入れるしかなくなる
フルール・ド・ラパンでの稼ぎでは、ましてや学業との両立では、到底大学授業料は払えない
この時、彼女の脳裏に浮かんだのは、女として生まれた事を武器として、
その尊厳と引きかえに大金をつかめる夜の仕事だった
まだ男性経験のないシャロにとっては、あまりにも未知な領域、
それゆえにその代償を理解することもなく、己の倫理観と葛藤を繰り返していた
しかし、シャロにはもう一つ同時に心の奥に隠し持っていた感情があった
それは、これまでの人生で一度も金に苦悩せず親の金を自分の金と勘違いし、
金貸しまでして、自分はなんの苦労することもなく偽善者ぶることのできたリゼへの憎しみだった
シャロの人生を救ってくれたのも、結局彼女に対しての面倒見のいい先輩アピールのためで、
自分が汗水垂らして稼いだお金ではなく、つまり何ら自分の手を汚さずに手に入れた金で、
シャロの人生の救世主であるかのような振る舞いをしていられる、
それもろくに勉強もせず、ミリタリーマニアという限りなく痛い人間に手を差し伸べられる、
そんな自分の矮小さ、卑屈さに限りない苛立ちを覚えていたのだ
『もし私が、非凡人だとしたら・・・あらゆる法を乗り越える権利があるのではないか』
シャロは夜中を利用して、部屋にあらゆる小細工を施した
全ては翌日、リゼが自宅訪問した際に、全てを終わらせるためのものだ
精神科に通院していた頃の睡眠薬も、薪を切るためのナタやノコギリも、窒素系農薬も準備できていた
- 16 :学生さんは名前がない:2015/05/20(水) 23:30:49.01 ID:d2nzHva10.net
- ストラスブルグってなんて中途半端な表記
- 17 :学生さんは名前がない:2015/05/21(木) 00:17:50.97 ID:f6zV04DU0.net
- 深夜3時頃だろうか、壁一面に防音用のダンボールを敷き詰め、
勉強は得意だったせいか、有機リン酸系農薬を致死量配合した容器を戸棚に忍ばせ、
そして現代では珍しい不透明の黒ポリ袋や大量のガムテープを用意した
桐間紗路はアリバイ作りも用意周到だった
たとえ大金が絡む話であれ、きちんと授受が行われたことを証明するための第三者を要求したのだ
彼女の知古である千夜も招待したのはそこに理由があった
最も、リゼを処理した後、彼女にはそれを知られることなく帰宅させる手はずは整っていた
彼女がトイレにでも行った瞬間が狙い目だった、その後しばらくトイレに監禁すればいい、睡眠薬もある
翌日の朝を迎えた、家の中を歩きまわり、自分の計画の異常性について怯える
しかしここで破滅する訳にはいかないのだ、賽は投げられた、自分は生きる権利がある
絶望の昨日が、至高の今日、理想の大学生活につながる未来、絶対に失敗できない
シャロはもう一度手はずを確認し、服のポケットに忍ばせた睡眠薬を取り出した
「これはリゼ、そしてこっちが千夜の分・・・」さながら薬屋である
その時、玄関のチャイムが鳴り響く、試合開始の合図だ、
シャロは覗き穴から訪問者が指定の二人であることを確かめた
「おーい、シャロ!」ドアを叩く音、借金の取り立てよりは生ぬるい雰囲気だ
「シャロちゃ〜ん?起きてるかしら?」千夜の声だ、ここに来て冷や汗が止まらない
「はーい」念のためドアロックごしにもう一度二人を確認する
「どうした?ロックを外してくれないか?」
「シャロちゃんったら、何をそんなに怖がっているの?」
「私が怖いか?それとも単に寝ぼけてただけか?」
「シャロちゃーん、暑いから早く中に入れてー」千夜が着物の裾をあおぐ
「私の家のエアコンが壊れてるって知ってて言ってるでしょー!」また、からかわれてる
「わかったわよ!」ドアを一旦閉め、ロックを外す、二人が靴を脱ぐ、
茶の間にはすでに三人分のスコーンや焼き菓子、コーヒー紅茶を用意していた、
カビ臭い部屋ながらも、朝の日差しを浴びた食卓に、
シャロお気に入りのマグカップを並べた空間はそれを見る者に安らぎをもたらした
「すごーい!全部シャロちゃんが作ったの?」ほのかに温かいスコーンを指さしてはしゃぐ千夜
「そうよ、温かい内に食べてね!」化学薬品入りの小麦粉の味が口に合えばいいのだけれど
- 18 :学生さんは名前がない:2015/05/21(木) 00:59:41.83 ID:0H/0VqmR0.net
- 頭いいんだろうなぁ
- 19 :学生さんは名前がない:2015/05/25(月) 15:34:33.22 ID:yKadZBkA0.net
- いつまでも待つ
- 20 :学生さんは名前がない:2015/05/25(月) 15:49:09.27 ID:g3kTGfN/0.net
- ロシア文学専攻かなんか?
- 21 :学生さんは名前がない:2015/05/25(月) 15:49:42.80 ID:bV9BvhXE0.net
- 露文専攻って文系の中でもかなり頭いい大学にしか無いよね
- 22 :学生さんは名前がない:2015/05/30(土) 13:37:56.31 ID:mKE413Bk0.net
- https://rinscribble.files.wordpress.com/2014/11/188ea7d3a26b564828ccc461aa26f3dd1.jpg
- 23 :学生さんは名前がない:2015/05/30(土) 17:33:03.24 ID:+2NbGzj80.net
- ごちうさスレ落ちてるからここでいいの?
- 24 :学生さんは名前がない:2015/05/30(土) 22:13:55.84 ID:mKE413Bk0.net
- http://img.gifmagazine.net/gifmagazine/images/71500/original.gif
- 25 :学生さんは名前がない:2015/05/31(日) 00:51:56.96 ID:ImuqD95t0.net
- すぐに薬は効いた、完璧だ、思わず笑みがこぼれる、
ティーカップの並ぶ小さなテーブルの周りにすやすや横たわるお嬢様と和服姿の友達
シャロはすぐに金持ちの体を執拗にさわり、武器の類を全て回収した、
その中に拳銃やスタンガン、ナイフがあった、どこまでミリオタなのか、失望、しかし僥倖
すぐに武器を回収し、用意した縄でリゼの両手両足を丹念に縛り、口に猿轡をはめた
もちろん、この軍オタから回収したのは武器だけじゃなかった、ポーチの中には財布にカード入れ、
数百人の諭吉に引き出し限度額のない黒いカード、
高級ブティックやレストランの優待カードに数々の株主優待券に空欄の小切手、世界が違った
シャロは額の汗を拭って、これらを家の小物いれの中に回収した、これでもう借金取りは用無しだ
借金持ちから一瞬にして成金となる瞬間、シャロは半泣きでリゼの財布を握りしめていた
次に彼女が考えなければならなかったのは、最も楽に死体を作る方法・・・その答えは溺死だった、
貧乏ながらもバス付きだった賃貸、水はもう満たしている、シャロは拘束した先輩を引きずり風呂場まで運び、
バスユニットにもたれ掛かるように押し付けると、リゼの頭頸部から一気に水風呂の中に投げ込んだ
拘束されたリゼは普通に着衣姿であり、猿轡で口が開けられている以外はなんら普通と変わりない姿だった
これはもし意識が戻っても容易に風呂から上がってこれないようにするためであり、
体温低下をより長引かせて、心臓発作や窒息まで水に沈めるためであった、ここでも優等生は抜かりなかった
さらに、例え完全に死亡せずとも、窒息のせいで脳障害が生じもうまともに社会生活も送れない障害者となる、
シャロはいけ好かない金貸しを水風呂に沈め窒息するまでを見届けられる快楽で発狂寸前だった
「ついに来た・・・この時が!」水が肺の中に入りさえすれば呼吸は難しい、目覚めてももうおしまいだ、
シャロは水に溺れた死体候補を写メり今後の人生の心の支えにするとともに、風呂のフタを閉めた、そして風呂場を密閉した
その後数十秒して、声にならない声とバスユニットに何かがぶつかる猛烈な衝突音が響き、約十分後、音が消えた
シャロは震える手を抑えそっと風呂のふたをめくる、白目を剥いた少女の亡骸が水に沈んでいた
その表情は険しく、首は不思議な方向に折れ曲がっており、おそらく水の中で暴れすぎて頚椎が骨折したのだろう
金は大切な時には全くの無力である、シャロはこの矛盾を噛み締めながら、それでも風呂場にぺたりと座り、暫く涙した
自分はこの社会全体から一線を踏み越えた存在になった、その恐れ、動揺が急にシャロの心に降り注ぎ、瞳は潤む
「ついにやってしまったわ・・・」しかし後悔している時間はなかった、
シャロはすぐに立ち上がり、死体をビニール袋の中に詰め封をした
- 26 :学生さんは名前がない:2015/05/31(日) 01:22:15.54 ID:ImuqD95t0.net
- その時、風呂場の外から言葉が聞こえた
「お風呂にいるのかしら?シャロちゃん?リゼちゃん?」
心臓が止まりそうだった、忘れてた、時間を確認する、
もう二人が眠ってから1時間は経過していた、ああ、大変だ、気絶しそうになるが無言を貫くシャロ
「シャロちゃん〜?いるの〜?」物音に気づいたのだろうか
「ちょっと待ってて〜」声のトーンはいつもどおりだ
「あっ!どうしてお風呂にいるの?」
「お願い、すぐ行くから茶の間で待ってて〜!」忙しそうな声で懇願する
「わかったわ、リゼちゃんもいるの?」
「ええ!だから待っててよっ!」声が上ずる、思わず吐きそうになった
足音を確認する、大丈夫だ、シャロは物音を立てないように細心の注意を払いながら、
水の中に再び死体を戻し、風呂のふたを閉めて、風呂場の換気扇を回した
次に風呂場のドアをそっと開け、カゴに置いてあった服を取り出し、汗と涙が染み込んだ服を脱ぎ、着替えた
「大丈夫・・・予定どおりやればいいのよ・・・」自分を励まし、洗面台から出るシャロ
「あれ?リゼちゃんは?」開口一番、茶の間に戻ったシャロに問いただす千夜
「実はさっき帰ったのよ」
「え?一緒にお風呂に入ってたんじゃなくて?」
「そうよ、さっきは言葉のあやでそう言っただけ」
「シャロちゃん・・・汗かいてる?」シャロの顔を覗き込む
「お風呂に入ったばかりよ、暑いに決まってるじゃない」唇が少し震える
「そう、大丈夫?で、リゼちゃんは・・・」
「帰ったわ、もうお金も渡したのよ」
「そうなの?私、少し寝ていたみたいだから・・・それは悪いことをしたわ」
「え?」
「だってシャロちゃん、私に見てて欲しかったんでしょう?」
「しょうがないわよ、気持ちよく寝てるのに起こすわけにはいかないじゃない」
「別に起こしてくれても良かったのよ?」
「大丈夫よ、リゼ先輩も満足して帰っていったわ、千夜によろしくって・・・」
「じゃあ、一応メールしてもいいかな?」一気に戦慄が走る、汗が止まらないシャロ
- 27 :学生さんは名前がない:2015/05/31(日) 02:04:54.96 ID:ImuqD95t0.net
- 「わ、私からメールしておくから大丈夫よ!」千夜の手を抑えるシャロ
「そう?シャロちゃんがそれでいいならいいけど・・・」少し不満そうな千夜
「ねぇ、千夜も疲れてるみたいだし、家に帰って少し寝たらどう?」
「私は疲れてないわ、よく寝られたみたいだし」
「確かにぐっすり眠っていたわね・・・もう少しおしゃべりしていく?」
「ええ、ゆっくりと」優しく微笑む千夜、お互い腰掛け、再びスコーンに手をのばす
一方この時、シャロは様々な疑念に心を囚われていた
それは、千夜が実は風呂場の一部始終の間ずっと起きていたのではないか、という疑念に始まるものだった
なぜなら、午前中に他人の家に来てそのまま眠てしまったというのは不自然だからだ、ましてや監視役で
千夜ならさして疑問に思わないとは思っていたものの、それでも普通なら少し疑問に思ってもおかしいはずだ
さらに、お風呂に入っていたことに関しても言及がなかった
それなりに格好のつく服を着てて、二人を寝起きで対応した訳でもないのに、いきなり風呂に入っていて、
別の服に着替えていることを、なにも不思議に思わない千夜の態度がある意味不気味なものに思えた
たとえ寝ていたとしても、リゼを運ぶ時やお風呂場での騒音で目覚めていたのかもしれない、
とすれば何も疑問には思わない、だから何も言及しなかった、とすれば千夜は・・・・・・
しかしシャロの口からはそうした疑念を問うことは墓穴を掘る可能性があると思い、口を閉ざす事に徹していた
「ねぇ、シャロちゃん」ふと千夜がスコーンをつまみ、視線をシャロの目に合わせる
「なに?」ビクッとするシャロ
「・・・このスコーン、食べていいのかしら?」
「え?もちろんよ」
「本当に?」
「さっきも食べてたじゃないのさ!」
「ええ、でもさっき食べたのはここにあるわ」床に転がった食べかけのスコーンを指さす
「あ、落としちゃったのね」回収しようとするシャロ
「お行儀が悪くてごめんなさい」
「いいのよ、気にしないで、まだまだあるわ」
「ねぇ・・・私は食べながら寝たのかしら?」
「・・・・・・」一瞬言葉に詰まる
「リゼチャンの靴、まだあるんだけど」
「・・・・・・」
- 28 :学生さんは名前がない:2015/06/01(月) 22:16:09.18 ID:TzEuofCP0.net
- すごくこころがぴょんぴょんする
- 29 :学生さんは名前がない:2015/06/02(火) 20:59:54.37 ID:chPX1Kds0.net
- 18日までに終わらせてくれおちる
- 30 :学生さんは名前がない:2015/06/03(水) 12:25:51.93 ID:B+feXugN0.net
- キャラ崩壊あるならあるって最初に言っといたほうがいいんじゃないかな
- 31 :学生さんは名前がない:2015/06/14(日) 23:20:43.39 ID:82x4t6kK0.net
- あくしろよ
- 32 :学生さんは名前がない:2015/06/17(水) 19:55:57.51 ID:PnazztJ80.net
- あげ
- 33 :学生さんは名前がない:2015/06/18(木) 12:44:48.01 ID:stlfK94P0.net
- >>29
これマジ?
総レス数 33
21 KB
掲示板に戻る
全部
前100
次100
最新50
read.cgi ver.24052200